視聴者コミュニティ、NHKの次期経営計画について意見を提出
NHKは次期経営計画(2008~2012)についての意見募集を8月31日で締め切る。これについて、私が共同代表を務める「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」(以下、「当会」という)は、呼びかけ人と運営委員で協議をして下記のような意見をまとめ、8月30日、郵送で提出した。
http://sdaigo.cocolog-nifty.com/nhk_keieikeikaku_nitaisuru_iken_community20090830.pdf
詳細はこの全文をご覧いただくようお願いして、以下に要旨を摘記しておきたい。
(1)NHKが5ヵ年計画で重点的に取り組む放送サービスについて
この項については、まずはじめに、NHKが「高いジャーナリズム精神」を謳いながら、その中枢的役割である「権力を監視する機能」をいかに遂行するのかについて何も触れていないことを批判している。その上で、具体的に次の4項目の番組作りを要望している。
①時の政府の意向・意図を監視する戦争・戦地報道
NHKの報道番組では、イラクのサマーワからの陸上自衛隊の撤退報道が目立ち、その一方で日本の航空自衛隊の対米軍協力が拡大している実態がほとんど伝えられていない点を踏まえた意見である。
②国会審議の解説・討論番組
昼間の長時間の国会中継をなかなか見られない視聴者のために、夜の時間帯に「今日の国会」(仮称)と題して、その日の国会で何が審議されたか、どのような問題点が浮かび上がったかなどを討論をまじえて解説・放送するよう、要望したものである。
③現代史をテーマにした大河ドラマ
NHKの大河ドラマというと、戦国武将の波乱の生涯や明治期の志士の群像を描いたドラマが定番になっている。しかし、「視聴者の選択と判断のよりどころとなる番組」というなら、日本が関わった近現代の侵略戦争・植民地支配の実態、東京裁判の実態と評価、現憲法の制定史、敗戦後の占領政策の実態など、若者に限らず、多くの日本人が知っているようで実はよく知らない、これからの日本の進路にも関わる現代史上のテーマを取り上げるよう要請したものである。
④核戦争の危険に通じる地球規模でのエネルギー危機を考える番組
これは、30~50年後に地球が直面すると警告されているエネルギー危機、そしてそれが引き金となって勃発の危険が指摘されている資源争奪戦―→核戦争の危機をいかにして回避するのかという大きなスケールの番組を編成し、英語同時通訳付きで放送するよう要請したものである。
(3)5ヶ年の新規投資と経費削減計画について
NHKの経営計画ではオリンピックやワールドカップなどの豪華主義、イベント主義に彩られたハード面への投資に傾斜している。この点を批判し、NHKが視聴者に誠実かつきめ細かに対応するために必要なソフト面への投資を充実させるよう要望していている。
また、2011年のアナログ放送停止、デジタル化への移行に伴って「テレビ難民」が生じないよう、生活困窮者に対してNHKが責任をもって「変換チューナー」を提供する費用を確保するよう求めている。
(4)受信料公平負担の徹底に向けた取り組みや“還元”の考え方について
これについては、まず、様々な問題があるにしても、NHKが政治的商業的圧力を排除して権力を監視し、良質で多様な番組作りをする財務的基盤を確保するため、受信料制度を今後も維持していくよう求めている。
最近、議論されている受信料の値下げ論について、今、多数の視聴者がNHKに求めているのは、受信料の水準の是正というよりも、公共放送らしい権力を監視する役割、良質で多様な番組作りであることを指摘し、はじめに値下げありきの議論、ましてや、受信料の義務化とセットの値下げ論には強く反対すると記している。
その上で、一律の値下げの前に、病弱の高齢者、心身障害者、母子家庭の視聴者などへの受信料減免枠を拡大するよう要望している。
NHKが進めようとしている訪問集金の廃止については、集金費用を一律に無駄な経費と決め付けるのではなく、「NHKを支える視聴者の声を聞く必要経費」と捉え、訪問集金を存続するよう求めている。
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