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NHK経営委員長の人事への安部政権の傲慢で違法な介入

 放送法を蹂躙する政府の越権的介入
 5月18日の各紙が、政府は空席になっているNHK経営委員長に富士フイルムホールディングス社長の古森重隆氏を起用する方針を固めたと報道したのを見て唖然とした。
 しかも、新聞報道によると、古森氏は安倍首相を囲む経済人の集い「四季の会」のメンバーの一人で、「菅義偉総務相のリストには古森氏の名前はなく、首相人脈による『政治任用』」(『日本経済新聞』5月18日)といわれ、「首相の強い意向(政府関係者)で最終的に受諾した」(同)と伝えられている。

 この問題を論じる前に、NHKの経営委員の選任方法はどうなっているのかを確かめておきたい。経営委員会の組織について定めた放送法第15条の2は経営委員長の選任について次のように定めている。
  「第15条 2 経営委員会に委員長1人を置き、委員の互選によっ  てこれを定める。」

 とすれば、政府が経営委員長の人事権を持っているかのような傲慢な態度で、個人名まで挙げて人選に口出しするのは傍若無人の違法行為といわなければならない。
  
政府の違法な介入を追認報道するメディアの体たらく
 それにしても、一見して明白な政府のこうした違法行為に一遍の批判を向けることもなく、
  「政府は・・・・NHKの経営委員会の新しい委員長に・・・・古森重  隆社長を起用する方針を決めた。今国会で経営委員に就くことに同 意を得られれば、6月にも正式に就任する」(『朝日新聞』5月18日朝 刊)

  「政府は・・・・NHKの次期経営委員長に・・・・古森重隆社長(67)  が就任する人事を固めた」(『日本経済新聞』5月18日朝刊)

  「政府は18日、NHK経営委員会の新委員長に古森重隆・・・・社   長を就任させる人事を固めた」(『毎日新聞』5月18日夕刊)

など、経営委員長の人選は政府の意向で決まりかのように追認報道するメディアの体たらくにはあきれるばかりである。NHKの最高意思決定機関の長が政権トップの腹積もりで決められようとしている事態を無批判に報道する全国紙に、政治からのメディアの自由・自立を語る能力があるのか、はなはだ疑問である。

 経営委員会は自らの存在意義を賭けて政府の介入を拒否すべき
 こうなると注目されるのは、政府に自らの人事権を蹂躙されたのも同然の経営委員会の対応である。自分たちを任命した政府が推す委員長候補とあっては逆らえないとすんなり追認するようでは経営委員会は、政治的圧力からNHKの独立性を守る砦どころか、自らが政府からの独立性を失墜させることになる。これでは、経営委員会に監督されるNHKも時の政権の御用聞き放送局になりかねない。
 18日の新聞報道に唖然とした各地の市民団体は今、政府あるいは経営委員に対して、抗議や申し入れの準備を進めている。

富士フィルムホールディングスはNHKと緊密な取引関係にある
~古森氏の経営委員への就任にも強い疑問~

 以上は古森氏の経営委員長への就任をめぐる議論である。しかし、古森氏が社長を務める富士フィルムホールディングス傘下の企業とNHKの関係を調べて見ると、経営委員長以前に、同氏の経営委員としての適格性に強い疑義が出てくる。

 放送法第16条の4項は「次のいずれかに該当する者は、〔経営〕委員となることができない」として7項目を列記しているが、その5項目目で次のように定めている。
  「放送用の送信機若しくは放送受信用の受信機若しくは販売業者又はこれらの者が法人であるときはその役員(いかなる名称によるかを問わずこれと同等以上の職権若しくは支配力を有する者を含む。以下この条において同じ。)若しくはその法人の議決権の10分の1以上を有する者<以下、省略>」

 ところが、古森氏が社長の職にある富士フイルムホールディングス傘下の企業とNHKの関係を調べると、両者には次のような取引関係があることがわかる。

 ①放送用ビデオテープの納入(1963年以降)
   http://www.fujifilm.co.jp/history/dai3-18.html
 ②ハイビジョンカメラ用レンズの開発・納入
   http://www.fujinon.co.jp/jp/products/tvlens/history.htm
     1979年にNHK技術研究所から次世代高品位テレビ(現在のハイ  ビジョン)カメラ用レンズの開発要請を受けたもの。
 ③NHKと共同開発でオートフォーカスシステム搭載のハイビジョン   用ズームレンズを開発・納入
   http://www.fujinon.co.jp/jp/news/n_040415.htm
 ④プレシジョンフォーカスTVレンズの開発・納入
    http://www.fujifilm.co.jp/corporate/aboutus/pdf/tech/ff_rd051_008.pdf
   この中の「7.運用実績」の項を見ると次のような記述がある。「2004年秋から販売を開始したPFレンズは、NHKや国内の民放キー局、地方局をはじめ、海外でも2006年FIFAワールドカップ、トリノ五輪、2008年北京五輪を控え受注台数が増加しつつある。」

 こうした取引関係が放送法第16条4項第5号で掲げられた要件にあてはまるかどうかは別途検討が必要だろう。しかし、同条同項の趣旨がNHKと利害関係にある者を経営委員から排除する点にあるとすれば、古森氏が経営委員としての適格性を満たしているのか、はなはだ疑わしい。  

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