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疑問山積のNHK・産経新聞社ほか共催の天皇・皇后祝賀コンサート

そっけないNHKの回答、その裏に不可解な事実が
 さる43日付けで「NHK問題を考える会(兵庫)」と「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」が連名でNHK福地茂雄会長宛に提出した「『天皇・皇后成婚50周年・即位20周年記念コンサート』の企画に関する質問ならびに参画の取り止めを求める申し入れ」に対し、NHKから410日付けの回答が13日に届いた。その全文は次のとおりである。

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  一見してそっけない回答である。「クラシック音楽を愛する多くの視聴者にご満足いただける内容」といわれると、天皇・皇后の成婚と即位の節目を祝うという催しの趣旨がまるでなかったかのように聞こえる。また、回答を求めた5項目の申し入れについて、「その内容を拝読させていただき、貴重なご意見として承ります」と受け流すのは、いかにも慇懃無礼な返答である。
 しかし、それでも、開催費用はどこから捻出されるのかという問いに対し、産経新聞社が集める協賛社からの協賛金により賄われることを明らかにした。また、これまで「未定」としてきた記念コンサートの放送を516日と公表したのも今回の回答が初めてではないかと思われる。
 しかし、注意が必要なのはそれだけではない。平静さを装った回答の陰に次のような不可解な事実が見え隠れしている。

1.自ら実行委員会に加わり、「クラシック音楽を愛する多くの視聴者にご満足いただける内容」と自負するにもかかわらず、NHKのホームページにアクセスしても、コンサートの<イベント・インフォメーション>のサイトにたどりつくのは容易でない。「日本を代表する音楽家たちが一堂に会する希少な」企画と銘打ちながら、積極的に広報をしないのはどうしたことか?

2
.開催費用は協賛社により賄われるという。しかし、NHKの<イベント・インフォメーション>には、主催団体、後援団体、協力は明記されているが、協賛社がどこにも記載されていない。ちなみに、産経新聞社のHPには「協賛 各社」と明記されている。

3
.今現在、NHKの<イベント・インフォメーション>にアクセスすると、次のとおり、主催者欄には「記念コンサート実行委員会」と表記されているだけで、310日付けの記事に記載されていた主催者団体名(日本クラシック音楽家協会、産経新聞社、NHK、NHK交響楽団)が消されている。
http://pid.nhk.or.jp/event/PPG0020201/index.html

 これは何を意味するのか? ちなみに、NHKマルチメディア局編『協業の手引き』(平成14年ごろ編集)によると、「実行委員会方式のイベント」と題する項の中で次のように記載されている。

 「主催同様、公共放送として特別な判断がある場合を除いて、分担内容が明確でない構成団体として、NHKが実行委員会に参加することは避けるべきである。」

 この規程に照らして、今回の記念コンサートにはいかなる「公共放送として特別な判断」があったのか、NHKに明確な説明が求められる。

附帯業務と本来業務の主客転倒
 今回の回答でもっとも<苦心の跡>が窺えるのは次のくだりである。

 「このコンサートは、日本を代表する音楽家たちが一堂に会する希少なもので、芸術性も極めて高く、クラシック音楽を愛する多くの視聴者にご満足いただける内容であると判断し、NHKでは放送番組で紹介することにいたしました。」

 NHKはこのくだりのすぐ後で、「NHKによるコンサートの主催は、放送法第9条第2項のうち放送附帯業務として実施するもの」と回答している。「附帯業務」とは、NHKの本来業務のほかに、放送法第7条で定められた目的を達成するために認められた業務である。具体的には、NHKが放送した番組及びその編集上必要な資料を電気通信回線を通じて一般の利用に供すること、既放送番組等を、放送番組を電気通信回線を通じて一般の利用に供する事業を行うものに提供することなどをいう(放送法第9条第2項第2号、第3号)。

 つまり、NHKは既放送番組の二次的利用、番組の制作・編集上必要な資料を一般の用に供する業務などを附帯業務として行うことを認められているのである。ところが、上で引用したNHKの回答からいうと、初めにコンサートありきで、放送することを決めたのはその後ということになる。現に、NHKが<イベント・インフォメーション>をHPにアップした3月10日の時点ではコンサートの放送日はもとより、放送予定日も記されていない。「こっそり」やる企画だったので、もともと放送するつもりはなかったが、最近になって急に「上から」放送現場に対し、「コンサートを収録して放送せよ」という指示が出たという情報もある。つまり、放送法が定めた附帯業務から逸脱したイベントを、放送法をクリアする催しとして取り繕う苦肉の策といえよう。しかし、これでは「放送に附帯するコンサート」ではなく、「コンサートに附帯する放送」という本末転倒の関係になり、放送法が定めた附帯業務を逸脱する行為であることを示唆したといえる。

 また、コンサートの企画が先にあって、後から放送予定が決まったいきさつから言えば、コンサートが特定の番組の素材として必要であったという説明も成り立たない。番組素材として必要ならコンサートの企画に先立って番組の企画があるはずだからである。

子会社の附帯業務を媒体にした事実上の政府広報
 昨年822日の『朝日新聞』1面に「NHK、政府主催のシンポ放送 子会社受注表示せず」という大見出しの記事が掲載された。それによると、NHKの子会社3社(NHKエンタープライズ、NHK情報ネットワークなど)が政府省庁あるいは各省庁所管の独立行政法人や社団法人などからシンポジウムの運営を受託し、後日、これら子会社が制作した番組をNHKが教育テレビ「日曜フォ-ラム」や衛星第2テレビの「BSフォーラム」で全国放映したという。これについて、本ブログでも記事を書いたので参照していただけると幸いである。

子会社を隠れみのにして政府広報に加担するNHK(2008914日)
http://sdaigo.cocolog-nifty.com/blog/2008/09/post-1851.html


 この例のように、NHKの関連企業が政府・省庁が主催する各種イベントの運営を受託し、それを題材にして関連企業が制作した番組を後日、NHK本体が放送するというケースは各省あるいはその外郭団体をスポンサーとする事実上の政府広報番組を意味する。関連企業を介在させることによって、NHK本体と政府の結びつきをカムフラージュし、実質的な政府広報に手を染めるNHKのイベント事業には監視の目を光らせる必要がある。

<付記:次の記事でこの記事の続編を書く予定である。あわせて一読いただけると幸いである。>

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