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全国連絡会、NHK会長選で経営委に緊急の申し入れ

 ひとつ前の記事で取り上げたNHKの次期会長選出に関して、「開かれたNHKをめざす全国連絡会」は世話人・運営委員の間で緊急に協議をして取りまとめた申し入れ書を、本日(11日)午前中にNHK視聴者センターを通じてNHK経営委員会に提出した。
 申し入れに当たっては、全国連絡会の世話人2名が今日1030分に視聴者センターへ出向き、朝比奈統括部長と面会して、申し入れの趣旨を説明のうえ、文書を提出し、今日の午後130分から開かれる経営委員会に間に合うよう、届けてもらうことにした。
 以下は、申し入れ書の全文。

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                        2011111
NHK経営委員会委員長 小丸成洋殿

         NHK会長選出に関しての申し入れ

           開かれたNHKをめざす全国連絡会
             世話人:松田浩 隅井孝雄 醍醐聰 岩崎貞明

 NHKの自主、自立、健全な発展のために努力されておられる経営委員の皆様の日頃のご努力に敬意を表します。
 NHK会長の任期切れが迫り、新しい会長の選出が間近に迫っています。
現在NHKはじめ日本のメディアがデジタル化などに伴う大きな変動に直面しています。また激動が予想される国内外の情勢の中で、NHKなどメディアの動向が問われている時でもあります。日本のマスメディアの重要な一角を占めるNHKの会長にどのような人物が就任するかは、国民全体の重大な関心事です。
 しかし、NHK会長の選出は依然として密室の中でおこなわれていることは、私たちにとって極めて不本意なことと言わざるを得ません。その上、新聞報道では、会長職の交際費そのほか、自らの経済的処遇にことのほか関心を向ける候補者もいると伝えられますが、このような人物はNHK会長としては極めてふさわしくない資質の持ち主といえます。

 NHKは公共性の高い非営利の放送メディアです。そのトップの座には、NHKの公共性を自覚し、権力や財力におもねらず、高潔、清廉、かつ志ある人物が選ばれる必要があります。また国民の受信料によって運営されている以上、財政、経営にも的確な理念を持つ人物である必要もあるでしょう。

 私たちはかねてから会長選出の公開と透明化を、繰り返し要望してきましたが、ここ改めて以下のような申し入れをおこなうものです。

 1.経営委員会は、会長選出基準として、ジャーナリズムと放送の文化的役割についての高い見識を持ち、言論、報道機関の責任者として、放送の自主・自立の姿勢を貫くとともに、公共放送としての的確な経営理念を持つ人物であるか否かを、判断の柱にすべきである。

 2.経営委員会は、会長選出の審議経過を公開するとともに、最終決定の前に複数の候補者を公表し、なおかつこれらの候補者の会長就任への抱負など所信表明の機会を設け、市民、視聴者の判断材料を提供すること。

 3.経営委員会は、この機会に改めて今後の会長選出について、広く市民視聴者に呼びかける公選制を導入すべく、制度的な検討を行うこと。

                               以上


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この件については、今日の『朝日新聞』朝刊で候補者として打診を受けたA氏に対するインタビュー記事が掲載されている。その中でA氏は一部報道で伝えられたような会長受諾にあたって3つの点(交際費、都内での居宅、副会長人事)を「条件」として出したというのは事実無根で「説明を求めただけ」と話している。
 また、今朝の『読売新聞』もこの件を大きな紙面で伝え、経営委員会側からA氏に対して会長受諾の撤回要請があったものの、A氏はそれを拒否したと伝えている。その中で、A氏は経営委員会に対して上記3点について「質問書」を出したと伝えている。

 さらに、さきほど(1238分)配信された『時事通信』の報道によるとA氏は会長受諾の撤回要請をした経営委員会に不信感を募らせ、次期会長就任を拒否したと伝えている。

 詳しい事実関係は別にして、この問題について私は次のように考えている。

1.会長就任受諾にあたっての「条件」なのか「質問」なのかは、明確にされる必要があるが、どちらであれ、「関心の向け所」はその人物の資質、見識を表すことに変わりはない。

2.放送メディアの長にふさわしい見識の持ち主かどうかを充分、検討せず、A氏にNHK会長職への就任要請をし、後で受諾撤回を要請するという前代未聞の失態を演じた経営委員の責任は極めて重い。

3.今回のような混乱を起こす究極の原因はNHK会長の選出を極めて閉鎖的に進める悪しき慣行に帰せられる。会長候補にどのような資質を求めるのか、候補に挙げる人物はそうした資質に合致する見識の持ち主なのかどうか、各候補者の所信を事前に公開し、視聴者に判断と意見発信の機会を開くことが不可欠である。

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「NHK問題」カテゴリの記事

コメント

山野様
お知らせありがとうございました。私もNHK経営委員会の議事録にアクセスして北原委員の発言を確認しました。娯楽は民放に任せ、NHKは災害や大きな(?)報道を手掛けるのを二元体制と理解しているようですが、民放連の専務理事を歴任した人物がこういう認識とは確かに驚きです。こういう認識でNHKの経営委員が務まるのか、心もとない限りです。
私も、「本当の二元体制は、報道や教養や娯楽の各分野でNHKと民放が切磋琢磨して、日本の放送文化を向上させる」という理念で成り立っていると考えています。

投稿: 醍醐 | 2011年1月17日 (月) 22時18分

NHKのホームページに載っている、最新の経営委員会の議事録をみて腰を抜かしそうになりました。
読売グループから送り込まれ、今回の会長選任でも暗躍していると伝えられる北原委員の発言です。
来年度編成についての報告で土曜日日曜日を強化したいとの日向専務理事の説明に対して、こうのべています。
「(前略)NHKにそんなに頑張られたのでは、民放の立つ瀬がありません。(中略)災害だとか、大きなニュースは黙っていても視聴者はNHKを視聴します。娯楽•癒しの部分などは民放を視聴するというのが、分かりやすく言うところの二元体制です。」
一見もっともに聞こえますし、一視聴者の意見ならコレもありです。しかし、北原委員は経営委員であり、民放利益の追求を経営委員会の場で堂々と披瀝するとはどうかしています。経営委員としての適格性に大きな疑問がありますね。

放送法第三条のニに、NHKであれ民放であれ放送事業者は各分野の調和を保て、いわゆる「番組調和原則」が明記されています。北原氏は福島の民放社長を務めていましたが、放送法を読んだことがないようです。
本当の二元体制は、報道や教養や娯楽の各分野でNHKと民放が切磋琢磨して、日本の放送文化を向上させるという、いささか青白くはあるものの崇高な理念です。これほど放送文化に無理解な俗物がNHK会長選任に関わるとは嘆かわしいことです。

また、厳密には、この北原氏の発言は前後関係から個別番組編集への口出しとして放送法第十六条の二の違反の疑いもあります。

投稿: 山野一朗 | 2011年1月14日 (金) 14時58分

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