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市民の手でNHK会長を――その可能性は消えていない――

迷走するNHK会長人事

 
【追補】 

 今朝(12月17日)の『毎日新聞』24面に、「混とんとするNHK会長後任選び」という見出しの大きな記事が掲載されている。それによると、古森氏は経済界を中心に、これまでに2けたに上る候補者にあたったというが、誰も引いてしまって引き受け手が見当たらないという。その理由の一つに、「選挙期間中の歴史ものの放送はご注意願いたい」、「NHKの番組はあまり見ていない」という古森氏の一連の配慮を欠く発言を知って、「誰も古森さんの下で会長をやろうという気にはならないはずだ」と離れてしまったという。

 それだけではない。記事によると、11月27日の指名委員会で古森氏や多賀谷氏(委員長代行)は、前海老沢会長側近の元理事の返り咲きは認めないと決定したにも関わらず、それを記者に公表しなかったことに批判を浴びたという。さらに、記事はこう書いている。

 「『古森委員長中心の議事進行に不満が爆発。あきらかに潮目が変わった』と、求心力低下を指摘する声も出ている。」

 「さらに今月13日の経営委員会では、委員から『非公開となっている指名委のやりとりの議事録を公表すべきだ』との要求が出され、不信感が残っていることを印象づけた。」

 「会長の任命には、経営委員12人中9人以上の議決を経なければならない。古森委員長の“意中の人”が選ばれるまでには、委員との関係修復も求められそうだ。」


J-CASTニュースは昨夜(12月16日)18時3分に次のような見出しのニュースを配信した。

「西室氏ら財界人が次々固辞 NHK次期会長人事が迷走」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071216-00000001-jct-bus_all

 その中で、「NHK会長は外国へ出かければ国賓待遇だが、年収は3千万円弱と低く、国会答弁など難儀で忙しい。さらに、最近、経営委員会の力が強まって、会長になっても財界では格下の古森委員長の下で働く形になる。そうなると、大物財界人のなり手はいなくなる」という政治部デスク子の解説が引用されている。

 すでに、このブログでも伝えたが、NHK会長任命権を持つ経営委員会の古森委員長は12月13日の会合後の記者会見で、現NHKの会長以下役員は次期会長候補から外し、今後は経済界の中から人選をすることで委員の意見が一致したと発表した。

財界人でないとできない「骨太の改革」とは何なのか?

 上記のJ-CASTニュースが事実とすれば、こうした経営委員会(あるいは古森氏個人?)の意向通りに事が進んでいないことを物語っている。格の上下にこだわる人物はご免こうむりたいが、そこまでして古森氏が経済界の人物にこだわる理由は何なのか?

 古森氏は上記の記者会見の場で、「公共放送の質を高めるのが一番大事」(『朝日新聞』2007年12月14日)と発言している。では、この一番の課題を成し遂げるのに、なぜ財界人が会長に適材なのか、なぜ、放送・言論人として見識と実績を備えた人物を基本に人選しないのかーーーこの点を経営委員会あるいは古森氏は視聴者、NHK職員にむかって明確に説明する責任がある。

NHKに「筋肉質」を求める古森氏の品格が問われている

 「公共放送の質を高めるのが一番大事」と言いながら、古森氏が会長候補として財界人にこだわる理由は、上で引用した発言に続く次の言葉に凝縮されている。

 「(NHKを)もっと経営らしい経営で筋肉質にする必要がある。マスコミのエキスパートではなくても、経営者としての実績があり、しがらみがない人がいい。」(『朝日新聞』同上。ゴチック体は醍醐の追加)

 「NHKの経営を筋肉質にする」と聞かされると、たいていの人は??ではないか。古森氏は学生時代、スポーツに熱中した青年だったそうだ。しかし、NHKが手がける放送事業は筋肉質なり筋力が物を言う事業ではない。

 もっとも古森氏がいう「筋肉質」を忖度すると、「肥大化した」NHKをスリムにするという意味だと想像できる。私もNHKを取り巻く多くの関連会社が手がける事業の中に受信料で賄うのが適切かどうか洗い直しが必要な事業があると考えている。

 しかし、公共放送は視聴者・市民に多角的な知見や教養、娯楽を提供することを使命としている。そこではたとえ高い視聴率が見込めない番組であっても、わけ隔てなく放送することが求められている。娯楽番組は公共放送の守備範囲外だといってスリム化せよとか、チャンネルを民放に明け渡して競い合えなどという竹中流の発想は公共放送の文化的役割をわきまえない議論である。もっとも、それ以前に電波の希少性が薄れた今日、NHKが保有するチャンネル数の削減を議論することにどういう意味があるのかを考える必要がある。

 それにしても、「どんと踏み込む力」、「決断する力」でNHKの抜本的改革をと連呼し、NHKの経営を「筋肉質」にと粗野な発言を言い放つ古森氏が、自分と息の合う財界人を会長に選び、二人でタッグを組んでNHKを混ぜかえしたら、いったいNHKはどうなるのか――こういう見通しを冗談ではなく、真面目に憂慮しなければならない状況にあると私は考えている。

 その後も寄せられる文化人からの賛同
――原さん、永井さんの推薦運動をあきらめず――


 しかし、NHK会長の人選が古森氏らの思惑どおりに進まず、迷走しているという状況は公共放送のトップにふさわしい人物を会長に選ぼうという市民の側からの運動にまだまだ可能性が残されていることを意味している。

 幸い、原寿雄さん、永井多恵子さんをNHK会長にという呼びかけに賛同し、お二人をNHK会長候補に推薦するという文化人の声がその後も、「原さん、永井さんをNHK会長候補に推薦する会」に寄せられている。以下、最近届いた3名の方のメッセージを紹介しておきたい。

湯川れい子さん(音楽評論・作詞家)のメッセージ

 「永井さんはよく存じ上げております。芸術への造詣も深く女性のためのリーダーとしても心強い存在です。ぜひ会長になっていただきたい人材だと思っています。」

山口みつ子さん(〔財〕市川房枝記念会常務理事)のメッセージ

 「永井多恵子氏と原寿雄氏の会長候補に賛成します。特に永井氏は見識が高く、又、女性たちは男女共同参画の必要から、最も適切な候補と存じます。」

池辺晋一郎さん(作曲家)のメッセージ

 「長くNHKで仕事をさせていただいてきた者としてNHKの未来に期待し、その明るさを信じています。だからこそ、このお二人なのです。」

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