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不公平な政見報道に対する抗議と予防的申し入れ

 1ヶ月近く更新が滞ってしまったが、この間、掲載したい題材は山積している。取り急ぎ、私も参加している「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」が「NHK問題を考える会(兵庫)」と連名で、今日(7月11日)、不公平な政見放送を行った民放3局宛てに送った抗議声明を掲載する。このほか、当会と兵庫の会は、同日、他の報道機関(NHK、全国紙、民放各社)にも政治的に公平な報道を求める申し入れ書を送った。

 なお、民放3局に対する抗議の文書の末尾に記しているように、3局が当会の要求に応じない場合は、BRC(報道と人権等権利に関する委員会)に苦情の申し立てをする予定である。

 下記の文書の後に、私のコメントを掲載したので、併せてご笑覧いただけるとありがたい。

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                           2007年7月11日

    放送法第3条に反した報道に対する緊急抗議声明

 日本テレビ 御中
 ラジオ日本 御中
 テレビ東京 御中

                      NHK問題を考える会(兵庫)
              NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ

 日本テレビ、ラジオ日本、テレビ東京の各局は、7月5日から6日にかけて、自由民主党総裁である安倍晋三首相のみを生出演させ、その主張を自由に述べさせました。参議院議員選挙という民主主義の根幹をなす選挙を目前に控えたこの時期になされた本報道が国内放送の編集等について、放送事業者に対して課した規定「放送法第3条の二第1項 二 政治的に公平であること」に違反し、一党に偏したものであることは明白であり、当会はここに強く抗議します。

 そもそも、放送メディアが、数千万の市民に、同時一斉に言論・情報を提供する媒体の独占・寡占を許すのは、放送法に従った報道の遵守が確約されているからです。本件は上記3局がこうした放送メディアの使命を没却した蛮行であり、とうてい認めることは出来ません。直ちに自由民主党以外の政党に謝罪すると共に、各政党の党首を生出演させ、同様の意見表明の場を提供するよう要求します。

 なお本件は、「放送と人権等権利に関する委員会(BRC)」が定めた「公平・公正を書いた放送により著しい不利益を被った」に相当する報道と判断し、当会の要求が受け入れられなかった場合は同委員会に苦情申立をいたします。

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(コメント)

 そもそも「言論の公共空間」としての公共放送・メディアの根幹的使命は、市民が政治・社会のあり方を思索し、有権者として事情に通じた意思決定をするのに必要な知見を提供すること、異なる意見が交わる場を提供し、思考の可塑性を保つのに貢献する点にある。

 いわゆる「従軍慰安婦」問題や第二次大戦末期の沖縄での集団「自決」強要問題などを歴史教科書から抹消しようとするわが国政府の策動や、プレスコードによって原爆被害の実態を伝えることを禁じた占領期のアメリカ当局の出版・報道統制は、市民が世代を超えて歴史認識を継承・共有し、連帯するのを寸断しようとする野蛮な行為にほかならない。

 「押し付け憲法」論や「戦後レジームからの脱却」などという一部の政治家の戯言も、歴史認識の世代間分断を図り、それを拠り所にして、主権者たる市民を「自分の思い」に沿う方向に誘導するための傲慢で悪質な政治的レトリックといわなければならない。

 むしろ、市民が国境と世代を超えて、戦争と平和の歴史、現代の政治・経済・社会等をめぐる根幹的な事実を共有しあい、異質な思考と交わる機会を保ってこそ、各人の思考の固定化(少数派が陥りがちな引き籠もり的独善主義も含め)を防ぎ、理性を共通の基盤にした対話を成り立たせることができるのである。

 その結果、今日の少数説が明日は多数説に入れ替わる可能性も担保し、多数説と少数説が互いに切磋琢磨して社会全体の理性の水準を底上げするーーこうした民主主義の成熟に寄与するところに、不特定多数の市民に同時一斉に言論・情報を提供できる媒体の寡占を許されたメディアの使命があることを、報道と言論に携わる関係者は銘記すべきである。

 上記のような特定の政党を引き立てる偏向した報道のみならず、有権者の「関心」に応えるという標榜の下に、「政権交代」が国政選挙の焦点かのように描き、2大政党・党首の動静を別格扱いする報道にも、上記のようなメディアの使命に照らして、厳しい批判の目を注ぐ必要がある。

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