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NHK経営委員長人事への政府の違法な介入を追認し免罪する報道人の腐食したジャーナリズム精神

  5月25日夜、知人から、今朝の『朝日新聞』にNHK新経営委員長云々の記事が載っている、という連絡をもらった。朝方、あわただしく主要記事に目を通すだけだったので、あわてて紙面を繰ると27面に、「試される経営委員長の手腕」という見出しで菅野俊秀氏筆の囲みの記事が載っていた。
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そして、読み進むにつれ、知人がいわんとしたことがわかった。

 経営委員長の選出方法をなぜ示さないのか?
 記事は、「NHK経営委員会の新委員長に、富士フィルムホールディングスの古森重隆社長が内定した」という書き出しで始まっている。それに続く文中でも、「新委員長」という表現が2度登場する。記事の趣旨は、見出しの通り、「NHKの新経営委員長に内定した古森氏が課題山積のNHKの職務の執行を監督する経営委員会の長として、いかに手腕を発揮するか」を問うというものである。

 この記事のそもそもの問題は、さりげなく記された次の一節にある。

  「経営委員は国会の同意を得て首相が任命する。同委員会の権限強化は、政府の影響力が増す恐れも指摘されている。」

 放送法を知らない人が読むと、「そんなものか」で終わりそうである。しかし、このブログの直近の2つの記事をお読みいただいた方なら、「あれ」と感じられたのではないだろうか? くどいようだが、NHKの経営委員ならびに経営委員長の選任方法を定めた放送法条文を再掲しておく。

  「第15条2 経営委員会に委員長1人を置き、委員の互選によってこれを定める。」

  「第16条1 〔経営〕委員は・・・・・・両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。」

  上の記事で菅野氏が取り上げているのは経営委員の選任ではなく、経営委員長の選任であり、新たに政府が古森重隆氏を委員長に起用する方針を固めたという報道を受けた論説である。とすれば、菅野氏は経営委員の選任方法を定めた放送法第16条1ではなく、経営委員長の選任方法を定めた同法15条2を示すのが道理ではなかったのか? 現に、NHK経営委員会は放送法第15条第2項の定めに従い、新しく選任される経営委員も含めて6月に開催される委員会で、新経営委員長を互選することになっている。

政府の違法な人事介入を追認し免罪するジャーナリズム精神の腐食現象
  いずれにしても、政府あるいは安倍首相が経営委員長就任含みで古森氏を経営委員に選任しようとするのであれば、それは政治権力を笠に着た傲慢かつ違法な政治介入というべきものである。こうした政権中枢の動きを論評抜きに、「新経営委員長内定」と報道するのでは、政府の違法行為を追認し免罪するに等しい。報道関係者から聞くところでは、5月18日に各紙がいっせいに掲載した「新経営委員長内定」の報道は官邸情報に基づく記事であるらしい。

 権力を監視する使命を負い、政治との距離に敏感であるべき報道人が、時の政権トップが公共放送の最高意思決定機関の長を直々に任用しようとする異常な状況を追及しないばかりか、政権中枢からの「おこぼれ」情報を無批判に垂れ流すのでは、政府広報とどこが違うのか? ジャーナリズム精神の腐食現象をまざまざと見せつけらる一齣であった。

 「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」は、この事態を重く見て、近く、全国紙各紙と菅野氏宛てに公開質問書を出し、文書での回答を求める準備をしている。

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