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生活保護の申請拒否を「辞退」と伝えたNHKの体質

 高知の方から届いたNHKのいじめ報道への疑問

 昨日、高知県のAさん(面識なし)から電話をもらった。用件は、神戸の某私立高校における生徒の自殺事件を伝えた9月17日夜11時のNHKニュースについてだった。Aさんが問題にしたのは、ニュースの中でNHKが学校側あるいは警察情報をそのまま受け取り、自殺した生徒と金を要求した生徒を「普段は仲がよかった」と伝えたことである。「なぜ一方サイドの見方だけを伝えるのか? いじめられた生徒の実情を知る関係者、友人の見方もなぜ併せて伝えないのか?このような報道の仕方がいじめの実態を見過ごす、過小評価する、さらには見て見ぬふりをする風潮を助長するのではないか?」というのがAさんの意見だった。

 私はこのニュースを視ていないが、AさんはすぐにNHK視聴者センターとBPOに質問、連絡をしたそうだ。
 「NHKはどう答えましたか?」と聞くと、「私たちは警察情報をそのまま伝えるしかない」ということだったそうだ。BPOは「私たちはそういう問題は取り上げられない」との返事だったという。

 NHKの見解をもう少し詳しく聞く必要があるが、こうしたいじめ事件を取り上げるメディアの報道には、「当事者同士は普段は仲がよく、いっしょに遊ぶ仲間だった(と聞いている)。なぜ、こんなことになったのか見当がつかない」といった学校関係者の声をそのまま流すのが恒例になっている。これだと、ちょっとした悪ふざけが大きな事件に発展したといわんばかりの物言いに聞こえる。しかし、中には、「放課後に呼び出されて脅かされていた」といったような親しい生徒の証言を伝えるメディアもある。また、子供からいじめの模様を知らされ、心配になって学校あるいは警察に連絡したが有効な対策を取ってくれなかったという保護者の声が伝えられることもある。学校・警察側と生徒に近い関係者の状況認識や言い分にギャップを感じさせらる場合が多い。

 NHKに限らず、すべてのメディアは「いじめに遭っている被害者の本音は聞こえにくい、という当たり前のことを銘記した取材・報道がなぜできないのか? 学校サイドや警察の建前会見を伝えて事足りとするのでは、「マスコミあって、ジャーナリズムなし」である。

理不尽な生活保護の拒否を「申請辞退」と伝えたNHKニュースの体質

 Aさんの話しを一通り聞いた後、私から次のような感想を伝えた。「同じような感想を私も持ったことがあります。先月、北九州市で生活保護を打ち切られた人がその直後に自殺するという事件が起こりました。その日の夜7時のNHKニュースは冒頭で、『申請を辞退した人が』と伝えました。これも弱い立場にある人間のうわべの言葉を右から左へ流すだけの行政加担報道と思えたので、すぐにNHKへ異議を伝えました。」

 この件については、昨年も北九州市で同様の事件が起こっている。それを機に昨年10月に弁護士、研究者、住民ら300人が参加した調査団が同市を訪れ、3日間に渡って生活保護行政の実態調査を行っている。そこでは、厚労省も容認した、申請時に弁護士が同席することを北九州市が拒んでいる点などが問題にされた。

 今回も申請者の就労可能性について、主治医は「仕事をしていいとは言っていない」と語り、行政側の言い分と食い違いが出ている。事件後、不本意に申請を拒まれたことに対する怒りを記した申請者本人の記録も発見されている。こうした事実経過を踏まえ、事件後、弁護士らが理不尽な生活保護行政を告発する訴訟を起こしている。

 こうした事件の背景をNHKが知らないはずはない。その上で、ニュースの冒頭で「申請退」者と表現したことは、言葉の選択の次元の問題ではなく、時の政治・行政を監視するというメディアの使命をNHKがなにほど自覚しているかが問われる深刻な問題といわなければならない。

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