「森友・加計問題を考えるシンポジウム」開催のお知らせ

2017521

(追記)
 このシンポジウムの会場の収容人員は300人です。入場者が300人に達したら、受付を終えます。玄関ロビーでの入館証渡しは14時からですが、早めにお出かけください。


 517日から「安倍昭恵氏ほかの国会証人喚問を求める署名」を呼びかけた各界の有志は、このたび、「森友問題の幕引きを許さない市民の会」を作り、次のようなシンポジウムを開くことになった。

      「森友・加計問題を考えるシンポジウム」

    日時:2017年6月13日、14時30分~
    (14時から玄関ロビーでスタッフが入館証渡し開始)
    会場:衆議院第一議員会館 大会議室(地下1)
   パネリスト
    小川敏夫(民進党参議院議員)
    宮本岳志(日本共産党衆議院議員)
    杉浦ひとみ(弁護士)
    青木 理(ジャーナリスト)
   コーディネーター
    醍醐 聰(東京大学名誉教授)

613


 シンポジウムの広報用チラシ
http://sdaigo.cocolog-nifty.com/moritomo_kake_sinpo_chirasi20170613.pdf

「森友問題の幕引きを許さない市民の会」のHP
http://sinkan.cocolog-nifty.com/blog/2017/05/post-7be4.html

会への問い合わせ
 E
メール:moritomosimn@yahoo.co.jp
 電話:070-4326-219910時~20時)

 安倍昭恵氏ほかの国会証人喚問を求める署名
 署名用紙のダウンロード:http://bit.ly/2qkwucT
 ネット署名のフォーム:http://bit.ly/2rdgyXe 
 ネット署名/メッセージの集約状況の閲覧サイト
            http://bit.ly/2r68HhH 



| | コメント (1)

安倍昭恵氏らの証人喚問を求める署名運動、今日からスタート

2017517

  政府・与党は安倍夫妻が疑惑の中心にいる森友学園問題の幕引きを図ろうと執心しているが、逆に疑惑は深まる一方である。8億余円もの値引きの根拠として、地下9
mのゴミの撤去費用が挙げられてきたが、工事業者自身、そのようなゴミの存在を確認していないと語っているし、籠池理事長も約3m以上、掘った覚えはないと証言している。国会でも、
地下9mとは沖積期時代の地層であり、そのような地層にゴミが存在するはずがないという指摘もされている。
 このような指摘に対し、安倍首相は悪意の「印象操作」と突き放すばかりで、疑惑を払しょくする答弁を全く行っていない。昭恵夫人に向けたれた疑惑についても「妻は妻は」と無内容なはねつけを続け、夫人の証人喚問をかたくなに拒む一方で、野党を挑発するすり替え答弁は切れ目なく続けている。
  しかし、昨日、今日の報道では疑惑は加計学園(岡山市内の学校法人)にも及んでいる。政府が国家戦略特区として同学園が新設を計画していた獣医学部を認定するにあたって、内閣府が文科省に対し、「安倍首相の意向だ」と伝えた文書があるという指摘が国会で出された。

   このように安倍首相がらみの疑惑が深まり、広がるなか、各界の有志15人は連名で「安倍昭恵氏ほかの国会証人喚問を求める要望署名」の運動を企画し、準備が整った今日から、この署名運動をスタートさせた。署名用紙の全文は次のとおりである。
 署名の第一次集約日 614

 --------------------------------------------------
  
   
安倍昭恵氏ほかの国会証人喚問を求める要望署名

衆議院議長 大島理森 様
参議院議長 伊達忠一 様

呼びかけ人
池住義憲(元立教大学大学院特任教授)/太田啓子(弁護士)/丘修三(児童文学作家)/きどのりこ(児童文学作家)/小林和子(『週刊金曜日』編集長)/笹井明子(老人党リアルグループ「護憲+」管理人)/佐々木江利子(児童文学作家)/杉浦ひとみ(弁護士)/醍醐聰(東京大学名誉教授)/武井由起子(弁護士)/根本仁(元NHKディレクター)/藤田高景(村山談話を継承し発展させる会・理事長)/八木啓代(健全な法治国家のために声をあげる市民の会・代表)/湯山哲守(元京都大学教員・NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ)/ 渡辺眞知子(キリスト者政治連盟)

  森友学園問題に関するどの世論調査をみても回答者の78割が「政府の説明に納得できない」と答えています。その最大の理由は鑑定価格9億円余の国有地が約8億円も値引きされて森友学園に払い下げられた経過、根拠について政府が納得のいく説明をしていないことにあります。また、国有地払い下げの経過を記した公文書を廃棄したと繰り返す財務省理財局の答弁にも強い批判が向けられています。
  さらに、時の総理大臣夫人・安倍昭恵氏が、教育勅語を礼賛するなど教育基本法の理念に反する教育を進める森友学園の小学院(20174月開校予定)の名誉校長に就任したことに批判が起こっています。また、昭恵氏が同夫人付きの政府職員を介して、問題の国有地の払い下げに深く関与していた疑惑も指摘されています。にもかかわらず、安倍夫人が沈黙を続けていることに批判が広がり、安倍夫人も籠池泰典氏と同じ条件で証人喚問を行うべきという意見が高まっています。
  そこで私たちは、皆院議長に次のことを申し入れます。
          
                      申し入れ

 

  安倍昭恵氏、迫田英典氏(前財務省理財局長)、武内良樹氏(前財務省近畿財務局長)、田村嘉啓氏(財務省国有財産審理室長)、松井一郎氏(大阪府知事)、酒井康生氏(森友学園元弁護士)をすみやかに国会に証人喚問し、国有地の格安売却など森友学園をめぐる一連の疑惑を徹底究明すること

 -----------------------------------------------------

 *署名用紙のダウンロード → http://bit.ly/2qkwucT
 *ネット署名のフォーム  → http://bit.ly/2rdgyXe 
 *ネット署名/メッセージの集約状況の閲覧サイト
              → http://bit.ly/2r68HhH 
   アクセスして、ネット署名に添えられたメッセージをご覧いただけ
   たらと思う。皆様にも、メッセージを添えてネット署名をお願いし
   たい。
 *問い合わせ窓口
   E・メール:moritomosimin@yahoo.co.jp 
   電話:070-4326-219910時~20時)


| | コメント (1)

いのち還る季節に根拠なき祝日を想う

 20175月12日

鉄線の咲く季節
  今年もわが家の庭の生垣に鉄線が咲いている。4月の連休に入ってまもなく、暖かな陽射しに誘われるように咲き始めた。それから日に日につぼみが開き、一面に大きな花輪が広がってきた。

20170511
    2009525日に、「鉄線によせて」というタイトルの記事をこのブログに投稿したが、そこで、次のような短歌を載せた。

  鉄線花むらさき沁みる家垣に二人となりし夕餉整ふ  森 淑子

 二人暮らしとなった今の自分に似合う歌のように思え、親しみを感じる。

本が焼かれた広場 
 先日、連れ合いに寄贈いただいた正古誠子・歌集『卯月の庭』(20174月刊、不識書院)をなにげなく読んでいくと、ベルリンのベーベル広場を詠んだ歌が目にとまった。4年前に私たちも訪ねた場所だ。

  言葉の力怖れたるナチは本を焼く狂気といふはたやすけれども
  書物焼きたる広場みぞれに人もゐず地中に並ぶ本のなき棚

 ミッテ地区にあるこの 18 世紀の広場には、オペラ座、教会、図書館がある。道路を挟んで向かいはフンボルト大学だ。この広場はかつてナチスによる焚書が行われた場所だ。夕闇の中、広場の中央にある地面にはめられたガラス窓をのぞき込むと書籍のない書架がライトに照らされて見えてきた。その時撮った写真を探し出して見つめると、忘れかけた旅の思い出がよみがえってきた。と同時に、「言葉の力怖れたるナチ」と詠んだ正古さんの表現などどこ吹く風の今どきの日本の政権党の面々の言葉の不遜、下劣さを思い知らされた。

Photo
Photo_2
還るいのち
 ところで、上の歌が収められた正古さんの歌集の一つ前のページを見ると、こんな歌があった。

  春にしてかへるいのちをたしかむる鉢植の木それぞれ芽吹く

 わが家でも炎天が続く夏以外、水やりもせず放りっぱなしの生垣に毎年、決まった季節にあでやかな紫色の鉄線が一面に咲き出すのを見て、「かへるいのち」を実感させられる。そのような姿を観察して沈着な一首を書き留めた正古さんのセンスに魅せられた。

根拠なき祝日
  そんなわけで、最初は無造作に読み出した正古さんの歌集を繰っていくと、こんな歌が目にとまった。

  根拠なき祝日なれば移動して「みどりの日」といふ 木々は緑に

 なんとも鋭い表現力である。私などは、皇族の減少を心配するより、このまま「象徴天皇制」が続くと、いずれカレンダーが「根拠なき」祝日で埋まってしまうことの方が気になる。


| | コメント (0)

「あるはずだ」ではなく、現にある文書の調査・活用を~森友交渉記録の廃棄は「脱法」:(第3回)

20174月9

森友学園関連の文書を突き止めるために
 この連載を始める時は、第3回目の記事で、森友学園問題に関連した行政文書と類似の文書の取り扱いの実態を調べ、それを参照して、「森友学園の案件は売買契約の締結を以て終了したので、保存期間を1年未満とした交渉記録は廃棄した」という佐川理財局長の答弁の信憑性、合規性を検証する予定だった。
 しかし、各省庁が公開している「行政文書ファイル管理簿」を、さまざまな条件を設定して検索していくなかで、近畿財務局、さらに局内で国有財産を所管した管財部が管理者となっている行政文書を検索すると、森友学園にどんぴしゃりの文書は出てこなかったが、森友学園関連の情報が含まれている可能性があるカテゴリーの文書にたどり着いた。
 そこで、この記事では、予定を変更して、私が試みた行政文書ファイルの調査の方法と調査の結果を説明することにした。

行政文書ファイル検索の試み
 具体的には、次のような条件を設定して行政文書ファイル管理簿を検索した。なお、以下で検索対象の文書作成・取得の期間を201241日からとしたのは、この時期から「公文書管理法」が施行されたからである。(法施行後に作成・取得された文書の管理簿を「新管理簿」と呼んでいる。)
 と同時に、2016620日に森友学園への国有地売却に至る次のような経緯があったことが知られている。こうした年譜を突き合わせると、上で設定した文書作成・取得の期間は本件国有地をめぐって、近畿財務局が大阪航空局、大阪府私学課、森友学園とさまざまなやりとりをした時期とちょうど重なることがわかる。

森友学園への国有地売却に至る経過 
  2012年  7月頃   森友学園とは別の学校法人が7億円前後で本件国有地を
         購入したいと近畿財務局に申し出た。しかし、金額をめ
         ぐって交渉が折り合わず、売却に至らなかった。

  2013   6 3日 近畿財務局、公用・公共用に本件土地の取得要望を受け
         付け

       9 2日 森友学園が近畿財務局に取得要望書を提出
       913日 近畿財務局職員、大阪府庁を訪問し、森友学園の小学校
         認可の見通しを聴き取り

    10 2日 籠池夫妻、鴻池議員に陳情 
 20141031 森友学園、小学校設置認可申請書を提出
      1218日 大阪府私学審議会、同上申請について認可保留
 この間、森友学園と近畿財務局の交渉継続
20151月   近畿財務局、大阪府私学課を訪問。再度、上記申請の認
         可の見通しを質問。「私学課事務局がある程度まで審
         議
会をコントロールできるのではないか」と発言

201746

     127日 私学審議会、上記申請を条件付きで認可
     210日 国有財産近畿地方審議会、大阪府の私学審議会が付けた
        条件が満たされることを前提として、本件土地を森友学
        園に
10年の定期借地とすることを了承
    529日 近畿財務局、森友学園に本件土地を、買受特約を付けて
        定借

2016 311日 森友学園、定借中の土地から新たに地下埋蔵物が発見さ
        れたと近畿財務局に連絡

    324日 森友学園、本件土地を購入したいと近畿財務局に申し出
    330日 近畿財務局、大阪航空局に対し、地下埋蔵物の撤去費用
        の見積もりを依頼

   414日 大阪航空局、撤去費用の見積もりを81900万円と近畿
        財務局に報告

   531日 不動産鑑定士、本件土地の鑑定評価額を95600万円と
        報告

   620日 近畿財務局、森友学園と本件土地の売買契約を締結。
        売買価格は
13400万円

試行錯誤の文書ファイル検索
<検索条件Ⅰ>
 *キーワード: <国有財産>&<売払い>
 *文書作成・取得の期間:201241日~201749
 *文書管理者:近畿財務局
<検索結果>
 *ヒット件数:0件 キーワードの「売払い」を「売却」、「売買」と置き換えても、ヒット件数はゼロだった。

 そこで、キーワードの条件を緩め、次のような条件で検索した。

<検索条件Ⅱ>
 *キーワード: <国有財産>
 *文書作成・取得の期間:201241日~201749
 *文書管理者:近畿財務局
<検索結果>
 *ヒット件数:711

 今度はヒット件数が多くなったので、ヒット件数を減らすため、文書管理者を国有財産担当の管財部に限定して検索すると結果は次のとおりだった。

<検索条件Ⅲ>
 *キーワード: <国有財産>
 *文書作成・取得の期間:201241日~201749
 *文書管理者:近畿財務局管財部
<検索結果>
 *ヒット件数:229

 そこで、以下では、この229件を検索対象にすることにした。まず、各件の「詳細」を開くと、「作成・取得年度等」、「大分類」、「中分類」、「名称(小分類)」、「作成・取得者」、「起算日」、「保存期間」、「保存期間満了日」、「媒体の種別」(電子/紙の別)、「保存場所」(システム/事務室等)、「管理者」、「保存期間満了時の措置」(移管/廃棄の別)が表示された。
 ここで注意しなければならないのは、全ての件の「作成・取得年度等」が「2015年度」など年度単位になっていることである。これは相互に関連する文書は1件ごとではなく、年度単位で束ねてファイリングされていることを意味する。
 したがって、229件のどの文書を見ても、「森友学園」とか、「豊中市」とか言った文言は見当たらなかった。そのため、「名称(小分類)」で表記されたタイトルから、森友学園の案件を含むと想定できる文書を選び、その文書の年度ごとのファイルを逐一、調べることによってしか、森友学園関連の文書にアクセスする方法はないと思われた。

ファイルをスポット検索すると
 229件といっても、1件ごとの詳細情報を読んでいくと、国有財産地方審議会の委員任命文書、付議文書、議事録のほか、国有財産の台帳整理、行政表彰の選考案、庁舎使用に関する文書など、すでに公表済みの文書や森友学園関連とは無縁のものが少なくなかった。
 そこで、各ファイルの内容をうかがわせる「名称(小分類)」に注目して、森友学園に関わる記録が含まれている可能性があるファイル(未利用国有地の活用・処分に関する現況を記した文書、処分計画を策定した文書、鑑定評価依頼書など)をスポット的に調べた。

 調べ終えて、森友学園にたどり着くのは至難の道と実感した。しかし、「残っているはずだ」、「隠しているのでは?」と言い続けるだけでは真相究明は前へ進まない。
 そこで、以下、私が注目したファイルをリストアップしたい。なお、たとえば、「処分すべき国有地の現況調書」とか、「国有財産1件別情報」とか言っても、文書管理者は京都事務所、神戸事務所、奈良事務所など所在地ごとに細分されている。以下のリストは、地域事務所ではなく、近畿財務局管財部が管理者となっている文書、つまり、大阪府内に所在する国有地に係わるファイルに限っている。また、各文書ファイルの冒頭の文書名は大・中・小の分類階層の内の「小分類」、つまり、最も細分化された分類名である。また、作成・取得年度は、特に断らないかぎり、20122016年度の全ての年度に保有されている。保存期間の起算日は、特に明記しない限り、すべて作成・取得年度の翌年度の41日だった。

調査する価値があると思われる文書ファイルのリスト
「管内における国有財産の現状
  作成・取得者(=管理者。以下、同じ):管財総括第2課長
  保存期間:3
 *文書名だけでは内容を推定するのは難しいが、近畿財務局が保有した国有財産を俯瞰するのに役立つと思われる。

「売払収入収納見込(実績報告)」
  作成・取得者:管財総括第2課長
  保存期間:3
 *森友学園に本件土地が買受特約付きで定借される以前から売却されるまでの間、学園に売払った場合の収入見込みがどのように記載されていたか(いなかったのか)、確認できると思われる。

「処分すべき国有財産の現況調書」
  作成・取得者:管財総括第2課長
  保存期間:3
 *森友学園に本件土地が買受特約付きで定借される以前から売却されるまでの間の本件土地の現況がどのように記載されていたのか、確認する意味がある。

「国有財産事務担当者連絡会議」
  作成・取得者:管財総括第2課長
  保存期間:3
 *簡単な会議録程度かも知れないが、本件土地について、何か触れられていないか、確認してみる意味はある。

「処分計画の策定」
  作成・取得者:管財総括第2課長
  保存期間:5
 *本件土地が森友学園へ売却されるまでの間、別の学校法人からの購入申し込みも含め、処分計画がどのように記載されていたか(何も記載されていなかったか)、確認する意味はある。

「国有財産見込現在額事由別調書」
  作成・取得者:管財総括第3課長
  保存期間:5
 *本件土地が森友学園へ売却されるまでの間、本件土地の現在額が、事由別にどのように記載されていたか、確かめる価値がある。

「国有財産13億円以上増減調書(大分類名:平成○○年度国有財産増減及び現在額報告書)」
  作成・取得者:管財総括第3課長
  保存期間:5
 *物件ごとの面積、金額の情報だけかもしれないが、本件土地の評価額は3億円以上だったので、おそらくこの文書に何らかの記載があると思われる。

「未利用等国有地の総点検」
  作成・取得者:国有財産調整官1
  保存期間:5
 *この文書ファイルで注目したいのは、国有財産調整官が文書作成・取得者となっている点である。近畿財務局のHPに記載された職務分担表によると、国有財産調整官は、普通財産の管理処分に関する企画立案、債権管理、徴収・収納事務、法令・通達適用審査の業務を担当する部署となっている。
 この点から、本文書ファイルには森友学園への本件土地の定借、売却に関する何らかの経緯、方針、法令の適用・解釈等が記載されている可能性がある。

「国有財産一件別情報」
  作成・取得者:国有財産調整官1
  保存期間:3
 *「1件別情報」と言われると、本件土地に関してもそれなりに詳しい情報が記載されているように思えるが、大分類は「平成○○年度国有財産情報公開システム」となっているので、外部公開を前提した情報とみられるので、未確認の情報は含まれないかもしれない。

「未利用国有地の現状把握」
  作成・取得者:国有財産調整官1
  保存期間:5
 *前記の「「未利用等国有地の総点検」と同様、この文書ファイルも作成・取得者は国有財産調整官となっており、管財部の中でも国有財産の管理処分に関する企画立案、法令解釈等の観点からまとめられた文書と思われ、調査する価値がある。

⑪「取得協議等審査」大分類「平成○○年度国有財産の評価に関する事項」、中分類「鑑定評価」)
  作成・取得者:首席国有財産鑑定官
  保存期間:5
  *「首席国有財産鑑定官」が文書作成・取得者となっている数少ない文書ファイルである。前記のように、森友学園は201392日に本件土地の取得要望書を近畿財務局に提出している。したがって、2013年度から2016年度にかけてのこの文書ファイルに森友学園からの取得要望に関する審査・検討の状況が、本件土地の鑑定評価も含め、何らかの形で記載されている可能性が高い。それだけに必見の文書ファイルと言える。

 の文書ファイルはファイルのタイトルを見る限りでは、「交渉記録」、それも8億円もの値引きに至る交渉記録を直接伺わせるものは見当たらない。その意味ではこれらの行政文書を「宝物さがし」のように扱うのは禁物である。
 
 48日の『東京新聞』朝刊の<こちら特報>欄に掲載された「森友ファイル 実は温存?」という記事は時宜にかなったもので、興味深く読んだ。ただ、記事は「交渉記録」に焦点を当てて、「どこかにあるはず」というトーンで書かれている。
 私もこの連載の1回目の記事で書いたように、向こう10年の賦払いで、10年間有効の買い戻し特約が付いた売買契約を締結したことを以て、「案件は終了した」などと考える行政職員は、まず、いないから、交渉記録も含めた文書がどこにもないとは到底、思えない。
 しかし、佐川理財局長の国会答弁を、目下、利用可能な資料を活用して反証するには、役人は文書を「特定しないとなかなか出さない」と嘆くだけではらちがあかない。

 この記事でリストアップした行政文書ファイルを国会議員、報道関係者が未入手なら、特にあたりを至急、入手してもらい、精査の上、そこから芋づる式に調査を進めてほしいと思う。私自身、近畿財務局へ出かけ、文書ファイルをめくりながら、調査したい気持ちは山々だ。しかし、そうなると45日は現地に張り付いて調べものをしなければならず、もどかしい気持ちでいる。 

| | コメント (1)

起算日規則に従えば記録は残っているはず~森友交渉記録の廃棄は「脱法」:(第2回)

201747
 
保存期間1年未満でも即廃棄とはならない
 佐川宣寿理財局長は、森友学園への国有地売却の事案は契約の締結を以て終了したので、省内の規則に従い、保存期間1年未満の文書として廃棄したと答弁している。
 確かに、「保存期間1年未満」となると「即廃棄もあり」かに思える。専門家の中には、これを逆からとらえて、「即廃棄も可能となる『保存期間1年未満』という規則や慣例は不当だ」と指摘する論者もいる。
 しかし、こうした議論には、行政文書の保存期間に「起算日」があることを考慮しない致命的な欠陥がある。

 「財務省行政文書管理規則」の第13条第4項によると、行政文書の保存期間の起算日は原則として行政文書を作成・取得した日の翌年度の41日とする、となっている。
 とすれば、森友学園関連の行政文書の管理者である財務省近畿財務局長が、本規則を順守していたら、かりに保存期間が1年未満だったとしても、保存期間の起算日は201741日となるから、森友学園への国有地売却問題が審議された今年の2月~3月の時点では問題の文書は「あった」はずである。

森友関連の文書に「ただし書き」は当てはまらない
 ただし、上で引用した「財務省行政文書管理規則」の第13条第4項には、上記の文章に続けて、次のような「ただし書き」がある。

 「ただし、文書作成取得日の属する年度から1年以内の日であって41日以外の日を起算日とすることが行政文書の適切な管理に資すると文書管理者が認める場合にあっては、その日とする。」

 ここでいう「行政文書の適切な管理に資する」とは、どういう意味なのか? 近畿財務局はこのくだりを使って、起算日を翌年度(2017年度)の41日より早い日とすることができたのだろうか?
 そこで、この文言の解釈を確かめるため、331日、財務省文書課文書係に電話で問い合わせた。そして、途中で代わって応対したOさんと、概略、次のようなやりとりをした。

 醍醐 「第13条第4項の『ただし書き』を保存期間1年未満とされた森
    友学園関連の行政文書に適用したら、文書を作成した後、今年
    の
41日より早く文書を廃棄することもありとなりますが、そ
    ういう処理は想定できますか? 
 
O 「・・・・」
 醍醐 「『ただし書き』で言われる『行政文書の適切な管理に資する』
    という文言を使って、森友学園関連の交渉記録を売買契約締結の
    あと、すぐに廃棄するのは無理な解釈だと思いますが。」
 
 O氏 「・・・・」 
 醍醐 「私の言っていることは法規の解釈として明らかにおかしいです
    か?」
 
O氏 「ご意見としてうかがっておきます。」

 この時、私は起算日以外のこともいくつかOさんに尋ねた。情報公開請求をしなければ入手できない「細則」について、一部を口頭で読み上げて教えてもらったりした。そして、「規則」や「細則」に関する質問には明快にYesNoで答えてもらった。しかし、起算日については、日頃あまり出ない質問だったためか、はっきりした答えが返ってこなかった。そこで、私は自分の解釈は、あながち見当外れではないのではと思ったりした。

 というのも、1つ前の記事で書いたように、起算日を翌年度の41日としない事例の大半は、訴訟関係資料(特定日以降10年保存)、告示・訓令・通達等(通知日を起算日としている模様)、休暇簿、出勤簿など(暦年を用いて11日を起算日としている)、確かに行政事務に資すると思える理由がある場合ばかりだった。森友学園関連の文書に、これに類するような行政事務上の便宜は想定できないのである。

類似の行政文書はどう扱われたか?
~国有財産の売却に関連した行政文書ファイル管理簿の調査より~
 しかし、それは「心証」だと言われたら、それまでだ。そこで、各省庁所管の「行政文書ファイル管理簿」をネットで検索して、森友学園関連の行政文書と類似の文書はどのように管理されたか――具体的には、類似の文書の保存期間の起算日はどのように決められたか、保存期間はどのようになっていたか――を調べてみた。私の調査はまだまだ限られた範囲であるが、これまでに次のような条件で検索した。その結果を書き留めておく。

〔検索の方法〕
 キーワード:<国有財産>&<売却>
 文書作成・取得日の期間:201341日~201746
 文書管理者:全省庁

〔検索の結果の概要〕
 ヒット件数:45件 うち、森友学園案件に類似した文書31
  (注:その他14件のうち13件は「処分すべき国有財産調査票及び売却
    予定表」、
1件は「国有財産用途廃止」に関わる文書)
  *保存期間の起算日(45件すべて)
    文書作成・取得日の翌年度の41日(原則通り) 43
    文書作成・取得日の年度末(331日) 1
    文書作成・取得日の翌年11日(この文書の保存期間は10年)
         1
  *保存期間(森友学園案件に類似した文書31件の場合)
    3年:5件  5年:21件  10年:3件  30年:2

〔コメント〕
  起算日は、45件全体の96%に当たる43件で原則どおり、文書作成・取
  得日の翌年度の
41日となっていた。
 残りの2件のうち1件は文書作成・取得日の年度末(331日)で、原
  則を採用した場合と
1日違い、もう1件は原則日より3ヶ月早い、文書
  作成・取得日の翌年の
11日だった。しかし、この場合も文書の保存
  期間は
10年だったから、文書が作成・取得された年度内に廃棄される
  ことはなかった。

  森友学園案件に類似した文書31件の保存期間はすべて3年以上で、68
  %は5年だった。しかし、そうはいっても、保存期間1年未満とされ、
  保存期間が満了したため、すでに廃棄された文書があった可能性は
  ある。

  以上から、今回調査を行った国有財産の売却に関連した行政文書を見
  る限り、文書の保存期間の起算日を、文書が作成・取得された年度内
  の恣意的な月日と決めて、
1年未満で文書を廃棄した(できた)と考
  えられる事例は見当たらなかった。


佐川理財局長の答弁のジレンマ
~違法行為? それとも虚偽答弁?~

 このような調査と「財務省行政文書管理規則」の条文解釈を踏まえると、森友学園関連の行政文書を今年の41日よりも前倒しで廃棄することは事実上、不可能だったといって間違いない。
 とすれば、森友学園関連の行政文書は、超最短でも今年の41日までは保存されていたはずだ。にもかかわらず、佐川理財局長は今年の224日に開かれた衆議院予算委員会で、森友学園への国有地売却の事案は2016620日の契約締結を以て終了したので、省内の規則に従い、保存期間1年未満の文書として廃棄し、もはや残っていないと答弁した。その後、3月中に開かれた委員会でも同様の答弁を繰り返した。
 そうなると、佐川理財局長の答弁は次のABのどちらかを意味すると考えるほかない。

  A:近畿財務局は「財務省行政文書管理規則」第13条第4項に反
   して、今年の
41日以降、所定の保存期間満了日まで保存し
   なければならなかった行政文書を、それ以前に廃棄するとい
   う違法行為を行った。

  B:今年の23月の時点では実際には「あった」文書を「ない」
   と虚偽の答弁をした。


 現在の私には、AB以外の第3の可能性は想定できない。と同時に、「起算日」規則を知らないはずがない行政事務、法令解釈に精通した財務省役職者が、違法を承知で、今年の41日以前に森友学園関連の行政文書を廃棄するとは考えられないから、Bが真相ではないか? そう考えて、「残っているはず」というタイトルを付けた。
 実際はABのどちらなのか? 国会議員各位は簡単にいなされる質問ではなく、入念な調査のうえ、ギリギリ詰めた質問で、真実を究明してほしい。



| | コメント (1)

森友交渉記録廃棄は「脱法」:その法的根拠は幾重もある(第1回 総論)

201745

 調査を進めて浮かび上がったこと
 森友学園へ格安で国有地が売却された経緯について、約8割の市民が納得できないと答えている。その大きな理由の一つは、交渉記録は残っていないと財務省理財局が強弁していることにある。佐川宣寿理財局長は、契約の締結を以て事案は終了したので、省内の規則に従い、保存期間1年未満の文書として廃棄したと答弁している。しかし、この説明は到底、納得できない。
 それどころか、公文書管理の関係法令、規則を調べ、内閣府、財務省への問い合わせ、財務省ほかいくつかの省の行政文書ファイル管理簿の調査を進めると、かりに佐川理財局長の答弁通りだとしたら、この件の行政文書管理者である当時の近畿財務局長ないしは本省理財局長は「公文書等の管理に関する法律」第6条に違反する行為を行った疑いが強まる。以下、私がそのように判断するに至った根拠を数回に分けて説明する。

 第1回 「契約締結で事案は終了した」は誤り
 第2回 「保存期間の起算日は翌年度の41日」に違反
 第3回 類似の行政文書に準じると35年間保存が義務
 第4回 他の省の実例に照らしても「廃棄」は不当 

 なお、この連載では、「交渉記録は廃棄した」という佐川理財局長の答弁が事実だと前提して議論をする。しかし、違法性を承知の上で廃棄したとは考えにくいから、前提そのものを改めて、文書は残っていると推論するこを排除していないことを、前もって断っておく。

 まず、この第1回の記事では根拠説明の「総論」を兼ねて、「契約締結で事案は終了したので廃棄した」という佐川理財局長の答弁が誤りであることを論証する。

「契約締結で事案は終了した」とは到底いえない

(理由その1)売買代金の完済は10年先。その完済も赤信号
 まず、佐川局長の答弁とは裏腹に、契約の締結を以て事案は終了したとは到底いえない。2016620日に近畿財務局が森友学園と交わした売買契約書では売買代金13,400万円の支払いは向こう10年の賦払いとされた(第5条)。そのため、契約締結の時点で森友学園が国に即納すべきとされたのは総額の約2割(2,787万円)に過ぎなかった。(実際に森友学園が契約時に即納したのは、売買契約に先立つ定借契約で森友学園が国に納めていた保証金2,730万円を差し引いた57万円だった。)
 
 その先、地下埋蔵物の撤去費用が本当に約8億円だとしたら、森友学園がこの撤去費用の負担はもとより、10年の定期借地の間に小学校用地を買い取る資力があるのか、計画通りに児童と寄付金が集まるのかについて、国有財産近畿審議会でも大阪府の私学審議会でも疑問が続出していた。

近畿財務局が森友学園と国有地の売買予約権付の定期(10年)借地契約を結ぶ案件が審議された「第123国有財産近畿地方審議会」(2015210日開催)の議事録を読むと、会長を含む複数委員から、基本財産が乏しく、寄付に頼る森友学園が定借期間内に土地を買い取れず、定借期間の延長になる恐れはないのかとか、児童が集まらず閉鎖に追い込まれる危険はないのかなど、不安視する意見が相次いでいた(詳しくは末尾の〔付属資料1〕を参照いただきたい。)

 森友学園の小学校開校の可否を審議した大阪府私学審議会でも、20141218日に開かれた会合で、委員から、「基本金がゼロだから計画性がない。かなり赤字になっているのでは」とか「もしうまくいかなかったら迷惑を被った保護者や子供たちに誰が責任をとるのか」といった厳しい意見が出ていた。
 それから2か月後の2015127日に開かれた臨時の審議会でも、委員の中から、「児童・生徒を集めて開校しても計画が頓挫したら、結果的に運営ができない」とか、「こんな絵空事でうまくいくとはとても思えない」といった意見が出ていた。それでも大阪府教育庁の私学課が森友学園の「財務状況を適正なものと判断している」と発言したため、委員のためらいもそこで止まり、「疑念のある点については本審議会が今後も確認を進めるべき」という条件を付けて開校認可となった。

Photo_2

 今になって委員からは匿名を条件にこんな発言も。(329日、「報道ステーション)

         私学審メンバー 「松井知事と維新の報復が怖い」
329
 もともと10年賦払いだったのに加え、上で触れたように森友学園の財務状況が危ういとなれば、売買代金の完済も赤信号となる。であれば、2割ほどの即納金を得た売買契約の段階で事案終了とみなすのは常識的に無理である。

(理由その2)行使される可能性が低くなかった買い戻し特約があった
 2016620日に近畿財務局と森友学園が交わした国有財産売買契約書では、森友学園は、売買物件について2017331日(以下「指定期日」という)までに必要な工事を完了し、指定用途(注:学校用地)に自ら供さなければならない」(第23条第1項)とされ、この指定期日までに土地を指定用途に供さない場合、近畿財務局は売買物件を買い戻すことができるという特約が付けられていた(第26条第1項)。ただし、近畿財務局による、この買戻し権は売買契約の締結日から10年間、有効となっていた(第26条第2項)。

 森友学園が(理由その1)で指摘したように、きわめて不安定な財務状況にあった中では、この買戻し特約が実行される可能性は低くなかった。とすれば、狭く解釈しても、買い戻し特約が実行される日、または買い戻し特約の有効期間が終わる2026619日までは森友学園への国有地売却の事案は終了しないと考えるのが適当である。

類似の文書の実例に照らすと35年保存すべき文書だった

 次に、「保存期間1年未満の文書として廃棄した」という扱いにも疑問がある。近畿財務局は大阪府教育庁、大阪航空局と学校認可の見通し、土地の鑑定評価、地下埋蔵物の撤去に要する費用の算定などをめぐって、たびたび、協議していた。

「財務省行政文書管理規則」の別表第1によると、他の省庁との協議の経緯を記録した文書の保存期間は10年となっている。また、国有財産の管理・処分に関する重要な経緯を記録した文書の場合も10年となっている。
 ただ、「他の省庁との協議」とか「国有財産の管理・処分に関する重要な経緯」とか言っても、内容はさまざまで重要性をどのように判断するかで保存期間も違ってくると考えられる。

 そこで、財務省あるいは近畿財務局が管理者となっている「行政文書ファイル管理簿」のうち、201441日以降に作成または取得された行政文書で、森友学園への国有地売却の経緯を記した交渉記録に近似する文書名を検索した。すると、近畿財務局内の国有財産関連部署の内部会議の記録文書の保存期間は3年、国有地の管理処分に関する要望、協議の記録文書の保存期間は3年ないしは5年となっていた。
 ここから、今回の森友学園への国有地売却の経緯を記した交渉記録は35年の範囲で保存されるべき行政文書であったと考えられる。にもかかわらず、「保存期間1年未満」とするのは、違法とまでは言えないとしても、不当不適切な処理だったといえる。(詳細は、この連載の3回目の記事で説明する。)

「保存期間の起算日」規則に照らせば、「不存在」はあり得ない

 「財務省行政文書管理規則」の第13条第4項によると、保存期間の起算日は原則として行政文書を作成・取得した日の翌年度の41日とする、となっている。となると、たとえば、2016年6月20日に作成した行政文書の保存期間をかりに5年としたとすると、保存期間の起算日は2017年4月1日となり、保存期間の満了日は2022年3月31日となる。
 現に、全ての「行政文書ファイル管理簿」を公開している厚労省の行政文書のうち、これまでに調査を終えた政策統括官(総合政策担当)、職業安定局雇用開発部、医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部、社会・援護局の
4つの部署が管理する行政文書の約95%は保存期間の起算日を原則どおり、文書作成日の翌年度の41日としていた。

 起算日が、文書を作成・取得した日の翌年度の41日ではないのはどのような場合かというと、作成年度の331日(原則と1日違い)、訴訟関係資料(特定日以降10年保存)、告示・訓令・通達等(通知日を起算日としている模様)、休暇簿、出勤簿など(暦年を用いて11日を起算日)としている場合が多かった。
 「保存期間1年未満」という事例は私が調べた限り(内閣府、厚労省)では皆無で、稀に「保存期間1年」という文書があった。ただし、そのすべては起算日を原則どおり、翌年度の41日としていた。

 以上から、かりに百歩譲って、近畿財務局が森友学園への国有地売却の経緯を記した交渉記録の保存期間を「1年未満」と決めていたたとしても、起算日規則に照らすと、最短でも今年の41日までは保存しておかなければならなかった
 よって、この23月に開かれた衆参両院の予算委員会等で、佐川理財局長が答弁したとおり、それら文書を「保存期間1年未満」とし、国有地売買契約の締結で事案は終了したので交渉記録は廃棄した」とすれば、明らかに違法(「財務省行政文書管理規則」第13条第4項に違反)な行為となる。
 ただ、行政文書管理に精通した行政機関が本当にそのような取り扱いをしたのか、大いに疑問で、文書がなお存在する可能性が高いと思える。(詳細は、この連載の第2回の記事で説明する。)

まとめ

 1.「売買契約の締結を以て事案は終了したので交渉記録は廃棄した」という佐川理財局長の答弁は、それが事実の説明だとすれば「起算日基準」を脱法する違法行為となる。事実の説明でないとすれば、虚偽答弁である。

 2.財務省が作成・取得した類似の行政文書の管理方法を参照すれば、保存期間を3~5年とするのが適当と考えられる。ただし、今回の森友学園の事案では、売買契約に付された買い戻し特約の実行日または失効日の翌年度の4月1日を起算日として、財務省国有財産関連の類似の行政文書の管理に準じ、保存期間を3~5年とするのが適当(だった)と考えられる



〔付属資料 1〕
「第123回国有財産近畿地方審議会」(2015210日開催)議事録からの抜粋

 「H委員 ・・・・この少子化の中で、『私立の小学校を作るのでその運営主体に土地を売却する』ということですが、私学の小学校経営というのは本当に大丈夫なのでしょうか。・・・今後の10年で私立の小学校の経営環境というのはそれほど改善しないと思われますが、いざ、売却する段になって、地価が上がっていて、買い手が『その価格では買えません』と言い出すリスクはないのでしょうか。」

 「立川管財部次長 リスクはあると思いますが、一般的に同様の事案全てにあてはまることだと思うのですけれども、リスクは一定程度あるのだというふうに思っています。・・・・定例的に財務内容、決算書とかそういった財務関係書類を提出していただいて経営状況といいますか、お金の具合といいますか、内部留保の積み上がり方をチェックさせていただくというふうなことを考えておるところでございます。」

 「K委員 ・・・・ということで、そこまでの安全はきっと私学審議会でチェックされているとは思いますが、その上で10年経って定借延長します。しかし、さらに経営が改善される見込みがなくて募集停止になりましたというような最悪の際には、こういう土地は定借の期間をあるところで打ち切って国に戻すというような流れになるのでしょうか。」

 「立川管財部次長 ・・・・そういった契約解除するまでにも法律上至らないような場合でも、10年後には確定的に戻ってくるということで、一応最大の担保はそこだというふうに考えておるわけですけれども、そういった事態にできるだけならないように、平素からちゃんとグリップしていこうとは思っていますけれども。」

 「K委員 今おっしゃったのは、10年後には確実に戻ってくるとは言えないのですよね。」

 「中野会長 ・・・・私もこの学校を知りませんけれども、いわゆる基本財産というものが小さくて学校を作る、それでスケジュール表の中で来年4月にもう開校になっているのですね。まず、建てるだけでも1年間で建てられるのかという問題がありますが、募集を始めるということになっているわけですね。小学校開校をね。だから、スケジュール的にものすごく短い。・・・・それから寄附金で建物を作ると。これだけでも10数億円はかかるはずですよね。この坪数から言うと。
 だから、そういう意味では、おっしゃるように継続できるのかと。寄附金でやるからいいんだということになるのでしょうし、それから学校法人法では基本的には所有するという前提になっていますよね。学校法人は、こういう借地をするときですが、こういう国有地の場合は認められるかもしれませんが、一般的には駄目で、非常に異例な形だなという感じの印象を持っています。ですから、貸付けを10年間やって、10年後に買ってもらうという形なので、ちょっと今までの案件とは随分、性格を異にするような案件のように私は思っています。」 

〔付属資料 2〕参考資料
*「公文書の管理に関する法律」
  http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H21/H21HO066.html 

*「財務省行政文書管理規則」
http://www.mof.go.jp/procedure/disclosure_etc/disclosure/kanrikisoku/bkanri20150401.pdf
 

*「第127回国有財産近畿地方審議会の開催結果」(2017323日開催)
  http://kinki.mof.go.jp/content/000166370.pdf
 この中に、
  ・「第123回国有財産近畿地方審議会(2015210日開催)議事録」
  ・「国有財産売買契約書」
 が納められている。

*「厚労省行政文書ファイル管理簿一覧」
  http://www.mhlw.go.jp/shinsei_boshu/gyouseibunsho/



| | コメント (4)

「避難指示解除」の隠れた現実を伝えないメディア

201743
 
 
331日~41日を中心に、福島県内での原発「避難指示解除」をめぐる報道をモニターした。以下は、私が視た限りではあるが、その番組批評である。

 NHK,民放とも現地からのレポートをまじえて「解除」「帰還」の現実をそれなりに伝えた。しかし、「見えない」、「見せない」現実にどこまで迫ったかとなると、重大な疑問、限界を感じた。

「帰還希望者は16.0%」という数字はミスリーディング

 多くのメディアが伝えた、この「16.0%」という数字は復興庁が去年10月に公表した富岡町の住民意識調査の結果である。しかし、この数字には注意しなければならない点が二つある。

 一つは帰還の時期である。復興庁が公表した「住民意向調査速報版(富岡町)の公表について」(20161025日、記者発表)は次のとおりである

http://www.reconstruction.go.jp/topics/main-cat1/sub-cat1-4/ikoucyousa/20161025_ikouchousa.pdf 

 この元資料を見ると、「戻りたい」と答えた人の中で「避難指示解除後すぐ」と答えたのは36.0%である。つまり、回答者全体の中で「避難指示解除後すぐに帰還」と考えているのは5.8%(=0.16×0.36)に過ぎない。「戻りたい」という人のうちの残りは「解除後310年以内」が25.6%、「時期は決めていない」が37.5%となっている。いろいろネットで調べると、「帰還の時期」も含めて住民の意向調査の結果を伝えたのはインターネット・ニュースチャンネル「Abema Prime」(だけ?)だった。

「『避難指示』帰還困難区域など除き解除 避難生活者『今の状況では帰る選択はない』」(Abema Prime Time, 2017311日)
 https://abematimes.com/posts/2121835 

Photo

  政府による避難者への慰謝料の支払いは来年3月分で打ち切られる。指定区域外からの自主避難者への住居の無償提供もこの3月末で打ち切られ、条件付きの家賃補助に切り替えられた。こうした避難者支援の打ち切りとセットの「避難指示解除」の意味を考える上で、避難指示解除後すぐに帰還する意向の住民が全体の6%に過ぎないという情報は極めて重要である。大手メディアはなぜ、こうした情報を伝えないのか? 

 「帰還希望者は16.0%」という数字が持もう一つの限界は、この数字が全年代の平均だということである。37日に放送されたNHK「おはよう日本」は「震災6年 ふるさとへの帰還進めるためには」というタイトルの特集を組んだ。その中で、上と同じ富岡町の「戻りたい」とする住民の意向を年代別に調べたグラフを示した。
 これを見ると、平均は16.0%だが、70代以上で20.8%の一方、30代では8.2%、20代以下では4.9%となっている。

Photo_2
 331日のNHKニュースウオッチ9は「戻る住民 避難し続ける住民」というテロップを出して避難指示「解除の現実」を伝えた。そのような伝え方をしたのは、帰還した住民と避難先で住み続ける住民の医療をともに担うための医師、職員の配置が予算の制約から難しくなっている実態を伝えるためだったことはわかる。そういう現実にスポットを当てたことも重要だと思う。
 しかし、「戻る住民 避難し続ける住民」という表現では、住民の意向が二分しているかのように伝わる。現実はそうではなく、上記のAbema Prime Timeニュースに登場した避難住民が語ったように、「今の状況では帰る選択はない」ということではないか?「帰還」と言っても多くは昼間の一定時間だけ、というのが現実のようだ。帰還の時期に関する住民の意向の分布はそのことを物語っている。

 6年ぶりに自分の家で食事をし、畑仕事をする家族の喜びはよくわかる。しかし、地域にもよるが、帰還しても隣近所は空家、コンビニも1店だけ、夜は真っ暗、学校の再開も来年度以降では、帰還して元の自宅での生活もままならない。
 41日のNHKニュース7に登場したコメ農家の住民も、自分が先頭に立って米作の再興に取り組まなければと抱負を語っていた。しかし、除染で砂を敷いた田んぼは雨で肥料が流れてしまうと語り、米作の再開と言っても田んぼの除染効果を確認するため、町が行う「実証栽培」に参加するという段階だ。また、帰還といっても、当分はいわき市から片道1時間かけて富岡町に通い農業を続けるという。
 さらに、帰還した住民にとって、勤労/若年世代がどれくらい帰還し、定住するかは町の復旧、復興にとって決定的な意味を持つ。その意味で、「おはよう日本」が伝えた年代別の帰還の意向割合は重要な情報と言える。

「解除の指針20ミリシーベルト」の意味をなぜ問わないのか

 政府が避難指示を解除する指針としたのは「年間放射線量20ミリシーベルト以下」という基準だ。しかし、専門家の間では周知のことだが、もともと、この基準値は国が避難指示を出す基準として用いた年間放射線量である。国際的にも事故やテロなど緊急時の対応を発動する基準として作られたもので、平常の生活を営むことを可とする基準ではない。(自然界にもともと存在する放射線<自然放射線>からうける放射線量は、世界平均で年間約2.4ミリシーベルトと言われている。)

 避難指示解除の指針として「20ミリシーベルト」を使うのは帰還第一主義の国策を正当化し、つじつまを合わせるためのものである。このような背景を伝えない報道は見えない形で棄民の国策に翼賛するものと言っても過言でない。

政府話法に立ち止まらないメディア
 今村雅弘復興相は312日放送のNHK「日曜討論」で、福島原発事故の自主避難者について、「ふるさとを捨てるのは簡単」、「ふるさとに戻って頑張っていくんだという気持ちを持ってもらいたい」と発言した。
 原発避難者ではない私でも、自分の意思でふるさとを捨てたかのようなこの発言は「長靴業界、儲かった」の発言よりも重大と思え、このブログに批判の記事を書きとめた。しかし、世の中もメディアも今村発言に批判はおろか、ほとんど関心を向けなかった。
 
 今村大臣の発言を聞いて、私は2011411日の閣議決定で、東日本大震災復興構想会議を設置するにあたっては「単なる復旧ではなく、未来に向けた創造的復興を目指していくことが重要である」という文言があったのを思い起こした。その時(2011422日)も、

「復旧なくして復興なし~被災地は高邁なロマンの実験場ではない~」

 http://sdaigo.cocolog-nifty.com/blog/2011/04/post-765f.html


という記事を書き、「復旧は『単なる』といえるほど軽い事業なのか?」と憤りを綴った。
メディアは、一見してそれとわかる政治家の暴言は大々的に伝えるが、一見ではわかりにくい政治家の暴言は素通りすることが多い。しかし、「棄民」政治を生む政治家の本性を表す言葉にメディアも市民ももっと敏感でなければならない。いつ何時、自分も「棄民政治」の冷酷さを味わうか、わからないのだから。

「ゼロから」ではなく、「ゼロへの」スタート
 そうしたメディアの状況の中で、救われる思いがしたのは今日(43日)の『朝日新聞』社説が「ゼロへのスタート」という飯館村の菅野典雄村長の含蓄に富んだ言葉を紹介したことだ。避難指示解除はふるさとでの元の生活の再開を待ち望んだ人々にとっては、明るいニュースに違いない。
 しかし、メディア、特にNHKは天皇夫妻や有名人が避難先を訪ね、慰問をする姿を「明るい話題」として大きく報道してきた。慰問の気持ちに背を向けるつもりはないが、天皇夫妻が慰問し、ひざまずいて励ましたからと言って復旧が進むわけではない。
 ふるさとへ戻る人も、今度は廃炉のなりゆきに不安を訴えている。その意味で、帰還は「ゼロから」ではなく、ゴールが見えない「ゼロへの」スタートにほかならないという現実をメディアはリアルに伝えなければならない。

| | コメント (0)

昭恵夫人のメールとFB投稿の不可思議

2017327

反証は不可能と言いながら、籠池氏の証言をなぜ全否定できるのか?
 感情に駆られるあまりに、思わぬ断定がたたって自分を窮地に追い込む愚かな人々がいる。323日に衆参両院に証人として出席した森友学園理事長・籠池泰典氏の発言に対する安倍首相や与党首脳の反応を聞くと、この言葉を思い浮かべる。

 籠池氏は、証言のなかで、201595日、安倍昭恵氏が講演のため塚本幼稚園を訪れた際、講演に先立って、園長室で同行した2人の政府職員を人払いし、籠池理事長と2人だけになったところで「安倍晋三からです」と100万円が入った封筒が差し出されたと証言した。これについて、安倍首相は324日の参院予算委員会で、「密室でのやりとりなど反証できない事柄を並べ立て、事実と反することを述べたのは誠に遺憾だ」と反論した。
 しかし、「反証できない」と言いながら、「事実に反する」と語るのは「反証」を試みていることを意味する。ただし、「では、事実はどうだったのか」を語らず、「事実に反する」と言うだけでは無に等しく、反証の体をなさない。

 「反証」を裏付ける物証なり、その場に居合わせた者でなければ語れないような状況をリアルに話せるのは、籠池氏と昭恵氏の2人である。このうち、籠池氏は、物証はなかったが、金銭が授受された時の状況をそれなりに説明した。
 となると、籠池氏の説明を反証できるのは昭恵氏以外にいないから、国会は籠池氏と同じ条件で、つまり、偽証の責を負う証人として昭恵氏を召喚し、事実関係を確かめるのが筋である。この後で紹介するフェースブックへの書き込みでは、この場合、反証にならない。

菅官房長官の会見は昭恵氏がなすべき反証の代行にならない
 NHKほか報道機関は、「安倍首相、安倍夫人に確かめると、100万円の授受などないということだった」と語る菅官房長官の会見の模様を繰り返し伝えた。しかし、「という話だった」では伝聞に過ぎず、籠池氏の証言に対する反証に値しない。そのような官房長官の発言を、籠池氏の証言とペアで報道すること自体、おかしいのである。

 2人のほか、同行した昭恵夫人付きの政府職員の少なくとも1人は、終始、昭恵氏に随行していたと言うなら、その職員からも状況を聴けばよい。また、籠池氏の言うように、昭恵氏から100万円を受け取ったことを籠池氏がすぐに幼稚園の教職員に伝えたというなら、それら教職員からもその時の状況を聴けばよい。

 「証拠を出すのは不可能だけれど、事実でないものは事実でない」と語るのは、自分の主観を同義反復するだけで、「反証」ではないし、一考に値する「反論」にもならない。

 同じく24日、自民党の高村正彦副総裁は党役員連絡会で、「23日の証人喚問で明らかになったのは、籠池さんという方が、かなりの嘘つきであるということだけだ」と述べた。二階俊博幹事長も会合後の記者会見で、籠池氏について「予備知識もないので嘘つきと決めつけて踏み込んで申し上げないが、立派な人ではないということは、だいたい誰が見ても分かるのではないか」と述べた。

Photo_2
 世間話で、「お前は嘘つきだ」、「いや嘘つきはお前の方だ」とやり合うのを見かけることはある。しかし、国権の最高機関である国会に証人として喚問した人物を指して「かなりの嘘つき」、「立派な人ではない」と言い放つとなれば、それ相当の確証がなければならない。籠池氏の証言の個々の部分を捉えて虚偽というなら、それを裏付ける証拠をそろえてからだ。どの部分と限定せず、証拠も示さず、人格批判を展開するのは、それこそ籠池氏に対する「侮辱」である。
 
 では聞くが、高村氏、二階氏は籠池氏の証言の中で注目された「昭恵夫人付き政府職員を通じて、財務省国有財産管理室長の回答をFAXで受け取った」という籠池氏の証言、そのFAXに書かれた内容を「嘘」といえる証拠を持ち合わせているのか? 「昭恵夫人を通じて安倍晋三氏から100万円を受け取った」という籠池氏の証言を「にわかに信じがたい」と言うのならともかく、「嘘」と断言できる証拠を持ち合わせているのか?

 ちなみに私は、籠池氏の証言の中で、事実確認が必要な疑問点(安倍首相の名前入りの寄付金受付書を使った期間)もあるが、真実と受け取れる点(上記のFAXに関する証言)もある。また、今の時点では真偽を確定的に判断できない部分(100万円の授受など)もある。

「朕は真実なり」の独裁思考
 さらに、自民党の下村博文幹事長代行はこの23日、「首相あるいは官邸が昭恵夫人に確認したが、『寄付していない』と明確に言っている。本人から聞かなくても官邸がうそをつくはずがない」と語った。また、公明党の山口那津男代表も「事実がないものはない。これ以上やる必要はない」と述べ、昭恵氏の招致には応じない考えを示した。

Photo_3
  しかし、「首相、あるいは官邸がそういっている、官邸は嘘をつかない」と信じるのは下村氏、山口氏の自由だが、首相や官邸の言うことは国政調査権を超越した真実だとなれば、その限りでは国会は要らない。
 しかし、近代立憲主義、議会やメディアによる政権監視の思想の根底には、「人民にして政府を信ずれば、政府はこれに乗じ、これを信ずること厚ければ、益々これにくけ込み、もしいかなる政府にても、良政府などといいてこれを信任し、これを疑うことなくこれを監督することなければ、必ず大いに付け込んでいかがのことをなすかも斗り難きなり」(家永三郎編『植木枝盛選集』岩波文庫、1112ページ)という思想があるはずだ。

 「ないものを証明するのは悪魔の証明」と言いつつ、自分に歯向かう人物の言動となると、反証抜きで「嘘」と決めつける一方、時の政権トップや官邸の言説は証明抜きで「真」と断定して「聖域化」するのは、政権首脳を真偽の審判者だと公言する独裁政治の発想そのものである。

不可思議な昭恵夫人の反応
 「逆は真ならず」(ここでは昭恵氏の書き込みに不自然な点があるとしても、そこから反射的に籠池氏の証言が真と断定できるわけではない、という意味)というが、逆が真かどうかは確証がないとしても、ある発言の「確からしさ」に疑問を投げかけることはできる。それはどういう場合か?

 租税の世界では、「節税」か「脱税」かのグレーゾーンに相当する「租税回避行為」をチェックする際に、「通常の経済人の行為に照らし、不自然な行為」という見立てで特定の行為を観察することがよくある。ある商品を特定国へ輸出するにあたって、合法的な範囲内で税務上のメリットを考慮したうえで行われる通例の取引では見受けない異例な形式(例えば、第3、第4国を経由するような輸出)が行われた場合、無税または低税率の国を介在させたタックスヘイブン対策ではないかという疑念を持って、それぞれの取引の経済的実質をチェックするケースなどがそれにあたる。

 先日、籠池夫人と安倍昭恵氏が交換したメールが公表された。その中で、籠池理事長が昭恵夫人を通じて安倍首相から100万円を受け取った、と発言した直後の316日、昭恵氏は次のようなメールを籠池夫人に送っている。
 
 (A)「100万円の記憶がないのですが。」

 それから1週間後、籠池理事長が証人尋問で再度、同様のことを証言したその日のうちに、昭恵氏は自身のフェースブックにこう書き込んで反論した。

 (B)「私は、籠池さんに100万円の寄付金をお渡ししたことも、講演料を頂いたこともありません。」

 さらに続けて、昭恵氏は、そのとき、夫人付きの政府職員に席を外すよう指示したとの籠池氏の説明に対し、そのような人払いはしていない、そのことを当日、同行した職員2名にも確認した、講演の控室として籠池氏と向かい合ったのは籠池氏が言った園長室ではなく「玉座の間」だったと思うとも書き込んだ。

 しかし、(B)で昭恵氏が書き込んだように、100万円を籠池理事長に渡した事実などないと断言できるのなら、その1週間前に、なぜ、(A)のように自分の記憶を確かめるようなメールを籠池夫人に送る必要があったのだろうか?

 籠池氏が100万円の出どころと語った安倍首相は、317日の衆議院外務委員会で、「会ったこともない方に多額の寄付を私自身が行うということはありえない話で、妻や事務所など第三者を通じても行ってはいない」と明言し、みずからも昭恵夫人も寄付を行っていないと強調した。また、324日の参院予算委員会でも、前記のとおり、「事実と反することを述べたのは誠に遺憾だ」と反論した。

 こうした安倍首相の反論は、昭恵氏が、社交的なメールの文面とはいえ、「記憶にないのですが」と、いささか引けた表現をしたのとはずいぶんトーンが違っている。昭恵氏も安倍首相と同じ認識なら、きっぱりと100万円の寄付を否定するのが自然ではなかったか? 安倍首相も答弁したように、100万円という大金を持参したか否かは必死に記憶を辿らなければ確認できないような出来事だろうか? しかもそれは、10年前、20年前のことではなく、1年7カ月前のことである。昭恵氏は100万円相当の資金をたびたび他人に届けることがあって、個々の事例の日時、場所、相手方を定かに記憶できないような事情だったのだろうか?

 「昭恵夫人を通じて安倍首相から100万円をいただいた」という籠池氏の発言が事実無根なら、安倍夫妻を貶める発言であり、籠池夫人に記憶を確かめるまでもなく、昭恵氏は、直ちに籠池理事長に抗議をし、発言の撤回と謝罪を求めるのが普通ではないか?

 もう一つ、不自然なのは、かりに316日の時点で昭恵氏は真実、100万円を持参し、籠池理事長に渡した事実があったかどうか、記憶が定かでなかったとしたら、それから1週間の間に、なぜ、かくも断定的に100万円の授受を否定できるほど記憶が蘇ったのだろうか? その間に100万円の授受を否定できる物証が見つかったのなら、堂々と証人喚問に応じて、その物証を提出方々、籠池発言を否認すればよいのではないか?

〔付記〕323日の昭恵夫人のFB投稿は昭恵氏自身の原稿なのか?

 郷原信郎氏は、このFB投稿の文面をそれ以前の昭恵氏のFB書き込みと比較して、両者は多くの点で異なり、323日のFB投稿は昭恵夫人自身が書き込んで投稿したものかどうか疑わしいとし、その根拠を次のように記している。
 (以下、「郷原信郎が斬る」2017325日の投稿記事による。)

 

1)昭恵夫人のそれまでのFB投稿は、年号がすべて西暦表示、数字はすべて半角表示であるのに、323日のFB投稿では年号は元号、数字はすべて全角で表示されている。
 (2323日のFB投稿では、昭恵夫人が使うとは考えにくい、典型的な「役人用語」が多く使われている(「回答する旨」、「何らか」、「当該」、「書面でお問い合わせ」、「関与しておりません」など)。特に「旨」「当該」「何らか」などの言葉は、典型的な「官僚的、公用文書的表現」であり、そのような役人仕事、公的事務の経験がない昭恵夫人が書いた言葉としては違和感がある。

  こうした理由から、郷原氏は、籠池氏が証言した100万円の授受、ならびにその時の状況を完全否定した昭恵氏のFB投稿は、昭恵夫人自身がまとめて投稿したものではなく、別に作成された文書をフェースブックの投稿欄にコピー・アンド・ペーストしたのではないかと考えられる、と推論している。
 そのうえで、郷原氏は、内容面からしても、昭恵夫人自身が書いたものではない疑いがある、むしろ、証人喚問での籠池証言に対する「首相官邸側の反論ないし弁明」そのものであり、官邸側が作成して、昭恵夫人に投稿を依頼したのではないかとさえ思える、と論じている。

  かつて10年ほどの間、いくつかの中央省庁の審議会委員を務めた私の体験からいうと、郷原氏が指摘したように、霞が関の政府職員が書く文書では、数字は全角が通例で、半角を見かけたことはまずなかった。「・・・旨」、「当該」という用語も彼らの常用漢字の一つで、昭恵氏がそのような堅い用語を使うのは不自然に思える。

 

| | コメント (3)

ゼロ回答ではなく、「口利きの顛末」を報告した文書~安倍夫人付き政府職員発のFAX~

2017325

「忖度」か? 「ゼロ回答」か?
 23日に行われた森友学園・籠池理事長の証人喚問の中で、籠池氏が示した「籠池理事長宛ての安倍夫人付き官邸職員のファックス」(201511月送信)は森友学園の校地用土地取得への安倍夫人の関与を裏付ける数少ない物証として注目を集めている。
 というのも、安倍首相は森友学園問題をめぐる国会質疑の場で何度か、自分、自分の事務所、昭恵夫人が国有地の取得に関わっていたとなれば総理大臣も国会議員も辞めると明言してきたからである。それだけに官邸もこの文書の位置づけを薄めるのに躍起になっている。

 昨日(324日)の衆参予算委員会での質疑を見ると、野党議員はこうした官邸の公式見解を正面から質すには至らず、「忖度」を物語る文書だと追及するにとどまった。
 これに対して、安倍首相、菅官房長官は、「このFAXは籠池氏側からの問い合わせに事務的に応答した文書に過ぎず、内容もゼロ回答であって忖度では全くない」と口をそろえて説明している。

Photo
 忖度と言うなら、安倍夫妻が広告塔となったことで森友学園の案件が首相案件と受け止められ、さまざまな「忖度」を生んだことは官邸がどう言おうが政府職員の間では常識だろう。
 しかし、国会の場で「忖度があったのではないか」と質すことにどれくらい意味があるのか? 「忖度などありません」と答弁されたらそれまでだ。

FAX
の別紙に注目すべき
 そうした押し問答で終わらないためには、昭恵夫人付きの政府職員が籠池理事長宛てに送信したFAX の本文だけでなく、「別紙」を注目することが重要だ。この別紙とは昭恵夫人付き政府職員に宛てた「財務省国有財産審理室長・田村善啓氏からの回答である。ここには2つの注目すべき点がある。

Photo_3
 売却時の価格に言及~国有財産の売却に安倍夫人が関与した証拠~
 一つは次のような記述である。

「3 土壌汚染や埋蔵物の撤去期間に関する賃料の扱い
・・・・土壌汚染の存在期間中も賃料が発生することは契約書上で了承済みとなっている。撤去に要した費用は、第6条に基づいて買受の際に考慮される。」

 ここで注目されるのは、定期借地契約で謳われた買受特約を将来、森友学園が行使する場合、埋蔵物の撤去費用は買受価格から差し引かれることを籠池氏側に、この政府職員が伝えている点である。
 時系列でみると、森友学園が近畿財務局と当該土地につき、買受け特約を付けて10年を期間とした有償貸付契約を締結したのは2015529日だった。この時の不動産鑑定価額は93200万円とされていた。
 この返信FAXは、定借期間を10年超に延長してもらえないかという依頼だったが、昭恵夫人付きの政府職員からの回答は、それは難しいと「ゼロ回答」して終わりではなく、定借期間の延長の件とは別に、買受特約を実行した場合の価格にも触れているのである。
 森友学園が買受特約の実行を近畿財務局に申し出たのはそれから4カ月後の2016324日で、その13日前に森友学園は当該土地に杭打ちをした際、新たに地下埋蔵物が発見されたと近畿財務局に連絡していた。
 森友学園が定借から買受に転換した理由はまだ不明だが、201511月の時点で、昭恵夫人付き政府職員を通じて、財務局国有財産審理室長からの回答という形で、買受時には埋蔵物の撤去に要する費用が差し引かれると知ったことが買受への転換を判断する要素の一つになった可能性がある。
 その点は推測の域を出ないとしても、安倍夫人付きの政府職員が安倍夫人に寄せられた籠池氏の依頼を受けて財務局国有財産審理室長に問い合わせをした結果を籠池氏に伝えた文書の中で、将来の買受価格の算定に関する財務省の考え方が含まれていたことは、昭恵氏の関与が定借の条件変更にとどまらず、買受にも及んでいた事実を示すものであり、安倍首相が繰り返し否定した、「私の妻が国有地の売却に関与した」証拠として重大な意味を持つ

政府の予算措置にも言及した事実の重み
 安倍夫人付きの政府職員が籠池理事長に宛てて送ったFAXの「別紙」の中で、もう一つ注目すべき点は、森友学園が定借した国有地の土壌汚染と地下埋蔵物の撤去のために立て替えた13,000万円の精算の目途について次のように言及している点である。

 「4 工事費の立て替え払いの予算化について
 一般には工事終了時に清算払いが基本であるが、学校法人森友学園と国土交通省航空局との調整にあたり、『予算措置がつき次第返金する』旨の了解であったと承知している。平成27年度の予算での措置ができなかったため、平成28年度での予算措置を行う方向で調整中

 財務省国有財産室長名で森友学園に関わる政府の予算措置にも言及した情報が、安倍夫人付きの政府職員が籠池理事長に宛てて送ったFAXに含まれていたことは極めて重要である。このような回答が一政府職員からの問い合わせを介して、一民間法人たる森友学園の理事長に送られたのは首相夫人たる昭恵氏の肩書/関与抜きには考えられない。
 このことは、籠池氏が要望した定借期間の延長に関しては「ゼロ回答」だったとしても、森友学園が立て替えた工事費の精算については、予算措置で調整中という具体的な対応を伝えていたという点である、この点で問題のFAXは「ゼロ回答」でないのはもちろん、「事務的文書」でもなく、森友学園に対して財務省内の国有財産所管部署が、首相夫人付きの政府職員を介した森友学園からの要望に対して、様々に対応していた事実を示す証拠として重大である。

FAX
の「別紙」を見れば安倍首相の言いくるめは破たんする
 安倍首相は24日の国会答弁で、問題のFAXは「国有財産に関する問い合わせに対する一般的な内容である」と内容の重大性を薄めるのに懸命になっている。

Photo_2
 しかし、以上で紹介したFAXの「別紙」を吟味すると、財務省国有財産室長名の回答は、「国有財産に関する問い合わせに対する一般的な回答」どころか、定借期間の延長に関しては「ゼロ回答」でも、
 ①買受特約をする場合の売却価格に言及しており、その意味では国有財産一般ではなく、森友学園への当該土地の売却条件にも触れている。
 ②定借中に森友学園が行った土壌汚染、地下埋蔵物の撤去に要した費用の精算に係る政府の予算措置の見通しに言及している。この点でも、「国有財産に関する問い合わせに対する一般的な回答」どころか、昭恵夫人付きの政府職員を介した森友学園からの要望に対する財務省の具体的な対応を伝えた文書であることは明らかである。

 昭恵夫人付き政府職員から籠池理事長宛てに送信されたFAXの内容を以上のように検討すると、安倍首相自身の意思が働いていたかどうかは不明としても、首相夫人という肩書で昭恵夫人付き政府職員が財務省の国有財産所管部署に問い合わせをかけ、それに対して当該部署が当該職員を経由して籠池理事長に、将来の国有財産の売却条件まで触れた回答をしていた事実が明確になる。
 しかも、その売却条件というのが、8億円の値引きに繋がる埋蔵物撤去費用の扱いを伝えたものであったことは、昭恵夫人が「問題の国有財産の売却に関与していた事実」を具体的に示すものであり、安倍首相が国会で繰り返し明言した同氏の進退につながるといって差し支えない。野党は、今後、「忖度」云々の議論から脱して、物証のあるこの点を具体的に質していく必要がある。




| | コメント (1)

安倍夫人、松井府知事、迫田氏らも「証人」として喚問するのが筋

2017324
  

総理夫人となると腰が引けてよいのか
 昨日の籠池理事長の証人喚問の模様をテレビ中継で視た。各党の議員の質問には焦点のあてどころに大きな違いがあった。その後の各党、各種メディアの論調も、4時間以上の質疑のどの部分に焦点を当てるかで、違いがくっきり出た。

 自民、公明両党の議員の質問は国有地が異例の安値で売却された経緯を究明することよりも、「偽証罪に問われる」と念入りに迫りながら、籠池氏の言動の虚偽を暴くことが主眼のように見えた。
 野党の弁護士出身の議員、具体的にな枝野議員の質問には要所を押さえる場面がいくつかあった。特に枝野氏が、昭恵夫人付の政府職員から籠池理事長に届いた返信メールの性格について、
  籠池氏→昭恵夫人(留守電メッセージ)→秘書→財務省国有財産
  審理室長
→秘書→籠池理事長(昭恵氏にも同報)
という流れで籠池理事長のもとに届いたことを確認し、昭恵夫人の介在を明確にした点は重要だった。

 ただ、全体として個々の野党、特に民進党以外の野党に割り振る質問時間を倍以上に増やさないと十分な質疑には至らないことが明らかになったと思える。
 さらに目立つのは、「籠池劇場」などと森友学園問題を大きく放送してきたメディアやコメンテーターが、こと昭恵夫人の説明責任となると、「何らかの場での説明が必要」と腰が砕け、籠池氏と同等の「証人喚問を」とまで言わない点である。
 時の総理夫人となると腰が引けるのでは「自立した」メディアと自称できない。
 
誰に向かっていう質問か
 参議院での質疑の中で質問した公明党の竹谷けい子氏は、100万円の寄付金の授受の真偽に関連して籠池氏に、受け取った封筒は残っていないことを確認したうえで、礼状も出していない、100万円が入っていたという封筒も残っていないでは信用できない、と決めつけた。
 しかし、時の首相からの寄付者だとしたら、その場で謝辞を述べて後はそっとしておこうとしたとしても、格別、不思議ではない。1年半前の封筒が手元に残っていないからといって、それが寄付の授受の反証になるわけでもない。

 維新の会の下地議員は、籠池氏に対し、「松井府知事にハシゴを外されたなどと言うのは筋違い、自分ではハシゴから落ちたまでだ」と激しい口調で迫った。
 しかし、大阪府の異例づくめの森友学園の認可基準の緩和、1ヶ月の間に「認可保留」が「条件付き認可」に転じた異例の経過を究明するという本題に照らせば、「ハシゴ」談義は次のような松井知事の言動へと焦点を改める必要がある。
 繰り返しになるが、松井大阪府知事は次のように語っている(2013316日、TBSニュース23)。

 *「国の売り渡し審議会にかけるために府として〔認可の〕見込みを発表してくれと言われたから、あえて国からそういう形で府の私学課に何度も足を運んで・・・・」
 *「本当に国が〔土地を〕売るなら私学として〔認可は〕ありえると返事した。」

News23_20170316

 また、同じ316日に放送された『報道ステーション』は松井知事が次のように語ったと伝えた。

 *「安倍総理が総理大臣ですから、その奥さんが名誉校長をされている学校に対して、その申請に対してはね、受ける側の職員さんが、この申請がうまくいくようにね、いろいろと親切な対応をしたと。こういうふうにしてあげたほうが上司助かるんじゃないかと、勝手に思ってみんな人は動くものじゃないですか。」

Photo
 ここで、松井知事がいう「上司」とは誰のことなのか、自分もその中に入っていないのか、「親切な対応」とは何を指すのか、国が何度も足を運んで、そこでどのような議論が交わされたのか、国が何度も足を運ばなかったら府は認可をしなかったのか・・・国会が松井府知事を証人として喚問した時、下地氏は率先して、こうした論点を松井氏に質すべきだ。

通常の参考人招致では真相の究明は覚束ない
 昨日の今日、迫田英典氏(当時の理財局長)と武内良樹氏(当時の近畿財務局長)の国会招致が行われた。しかし、それは通常の参考人招致で、予算審議の過程で必要に応じて委員が参考人に質問を投げるという形式だった。
 実際の質疑をテレビ中継で見ると、2人は版で押したように、「当時、私どもはそのような協議は全く行っていない」、「政治家から何かを頼まれたことは全くない」の繰り返しで、実のある質疑はゼロに近かった。

 安易に「証人喚問」と言うのは控えるべきだが、「不正や刑事罰に関わることはしていないのに証人喚問に出ろというのはおかしな話だ」(安倍首相。24日の参議院予算委員会で)と言うのは身勝手も度が過ぎる。
 では、昨日の籠池氏の証人喚問は、同氏が不正や刑事罰に関わることをしたという確証が得られたから実施したのかというとそうではない。証人質疑の中で、籠池氏は幾度か、「その件は刑事罰で訴追される可能性があるので答弁を控える」と答えた。つまり、籠池氏が刑事罰の対象者かどうかは未定だ。広く「不正」というなら、当時の幾人かの政府・大阪府の職員にもその疑いが指摘されている。
 また、昨日の証人喚問で籠池氏は「刑事罰で訴追される可能性がある」として証言を拒んだが、その他の部分では多岐にわたる質疑が交わされ、いくつかの新しい事実も提出された。違法性が明らかでない人は証人として呼べないという理由は成り立たない証明になっている。

 私は籠池氏が押しすすめた時代錯誤の「教育勅語」すり込み教育を強く批判する立場である。しかし、私人たる籠池氏は「首相を侮辱した」として「証人喚問」を行う一方で、同氏の証言の信憑性を究明するために必要な相手方の昭恵夫人となると「証人喚問」を拒むのは全く道理から外れた、党略と数の力による議会の私物化である。これでは、「法の下の平等」さえ果たせず、「法治国家」の恥である。
 まして、籠池氏が本丸とは言えない国有地の格安売却に至る経緯の解明には、当時、この問題に関わった中央・近畿の関係省庁、大阪府知事・教育庁関係者の「証人喚問」が不可欠である。


| | コメント (2)

«「3.8mまで掘ったことは絶対ない」 業者、TBSでも断言