国民の自信と誇りを高めるオリンピック報道?~NHKの国策翼賛体質はここにも~

2016826

   一つ前の記事で掲載したNHK宛て「リオ・オリンピック報道について」の意見・質問に関して、珍しく約30分後(2016826日、1425分)に以下のような返信メールが届いた。全文を転載する。その後に私のコメントを記したので、併せてご覧いただけるとありがたい。


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醍醐聰 様

NHK
の番組をご視聴いただき、ありがとうございます。
お問い合わせの件についてご連絡いたします。

ご指摘のようにIOCによるオリンピック憲章では、IOC自身と組織委員会が国別ランキングを作成しないことをうたっておりますが、メディアによる報道は禁止しているわけではありません。
取材・編集権の侵害にあたるため、IOCもメディアによる報道までは禁止していません。NHKのリオオリンピック特設サイトにも国別のメダル獲得数一覧を掲載しておりますが、これについては、事前にIOCに申請し掲載の許可をもらっています。

また、「国威発揚」という表現は、解説委員がオリンピック開催の効果の一つとして、国民を元気にする、国民の自信と誇りを高めるといった意味で使いました。

視聴者の皆さまのご意見なども踏まえて、今後もより良い放送に努めてまいります。今後とも、NHKをご支援いただきますようお願いいたします。
お便りありがとうございました。

NHK
ふれあいセンター(放送)

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醍醐コメント

 

迅速に返答が届いたのは、それなりの「誠意」かと思わなくもないが、同じような意見が数多く寄せられたため、「定型的回答」が用意されていたのではないかと想像もした。

 「IOCによるオリンピック憲章では、IOC自身と組織委員会が国別ランキングを作成しないことをうたっておりますが、メディアによる報道は禁止しているわけではありません。取材・編集権の侵害にあたるため、IOCもメディアによる報道までは禁止
していません。」(NHK返答)

 NHKからこの種の見解――「取材・編集権」を根拠にして視聴者からの異議をさばく応答――に出会うたびに、NHK(メディア)の取材・報道の自由は何のためにあるのか、編集権は報道の倫理という自律をも超える無制約な自由なのかと考えさせられる。
 「自律」とは、他者(ここではIOC)が認めたか否か、法律に触れるか否かを超えた自立的規範のはずである。

 「国威発揚」という表現は、解説委員がオリンピック開催の効果の一つとして、国民を元気にする、国民の自信と誇りを高めるといった意味で使いました。」(NHK返答)

 言葉のあやとりのような言いくるめの返答である。
 オリンピック憲章で謳われたオリンピズムは、国威発揚のためでもなければ、開催都市への波及的経済効果のためでもない、被災者を励ますためでもない。参加する選手同士が日頃の努力の成果を競い合う場であり、それを通じて選手はもとより、関係者が国際的な友好・親善を広げ、深め合う場である。
 そもそも、
 *オリンピックを通じて高められる「国民の自信と誇り」とは、どのようなものなのか? 国威発揚、ナショナリズム鼓舞とどこが違うのか? 
 *オリンピックを通じて「国民の間に自信と誇り」を高めるのに肩入れするのは  メディアの使命なのか? 

 そう言えば、籾井会長は会長就任会見(2014126日)でこんな発言もしていた。

――スポーツ報道の展望は

 ロンドン五輪からスポーツに対する国民的な人気が高まってきていて、注目されなかったスポーツがどんどんでてきています。メディアのスポーツ放送に関する責任、役割は非常に大きいと思っています。国威発揚というと古めかしいが、奮い立たせる作用がある。スポーツ放送は極力積極的にやろうと思っています。」

 

 

籾井会長は、政治報道を通じてばかりでなく、スポーツ報道を通じても国策に肩入れするつもりらしい。
 しかし、オリンピックが
人々に感動と勇気を与えるとしたら、国ごとのメダル獲得数を国民に誇示することからではなく、女子バトミントン決勝で見られたような、選手同士が実力を出し尽くして、息詰まる熱戦を繰り広げること、
 韓国と北朝鮮の体操選手が自撮りで一緒に撮った笑顔の写真が世界中を駆けめぐって国境を超えた賞賛を得たこと、
 http://www.asahi.com/articles/ASJ8B43D0J8BUTIL01S.html?ref=yahoo (朝日デジタル、810日)
 女子5,000m予選で足がもつれて互に転倒したり負傷したりした米国とニュージーランドの選手が励まし合ってゴールした場面が世界中を駆けめぐって国境を超えた賞賛を得たこと、
 http://www.bbc.com/japanese/37103314 (BBC817日)
などではないか。
 あのようなシーンこそ、オリンピックでしか見られない「感動の場面」だろうと私は思う。




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オリンピックはお国のためにあるのではない ~NHKの報道について意見・質問を送信~

2016826
 
 さきほど、次のサイトからEメールでNHKに「リオ・オリンピック報道について」意見・質問を送った(制限字数400字)。
 http://www.nhk.or.jp/css/goiken/mail.html

  
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 リオ・オリンピック開催中のニュース7では連日、アナウンサーがその日の日本選手のプレイの模様を伝えたあと、「これまでの日本のメダル獲得数は〇です。これは〇〇に次いで〇番目です」と語りました。

 
821日の「おはよう日本」に登場した刈屋富士雄解説委員は、リオ・オリンピックを振り返った解説の中で、「五輪開催5つのメリット」として、国威発揚、国際的存在感、経済効果、都市開発、スポーツ文化の定着を挙げました。

 こうしたNHKの報道は、「オリンピック競技大会は、個人種目または団体種目での選手間の競争であり、国家間の競争ではない」(第16)、「IOCOCOGは国ごとの世界ランキングを作成してはならない」(第557項)と定めたオリンピック憲章に反していると考えます。NHKの見解をお聞かせ下さい。

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Photo

「オリンピック憲章」の英和訳表記版は次で閲覧できる。  

http://www.joc.or.jp/olympism/charter/pdf/olympiccharter2014.pdf#search=%27%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%94%E3%83%83%E3%82%AF%E6%86%B2%E7%AB%A0%27 

参考にした文献
小川勝『東京オリンピック 「問題」の核心は何か』集英社新書、20168


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次期NHK会長選への賛同署名に添えられたメッセージより(3)

2016823

 全国の19NHK視聴者団体は目下、連名で、「次期NHK会長選考にあたり、籾井現会長の再任に絶対反対し、推薦・公募制の採用を求める」署名運動に取り組んでいる。署名は用紙による集約とネット署名による集約を行っている。第一次集約は910日。皆様の賛同と呼びかけの拡散にご協力をいただけるとありがたい。

用紙による署名:署名用紙は次をダウンロ-ド
 
http://bit.ly/2aVfpfH 
ネット署名:署名の入力フォームは次をダウンロード 
 
https://goo.gl/forms/G43HP83SSgPIcFyO2  

ネット署名にはたくさんのメッセージが添えられている。そのすべてを、個人情報を伏せた上で、
 
https://goo.gl/GWGnYc 
に掲載している。直接、ご覧いただきたくのが一番であるが、そのなかから、いくつかを紹介しておきたい(3回目)。

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 「史上最悪の安倍首相と最低の籾井会長に迎合する番組ばかり見せつけられて、ほんとうにうんざりしている。そういう仕事ばかりしなければならない現場も気の毒だが、取材現場を直視すれば、視聴者を裏切ることはないと信じて、仕事をしてほしい。それを妨害する者とは断固闘え。私たちが応援する。」
(東京都/元NHKプロデュ-サー)

 「私の両親はNHK職員でした。父は戦争中、心ならずも戦意高揚の番組に関わらざるを得ませんでした。一度は番組サボタージュという形でささやかな抵抗を試みましたが、それを公にすることさえできなかったと後に知りました。
 そんな時代を二度と繰り返してはなりません。今も、心ならずも『大本営発表』
のようなニュースや報道番組に関わり、苦しんでいる報道人も少なくないと思います。籾井のような現政権の使い走りが最高責任者であり続けるのは、報道機関として自殺行為です。権力から独立した、真の公共放送として再生するため、NHK会長は国民からの推薦・公募制にすることを強く求めます。」
(東京都)

 「『不偏不党』を実行していない現会長の辞任を強く強く求めます。戦中にあった報道の自主規制にも似た有様と、『皆様のNHK』と言いつつ官邸ばかり見ている不公正な番組作りに憤怒の思いでいっぱいです。視聴者を洗脳していくつもりなのか。視聴者として捨て置けない。受信料は不当な搾取でしかありません。
 そうなったのも現会長が就任したからだと考えます。一刻も早く辞任してしかるべきです。正しい民主的な公共放送を求めます。」
(栃木県)

 「愛するこの国の衰亡と滅亡を阻止すべく、この署名運動に賛同し署名します。一例 オリンピックの意義5つ。国辱です。国家の品格をここまで貶めるとは!子ども達の教育に最悪、未だにNHKは最高と信じているお年寄りたちにもたらす影響も多大です。NHKさん、素晴らしい番組もたくさんあります。FMにはお世話になってます。日本の文化度をUPして、もちろん政治文化も、子ども達がスクスク育ち若者は希望を胸にお年寄りは安心して暮らせる、そんな日本を作っていきましょう!」
(北海道十勝市)

(醍醐注)
 文中の「オリンピックの意義5つ」というのは8月21日のNHK「おはよう日本」で刈谷富士雄・解説委員が「リオ五輪 成果と課題」というタイトルでリオ五輪をふり返った解説をした際に、「五輪開催5つのメリット」というパネルで次のようなメリットを挙げたことを指したものと思われる。

Photo

 「籾井の再選絶対反対。質の悪い報道界は世界に日本の恥を発信し続けている。日本のジャーナリズムよ民主主義と平和のために蘇れ!受信料不払いと、アベの顔が放映される瞬間チャンネルを変え、瞬間視聴率の低下で意思表示をしよう!!!」
(埼玉県)

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25        石巻被災者献花台 2016年4月28日撮影

 

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次期NHK会長選への賛同署名に添えられたメッセージより (2)

2016817

 全国の19NHK視聴者団体は811日から連名で、「次期NHK会長選考にあたり、籾井現会長の再任に絶対反対し、推薦・公募制の採用を求める」署名運動を始めた。署名は用紙による集約とネット署名による集約を行っている。第一次集約は910日。

用紙による署名:署名用紙は次をダウンロ-ド
 
http://bit.ly/2aVfpfH 
ネット署名:署名の入力フォームは次をダウンロード 
 
https://goo.gl/forms/G43HP83SSgPIcFyO2  

ネット署名にはたくさんのメッセージが添えられている。そのすべてを、個人情報を伏せた上で、
 
https://goo.gl/GWGnYc 
に掲載している。直接、ご覧いただきたくのが一番であるが、前回の記事に続き、そのなかから、いくつかを紹介しておきたい。

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 「現会長のNHKという公共放送の意義をないがしろにした発言の数々はとても看過できず、国際的に日本のメディアリテラシーの低下を発信する結果となっています。NHKの現場の職員の中には『トップを自分で選べない』と嘆きながらまじめに仕事をしている方がたくさんいると信じています。
 強制的に視聴料金を徴収する以上、視聴者の意見も取り入れるべきです。民間企業なら株主が株主総会で社長の責任を問えるのと同じと考えます。」
  (813、東京都)

 「日曜討論での発言時間の割振りが政権与党に最大化されている事は民放各社のその手の番組と比較して大変おかしい。小政党こそ発言時間を多く割くべきだ。民主主義を多数原理だという事になれば過ちを犯す体がそんな事は大NHKの事わかってやっていると理解する。公共放送の看板は偽りと言ってもおかしくないほど劣化している。先の参議院選挙放送で各党首の闘いを家族の支援を含めて紹介していたが安倍氏の選挙戦紹介が一番長く放送されて安倍夫人、お母さんとの台所での団欒、朝の夫を送り出す母親と奥さん場面などは明らかに普通の家庭の頑張るサラリーマン風景を演出していたがここまでやるのかと怒りを越して虚しく思ったものだ。
 テレビは一方的に企画されて放送される。社会の公器とも言われるマスメディアの代表格であり公共放送の看板を唱えるのであればその立ち位置は常に国民の立ち位置からの放送であるべきだ。放送法の歴史評価にキチッと立ち返ってもらわなければホントに大変な事になってきている事を認識してほしい。情報開示がこの国は世界でも70番代に安倍政権になってから著しいく国際評価が下がった事に国民の1人として大変危機感を感じているものです。」
  (814、新潟県)

 「所帯を持って50余年、まじめに受信料を支払ってきましたが、籾井新会長の就任時の妄言発言以降、NHKの報道姿勢の偏向には目に余るものがあります。番組について質問しても、個別の番組についてはコメントできませんの一点張りで、満足がいく回答は得られたことがありません。視聴者として出来得る抗議は受信料支払いを止めることしかないと考え、以降受信料支払いを拒否し続けています。
 日本の報道自由度ランキングは遂に世界72位まで落ちてしまったそうで、NHK の報道姿勢の偏向もかなり影響しているものと思われます。NHKの報道姿勢がおかしいと思っていても、問題意識なく受信料の支払いを続けていることは、その報道姿勢を是認していることになり、これが結果として民主主義を貶めていることに視聴者1人ひとりが気づかなければならないと思う。」

814、神奈川県)

 「NHK職員の中の良質なジャーナリズム精神を信じたい。その精神を支援したいので、視聴者国民として協力の署名をする。」
  (815、高知県)

   「籾井氏は、日本国における『従軍慰安婦』問題について、『どこの国にもあった』などと発言しています。また『政府が右というものを左と言うわけにはいかない』、『特定秘密保護法は、通っちゃったものはしょうがない』、『政府の正式なスタンスがまだ見えない』、『(村山談話は)今のところはいい。将来はわからない』などと、およそ政治からも、いかなる権力からも不偏不党をうたうNHKの会長職にある者の発言としては信じられない発言をしています。
 『政府が右というものを左と言えない』のであれば、また『政府の正式なスタンス』をいちいち忖度するのであれば、それらはNHKが単なる政府のプロパガンダ放送局であることを、自ら認めたのではありませんか? そのような政府の宣伝放送局でいることは、放送法(主として放送法第四条二項)に違反する行為であると考えられます。
 放送法を、NHKが守っていることを証明もしないで、また放送法をNHKが守らなかった場合の対応について明示せず、視聴者側の『責任』のみを、ことさらに『片務契約』であるかのように言うのであれば、中立公正であるべきNHKの本来的義務からして、いささか詐欺的と言わざるを得ません。『まずいことは隠して相手からお金を取ろう』というのは、まるで『特殊詐欺』と、していることは同じになってしまうと考えます。」
  (816、神奈川県)

Photo           宜野湾市嘉数高地にある青丘之塔(1971年建立)
      韓民族386柱の御霊を慰霊する塔 2016年6月22日撮影

Photo_3    青丘之塔の脇にある碑文(2016年6月22日撮影)
   この塔にねむれる人は とつくにの えにしぞ深き 
         みたまなりけり
   (とつくに:異国、外の国の意)




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敗戦の日に想い起こす原爆の詩歌

2016815

 815日になると私は自分が惹きつけられた詩歌を想い起す。そして、万言にも優る詩歌の力―――記憶を伝承する力―――を再認識させられる。中でも、年中行事的な神妙でお行儀のよい「平和への願い」よりも、言わず語りに戦禍のリアルを詠んだ詩歌に惹かれる。

 「許させ」と掌を合わせつつ救い呼ばふ人を見過ごし夫護りてゆく
                     (原田君枝/主婦)

 親呼びて叫びたらむか口開けしまま黒焦げし幼児の顔
                     (中 浄人/教員)

 生きの身を火にて焼かれし幾万の恨み広島の天にさまよふ
                     (小森正美/商業)

 濠内に妻を呼びつつ息絶ゆる鮮人の声しみて忘れず 
                     (名柄敏子/酒類商)

 原爆の責任裁判あって良し戦勝国の罪無しとは人道にあらず 
                     (小森正美/商業)

   (以上、『歌集 広島』1954年刊所収。ここでは家永三郎・小田
  切秀雄・黒古一夫編集『日本の原爆記録』17、『原爆歌集・句集 
  広島編』(栗原貞子・吉波曽死/新編、1991年、日本図書セン
  ター所収による)


 炎なかくぐりぬけきて川に浮く死骸に乗つかり夜の明けを待つ

 ズロースもつけず黒焦の人は女(をみな)か乳房たらして泣きわめ
 き行く

 武器持たぬ我等国民(くにたみ)大懺悔の心を持して深信に生きむ

 (以上、正田篠枝、私家版歌集『さんげ』より)


 黒焦げの女が壁にへばりつき悪獣めきし血を滴らす

 総懺悔などと美辞もつ過去がありて原爆死すら言へざりき日本 
                      小山誉美(短歌長崎)

 タイヤなきリヤカー曳きて暗闇に重傷(いたで)の兄を乗せて避難
 す
                      阿鼻叫喚 木下隆雄

 (以上、201091日に訪れた長崎県立図書館に配架されていた
  長崎歌人会編『原爆歌集ながさき』に収められた短歌より)


  何も彼も いやになりました
  原子野に屹立する巨大な平和像
  それはいい それはいいけれど
  そのお金で 何とかならなかったのかしら
   “石の像は食えぬし腹の足しにならぬ”
  さもしいといって下さいますな、
  原爆後十年をぎりぎりに生きる
  被災者の偽らざる心境です。
  (福田須磨子『『原子野』(1958年刊の冒頭に収められた詩)

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次期NHK会長選への賛同署名に添えられたメッセージより (1)

2016814

 全国の19NHK視聴者団体は811日から連名で、「次期NHK会長選考にあたり、籾井現会長の再任に絶対反対し、推薦・公募制の採用を求める」署名運動を始めた。 署名は用紙による集約とネット署名による集約を行っている。第一次集約は910日。

用紙による署名:署名用紙は次をダウンロ-ド
 http://bit.ly/2aVfpfH 
ネット署名:署名の入力フォームは次をダウンロード 
 https://goo.gl/forms/G43HP83SSgPIcFyO2  

ネット署名にはたくさんのメッセージが添えられている。そのすべてを、個人情報を伏せた上で、
 https://goo.gl/GWGnYc 
に掲載している。直接、ご覧いただきたくのが一番であるが、そのなかから、いくつかを紹介しておきたい。

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 「私は今視聴料⽀払い拒否をしています。度々の督促を拒否し続けるのはストレスですが、NHKを真の公共放送として私たちの⼿に取り戻すために、耐えていま
す。⺠主的な⼿続きで公共放送の⻑にふさわしい資質を持った⼈が会⻑に選出され、番組が正常化すればすぐにでも支払いますので、是非実現してください。」(東京都調布市) 

 
「籾井会
就任以降のNHKの政治報道の偏向度は悪化する⼀⽅で、いまや安倍政権の世論誘導の重要なツールとして、本の主主義破壊の先兵となっているとしか思えない。無恥無能で倫理観も如する籾井は、NHKとしての資質如であることは明らかで罷免しかないが、加えて現在のNHK経営委員会も浄能き、政権に阿る存在と化してしまった。籾井会の罷免に加え、報道の由を尊重する公正な物による経営委員会運営、さらに、外部検証機関による監視無くしては、NHKの更はなし得ないものと信ずる。」(東京都多摩市)

 「権⼒の監視こそマスメディアの⽣命線でしょう。まるで独裁者のような会⻑の⾔いなりの番組しか作らないのは放送⼈として恥以外の何ものでもないのではないですか?心ある職員はどうか内部で声を上げてください。さすがNHKと思わせる番組をどうかか作ってください。」(兵庫県芦屋市)

 「NHKは長年宣伝してきた『皆様の』放送局でなく、安倍首相のための放送局になって久しい。司法に訴えるぞ!と受信料不払い者を脅す前に、やるべき事をやればいいのです。ジャーナリズム逸脱の現状では払い支えることは公共的には 逆の行為だと思います。非常に残念です。」(神奈川県鎌倉市)

 「かつて花森安治は、TVの最悪番組を、NHKニュースと断じ、それでも公共放送であるなら、視聴料金を、払おうと『暮しの手帖』で述べました。今、NHKは完全に国営放送に成り下がっています。かつて、花森の下で働いたものとして、絶対許せません。」(香川県)

 「公共放送のレベルは国民のレベルを反映している? 視聴者なめるな!と言いたい。」(東京都港区)

 「NHKは、お茶の間の時間にはまともな報道はしませんが、ETVや深夜の時論公論などは、結構まともな報道もあります。我々はこのような、まともな報道をすべくがんばっている人たちを応援し、力をはっきできる環境を作るべささえたいと思います。」(京都府京都市)

 「恣意的な編集によるニュースなど見ていられませんし、政府が露骨に手を突っ込むような現状を看過出来ません。私達の受信料で成り立っているのにこくみんへの裏切り行為です。」(宮城県仙台市)

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次期NHK会長:籾井現会長の再任反対、推薦・公募制を求める署名運動、スタート

2016811

3
項目の要望署名運動、今日から
 NHK経営委員会は、来年1月に籾井勝人・現会長の任期が満了するのに伴い、目下、次期NHK会長の選考を進めている。

私が共同代表の1人になっている「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」は全国の18の視聴者団体と共同で、今日(811日)から、次の3つの項目を求める署名運動を始め、随時集計して経営委員会に提出することになった。

 1. 公共放送のトップとして不適格な籾井現会長を絶対に再任しない
  こと

 2. 放送法とそれに基づくNHKの存在意義を深く理解し、それを実現
  できる能力・見識のある人物を会長に選考すること

 3. 会長選考過程に視聴者・市民の意思を広く反映させるよう、会長
  候補の推薦・公募制を採用すること。そのための受付窓口を貴委
  員会内に設置すること

 特定秘密保護法案、安保関連法案、沖縄の基地問題、「従軍慰安婦」問題をめぐって、NHKの国策報道の体質があらわになった。特に、問題の核心を伝えないNHKの報道の不作為、自主自立の要というべき調査報道の劣化は、国民の知る権利に背き、民意の形成に少なからぬ悪影響を及ぼした。

 遠くない時期に改憲が政治課題に上ることが予想される今、NHKが権力監視機能をいかに果たすのかどうかは、わが国の民主主義の行方に甚大な影響を及ぼす。とりわけ、籾井氏のようにNHKをまるで政府の広報機関のように公言してはばからない人物がふたたびNHKのトップに就くような事態はあってはならない。

 多くのNHK視聴者の方々が、この署名に賛同下さるようお願いしたい。署名は用紙による集約とネット署名による集約の両方を行う。

用紙による署名
 署名用紙は次をダウンロ-ド
 http://bit.ly/2aVfpfH 

 署名用紙は下記へ直接郵送いただくか、署名用紙の末尾に記載された取扱団体へ届けて下さい。
 〒134-0083 江戸川中葛西五郵便局局留 視聴者コミュニティ
       渡邉 力 宛
   連絡先:E・メール kanjin21menso@yahoo.co.jp
               電話 070-4326-2199(10時~20時受付)

ネット署名
 署名の入力フォームは次をダウンロード
 https://goo.gl/forms/G43HP83SSgPIcFyO2  
 そこに書かれた注意事項をお確かめの上、送信下さい。メッセージも、ぜひ、お願いしたい。お送りいただいた署名とメッセージは個人情報を伏せた上で、
 https://goo.gl/GWGnYc

に掲載することになっている。他の賛同者の方々の名簿、メッセージ等もご覧いただき、署名の呼びかけとあわせ、拡散いただけるとありがたい。

用紙の署名簿には「メッセージ欄」がないが、「メッセージ」も送りたい!と思われる方は「用紙」と「ネット署名」両方出していただきたい。ただし、重複してカウントされないように「ネット署名」の「紙署名との重複」欄に必ずチェックをいれていただくよう、お願いしている。

署名の第一次集約

913日に定例の経営委員会が開かれ、その日に、経営委員会内に設けられた会長「指名部会」(全経営委員で構成)が開かれることから、署名の第一次集約は910日(土)とし、912日に第一次集約分を経営委員会に提出する予定にしている。

署名用紙の全文は次のとおり。  

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                      2016811
NHK
経営委員会 御中

   次期NHK会長選考にあたり、籾井現会長の再任に絶対反対し、
         推薦・公募制の採用を求めます 

    呼びかけ団体
      アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館
      (wam)NHKとメディアを語ろう・福島/NHK問題大
      阪連絡会/NHK問題京都連絡会/NHK問題とメディアを
      考える茨城の会/NHK問題を考える岡山の会/NHK
      題を考える会・さいたま/NHK問題を考える堺の会/
      NHK問題を考える滋賀連絡会/NHK問題を考える奈良の
      会/NHK問題を考える会・兵庫/NHKを憂える運動セン
      ター・京都/NHKを考える東海の会/NHKを監視・激励
      する視聴者コミュニティ/政府から独立したNHKをめざ
      す広島の会/「戦争と女性への暴力」リサーチ・アクシ
      ョンセンター(VAWW RAC)/時を見つめる会/放送
      を語る会/籾井さん!NHK会長やめはったら受信料払い
      ます京都の会

  来年1月に籾井現会長の任期が満了するのに伴い、貴委員会は目下、次期NHK会長の選考を進めておられます。
 私たちは、放送法の精神に即して、NHKのジャーナリズム機能と文化的役割について高い見識を持ち、政治権力からの自主・自立を貫ける人物がNHK会長に選任されることを強く望んでいます。
 籾井現会長は、就任以来、「国際放送については政府が右ということを左とは言えない」、「慰安婦問題は政府の方針を見極めないとNHKのスタンスは決まらない」、「原発報道はむやみに不安をあおらないよう、公式発表をベースに」など、NHKをまるで政府の広報機関とみなすかのような暴言を繰り返し、視聴者の厳しい批判を浴びてきました。このような考えを持つ人物は、政府から自立し、不偏不党の精神を貫くべき公共放送のトップにはまったくふさわしくありません。

 次期会長選考にあたっては、視聴者の意思を反映させる、透明な手続きの下で、ジャーナリズム精神を備え、政治権力に毅然と対峙できる人物が選任されるよう、貴委員会に対し、以下のことを強く要望いたします。

 1. 公共放送のトップとして不適格な籾井現会長を絶対に再任しない
  こと
 2.  放送法とそれに基づくNHKの存在意義を深く理解し、それを実
  現できる能力・見識のある人物を会長に選考すること
 3. 会長選考過程に視聴者・市民の意思を広く反映させるよう、会長
  候補の推薦・公募制を採用すること。そのための受付窓口を貴委
  員会内に設置すること


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映像で知った演劇人のむごたらしい被爆死 ~被爆71年 桜隊原爆忌に参加して~

201687
 
 昨日、目黒の五百羅漢寺で開かれた「被爆71 桜隊原爆忌」に参加した。朝から、この夏一番と思える夏の日射しがきつかった。私は3回目の参加だが、今年は連れ合いと一緒に出掛けた。

被爆71年 桜隊原爆忌 原爆殉難者追悼会
http://www.photo-make.jp/hm_4/sakura_53.html

移動劇団「桜隊」を知っていますか?
 「桜隊原爆忌の会」のHPに掲載されている説明文をそのまま引用させてもらう。

 「移動演劇隊『桜隊』は、194586日、広島県内を巡演中に爆心地から750mの宿舎で被爆し、居合わせた9名全員の命を奪われました。
 メンバーには、存命であれば戦後の演劇界を大きく変えたであろうといわれる、名優丸山定夫。元宝塚スターで「映画無法松の一生」で全国のファンを魅了した園井恵子。裸体にシーツをまとい避難列車で帰郷し、東大病院へ入院し原爆症一号患者として亡くなった仲みどりなどがいます。・・・・・
 戦後、徳川夢声氏の呼びかけで、多くの関係者の協力により目黒の五百羅漢寺に『桜隊原爆殉難碑』が建立され、今日まで毎年86日に「移動演劇・桜隊原爆忌」として追悼会を催しております。」

 「桜隊原爆忌」の第1回は19751019日。参加者52名。1981年以降、毎年86日と定着したという。
 
9名全員が命を奪われたというが、約半数が宿舎でほぼ即死と見られ、生き延びた人々のその後の消息はバラバラだった。

初めて見た映画「さくら隊散る」
 今年の「桜隊原爆忌」の特徴は、碑前祭のあと、桜隊の記録映画「さくら隊散る」(新藤兼人監督、1988年作品)が上映されたことだった。生き延びた丸山定夫、園井恵子、高山象三、仲みどりの被爆後の消息と最期の姿を再現するとともに、彼らにゆかりの人々の生前の証言が随所に織り込まれ、緊迫感がみなぎる作品だった。
 丸山定夫の名優ぶりと剛毅な中にも繊細な人柄を語った千田是也、滝沢修ら、園井恵子の魅力を語る宝塚歌劇団の同僚、2ヶ月後に結婚しようという言葉を残して高山象三と別れたという当時の恋人、遠路上京して母の実家に着いた仲みどりを診察した東京帝国大学の医師・医学生などの証言は誠に生々しく、貴重な原爆受難記録にもなっていた。

 また、長椅子に横たわった宇野重吉が戦時中、大政翼賛会文化部に呼び出され、国策への忠誠を誓う誓約書に署名をさせられた屈辱を何度も語る姿が痛々しくも、表情に悔しさがにじみ出ていた。と同時に、そうした戦時中の屈辱的体験について、今なお口をつむぐ文化人がいかにおびただしいことかと想像もした。

軽薄で欺瞞的な「未来志向」
 それにしても、映画を見終えて脳裏に刻まれたのは、丸山定夫、高山象三、園井恵子、仲みどりの最期の姿の共通性である。日を追うごとに髪の毛がごそっと抜け落ち、布団、ベッドの上で水を求めてのたうちまわる姿、吐血とともに息を引き取る姿・・・・どれも被爆死のむごたらしさを赤裸々に伝えるシーンだった。

 こうしたシーンをみて私は、オバマ大統領の広島訪問を実現するための譲歩かのように「広島の被爆者は謝罪を求めない」という物言いが広まったことを思い起こした。しかし、それが被爆者の今となってはの一面の心情ではあっても、本心であろうはずがない、いわんや、無念の死を強制された被爆者の本意を代弁するかのように語り広めるのは死者に対する冒涜であるという思いを再認識した。

 核なき世界を求める未来志向? 自らが犯した人道に対する罪と向き合わず、不都合な過去から顔をそむけて何が未来志向か!
 むごたらしい被爆死、無念の被爆死のリアルな実態を直視し、そこからこみ上げる恨み、憤怒に突き動かされ、それらを昇華した平和へのエネルギーこそ、この先、1人の被爆者も生まないための運動に向かう本物の未来志向ではないのか? 過去と未来を身勝手に切り分けるな!

 貴重な記録映画を残した関係者、桜隊の被爆死を慰霊し、その実相を伝える活動に務めておられる方々の尽力に深い敬意を覚えた。

 慰霊忌のあと、連れ合いは、偶然、会場で出会った元職場の友人とお茶を飲みながら話をするというので、私は一足先に帰路についた。余りの暑さに、2時間足らずかけて帰宅すると、すぐに冷えた「プラム」をかじって一息ついた。


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都知事選(最終回):敗因を外に求め、自省できない革新に未来はない

 

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【追伸】(201684日)

 この記事に寄せられた2件のコメントと、それぞれに対する私の短い応答コメントを以下に追記する。 

 

 「『文春』『新潮』などの「女性問題」報道で鳥越氏側は「疑惑」を「事実無根」と主張するだけで、「何が事実無根なのか」という点について説明も反論も一切、最後までしませんでした。だから、人権派弁護士を標ぼうする宇都宮健児氏が、鳥越氏が説明責任を果たさなかったことを理由にして応援演説拒否したこともあながち批判できないでしょう。 そんな鳥越陣営では、法曹人としてとても支持できないということでしょうからね。
 (ただし、宇都宮氏も「女性とその関係者の証言まで否定することは、被害女性に対するさらなる人権侵害となる可能性があります。」などと暢気でお人善しなことを言って「被害者」側の言い分を鵜呑みにしている点では問題があると思います。
 つまり、この件は、「被害」を主張する側のデマ・妄想の類い(痴漢冤罪・セクハラ冤罪類型)なのか、男女双方合意の上での不倫的不適切行為に女性の事後翻意や「告発」男性の嫉妬が加わったものなのか、セクハラや強制わいせつに類する正真正銘の犯罪的行為だったのかについて、何も立証されていませんから)
 こういう事が起きるのも、候補者選考過程が相変わらずボス交渉的で透明・民主的と言えないからでしょう。「出たい人より出したい人」を国民的に選ぶ方法が未熟なのです。そしてそういう状況を克服するためには、批判や総括だけでなく、リベラルや反アベ陣営、左派勢力全体の地力(企画・実践力)をもっと鍛え上げてゆくことが必要なのだと思います。 言うは易し行うは難しですから。」(通りがかり1号)

 「通りがかり1号さん
 『この件は、「被害」を主張する側のデマ・妄想の類い(痴漢冤罪・セクハラ冤罪類型)なのか、男女双方合意の上での不倫的不適切行為に女性の事後翻意や「告発」男性の嫉妬が加わったものなのか、セクハラや強制わいせつに類する正真正銘の犯罪的行為だったのかについて、何も立証されていません』というご意見に同感です。
 『批判や総括だけでなく、リベラルや反アベ陣営、左派勢力全体の地力(企画・実践力)をもっと鍛え上げてゆくことが必要なのだと思います』というご意見にも同感です。
 一つ前の記事で書きましたが、リベラル革新は、上層での「共闘」に活路を求めるだけでなく、共闘の力を実のものとするためにも、異論とも対話できる政治的力量を培う努力が求められていると思います。」(醍醐) 

 

 「今回の都知事選では野党も市民団体も著名文化人たちも進歩的ジャーナリストも人権派弁護士も、すっかり馬脚をあらわしてしまいましたね。オマケが弘中弁護士を間に挟んだ鳥越・宇都宮間の確執再燃だったので、泣くべきか笑うべきか、すっかり呆けさせられてしまいました。 藤澤先生が介入参戦しなかったのがせめてもの救いだったかな???(笑)
 それにしても、日本の野党や市民団体の幹部、著名文化人、メディア、法曹界って、本当に劣化してるんですね。正論や正着の提案がどこからも聞こえて来ませんでした。せめて、故・加藤周一氏ぐらいの人物を探し出して担げなかったのかな?
今の日本って、そんなに人材難なのでしょうかね?」(通行人1号)

 「通行人1号さん
 『それにしても、日本の野党や市民団体の幹部、著名文化人、メディア、法曹界って、本当に劣化してるんですね。正論や正着の提案がどこからも聞こえて来ませんでした。』
 私も同じような思いで、この記事を書きました。特に、鳥越さんを応援した文化人、研究者の弁舌を見て、政党・党派、ひいては政治からの知識人の「中立」ということと、それらからの「自律」ということの意味の違い熟慮する必要を痛感しています。」(醍醐)

 

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得票数でも得票率でも大幅に後退した革新
 告示の時点では3候補の接戦と予想された都知事選は終わってみると小池百合子氏が次点の増田寛也氏に120万票の差をつけ、3位の鳥越俊太郎氏にはダブルスコア強の得票を得て当選した。今回の開票結果を前回(201429日投票)と比べると、次のとおりである。

今回開票結果(得票率) 投票率
 ①小池百合子   2,912,62644.5%)
 ②増田寛也    1,793,45327.4%)
 ③鳥越俊太郎   1,346,10320.6%)
      ①+②=4,706,08171.9%) 

前回開票結果(得票率)
 ④舛添要一    2,112,97942.9%)
 ⑤宇都宮健児    982,59519.9%)
 ⑥細川護煕      956,06319.4%)
      ⑤+⑥=1,938,65839.3%)

 これを見ると、今回、保守系候補者は前回と比べ、得票率を32.6%も伸ばしている。また、投票率が13.59%も上昇し、2名が立候補したこともあるが得票数を259万票も伸ばしている。
 これに対し、リベラル革新系は前回と比べ、得票率を18.7%減らし、投票率が大きく上昇したにもかかわらず、得票数を59万票も減らしている。
 こうしたデータを見ると、当落もさることながら、リベラル革新の大幅な退潮は覆うべくもない。

問われる敗因分析
 選挙が終わった今の時点での注目点はリベラル革新がこうした結果をどのように総括するのかである。というのも、近年、リベラル革新は選挙に敗北した場合、その原因を反対陣営からの卑劣な攻撃とか、メディアの不公正な報道など外部に向ける場合が多かった。内部に向ける場合でも選挙戦術の不備など技術的問題に向けることが多かった。さらに言うと、特定の成果(特定の地域での当選や得票率の伸びなど)に焦点を当てて、後退、低迷という大局的事実を直視しない場合が少なくなかった。

 NHK問題に関わっている筆者は、メディアの報道のあり方が有権者の投票行動に及ぼす影響に大きな関心を持っている。しかし、敗因を報道のあり方に転嫁するだけでよいはずはない。
 今回はどうか? 正式には、鳥越俊太郎氏を支持し応援したリベラル革新政党が発表する選挙総括を待たなければならないが、選挙期間中に現れた鳥越陣営の争点設定、選挙戦略から、選挙総括の「予兆」が窺える。また、予兆ではなく、選挙戦終盤では、宇都宮健児氏が女性問題を挙げて鳥越氏への応援を断ったことを恨み節のように咎め、そこへ敗因の一部を転嫁するキャンペーンが出回った。
 しかし、のちほど触れるが、事実とすれば「女性の人権問題」に発展する週刊誌記事について、納得のいく説明が得られなかったことを理由に宇都宮氏が鳥越氏支援を留保したことには相当の理由がある。それを指して、革新の大義に背く「利己的行動」と非難するのは乱暴である。

国政上の課題を無造作に都知事選で争点化したのは愚策
 最大の問題は、鳥越陣営が、反安保、反改憲を前面に押し出し、終盤戦では反原発も加えた国政上の課題を争点化したこと、参議院選で一定の成果を収めた野党共闘体制を継承し、それに弾みをつける場として都知事選を位置づけたことである。
 たとえば、反原発でいうと、鳥越陣営は小池氏の13年前の発言を引いて「核武装容認論者」と批判、増田氏については、告示直前まで東京電力の社外取締役に就任していた事実を挙げて、原発(原子力)推進・容認論者と批判した。その一方、鳥越氏は非核都市宣言、250km圏以内の原発の廃炉を求めることを公約に掲げ、小池、増田両氏との違いをアピールした。

 野党共闘の枠組みを重視する選挙戦略については、開票結果後も小池晃・共産党書記局長が次のように発言していることからも明らかである。  
 「共産党の小池書記局長は、鳥越氏の選挙事務所で記者団に対し、『選挙で勝利できなかったものの、首都東京で野党4党の共闘が実現したことは歴史的な意義がある。突発的な選挙であり、どの候補も準備不足はあった。今後も野党4党の共闘を大いに進めていきたい』と述べました。」(NHKニュース 731 2311分) 

 このように国政上の課題を都知事選で争点化しようとした鳥越氏の選挙戦略については小池、増田陣営からばかりでなく、評論家や都民の間からも強い疑問、違和感が出た。筆者もその一人である。
 鳥越氏を応援した革新政党の幹部は応援演説のなかで「憲法は都政に関係ないという人がいるがとんでもない」と力説した。しかし、そんな雑駁な主張が都民の共感も支持も得るはずがない。都知事選で憲法(平和、人権)を取り上げるのなら、横田基地へのオスプレイ配備の問題、国旗・国歌強制の問題など、都民の生活や環境、教育・人権に関わる問題に具体化した公約を掲げるのが道理である。

 非核都市宣言についていうと、今年の623日現在で、都道府県レベルでは41が宣言している中で東京都はこれに含まれていない。その意味では首都東京で非核都市宣言を行う意義は認められる。しかし、東京都下でいうと23区すべて、25の市、2町、2村がすでに宣言している。また、非核の実現にとっては、宣言もさることながら、具体的な場面での対応が問われる。したがって、たんに非核都市宣言を掲げ、争点化するだけでは都民の支持・共感にはつながらない。まして、野党共闘の継続は少規模野党の死活的な選挙戦術ではあっても、都民に向けて訴える公約なり争点となるものでは、もともとない。
 都知事としてできることは限られる「原発廃炉」が、ある日の演説会場で鳥越氏の口から飛び出したのも、あまりに唐突である。しかも、廃炉といっても東京電力に申し入れをするに過ぎず、「公約」と呼べるほどのものではない。公約というなら、福井の高浜原発の再稼働をめぐって京都府知事が求めたような、再稼働の同意権を持つ「地元自治体」の範囲の拡大を政府や原子力規制委員会あるいは電力会社に要請する、あるいは全国知事会で議題とするよう提起するなど、地に足の着いた公約を掲げるのが自治体首長選挙でのあるべき姿である。

ゴロ合わせで無内容な「よし!」の増産
 では、都政上の公約はどうであったかというと、あまりにずさんというのが筆者の感想である。これは準備不足という釈明で済む問題ではなく、都知事選に臨む鳥越陣営(候補者本人と支持政党・市民団体、鳥越氏を応援した学者・文化人)の姿勢、思考様式に関わる問題だと筆者は考えている。詳しく説明し出すと長くなるので、鳥越氏が掲げた「○○によし!」というスローガンを取り上げたい。
 当初、鳥越氏は「住んでよし」「働いてよし」「環境によし」という3つの「よし」を公約(?)に掲げた。しかし、しばらくして「学んでよし」が加わった。さらに投票日の34日前になって、女性支持者が「女性によし!」というポスターを掲げて街頭に立つ姿が目立つようになった。そこで、このようなポスターのいわれを調べようとネットを検索していると次のような記事が目にとまった。

「鳥越俊太郎の新スローガン 『女性によし!』が自虐ネタだと話題に」
http://netgeek.biz/archives/79483
                              

 上のネット記事は、当該ポスターを掲げて鳥越氏を応援した人たちからすれば、タイトルからして、心ない揶揄と受け取られるだろう。「自虐ネタ」とは確かに茶化し言葉だ。しかし、記事を読んでいくと次のような批評があった。  

 「選挙戦略があまりにも稚拙すぎて呆れてしまう。女性によしとは具体的にどのような状態を指し、そこに向けてどのような政策を考えているのか。『男性によし!』はなぜないのか。スローガンの追加はなぜ思いついたようにこのタイミングだったのか。色々と聞いてみたい気もする。」

 私は、いたく同感した。特に、「女性によしとは具体的にどのような状態を指し、そこに向けてどのような政策を考えているのか」という指摘は、このスローガンの無内容さをずばり突いている。また、上のような指摘は、その他の「よし」の無内容さも突いている
 また、「スローガンの追加はなぜ思いついたようにこのタイミングだったのか」という問いも、まっとうである。多くの女性議員や文化人らがともども、「女性によし!」ポスターを掲げて鳥越氏の応援に駆け付けるようになったのは、週刊文春、週刊新潮が選挙期間中を見計らったかのように鳥越氏の女性問題を取り上げた記事を掲載したことが背景にあると想像されてもおかしくはない。端的にいえば、週刊誌記事の影響で女性票が離れるのを食い止めるよう、同じ女性が鳥越氏を支持していることをアピールするための応援活動と受け取られても不思議ではない。
 なぜ、ある時から急に「女性によし!」が登場したのか? その中身は何なのか? 私も知りたいと思う。

 週刊誌の記事が事実無根というなら、鳥越氏自身が、余人を以ては代えがたい事情説明をするほかない。選挙妨害の意図が明らかな「謀略」に乗らず、選挙活動に専念するという説明に道理があるかに思える。しかし「デマ」、「謀略」と非難するだけで都民は納得するのか? そのように断定するにはそれ相応の説明が必要だ。
 7月28日放送のフジテレビ「直撃LIVE グッドデイ!」に出演した鳥越氏は、司会者の質問に答えて、問題の女性の現在の夫と3人で会ったことを認め、夫が話しかけた内容の一端も紹介した。そのように出演したテレビで聴かれて断片的に「事実」の一端を話すのなら、自ら、都民が事実無根と信じるに足る程度の説明があってしかるべきだ。

 無いものを説明するのは「悪魔の証明」だと鳥越氏は言った。しかし、自らがテレビで上記のように語った以上、どこまでは事実で、どこからは事実でないのかを説明しないと都民の理解が得らないのではないか。敗北が決まった後で、週刊誌の記事の影響がなかったとはいえないと発言するのなら、選挙期間中に影響を払しょくするための努力をするのが道理である。
 そのような努力をせず、女性支持者を前面に立て、意味不明のポスターを掲げ、女性票をつなぎとめようとしていると受け取られかねないような選挙活動を展開したのは、いかがなものか? 

都民目線とかけ離れた政治センスでは再生は望むべくもない
 リベラル革新を自認するなら、意味不明のイメージ宣伝ではなく、具体的な中身の充実した政策を掲げて選挙戦に臨むのが当たり前である。たとえば、「待機ゼロ」というなら、現状で待機児童はどれくらいなのか実態を把握するのが大前提である。行政発表で「隠れた待機児童」が後から明らかになるのでは、財源、人員、施設確保の裏付けなり、積算なりがずさんな公約だったことが露呈したのも同然である。

 このように都政に関わる公約をずさんなままにして、国政上の課題を、これまた、粗いスローガンで争点化したのでは、都民の支持・共感を得られないばかりか、反発を買うのも当然である。
 このような冷静な敗因分析を飛ばして、今回の都知事選を野党共闘の成功例と自賛するような都民目線とかけ離れた政治センスでは、リベラル革新の再生は望むべくもない。

 

 

 

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都知事選:自省なくして革新候補への支持は広がらない(2)

2016727

「眼高手低」あるいは当選あっての理想?
 「だったら、人気もある候補者で勝つしかないじゃないか」というつもりはありません。しかし、「政策の現実味に根拠を!」という政策に対する〈ご意見番的存在の要求に応え〉つつ、〈少なからず存在する、政策を吟味できない有権者からの支持〉も得ることが、自民党やおおさか維新の議員が当選してしまう現在では、必要なのだと思います。

 憲法学者の長谷部恭男早大教授が、「一般市民が、憲法や立憲主義について意識したり、声高に叫ばなければならない状況というのは、悲惨な状況だ」といったようなことを発言されたようです。
 政策の根拠や現実性についてのチェックは、醍醐先生のような学者の方々が冶金して整えて、そして、その苦労を知らない私たちの前に、政策や公約として提示されるのが本筋なのでしょう。

 「理想は高いものの実力が伴わないこと」をいう「眼高手低」という言葉があります。〈眼高〉は〈先生がた〉で、〈手低〉は〈私たち庶民〉です。しかし、これは、〈眼高〉と〈手低〉との間に《乖離がある》とか、〈眼高〉に〈手低〉が《追いつかない》と言いたい訳ではありません。〈眼高〉は〈手低〉を「理想的な方向に導くべく引き上げてくれる存在」という意味で、この言葉を、いま引きました。

 <醍醐:私は持論として、「有識者」という言葉は好みません。「専門家」は真空では難しい議論をしますが、実際に起こった問題の処方箋を訊かれると、ありきたりの話でお茶を濁す場合が少なくないと感じています。
 たとえば、NHK問題に関わる中で放送法第4条の解釈が問題になる時、専攻学者の解説書を読んだり、彼らと議論をしたりしても、問題になっている論点、たとえば、放送法第4条に掲げられた「政治的公平」と「多角的論点の提示」はどのような関係にあるのか、について明快な説明になかなか巡り合えません。
 「専門知」が「実践知」と乖離して社会的影響力を持たない現実、「実践知」が論理的思考で冶金されず、制度論や政策論の場で俎上に乗せられない現実、これら両極に分化しているのが大きな問題ではないかと感じています。>

 ぼくは、過去4年間ほど、ずっとTPPの危険性を知ってもらうべく、何千枚も、自費でコピーしてポスティングしてきました。また参院選でも、職場の周囲に、政治の話題や危険性の話題を出して、バカにされてきました。バカにされるのと孤立することは、覚悟の上で、政治の話を周囲にふってきた立場として、先生の立ち位置と視点は〈眼高〉だと思います。でも、世の中に〈眼高〉がいないと、私たちは盲目になってしまいます。しかし、有権者全体の割合で、先生のような方は、多くないと思います。

反小池キャンペーンの前にやるべきことがある
 <醍醐:「原理的立場」と「実践的処方」の葛藤という点で今、私が考えているのは、両者の溝をつなぐ運動論は何かということです。私の今の発想は、大学生の間でさえ、政治の話を持ち出すとアウェイの状況を味わうという現実、地域でも政治の話をし出すと周りが引いてしまうといった現実を変えていく地味な根っこからの苦労をしないと、政治を変える確かな地盤は根付かないのではないかということです。
 野党共闘は、おっしゃるとおり、自力では多数与党に立ち打ちできないという少数野党の危機感の産物といえると思います。そして個々の一人区で足し算で成果を収めたことも事実です。しかし、それでも全国的には与党改憲勢力に初めて3分の2を超える議席獲得を許した現実を直視しないわけにはいきません。
 そのような選挙結果を踏まえて言えば、個々の選挙区の足し算を超えた、野党それぞれの支持率の底上げを果たす以外、政治の革新は望めない気がします。そして、その底上げのためには、社会の隅々で政治を自分の言葉で語り合う風潮、特に異なる意見と冷静に向き合い、対話する機会を育み、大切にする努力が欠かせないと痛感しています。

 「アベ政治は許さない」と仲間内で唱和するよりも、なぜ有権者は改憲政党に3分の2を超える議席を与えたのか(小選挙区制の問題はありますが)、いろいろ批判される小池百合子候補がそれでも優勢と言う状況がなぜ生まれているのか、彼女の危険な右翼的体質を都民が見抜いていないことが主な理由なのか、一本化したはずの野党統一候補が2人の保守候補のあとを追うという展開になっているのはなぜなのか------都民の政治意識と向き合った政治活動という意味では、こうした点を自問し、冷静に考えることの方が、小池百合子候補の右翼的体質を暴露することに執心するよりも重要だ、と言うのが私の感想です。>

 「今回のような対立の図式は、中央の選挙結果」への反動なのは、それだけ危機的状況で地盤沈下が起こっているからだ、と拝察し、生意気ながら申し上げます。
 どのようにしてTPP批准を阻止できるか惑いつつ、心細くなっているくせに、長々と書かせてもらいました。
 どうぞ、これからも宜しくお願いいたします。

「アベ依存症から脱却せよ」~浅羽通明さんの論説に触発されて~
 <醍醐:いただいたコメントと私が今、思案している問題とが重なる地点で、考えるヒントにしたいと思っている論説を一つだけ、紹介させてもらいます。抜き書きは私が共感した箇所です。

 「(耕論)瀬戸際のリベラル 浅羽通明さん、五野井郁夫さん」
 (「朝日新聞」2016716日)
 
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12462723.html?rm=150 

 まず敗北直視し絶望せよ 浅羽通明さん(著述業)
 「すべて「安倍」を前提にしないと何も打ち出せない「アベ依存症」です。ライバルだけ見ているから、国民=顧客が何を望んでいるのかがさらに見えなくなってゆく。」
 「思えば明治の昔から、日本のリベラル勢力は、有権者と向き合った等身大のところからビジョンや政策を立ち上がらせる姿勢に乏しい。ボトムアップが少なすぎる。」
 「超長期構想と地道な地盤作り。そのためにはまず、リベラル野党が、とことん絶望する必要があります。それなのに民進党の岡田克也代表は『3年前と比べると、よくぞここまでという気持ちもある』などと、敗北を全く直視せず現実逃避している。他人から見たら体形なんて変わらないのに、『ダイエットで3キロやせた!』とはしゃぐ人みたい。まずこの甘えぶりに絶望してほしいですね。」
(聞き手・尾沢智史)>

 

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