山口代表、北側副代表は集団的自衛権に「反対」と回答していた!~二枚舌の公明党に鉄槌を~

2015728日

公明党議員全員が「解釈変更で容認すべきでない」と回答
 
2013年の参院選で~
 
 今朝の『毎日新聞』の社会面に次のような記事が掲載されている。

安保法案:公明離れの学会員次々…自民と協調に『失望』」  http://mainichi.jp/select/news/20150728k0000m040078000c.html?fm=mnm

 記事の中には、安保関連法案で自民党と足並みをそろえる公明党の足元で、そうした公明党の姿勢に地方議員や創価学会員の反発・離反が広がり、に「バイバイ公明党」などとプリントしたプラカードを掲げて法案に反対するデモ行進に参加する学会員がいたことが紹介されている。
 また、記事の下段には2013年の参院選で当選した公明党議員11人全員が、当時、毎日新聞が行った候補者アンケートにあった「集団的自衛権の行使容認のために憲法解釈を見直すべきか」という問い対し、「見直すべきではない」と回答していたことも明らかにしている。

山口代表は
 
 例えば、山口那津男代表は次のように回答していた。

「選挙毎日 20137月参議院選 候補者アンケート」
山口那津男(東京選挙区)
http://senkyo.mainichi.jp/2013san/kaihyo_area_meikan.html?mid=B13000006001
 

4:集団的自衛権を行使できるよう、憲法解釈を見直すべきだと考えますか。
回答:2. 見直すべきではない

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北側副代表は
 また、公明党を代表して安保関連法案の与党協議に参画した北側一雄・党副代表は昨年12月の衆院選にあたって毎日新聞が行った候補者アンケートに次のように回答していた。

「選挙毎日 201412月衆院選 候補者アンケート
北側一雄(大阪16区 公明党)
http://senkyo.mainichi.jp/47shu/meikan.html?mid=A27016001001&st=tk
 

2:政府は集団的自衛権を行使できるようにするため憲法解釈を変更しました。
   集団的自衛権の行使に賛成ですか、反対ですか。
回答:2. 反対

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 さらに、北側氏は『公明新聞』(2014426日)に掲載されたインタビューの中で、砂川事件・最高裁判決を合憲性の根拠づけに用いる考え方を真っ向から否定する次のような発言をしている。

「集団的自衛権 北側一雄副代表に聞く」(公明新聞:2014426日)
https://www.komei.or.jp/news/detail/20140426_13831 
(抜粋)
 「最近、1959年の砂川事件の最高裁判決を根拠に、『必要最小限度の範囲内であれば集団的自衛権の行使も可能』との主張があります。しかし、この判決は『自衛隊や米軍駐留が憲法違反ではないか』が問われた時代の判決で、集団的自衛権の行使を根拠づける内容の判決ではありません。」

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 このような北側氏の発言は砂川事件・最高裁判決の一節を集団的自衛権行使容認の合憲性を裏付ける証拠として繰り返し援用している安倍首相、高村副総裁らの発言と真っ向から対立している。しかし、そうした安倍、高村両氏の発言に北側氏は黙して語らず、である。

ブレーキ役どころかアクセル役
 
 それもそのはず、『西日本新聞』(2014620日)に次のような記事がある(以下、抜粋)。

「自衛権行使「新3要件」公明原案 自民案装い、落としどころ
 解釈改憲の核心は、自民党高村正彦総裁が提案した自衛権行使の『新3要件案』だ。特に「他国に対する武力攻撃が発生し、これにより国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される恐れがある」という集団的自衛権行使に絡む文言をめぐり、自公間で調整が続く。
 だが、実はその原案は、公明党北側一雄副代表が内閣法制局に作らせ、高村氏に渡したものだった。解釈改憲に反対する公明党が、事実上、新3要件案の「下書き」を用意したのだ。

 『私が考える新3要件というものの、たたき台を作ってみました』
 13日の安全保障法制整備に関する第6回与党協議会で高村氏が突如A4サイズの紙を配った。『集団的自衛権の行使はできない』と結論付けた1972年の政府見解の一部を引用し、行使を認める逆の結論を導き出す私案だった。『この紙を見たのは初めてだ』。協議会後に北側氏は明言した。だが、事実は違う。
 政府関係者によると、その数日前に公明党執行部がひそかに集合。解釈改憲で対立する首相と山口氏の『落としどころ』を探るためだった。連立維持を優先させ、解釈改憲を受け入れる政治決断の場でもあった。
 山口氏が『憲法解釈の一番のベースになっている』と尊重してきた72年見解を援用する形で、限定容認と読み取れる原案内閣法制局に作成させる。北側氏がそれを指示していた。」

表と裏で真逆 ~こんな2枚舌を学会員は許すのか?~
 一見して明らかなように、解釈改憲による集団的自衛権の行使容認に関する北側氏の対応は表と裏で真逆である。表向きは「反対」、裏では自民党との密室協議で「推進」。
 こんな公明党幹部の二枚舌を創価学会員は認めるのか? 今、一人一人の学会員の良心が問われている。

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NHKの作為・不作為の偏向報道を見透かすことが急務

2015722 

「対米公約」と偽称して強行採決を追認したNHK政治部記者
 衆院安保特別委(715日)での安保関連法案の質疑を実況中継しなかったNHKの報道に対してネット上で抗議が噴出、抗議と中継を求める意見がNHK殺到した。これを受けてNHKは当日の2時間前まで中継しないと決めていた16日の衆院本会議の模様を急遽、中継することにした。当日の新聞のテレビ番組欄に載せた放送予定を変更するのは異例と言われている。

 しかし、問題は国会中継をする、しないだけでない。定時のニュース番組の項目選択や伝え方、順番、各報告に充てられる時間配分にも安保関連法案に関して政府与党に不都合な事実を伝えない、伝えても「さらり」と流す露骨な偏向報道が続いている。一つ前の記事で書いた、NHKのニュース番組に登場する政治部記者の醜い政権肩入れ解説もその例であるが、同じ例を一つ、追加しておきたい。

 衆院特別委で安保関連法案が強行採決された715日夜のニュースウオッチ9に登場した中田晋也・政治部記者は鈴木アナから「国民の理解が進んでいないなかでどうして今日採決に踏み切ったのか」と問われたのに対し、こう答えた。

 「安倍首相が米国議会の演説で、今国会で法案を成立させると発言したことがいわば公約になっているのです。」

 安倍首相が、まだ安保関連法案を審議する衆院特別委が始まってもいない今年429日に、米国上下院合同会議で「今夏には法案を成就させる」と演説したのは国会軽視との批判を免れない。せいぜい、本人の「決意」か「願望」に過ぎない。それを「対米公約」にすり替え、日程上の逆算から採決に踏み切った理由に挙げるNHK政治部の記者は日本の民意、国会審議を何と心得ているのか? 時の内閣総理大臣の意向で法案成立の目途が決まるのなら、国会での熟議はいらないし、民意は不要である。「ていねいな説明」も美辞麗句に過ぎないことになる。
 こうした民意軽視の発想は、内閣支持率が急落し、過半の国民が法案自体に反対しているなかでも、安倍首相が、「支持率のために政治をやっているのではない」(720日、フジテレビ「みんなのニュース」で)と発言し、民意無視の開き直り体質をあらわにしたのを免罪するに等しい。
 そこからは中田記者(をはじめとするNHK政治部の記者?)と官邸の一体化、親密ぶりが透けてみえる。それほど政権の代弁をしたいのなら、自主自立を標榜するNHKを辞して、総理官邸の補佐官室か広報担当に転職したらどうか?

 
政権に不都合な事実を伝えない、踏み込まないNHK
 
政権の思惑の代弁が「作為」の偏向報道だとしたら、最近のNHKの報道には、政権に不都合な事実は伝えない、それに踏み込まないという「不作為」の偏向報道も顕著である。いくつかの事例を挙げておく。

 *衆院特別委員会で法案が強行採決された直後に浜田靖一特別委委員長は記者の質問に対して、「もう少し分かりやすくするためにも、法案を十本まとめたこと自体はいかがなものかと思う」と発言した。民放各局は「法案のわかりにくさを委員長が指摘する異例の事態」(TBS, Nスタ)などと浜田発言を報道したが、NHKは一切、伝えなかった。 

 *710日、15日の衆院特別委で野党議員(民主党辻元清美議員、共産党穀田恵二議員、赤嶺政賢議員)が陸上自衛隊のイラク復興支援活動の実態をまとめた文書(陸上幕僚監部『イラク復興支援活動行動史』20085)を取り上げ、「非戦闘地域」という呼称のまやかしとそこへの自衛隊派遣のリスクを追及した。

 例えば、辻元議員は710日の特別委で、独自に入手したこの文書(議員の求めに応じて政府が開示したのは危険性を記した箇所が黒塗り)に収録された第1次イラク復興支援群長の番匠幸一郎氏が同文書の第2編の巻頭言で、「イラク人道支援活動は純然たる軍事作戦であった」と記していることを取り上げ、「イラクでの人道復興支援が『純然たる軍事作戦』だったのなら、〔今回の安保関連法案に盛り込まれた〕後方支援はなおさら〔軍事作戦とならないか〕検証が必要だ」と政府に迫った。

 穀田議員も同じ日の特別委で、この文書をもとに、イラク派兵が実際には政府が説明するような「非戦闘地域での復興支援活動」にとどまるものではなく、①サマ-ワの自衛隊宿営地に打ち込まれたロケット弾は宿営地内の鉄製荷物用コンテナを貫通して宿営地の外に抜けており、大惨事となる危険性があった。②隊員は宿営地の外では銃から手を離さないよう指示されていた。③派遣前には隊員は至近距離射撃と制圧射撃の訓練をしてきた。その上で「危険と思ったら撃て」と指導した指揮官が多かった。
 穀田議員は復興支援活動に限定したとされるイラクでの自衛隊の活動でさえ、隊員は常時、身の危険にさらされていた実態と対比して、今回の安保関連法案は自衛隊の海外での活動の任務を治安維持活動等にまで広げるとなれば、政府の説明とは逆に、隊員が「殺し」「殺される」危険性がいっそう高まると追及した。

 715日の特別委でも赤嶺議員は法案審議の大前提になる資料が黒塗りのままでは質問をできないと質したが、野党議員が提出を求めた全面公開文書は強行採決後にようやく開示された。
 結局、特別委では、安倍首相は、上記の辻元、穀田議員の質問に対し、「イラクのサマーワは『非戦闘地域』と認定したがサマーワから外れた場所にも安全な場所がある」などと意味不明の答弁をして終わった。

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 この陸上自衛隊の文書について、『朝日新聞』は717日の朝刊の1面に「イラク派遣 危険な実態 宿営地に砲弾10回超/囲む群衆に銃持つ人物」という見出しの記事を掲載。3面には「虚構の『非戦闘地域』」という見出しの大きな解説記事を掲載した。
 『東京新聞』も715日の朝刊の社会面に「『危ないと思ったら撃て』 自衛隊イラク派遣 詳細内部文書判明」という見出しの記事を掲載した。『共同通信』も719日、「イラク派遣『純然たる軍事作戦』不測事態、官邸が情報統制」という見出しの記事を配信した。

 
 しかし、NHK710日のニュースウオッチ9で穀田議員がイラクに派遣された自衛隊が制圧射撃訓練を行っていた点を質したのを取り上げたが、わずか47秒。前後の文脈を知らされない視聴者にとって質問が意味したことを理解するのは不可能だった。
 また、715日のニュース7とニュースウオッチ9では、赤嶺議員が審議に資するすべての情報を明らかにするよう政府に求め、それなしには採決には応じられないと発言した場面を放送した。しかし、ここでも、どういう資料の開示を求めたのが何も伝えず、何の解説もない映像のつなぎあわせでは、何が問題にされたのかさえ、わからなかった。

 この自衛隊内部文書は今回の安保関連法案で拡大される自衛隊の海外任務のリスクを検討する上で重要な教訓、提言を含んでいる。しかし、それについては次の記事に回し、ここではNHKの報道番組の「不作為」の偏向について検討を続けることにしたい。

安倍首相のお粗末きわまりない「たとえ話」を伝えなかったNHK
 NHK720日のニュース7で、その日、安倍首相が民放の番組(フジテレビの「みんなのニュース」)に出演し、今回の安保関連法案で行使を容認しようとしている集団的自衛権の意味を説明したことを伝えた。その中でNHKが伝えたのは、安倍首相が、安保関連法案を戦争法案と呼んだり、徴兵制に繋がると言ったりするのは間違っていると語ったこと、参議院の審議を通じて分かりやすく説明し、野党の理解が得られるよう努力していく考えを示したこと、だけだった。

 しかし、ニュース7が伝えたこのような発言は1時間半に及ぶ長時間の番組の中で安倍首相が冒頭の数分で発言した部分に過ぎない。安倍首相が大半の時間を使って説明したのは、隣家(米国)の「母屋」から火災が発生し、それが隣家の「離れ」に燃え移り、さらにわが家(日本)にまで延焼するおそれが出てきたときに日米一緒に消火活動をしようと言うのが「集団的自衛権」だという「たとえ話」だった。

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  ところがニュース7は、このような「たとえ話」には全く触れなかった。私は知人からの知らせで、番組冒頭の5分ほどは見られなかった(あとで録画で確認した)が、その先はすべて視た。その上で、安倍首相が口癖のように言う「丁寧な説明」とはこういうものなのかと知ると同時に、中身のお粗末さに唖然とした。
 ネット上(ツイッターなど)でも、安倍首相が「たとえ話」のために用意した煙の模型がいささかグロテスクだったことへの茶化しも少なくなかったが、嘆息、あきれ声が殺到した。

 「戦争を『火事』で説明するのは適切じゃないよね。・・・・戦争は人が人を殺す行為。火事の現場じゃない。安倍の説明は、『戸締り用心・火の用心』に終始している。日本国民をなめているのか・・・・」

 「アメリカは、ベトナムで放火し、アフガニスタンで放火し、イラクで放火した。そのアメリカの後方支援をするってことは、マッチや燃料を運んでやると言うことで、日本は放火犯の一味となる。」

 「姑息な例え話。火事の消火活動は誰も傷つけはしないが、実際の武力行使は殺傷行為。また、消火器をアメリカに渡すというが消火器は人を殺さないが、実弾は人を殺す。」

 多少、私の感想を付け加えたい。
 *安倍首相は、いきなり、アメリカの母屋(本国?)で火事が発生したことから、たとえ話を始めるが出火の原因は何なのか? それを想定して、対策(防火策)を講じるのが先決ではないのか。
 恨みの放火なら、恨みを買うような行為(武力による抑止力という名の威嚇・挑発行為)を慎むこと、「テロとの戦い」を大義名分に各地へ先制攻撃を仕掛けてきたアメリカが大国主義的干渉政策を清算すること。これが最善の防火(安全保障)対策である。
 後者の不注意の出火なら、防火装置を取り付けること。ただし、これは集団的自衛権を説明するたとえ話としては失当である。

 *日本と「道路一つ隔てて隣接する」アメリカの「離れ」とは何を指すのか? ネット上でどなたかが言ったように、もしかしたら「沖縄」なのか? そうだとしたら、最善の対策はアメリカの出撃拠点となるような米軍基地を沖縄から撤去すること(防火策)である。アメリカに基地を提供することは類焼を防ぐ消火活動どころか、沖縄を放火(武力攻撃)の標的にするようなものである。

 *アメリカで出火した火事がどういう経路で日本に及んでくるのか? 日本近辺で邦人の救出活動に当たる米艦隊が攻撃されそうになった場合を想定するのだとしたら、日本の民間人自身を攻撃する意図というより、アメリカ軍を攻撃対象にする意図があるからではないか? そうだとしたら、アメリカ艦隊に救護を求めるのはかえって危険ということになるから、日本自身の警察力なり、正当防衛権を行使して救護にあたるのが正解であり、日米が一体化する集団的自衛権はかえって日本国民の安全を脅かすことになる。

 NHKはこれまで幾度となく、「丁寧な説明を心掛ける」という安倍首相の「意向」、「思い」を代弁してきた。それなら、安倍首相が90分にわたって試みた上記のような「丁寧なたとえ話」を詳しく国民に伝え、それを通して安保関連法案に関する国民の判断に資するのがNHKの使命のはずである。肝心の場面でこの使命を果たさず、「丁寧に説明する」と言う意向ばかり伝えるのでは、ただの録音再生か拡声にすぎない。

 そうした論評なき思考停止の放送は、不都合を広められたくない政府にとってはありがたい存在であるが、熟慮ある国民の政治参加という民主主義の土台を形骸化させる点では罪深い報道機関への堕落と断じなければならない
 裏返すと、以上見てきたNHKの作為・不作為両面の偏向報道を見透かすことは安倍極悪政権を追い詰め、退場させるための世論形成に必須の条件といっても過言ではない

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NHK政治部記者に問いたい ~あなた方は安倍政権のスポークスマンに成り下がったのか?~

2015718

醜い政権肩入れ解説
 
 安保関連法案は15日の衆議院特別委員会での強行採決に続いて、一昨日、衆議院本会議で可決され参議院に送られた。法案の中身と審議自体にも重大な問題があるが、ここではこの2日間のNHKのニュース番組に登場したNHK政治部記者の解説のあり方を取り上げたい。

 715日のニュース7には政治部の吉川衛記者が、ニュースウオッチ9には同じく政治部の中田晋也記者が登場し、どちらもこの日に与党が安保関連法案の採決に踏み切った理由を解説した。また、716日のニュース7には政治部の長内一郎記者が登場し、安保関連法案の今後の審議の見通しについて解説した。

 これら3人の政治部記者が異口同音に持ち出したのは「60日ルール」だった。延長した会期末までまだ2ヶ月残っているが、参院は衆院に比べ野党の勢力が強く、攻勢を強めることが予想される。そこで、与党は60日ルールを余裕を持って使える可能性を「保険」として残しておきたいという狙いから今日の採決になったと、まるで我が事のように政府・与党の思惑を解説してみせた。
 また、今後の審議への注文といっても、「政府与党にはいっそう丁寧な国会運営や理解を得る努力が求められる」といった、安倍首相が好んで用いる常用句を使うだけの無内容なものだった。

 実際、NHKのニュース番組も、衆議院での安保関連法案を通じて審議が深まったとはいえない、国民の理解が進んだとはいえないと語った。現に、NHKが今月10日から3日間行った世論調査の集計結果によると、

 
安全保障関連法案をいまの国会で成立させることについて、
  「賛成」18%  「反対」44%  「どちらともいえない」32
 これまでの国会審議で議論は、
  「尽くされたと思う」8%  「尽くされていない」56%  
  「どちらともいえない」28

で、過半または相対多数の国民は安保関連法案の審議は尽くされていないとみなし、同法案が今国会で成立することを望んでいない。

 であれば、NHKの報道番組に求められるのは、この先の審議日程に関する政府与党の思惑を解説してみせることではなく、国民が審議を尽くせていないと考えている論点を整理・解明して政府与党、広くは国会議員に提示し、熟議を促すことである。

山積する論点を提示し、熟議を促した全国紙
 げんに、717日の『朝日新聞』は「怒りと疑問にこたえよ」という社説を掲載し、こう記している。

 「議論すべきことは山ほどある。大多数の憲法学者の『違憲』の指摘に、政府は全く反論できていない。どんな場合に集団的自衛権を行使できるのか、安倍首相は『総合的判断』と繰り返すばかりで、要は時の政権に白紙委任しろということかと、不安は高まる一方だ。」
 「そもそも、この違憲の可能性が極めて高い法案を審議するのは、最高裁に『違憲状態』と指摘された選挙制度によって選ばれ、その是正にすらまごついている人たちなのだ。
 あなたたちは何を代表しているのか? この問いに少しでも答えたいなら『理の政治』を打ち立てるしかない。主権者は注意深く、疑いの目で見ている。」

 そして、同日の『朝日新聞』朝刊(1面、2面)はその前日に明らかになった自衛隊の内部文書(イラクに派遣された航空自衛隊の活動を記録した文書)を分析し、サマワの宿営地に追撃弾やロケット弾による攻撃が10回以上発生していた事実、あるいは派遣先の現場では戦闘を想定し、隊員に対して最終的には「危ないと思ったら撃て」と指導をした指揮官が多かったという事実を紹介して、当時、政府が繰り返した派遣先は「非戦闘地域」という説明が「虚構」だったことを明かにした。こうした内部文書は、目下の安保関連法案について、「現に戦闘が行われていない地域」での治安維持活動等に限定されるという政府の説明の虚構性を裏付ける資料にもなっている。

 『毎日新聞』も1面に「参院を『消化試合』にするな」と題する高塚保・政治部編集委員の論説を掲載。その中で、次のように記している。
 「審議すればするほど、あいまいになっていったのが集団的自衛権を発動できる『存立危機事態』だ。」「『違憲』『合憲』論争にも決着はついていない。・・・・『違憲』の疑いは払拭できなかったどころか、増幅している。」
 そのうえで高塚氏はこう結んでいる。
 「政府は、参院が60日以内に議決しなければ衆院で再議決できる『60日ルール』の適用も想定に入れているようだが、もってのほかだ。徹底した議論が求められる。」

 NHKの政治部記者が政府与党の思惑を代弁するかのように「60日ルール」で法案成立は決まりかのような解説を得々とするのと好対照である。

熟議よりも数の力、政権の思惑に軸足を置くNHK
 実際、16日のNHKニュース7とニュースウオッチ9は、この日、安保関連法案が衆院本会議で可決されたのを受けて、これにより参院で採決が行われなくても「60日ルール」により、衆院で再可決が可能となり、法案が今国会で成立する公算が大きくなったと早々と伝えた
 しかし、論点の解説といっても定時のニュース番組の時間枠の中ではかなわないといえるかも知れない。では、十分な時間と紙幅を得た場面でNHKの政治部記者は安保関連法案の論点をどのように解説しただろうか? 
 そこで、NHK解説委員が担当する「時論公論」を検索すると、安保関連法案が国会に提出されて以降、法案審議の状況を取り上げた記事として、太田真嗣氏の次の解説がある。

 時論公論「国会延長へ 与野党攻防の行方」
 
 (
20150620日太田真嗣 解説委員)
  http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/221339.html

 記事のあらましは次のとおりである。
 *安倍総理大臣は、戦後70年にあわせて総理大臣談話を発表することにしている。会期を8月上旬までとする案は、総理談話が国会で論争の種になるのを避けるため、その前に国会を閉じてしまおうというものである。しかし、最大の弱点は、関連法案の審議日程を考えると非常に厳しく、最悪の場合、時間切れになる可能性があることだ。

 *会期を8月下旬、もしくは9月上旬まで延長する案は、法案成立を第1に考えた案で、関連法案は、衆議院通過後、参議院で審議されることになるが、参議院は与野党の議席数が拮抗しており、難しい国会運営となることが予想される。それを念頭に、かりに参議院で関連法案が否決、あるいは採決に持ち込めなくても、憲法の規定に基づき、衆議院の3分の2以上の賛成で再可決して成立できるよう、十分な時間を確保しておこうという計算もちらついている。与党側は、今後の審議状況や野党側の出方などをギリギリまで見極めた上で、具体的な延長幅を決める方針である。

 まさに、論点解説というより「政局談義」というにふさわしい中身である。途中、法案を巡る論点に触れられてはいるが、最大の争点である集団的自衛権行使について、「歯止め不十分で、際限なく広がるおそれがある」と指摘する野党の主張と、「我が国の存立が脅かされる事態に限って行使を認めるなど、厳しい制限を設けている」とする政府の反論を並記するだけで独自の知見は全く示されていない。

 外国軍隊への後方支援を行う自衛隊員のリスクも取り上げてはいるが、自衛隊の活動内容や活動範囲が広がることを踏まえ、「リスクが増えるのではないか」とする野党の追及と、「自衛隊の活動は常にリスクが伴っている。ただ、活動はあくまで戦闘行為が発生しないと見込まれる区域で行い、危険な状況になれば直ちに中止する」と説明する政府の主張を並記して、「議論は平行線のまま」で結ぶ、おざなりの「解説」である。
 最後に、「後半国会の展望」を語って終わる太田氏の「解説」はどう見ても、言論機関のスタッフの論点解説と呼べる代物ではない。

 次に
NHK WEB特集(2015717日)に掲載された政治部・田中泰臣記者の解説記事を見ておきたい。

 安保法案 与野党の思惑と展望は」(政治部 田中泰臣記者)
  
 http://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2015_0717.html

 田中記者の解説を要約すると次の通りである。
 *安保関連法案は当初は、集団的自衛権の行使がどこまで認められるのか、また自衛隊員のリスクが高まるのかどうかが主な論点となったが、6月に入って以降は法案が違憲か合憲かという「そもそも論」の議論が繰り広げられるようになった。

 *政府側は、安全保障環境が厳しくなっている状況を踏まえれば、他国に対する武力攻撃であっても日本の存立を脅かすことが起きる可能性もあり、あくまで日本を守るため、集団的自衛権の行使を一部限定的に認めるものだとして、これまでの政府の憲法解釈との整合性は保たれているとしました。これに対し、民主党は「憲法違反の疑いが強い」、共産党は「憲法違反だ」などと攻勢を強め、対立は激化していった。

 *今月14日、衆院特別委員会で法案の採決が行われ可決された。そして翌16日、衆議院本会議で自民・公明両党と次世代の党などの賛成多数で法案は可決され、参議院に送られた。この結果、与党は、仮に参議院で採決が行われない場合でも、914日以降に「60日ルール」を使って衆議院で再可決することが可能になるため、法案は今の国会で成立する公算が大きくなった

 *安倍総理大臣とすれば、安全保障環境が厳しさを増しているなか日米同盟をより強固なものにすることは不可欠であり、そのために必要な法案なので、いずれ分かってもらえるはずだという思いがあるものとみられる。また集団的自衛権の行使容認は、安倍総理大臣が、第1次安倍内閣の時から取り組んできた課題でもあり、みずからの手で成し遂げたいという信念もあるのだと思う

 *法案の審議は参議院に移るが、戦後日本の安全保障政策を大きく転換させる法案であるだけに、安倍総理大臣をはじめ、政府・与党が審議を通じてどのように国民の理解を得ていくのか、注視していく必要がある。

 法案の論点よりも、法案審議の「行方」、法案成立に賭ける安倍首相の「思い」に軸足を置いた政局解説、安倍首相のスポークスマンの政府広報同然である。

NHK政治部の記者に問いたい
  このようなNHK解説委員、政治部記者の「解説」を目の当たりにすると、こう問いかけずにはいられない。

 Q1.あなた方が手掛けている「調査・取材」とは何なのか? 
 政府は出したがらないが、国民に知らせなければならない事実を追求することなのか? それとも政府与党の要人に付きまとい、彼らの腹の内を探る「ぶら下がり取材」なのか?

 Q2.あなた方がジャーナリストとして目指すものは何なのか? 
 政治的アジェンダに関する熟議を促すことなのか? それとも「数の力」の赴くところを早や読みして政治的アジェンダの「落としどころ」をかぎ分けることなのか?


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(追記あり) NHK、今日の本会議も中継せず~国民から殺到した抗議・要望に聞く耳を持たないNHKは誰のもの?~

2015716 

   【追記】
 
 以下の記事をアップして以降、テレビを離れて仕事をしていたら、15時過ぎに、「NHKは本会議を中継している」という知らせをもらった。急いでNHK視聴者エンターに電話をして尋ねると次のとおりだった。
 
  *11時過ぎの問い合わせに対して「中継しない」と答えたのは事
         実。

 
  *12時過ぎに編成局から視聴者センタ-へ「急きょ、中継するこ
   とになった」という連絡が入った。申し訳ありませんでした。

 
  *(急きょ、中継することにした理由は)視聴者センターではわ
   からない。
  以上を追記するとともに、以下の記事は今日の11時過ぎまでに私が得た情報に基づいて書いたものであるとお断りさせていただく。

 
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 今朝11時前に衆議院に問い合わせると、13時に本会議開会とのこと。しかし、今朝の各紙のテレビ番組欄を見るとNHK総合欄には本会議の中継はなく、
 1300分 ニュース
 1305分 スタバ えなりかずき芸歴27年 腹黒い?役に挑
       戦中
 1400分 ニュース
 1405分 歴史秘話(再放送) 豊臣VS徳川・大阪の陣か
       ら400年 ▽豊臣秀頼
 1500分 ニュース
 1512分 大相撲

 11時過ぎにNHK視聴者センター(0570066066)に問い合わせ、今日の本会議を中継しない事実を確かめた上で、その理由を重ねて聴き返すと、応対者は次のような「国会中継に関する一定の原則」なるものを読み上げた。

 1.本会議の施政方針演説等の政府演説と関連する代表質問
  を放送する。
 2.衆参両院の予算委員会の基本的質疑のうち、各会派の一
  巡目の質疑を放送する。
 3.党首討論や国民的関心の高い重要案件を扱う委員会の質
  疑などは適宜、総合的に判断して放送する。

 これを聴いた上で次のようなやりとりをした。

 Q.今、読み上げられた「一定の原則」を踏まえて言うと、今
   回の安保関連法案の取り扱いは、3番目にある「国民的関
   心の高い重要案件」に当たると考えるかどうかにかかって
   いると思いますが、この点をどう判断されたのですか?
 A.私どもとしては、今読み上げた以上のことは「総合的に判
   断して」としかお答えできません。<以下、省略>

 また、昨夜(715日)、ニュース7を聴いたあと、視聴者センターに電話した折、次のようなやりとりをした。応対者は疲れた様子で無気力な応答だった。

 Q.・・・・総合的に判断して今日の特別委の実況放送をしな
   かったと説明していますが、総合的判断の中身を教えてく
   ださい。
 A.NHKの番組編集上の独自の判断ということです。
 Q.NHKの独自の判断と言われましたが、放送法第1条をご
   存じですか?
 A.・・・・・
 Q.放送法第1条では法の総則として、「健全な民主主義の発
   達に資するようにすること」
と明記され、これがNHK
   の放送の根幹的な使命とされています。そのうえで、放
   送法の以下の条文はこの使命が果されるよう、放送に携
   わる者の職責を定める、となっています。
    放送法のこのような定めに照らせば、違憲の疑いが指
   摘され、立憲民主主義にもとるとも指摘されている安保
   関連法案の国会審議の模様を国民に伝えることを、NH
   Kの独自の判断で退けることはあり得ない
と思いますが
   どうですか?

 A.そのようなご意見があったことをお伝えします。

最後はNHKの定番の収め方である。
 
 昨夜のNHKのニュース7、ニュース・ウオッチ9の視聴メモ、それと比較したNスタ(TBS)、報道ステーション(テレビ朝日)、ニュース23(TBS)の報道内容など、書きたいことがたくさんあるが、ひとまず、速報としてここまでとする。

 それにしても、NHKの受信規約は「双務契約」であり、受信料は税金のような片務的な支払い義務ではない。
 とするなら、NHKは多くの視聴者・国民からの要望・抗議にも聞く耳を持たず、安倍政権が「現憲法の枠内」などと強弁して、憲法と立憲民主主義の存立基盤を破壊する「クーデター」同然の暴走を企てようとしている国会審議を伝えない偏向放送(注)を続けながら、法的手続きをちらつかせ、受信料を督促する資格はないと断じてよい。

 (注)2つ前の記事で書いたようにNHKが、「安保法案審議時間110時間 過去6番目の長さ」というニュースを流して、特別委での強行採決の「露払い」役の報道をした事実も記憶にとどめるべきである。

 

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今日の安保関連法案の委員会質疑を中継しないNHK~理由を尋ねると「総合的判断」!だそうな~

2015715
 
 今日は安保関連法案を審議する衆議院の「平和安全法制特別委員会」が野党各党の反対を押し切って委員長の職権で開会され、法案の一括採決が行われる見通しと伝えられている。
 ところが今朝の各紙のテレビ番組表を見ると、民放は15時台あたりから、この問題を取り上げる番組枠が予定されているが、NHKはゼロ。
 では、この時間帯に何を伝えるのか見てみると、「あさイチ」に続き、「趣味どきっ現代テニス(再放送!)、「ひるまえ▽清流・那珂川を守る ▽ろうあ者の被爆体験を舞台で伝えたい」、・・・・・「スタパ 今田耕司のお部屋拝見・・・」と続く。
 どこかの日のどこかの
時間帯に放送してほしいと思う番組がないわけではない。しかし、「なぜ今日、この時間帯に?」という疑問は免れない。重大な国会中継をしない代わりに、趣味の番組を再放送するとなると、NHKは国民の耳目、関心を政治から遠ざける意図を持って番組編成をしていると断じて差し支えない。

 さっそくNHK視聴者センター(電話:0570066066)に電話すると、途中から、上司と名乗る人物に代わったが、応答は同じで、「番組制作者が総合的に判断して放送しないことにした」という言葉を反復した。

「総合的に判断して」・・・・安倍首相が安保関連法案の国会審議で多用する無内容な、しかし、今回の安保関連法案の危険な本質(新3要件などといっても最後は政府の総合的判断に白紙委任を意味する法案)を象徴する用語である。しかし、個別具体的な質問をかわす便利な用語に逃げ込むという点では安倍首相とNHKは瓜二つである。

 ネット上で、「NHK×中継」で検索すると、このようなNHKの番組編成に批判・抗議の声が殺到している。至極、もっともな反応である。
http://realtime.search.yahoo.co.jp/search?fr=top_ga1_sa&ei=utf-8&p=NHK++%E4%B8%AD%E7%B6%99

 このブログにアクセスしていただいた方々に呼びかけたい。
 「NHKはなぜ、これほど重大な政治的場面を実況中継しないのか」という意見・抗議をNHK視聴者センター(電話番号、上記)へ発信してほしい。




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「安保関連法案の審議110時間 6番目の長さに」~強引採決の露払い役に成り下がったNHKニュース~

2015713

 この時点でNHKニュースが審議時間の長さを伝えるいわれは? 
 今夜のNHKニュース7をご覧になった方はおわかりのとおり、下記のような見出しのニュースが放送された。衆議院に記録が残る昭和35年以降で、今回の安保関連法案に関するこれまで(13日の時点)の審議時間は6番目に長いというニュースである。

「安保関連法案 審議110時間6番目の長さに」
NHK News Web 713 1835分)

 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150713/k10010149501000.html

 政府・与党が安保関連法案について「十分な審議時間を確保した」「審議は尽くされた」と称して明日以降、特別委員会での強行採決をうかがっているさなかにNHKがこのようなニュースを流すのを見て唖然とするとともに、NHKのニュース番組はもはや「政府広報」というよりも、なりふり構わぬ「政権幇助報道」になりさがっていると実感した。

56
%の回答者が「審議は尽くされていない」と答えている最中に
 
 もともと、審議の中身と無関係に審議時間の多寡で採決の前提が整ったかどうかを論じること自体、不見識であるが、同じ今日のニュース7の中で報道されたNHK世論調査(今月10日から3日間実施)において、「安保関連法案について国会審議は尽くされたか」という問いに対し、
  「尽くされた」       8
  「尽くされていない」   56
  「どちらともいえない」  28
という回答結果を伝えたのと照らし合わせても、審議時間の比較報道は前後矛盾したものであり、NHKニュースが民意おかまいなしの審議日程を強行しようとする政府・与党の国会対策の露払いの役回りを買って出ているといっても過言ではない。

NHKが来ると「今日は何かあるな」

 
~辺野古で現場取材を続ける影山あさ子さんの言葉が思い起されて~
 
 NHKニュースにこんな感想を持つのと同時に、たまたま昨日、私が司会・進行役を務めたパネル討論「辺野古から考える日本のジャーナリズム」のなかで、パネリストの1人として登壇していただいた映画「圧殺の海」の共同監督・影山あさ子さんが次のように発言されたのを思い起した。

 「NHKが来ると今日は何かが起きる(と感じる)。今日何かすることを知っているから来ている。
 NHKのニュースを見ていると、こういう工事が今日されました。着工されました、フロートができました、と工事が進展しているようにみえる。だから、NHKのカメラが来ると、今日なにかするはずだと感じるわけです。」

「放送法」にも反する露骨な偏向報道
 
 折しも、自民党の谷垣幹事長は今日の記者会見で、安保関連法案を15日に衆院平和安全法制特別委員会で採決する方針を表明し、16 日の衆院通過に向けた動きを一気に表面化させた。(「共同通信」2013年7月13日、2124
 NHKのニュース報道が、こうした自民党の方針と気脈を通じていたと思いたくはない。しかし、先週来、安倍首相が国会答弁で「審議は相当に尽くされたのではないか。決めるときには決める」と審議打ち切りを示唆したと報道されるような発言をする一方、野党5党が結束して強行採決に反対しているさなかに、安保法案の審議時間は既に110時間で記録が残る過去の法案審議の中では6番目の長さ、と題する放送を敢えてしたのは放送法が定めた政治的公平にもとる露骨な偏向報道と言っていっこうに差し支えない。

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反理性の類は友を呼ぶ~野次と威圧でしか言論に向き合えない危険でみじめな人間集団~

 201578

謝罪とはほど
遠い安倍首相の沖縄県民向け発言
 625日に開かれた自民党若手議員の勉強会「文化芸術懇話会」で、出席した議員や講師として招かれた百田尚樹・前NHK経営委員から、報道機関の言論の役割をわきまえない暴言や戦中・戦後の沖縄の土地収用・基地形成の史実を捻じ曲げて沖縄県民を侮辱する妄言が相次いだ。報道されたような低次元の発言が飛び交う会合が「文化芸術懇話会」と名付けられたのは悪い冗談と思える。

 安倍首相は7月3日の国会でようやく沖縄県民と国民に「謝罪」したが、その期に及んでも、「沖縄県民の皆さまの気持ちを傷つけたとすれば」という他人事のような仮定形を使った。
 また、「謝罪」の枕言葉として、「これまで沖縄県民の思いに寄り添って負担軽減や振興に力を尽くしてきた、わが党の努力を無にするかのごとき発言だ」という自画自賛をかぶせた。
 昨年の3度の選挙で明確に示された沖縄県民の基地ノーの民意を逆なでするかのように辺野古での新基地建設を「粛々と」進めている自からの行為をまるで顧みない欺瞞的言辞である。これでは心からの謝罪とは到底いえない。

低劣な品性の似合いの盟友たち
 
 上の勉強会に集まった自民党若手議員が安倍首相に近い議員たちであったことは衆目が一致している。また、講師として呼ばれた百田尚樹氏は政府推薦の国会同意人事でNHK経営委員に任命された人物として知られている。
 さらに安倍首相と百田氏は201312月に『日本よ、世界の真ん中で咲き誇れ』(ワック刊)と題する共著を出版したほどの親密な間柄である。

 しかし、一方の百田氏はNHK経営委員在任中の20142月に行われた東京都知事選のさなかに都内3カ所で田母神俊雄候補の応援演説に立ち、田母神氏以外の候補者を「人間のクズ」と罵倒した。
 2014524日、自民党岐阜県連で行った講演では「軍隊は家に例えると、防犯用の鍵である」と述べた後、軍隊を持たない南太平洋の島しょ国バヌアツ、ナウルなどを名指しして、これらの国は「家に例えるとくそ貧乏長屋で、泥棒も入らない」などと下品極まりない発言をした(同旨の発言を625日の勉強会でも繰り返したという報道がある)。

 このような人物を公共放送NHKの監督機関である経営委員会のメンバーに推薦し、共著まで出版した安倍首相の知性はいかほどかと問いたいところだ。
 が、国会で質問に立った議員に向かって、「早く質問しろよ」と野次を飛ばし、閣僚の政治資金の不明瞭さを質す野党議員に向かって「日教組はどうするんだ」などと、事実とも相反する野次を飛ばす安倍首相の姿をテレビの画面で見せつけられたことを思い浮かべると、反理性の低劣な品性の持ち主同士が親交を深めていると思えば納得できる。

「許すな! 言論弾圧」のチラシ
 
 私も共同代表の一人になっている「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」は、権力の威圧で異論や批判をねじ伏せようとする暴言に反撃し、そうした言動の危険性と安倍政権の反理性の体質を多くの人々に知らせる必要があると考え、「許すな! 言論弾圧発言」のチラシを作って、昨日(7日)から活用を始めた。

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佐古忠彦記者(TBS・Nスタ)の感銘深い語り ~沖縄慰霊の日のテレビ番組を視て(2)~

2015630

  一つ前の記事で紹介した623日、沖縄慰霊の日にちなんだTBSNスタ「「わが家は今も基地の中 証言あの日から70年」を視た感想記の続きである。
  
沖縄戦前、現在の普天間飛行場の北側一角に住んでいた新城信敏さん(86歳。当時16歳)を佐古忠彦記者が取材する場面が放送された後
、画面は、普天間飛行場を見渡す宜野湾市の嘉数高台、さらに慰霊の日の式典が行われた平和の礎に切り替わり、それぞれの地から佐古記者の語りが放送された。大変、感銘深い内容だったので聴きながら視聴メモを取った。それをもとに以下、書き出すことにする。(小見出しは私が付けたもの)


現在の抑止力にもつながる宜野湾村での戦禍の教訓
 「ここはかつての激戦地、嘉数高台。うしろに見える普天間基地の北側と南側では当時犠牲となった住民の方に大きな違いが出ていました。それを左右したのは日本軍の存在でした。」

   <ここでナレーションが挿入されたが省略する。>

 「教育は武器よりも怖い。この言葉は非常に重いと思いました。沖縄では琉球処分で日本に取り込まれてから徹底した皇民化教育が進められてきました。『沖縄にとって本土の日本人よりも立派な日本人であろうとしたのが沖縄戦だった。』この言葉はよく取材の中で出会う言葉です。
 
そして、ご覧いただいた宜野湾村では日本軍がいたかいないかで〔住民の生死が〕分かれたあのデータ。これは戦争が起きればいったい何が起きるのか、軍のそばにいる住民に何が起きるのかを実証しています。現在の抑止力にもつながるひとつの答えが沖縄戦にあるのではないでしょうか?」

「なぜ犠牲を食い止められなかったのか」を問うことこそ
  「よく“尊い犠牲のうえに今日がある”と言うんですけれども、確かにそういう部分もあるかも知れませんけれども、しかし、そこで思考が停止しているんではないかという気も時々するんですよね。なぜ、その犠牲を食い止めることができなかったのかという疑問はどうしても消えません。
 生きることを追い求めて、それでもそれがかなわないという孤独な状況の中で、いかに死ぬかという選択を迫られた人々が数多くいました。それは文字どおり、生死の境目だったわけですけれども、そんな選択を国民にさせることは二度とあってはなりません。

70
年前の出来事は昔話ではない
 70年前の出来事を考えることは決して昔話をしていることではないんだというふうに思います。取材で出会った80歳代後半の男性はこう言いました。『これから証言する人間が確実に減っていく。私自身もいなくなる。だから焦っているんです』という言葉でした。そこには、また、同じことが繰り返されるのではないかという、今のこの国を包む空気に対する焦燥感があるような気がしました。
 いつまでもこの国が戦後であり続けるために、この沖縄戦からくみ取るべきものはたくさんあります。それが70年後を生きる私たちの責任ではないでしょうか。」




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民放とNHKの番組の質の差を決めた課題着眼・報道意欲の落差~沖縄慰霊の日のテレビ番組を視て(1)~

2015626

沖縄戦と現在の基地問題の連続性を見事に描いたNスタ
 沖縄慰霊の日にちなんだテレビ番組が数多く放送された。その中で印象深かったのは民放の中で非常に良質と思えた番組があったことだ。それを逐一、紹介すると余りに長くなるので、一つだけ、TBSNスタ(朝5時~)の視聴ノートをもとにまとめたレポートを掲載することにした。
 特に、番組の最後で、佐古忠彦記者が平和の礎のそばに立って述べた語りは、「沖縄戦」と「現代の沖縄の基地問題」を連続的にとらえる視点、裏付けとなる史実をリアルに提供した言葉と思えた。
 そこで、佐古記者のスピーチ全文を原稿におこした。それを次の記事に掲載することにした。

 なお、佐古記者の語りの裏付けとなった新城信敏さんの証言の録画がTBSの次のサイトに掲載されている。証言者の生の声を聞くとリアリティが増してくる。

「沖縄戦が残した教訓、住民の生死を分けたのは」
 
TBS 2015623日、Nスタ ニューズアイ)
 
 http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2524193.html 

   ただし、番組では新城さんの証言以外に番組制作者((佐古記者ら)が今の普天間基地周辺の沖縄戦の戦中・戦後の状況を調査・取材して得た情報も放送された。
 この記事ではその要旨を紹介しながら、同じ日に放送されたNHKニュースウッチ9の放送内容との比較もしておきたい


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沖縄戦前、現在の普天間飛行場の北側一角に住んでいた新城信敏さん(86歳。当時16歳)を佐古忠彦記者が取材。
 194541日に沖縄本島に米軍が上陸した翌日、宜野湾村に住んでいた新城さんたち300人は湧き水があった自宅近くの壕(アラグスクガー)に避難。

 しかし、上陸してから4日後には、そこへ銃を構えた米兵が現われた。日頃から、教え込まれていた「女は強姦されて殺される。男は銃殺される」という言葉を信じない者はいなかったと新城信敏さんは言う。
 さらに、当時の日本軍は「生きて虜囚の辱めを受けず」とする戦陣訓を徹底。敵への投降を禁じていた。しかし、アラグスクガーには渡米経験のある住民がいてアメリカ兵と交渉し、「何も持たずに洞窟から出る」ことを条件に300人全員が捕虜となった。

地域住民の命をかえって危険にさらした日本軍の存在
 しかし、同じ普天間飛行場周辺といっても、新城さんたちが住んでいた北側とは逆の南側では日本軍が多くの陣地を構築し、アメリカ軍を迎え撃った。
 その結果、普天間飛行場の北側と南側では、犠牲となった住民の数に大きな違いが出た。それを左右したのは、日本軍の存在だった。

 今の普天間基地の北側の地域の戦没者率
   普天間12%  新城12%  喜友名13%  伊佐9
 今の普天間基地の南側の地域の戦没者率
   長田49%  志真志44%  我如古49%  佐真下47%  
   嘉敷48%  大謝名26% 

 戦没者率の高い南側の地域の住民は、日本軍のそばにいたため投降することも許されず、激しい戦闘に巻き込まれて多数の人々が命を落とした。
 一方、新城さんたちがいた北側は日本軍が既に後退した地域で、住民たちが冷静に集団投降できるケースが多く、早くからアメリカ軍の支配による戦後が訪れていた。
 しかし、投降後、2年間の収容所生活を終えて新城さんが、もとあった自分の家に戻ると、 生まれ育った家があった場所はアメリカ軍に接収され、普天間基地へと姿を変えていた。

教育は武器よりも怖い
 
 沖縄戦から70年経った今、何を思うかと尋ねられた新城さんはこう語った。「今、考えると悪夢ですよね。教育っていうのは一番恐ろしい。武器より怖いですよ。」

 相手軍への投降を禁じ、「生きて虜囚の辱めを受けず」
と教え込んだ「教育は武器よりも怖い」という新城さんの言葉を聴いて私は、「国策翼賛報道は武器よりも怖い」という言葉もありと思えた。

沖縄戦と現在の基地問題の連続性に踏み込まなかったNHK
 Nスタの番組は、慰霊の日にちなんだNHKのいくつかの番組がおおむね、「沖縄戦の悲劇」を回顧的に描き、どの番組も戦争体験をいかに引き継ぐかが課題というトーンに収斂し、「現代の沖縄の基地問題」との連続性に立ち入ることがなかったのと好対照だった。

 しかし、慰霊の日の式典で翁長知事は犠牲者への慰霊の言葉を述べて終わらず、
沖縄戦終結後の土地の強制収用から目下の辺野古基地問題を説きおこし、「辺野古が嫌なら代案を出せ」と求める政府の物言いの不条理を厳しく批判する言葉を平和宣言に盛り込んだ。高校生の知念さんは「今は平和でしょうか?」と沖縄の「今」を問いかけた。

 こうした発言を聴いて、沖縄戦の犠牲者の慰霊と目下の基地建設に反対する沖縄の民意は強く繋がっていることを思い知らされ、沖縄問題をめぐる報道の質は、課題設定(agenda setting)―――何に対して、どのような問いかけをするのか
―――で左右されると感じさせられた。

 Nスタが、現在の普天間基地の形成史に焦点を当てると同時に、沖縄戦当時、普天間基地周辺に住んでいた住民の間でも、日本兵がそばにいた地域かどうかで戦没率に大きな差があった事実に注目して、住民にとって軍隊は平和を維持する抑止力とは真逆の存在であるという教訓で番組を結んだのは、「課題着眼」の重要性を例証するものだった。

基地負担を「担ってきた」のではなく、「担わされてきた」のだ
 そのようなNHKの番組の中で、23日のニュースウオッチ9に登場した沖縄放送局の西銘記者(沖縄出身、記者歴22年)が、今の「基地問題は沖縄戦の延長線上にあるのです」、「沖縄戦と基地問題をトータルで考える必要があります」と懸命に語ったのが印象的だった。

 また、西銘記者は短い持ち時間の中で、「沖縄は基地負担を担ってきたのではなく、担わされてきたのです」と険しい表情で語たった。この一言は何を意味したか?
 私は、とっさに、その日の慰霊式典で安倍首相が「沖縄の人々には米軍基地の集中など安全保障上の負担を長きにわたって担っていただいています」と語った言葉を思い浮かべた。
 「すすんで担ったのではない。担わされたのだ」・・・・西銘記者は、沖縄県民を代表して、こう言い返えさずにはいられなかったのではないか。沖縄出身の放送人のせめてもの矜持かと思えた。

覆うべくもない「言葉の軽さ」
 しかし、それに続く河野キャスターの結びの語りは、「沖縄が背負ってきた基地負担をどうやってやわらげていくのか、日本全体で考えていくべき課題だと改 めて感じました」という定型文で終わった。言葉の「軽さ」、リアリティの希薄さは覆うべくもなかった。
 沖縄戦の悲劇を語り継ぐ必要性を説いた河野キャスター自身、慰霊の日に先立って、どれくらい、沖縄戦の体験者、遺族の生の声を聞き、住民が生死の境をさまよった戦跡を巡ったのだろう? 
 番組では、地元の高校生を相手に、沖縄戦の体験談をどれくらい聴いたか?とか、街中を歩く旅行者に、戦跡に出かける予定は?とマイクを向けていた。「新婚旅行なので戦争系はちょっと・・・」とか、「私たちはアレなので・・・」とかいった返しの言葉を拾っていたが、いかにもお手軽な「取材」である。

 調査・取材の密度、もしかしたら調査報道の意欲の差が、語りの質、ひいては沖縄慰霊の日にちなんだNHKと民放の番組の質の差を決めたよううに思えてならなかった。


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シンポジウム「沖縄 戦後70年:基地問題とジャーナリズム」のお知らせ

 2015624

 NHKの放送のあり方を考え、意見発信を続けている首都圏の4つの市民団体は、このたび、沖縄の基地問題と共同体論を研究されている明治大学政経学部教授の山内健治氏との共同で次のようなシンポジウムを企画し、準備を進めている。

  案内チラシ
 
 
http://sdaigo.cocolog-nifty.com/712sinpo_chirasi.pdf

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シンポジウム 「沖縄 戦後70年:基地問題とジャーナリズム」
7
12日(日)13時~1630
(開場1230分)
会場 明治大学(御茶ノ水)駿河台キャンパス
   グローバルフロント棟 グルーバルホール(1階)
   JR中央線・総武線/東京メトロ丸ノ内線 御茶ノ水駅下
        車、徒歩約3
   (地図はチラシの裏面をご覧下さい。)
●研究報告 山内健治(明治大学政経学部教授)
   “基地接収・返還に揺れた共同体――読谷村の事例から”
●パネル討論 “辺野古から考える日本のジャーナリズム”
   金平茂紀(TBSキャスター)
   影山あさ子(映画「圧殺の海」監督)
   宮城栄作(沖縄タイムス東京支社報道部長)
   司会 醍醐 聰(東京大学名誉教授)
   (パネリストの詳しいプロフィールはチラシの裏面をご覧
            下さい。)
●主催・会場責任者 山内健治
●協賛団体・賛同者(チラシの表面をご覧下さい。)
●資料代800円(学生400円)

 山内氏の報告は、今日の沖縄の基地問題の源流といえる、戦中・戦後の米軍による土地接収・基地形成の実態を実地調査された研究成果をスライドを交えて話されるものである。シネマ沖縄の好意により「あけもどろ」(読谷の沖縄闘争ドキュメント)も放映する予定。ぜひ、お聴きいただきたい。

 “辺野古から考える日本のジャーナリズム”と題したパネル討論は、辺野古基地建設の実態を現地でつぶさに観察された3人のパネリストに、基地建設の実像をリアルに語っていただくと同時に、本土のメディアの報道のあり方について、それぞれの視点から直言していただく。
 討論の後半30分ほどは参加者との質疑・討論を予定している。司会を務める私も内容の濃い、白熱した討論となるよう、準備をしたいと考えている。

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 昨日、623日の沖縄全戦没者追悼式において翁長雄志・沖縄県知事は「そもそも私たち県民の思いとは全く別に強制接収された『世界一危険』といわれる普天間飛行場の固定化は許されず、その危険性除去のため『辺野古に移設する。嫌なら沖縄が代替案を出しなさい』との考えは到底、県民には受け入れられるものではありません。国民の自由・平等・人権・民主主義が等しく保障されずして、平和の礎を築くことはできないのであります」と語った。
 今回のシンポジウムが翁長知事のこの言葉を咀嚼し、理解を深めるのに寄与することを願っている。


    チラシ 表面
712_2
   裏面
712_3


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