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鉄線によせて

 だいぶ前のことだが今年もわが家の道路沿いの生垣と庭の隅に色違いの鉄線が咲いた。

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 鉄線は中国産の落葉つる科植物でヨ-ロッパ産のクレマチスの改良交配種だそうだ。強靭なつるが延びていくことから子孫繁栄の文様とも言われる。以前、犬の歌を選ぶ時に参考にした千勝三喜男編『現代短歌分類集成―
20世紀“うた”の万華鏡』(2006年、おうふう)の植物編を見ると、鉄線、鉄線花を詠んだ短歌12首が収録されている。

  梅雨の庭おぼおぼしきに鉄線蓮(てっせん)の花見えてゐてまた降り  こめぬ
                          北原白秋

  鉄線がするどく天へのぼる夜半わすれがたしも虚仮(こけ)のむらさ  き
                          永井陽子

 しかし、この集成に収められた12首にはないが、鉄線を季語にした短歌のなかで好きなのは次の歌である。

  鉄線花むらさき沁みる家垣に二人となりし夕餉整ふ

                          森 淑子

 連れ合いに作者のことを尋ねると書棚から『戦後歌人名鑑』(増補改訂版、1993年、短歌新聞社)を出してくれた。それによると森淑子さんは昭和5年生まれ、雙葉高女時代から作歌し、結社「をだまき」に入社、とあった。

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視聴者コミュニティ、BPOの意見書を受けてNHKに質問・要望書を提出

 「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」は去る512日、NHK福地茂雄会長とNHK経営委員会に宛てて、以下のような見解・質問・要望書を提出した。質問・要望については522日までに各項目ごとに文書による回答を求めている。

ETV番組改編問題に関するBPOの意見書公表を受けた当会の見解、質問ならびに要望(NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ)
http://sdaigo.cocolog-nifty.com/bpo_ikensho_nhk_eno_mosiire20090512.pdf


 このなかで、「視聴者コミュニティ」が特に重視しているのは次の点である。
1.問題の番組の放送日前に野島国会担当局長(当時)に同行して松尾放送総局長(当時)が安倍晋三氏と面会したのは野島氏の要望に基づいて予算を説明するためであったというNHKのBPOに対する回答が、以前のNHK自身の説明と矛盾しているという点
 というのも、NHK自身が東京高裁に持ち込まれた裁判の渦中にホームページに掲載した「編集過程を含む事実関係の詳細」によると、2001129日、安倍晋三氏との面会に松尾放送総局長が同行したのは、当時、日本の前途と歴史教育を考える会の事務局長だった安倍氏から当該番組について質問される可能性があったためと記している。そうだとすると、松尾氏が同行したのは予算・事業計画等の説明のためではなく、本件番組の内容を安倍氏に説明するためだったことになり、NHKの説明が前後相矛盾するのである。「視聴者コミュニティ」はこの自己矛盾についてNHKに明確な説明を求めている。

2.番組改編を検証するための番組の企画・放送を求めたこと
 本年310日に開催された経営委員会において小林英明経営委員は、権威ある機関であるBPOがETV番組改編問題を取り上げたこと、特にNHKにとって最も大切な政治的な中立性にかかわる問題として取り上げたことを軽視してはならないと発言し、今後の対応方法として改編前と後の番組を放送して比べてはどうかと発言している。「視聴者コミュニティ」も今回の文書で小林委員のこの意見に全面的な賛意を表し、検証番組の企画・放送を要請している。

 BPOの意見書公表を受けて、福地会長は経営委員会の席上、今後は政治家への番組の事前説明は一切しないと発言したと一部で伝えられている。この発言がはたしてNHKの全組織に徹底され、履行されるのかどうか、注視していく必要がある。

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                         2009512
NHK
会長
福地茂雄 様

   ETV番組改編問題に関するBPOの意見書公表を
     受けた当会の見解、質問ならびに要望

            NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ
                  共同代表 醍醐聰・湯山哲守

1. 去る428日、「放送倫理・番組向上機構」(BPO)の放送倫理検証委員会は、NHKETV2001シリーズ、第2回「問われる戦時性暴力」の番組改編問題について意見を発表しました。その中でBPOは次のように指摘しています。
 (1)放送中止を求める右翼団体の活動や安倍晋三・内閣官房副長官(当時)らから公平・公正にと念をおされるなかでNHKが幹部管理職の主導で番組の質よりも安全を優先したため、第2回の番組はシリーズ全体の企画の趣旨から逸脱し、不自然かつ散漫な内容になってしまった。
(2)政治と放送の距離に細心の注意を払い、NHKの自主・自律を率先して体現すべき立場にある放送総局長らが当該番組の改編・放送と相前後して何の躊躇いもなく政治家と面会に出かけ、政治家の自説や意見を聞いていること自体に委員会は強い違和感を抱く。
(3)政治家と接触する機会が多い国会担当局長が何の躊躇いもなく放送・制作部門に出入りし、番組の改編に直接関与・指示をしていることに、公共放送NHKの自主・自律の危うさを感じないわけにはいかない。

 その上で、BPOはこうした自主・自律の危うさは今後も繰り返される恐れがあると警告を発し、再発防止策としてNHKに放送・制作部門と国会対策部門の分離を求めています。また、BPOは視聴者に対しては横柄な物言いを戒め、ていねいな説明をするようNHKに求めています。さらにBPONHKのすべての役職員に対して、放送倫理と業務命令の関係をめぐって内部的自由の議論を起こすよう呼びかけています。
  こうしたBPOの見解は改編事件発覚以降、当会ならびに当会の前身組織(NHK受信料支払い停止運動の会)が繰り返しNHKに申し入れてきた内容と軌を一にするものです。それだけに私たちはBPOが指摘した危惧を共有し、BPOの提言に全面的に賛意を表します。
 これに対し、NHKは同日「BPOの意見についてのNHKコメント」を発表しました。しかし、その内容は従来の説明から一歩も出ない、そっけないものでした。BPOの条理を尽くした意見に対し、NHKが今なお、自らに批判的な意見に「聞く耳を持たない」態度を示したことに当会は強く抗議し、猛省を求めます。

2.当会は2008616日に「ETV番組改編事件に対する最高裁判決についての当会の見解」を発表しNHKに提出しました。そのなかで当会は、政治家に対して編集の自由を放棄したNHKが取材協力者に対しては編集の自由を盾に番組改編に関する説明を怠ったこと、視聴者の知る権利をないがしろにしたことを厳しく批判しました。NHKが「番組改編はあったが、それは政治家の圧力ではなく自発的なものであった」というなら、国会担当局長が安倍晋三氏と面会したその足でNHKに戻って制作現場に立ち入り、現場スタッフの反対を押し切って番組改編を指示したことの異常さについて国民・市民に説明する必要があります。

3. 310日の経営委員会において小林英明委員は「BPOは権威ある機関だと思います。そういう機関がこういう形で取り上げたこと、特にNHKにとって最も大切な政治的な中立性にかかわる問題として取り上げたことは軽視してはいけないことだと思います。・・・・今後の対応方法ですが、例えば、もともとの番組があって、それが不当に修正されて放送されたか否かということが争点でしょうから、元の番組と放送した番組を比べて、どういう理由でこのように修正して放送したのかということを、一般の視聴者がよくわかるように検証番組を作るという方法があると思います」と発言しています。私たちもこの意見に全面的に賛同します。

 以上の見解を踏まえ、以下の質問と要望を提出します。これに対し、522日までに(一括形式ではなく)各質問・要望項目ごとに文書で回答いただくよう求めます

 〔質問1 NHKBPOから受けた 質問3 に対する回答の前段で、国会議員への予算・事業計画等の説明は国会担当者が行うのが基本としながらも、その他の部門の者が説明した方が合理的であると考えられる場合には、一切認められないわけではない、と記しています。その上で、問題の番組の放送日前に放送総局長が安倍晋三氏と面会したのは国会担当局長の要望に基づくもので予算説明の範囲内で説明をしたものであって問題があったとは考えていないと回答しています。
 しかし、ほかならぬNHK自身が公表した「「編集過程を含む事実関係の詳細」によれば、2001129日、安倍晋三氏と面会する野島国会担当局長に松尾放送総局長が同行したのは、当時、日本の前途と歴史教育を考える会の事務局長だった安倍氏から当該番組について質問される可能性があったためと記されています。このことは松尾氏の同行が予算・事業計画等の説明のためではなく、本件番組の内容を安倍氏に説明するためだったことになり、NHKの説明が前後相矛盾していることを物語っています。この矛盾についてわかりやすくご説明ください。

 〔質問2〕同じくNHKBPO 質問3 に対する回答の後段で、国会担当局長がチーフディレクターに制作途上の番組の変更を指示したことについて、この指示は129日の試写後に行われた放送総局長ら幹部による話し合いの結果を制作現場の責任者の許可の下に国会担当局長が伝えたもので問題はなかった、その後の編集作業は教養番組部長のもとで行われたと回答しています。
 しかし、事実はどうであったかというと、当日、野島国会担当局長は試写直後、放送総局長ら幹部による話し合いが始まる前の段階で、「これでは全然だめだ」と発言しています。また、放送総局長ら幹部による話し合いの結果を受けて、台本への書き込みを見ながら改編箇所を事細かに制作担当者に指示したのは教養番組部長ではなく野島氏でした。しかも、教養番組部長は野島氏らの改編指示に荒れて、もうやってられないと言っていったん部屋から退出したとされています(永田浩三氏の証言)。
 こうした事実経過からすれば、野島国会担当局長は松尾放送総局長(当時)ら幹部による話し合いの結果を制作担当者に伝えただけの控え目な役割ではなく、番組制作担当者の反対を押し切って自ら番組改編作業を主導したことになります。これでもNHKは当該番組制作過程に問題はなかったと考えるのかどうか、お聞かせください。問題がなかったというなら、東京高裁の事実認定や永田証言を覆す具体的な証拠を提示するよう求めます。

 〔質問3〕NHKの新放送ガイドラインは冒頭の「自主・自律の堅持」のなかで、「全役職員は、放送の自主・自律の堅持が信頼される公共放送の生命線であるとの認識に基づき、すべての業務に当たる。日々の取材活動や番組制作はもとより、放送とは直接かかわりのないNHKの予算・事業計画の国会承認を得るなどの業務にあたっても、この基本的な立場は揺るがない」と明記しています。
 しかし、上記の〔質問1〕、〔質問2〕で記したNHK幹部の言動やBPOの質問に対するNHKの回答を見ると、国会担当局長らの要望があれば放送総局長らが政治家と面会して個別の番組に関して応答することも妨げられないことになります。また、番組制作現場の責任者の許可があれば国会担当局長らが制作現場に出入りして番組内容に個別の指示をすることも妨げられないことになります。そこでお尋ねします。
 (1)国会担当局長らが政治家との面会に放送総局長らに同行を求めることが合理的とみなされる場合とは具体的にどのような場合を指すのでしょうか? かりに、ある番組の放送後に政治家から番組について説明を求められたとしたら、BPOが指摘するように一般視聴者の場合と同様、各放送局に設けられている視聴者対応組織が対応すればよいのではないでしょうか?
 (2)番組制作現場の責任者が国会担当者に制作現場への出入りを許可することが新放送ガイドラインに抵触しないとみなされる場合とは具体的にどのような場合を指すのでしょうか? 当会は、少なくとも国会担当者が制作現場に出入りし番組内容に指示を出すのは、放送の政治からの自立について強い疑義を生み、放送の自主・自律を定めた新放送ガイドラインに抵触すると考えますが、NHKはどうお考えでしょうか?
 (3)新放送ガイドラインと食い違う行為が国会担当幹部や放送部門の幹部の許可で容認されるとなれば、政治と放送の距離を定めた新放送ガイドラインはその時々の責任者の裁量で融通無碍に解釈され運用されることになります。しかし、放送の自主・自律を定めたガイドラインはそれがNHKの個々の幹部の行為、裁量をも規制するからこそ、公共放送NHKの生命線としての重みを持つはずです。これについてNHKはどうお考えか、お聞かせください。

 〔要望〕BPOは意見書のとりまとめに先立ってNHKに提出した質問のなかで、ETV2001の当該番組の制作・放送とその後の経緯について、またそこから得られた教訓等について番組化し、放送する予定はあるかと質しています。また、小林英明経営委員は前記のように、権威ある機関であるBPOが当該番組改編問題を取り上げたことを軽視してはいけないと述べ、元の番組と放送した番組を比べて、どういう理由でこのように修正して放送したのかということを、一般の視聴者がよくわかるように検証番組を作るという方法があると発言しています。当会はNHK執行部がBPOならびに小林経営委員の意見を真摯に受け止め、視聴者代表、ジャーナリストらも参加したETV2001番組改編問題に関する検証番組を企画し放送するよう強く要望します。
                             以 上

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動物と共住できるマンションを~人と動物の共生社会に不可欠な条件~

人が動物の生きる権利を自覚するとき
 5月10日の『東京新聞』朝刊の4,5面に両開きで大図解シリーズ、No.888として「変わる動物行政」という記事が掲載された。記事は「保健所などで引き取った犬や猫は殺処分するという動物行政が変わりつつあります。これまでの行政を踏まえ、最新の取り組みを紹介します」というリードで始まっている。本文では、犬猫の殺処分数が対1997年比で半減、特に犬の場合は約3分の1に減ったという、地球生物会議(動物愛護団体)の全国規模での調査結果と各地での取り組みが紹介されている。

 たとえば、熊本市動物愛護センターでは2005年度から犬猫の引き取りはあくまでも緊急避難的措置と位置づけ、飼い主に最後まで飼い続ける指導を徹底してきたという。引き取った犬猫の保護日数は従来は0~3日程度だったが、現在は自治体の裁量で延長する傾向があるそうだ。そのなかでも熊本市のように1年以上の事例があるのは全国でも飛び抜けているという。その間、飼育講習会修了者には平日センターを開放して譲渡の引き合わせをしたり、出張譲渡会も年6~8回開いているという。その結果、2007年度の熊本市の犬猫譲渡率は45.6%で全国1となった。記事では同市の動物愛護センターに1年半も保護され、何度も殺処分を検討された6歳の犬が年配の夫婦にもらわれていったエピソードが写真入りで紹介されている。

 このように全国的に引き取った犬猫の殺処分が減った背景には、2005年に改正された動物愛護管理法があるらしい。同改正法は人間と動物がともに生きていける社会を目指すことを掲げ、国には基本方針を、都道府県には推進計画を策定することを求めている。これを受けて策定された国の指針では犬猫の引き取りを17年度までに半減させ、希望者への譲渡などを進めることによって殺処分率を減らすことにしている。ちなみに、同法では愛護動物を捨てた者、食事や水を与えず衰弱させるなど虐待した者には50万円以下の罰金を課すことを定めている。

人と動物が共住できるマンション棟の区分販売を
 確かに、いったん飼い始めた動物をあれこれの理由を付けて飼い主の都合で安易に引き取り依頼をする悪習を断つには熊本市のような毅然とした対応が必要と思われる。その一方で事情やむなく引き取った動物の保護日数を機械的に定め、短期間で殺処分するやり方を改め、新しい飼い主を見つける試みを工夫し、動物に生の機会を与える努力を惜しまない姿勢が求められる。
 しかし、「共生」という言葉を安易に使うのはご免こうむりたい。そこで、人と動物の共生社会を実現するために不可欠と思うのは、動物と共住できる住宅を確保するということである。
 戸建ての住宅であれば問題にならない場合が多いと思うが、もともとマンション住まいの人や戸建てからマンションへの住み替えを考える人にとって、「ペット不可」が多くのマンションの申し込み条件になっている現実は大きな障壁になる。なぜなら、今のまま動物との暮らしを続けるか、動物を手放してでも住み替えにこだわるかの選択を余儀なくされるからである。動物を愛する気持ちが強い人ほど住み替えを思いとどまる例が多いのは当然だろう。この頃は「ペット可」と記載されている物件も珍しくないが、詳しく確かめると、体長75cm以内、体重10kg以下、体高50cm以下という条件が付いている例がほとんどだ。エレベーターを使うときなど、かごに入れて移動できる大きさに制限するためという。しかし、大型犬を飼う人も少なくない状況で、この条件を満たすのは容易ではない。
 売り主に条件の緩和を求めても、入居後に動物を飼わない人とトラブルが起こったら責任を負えないというのが一般的な返事である。確かに、エレベータ-内や共用スペ-スで排泄物を放置して知らぬ顔という飼い主がいるらしく、そうした事例が「ペットお断り」の風潮を増長させているのかもしれない。しかし、そうした悪質なマナー違反の被害は動物を飼う飼わないを問わず、すべての入居者に及ぶ。なによりも、体身の大小で一律に排除されることに不合理を感じる。何か工夫が考えられないか? 
 私が今、提案したいのは、さしあたり、動物との共住を希望する人向けの棟を区分してマンションを売り出せないかという案である。そのうえで、<人と動物共住棟>で独自に管理組合の分会を作り、共同で動物と長く共住していくためのルール作りとルール管理を行ってはどうか? もちろん、<人と動物共住棟>以外の棟への入居者との共同生活に必要なルール作りにも参加する。売れ残ったらどうするのかという売り主側の心配もあるだろう。それについては共住棟への申込みの実績を見ながら段階的に拡充、あるいは縮小を図っていくほかないだろう。そのうえで、共住棟への入居者のなかで迷惑行為を犯す飼い主には罰金を課す等の立法措置も必要と考えられる。

わが家のウメの近況
25_20090502

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