« メディアの今とこれから(4)~NHK問題大阪連絡会のインタビューに応えて~ | トップページ | 復旧なくして復興なし~被災地は高邁なロマンの実験場ではない~ »

メディアの今とこれから(5・最終回)~NHK問題大阪連絡会のインタビューに応えて~

NHK問題大阪連絡会「サテライトNo.4 別冊    (20114・1発行)

醍醐 聡氏 インタビュー  

メディアの今とこれからを熱く発信!!(Part.5


●NHK経営委員会が地デジについて何も発言しない

醍醐
 ところで、NHKの経営委員会に質問書を出したときに、会長選に絡んだことでしたので、やむを得なかったと思っているのですが、本来、NHKも当然ですが、経営委員会がこれに何も意見を表明しないということは考えてみれば非常におかしなことです。先に紹介した4人のメディア関係者によれば、100万単位の視聴者がデジタル化に取り残されること、この問題について日頃、「いつでもどこでもNHK」と言ってきたNHKを監督する経営委員会が、何も意見を言わないのはどうしたことでしょうか。もう1つ、視聴者とか、経済的な弱者が取り残されるというだけでなく、NHK自身も、100万単位の視聴者を失い、それに伴って受信料収入を失うわけです。その金額をNHKは91666億円と見積もっています。これは放送局の側にとっても、拙速で地デジ化を見切り発車することが経営的にも大きな打撃になることを意味しています。受信料を下げる、下げると言っている一方で、このようにNHKから離れていく人が多数に上ることについては何も感じないということのほうが本来無責任ですよね。そういうことを私は強く訴えていく必要があるのではないかと思っています。

河野 重複しますが、メディアの現状ということで先ほどもいろいろお話を伺いましたが、改めて、いまのメディアの有り様に対してご意見をいただきたい。

醍醐 民放のことについて日頃意見が乏しいと自分でも反省しているのですが、NHKの場合、視聴者と放送局という関係がはっきりあるのですが、民放の場合は民放とスポンサーという関係があっても、民放に対して視聴者という存在が向き合っているという意識を持つことが非常に少ない。何か低俗番組があったり、プライバシーの侵害があったら、BPO(放送倫理・番組向上機構)のほうに苦情を伝えていくということはありますが、民放の放送局と視聴者とが対話をするとか、直接的なチャンネルが乏しいですよね。民放だって「番審」がありますよね。私はその民放ももっと視聴者が放送局と直接に何か対話するというチャンネルをもっとしっかりと持つべきではないかと思います。

河野 いまはありませんね。

醍醐 「受信料を払ってないからあなた方は関係ありません」という、そういう言い方をされてしまっていいのか。だから逆に私はもっと視聴者意識を持つ上でさきほどお話しましたように、受信料の一部を民放に回すべきだと言うんです。それが1つの根拠となって、私たちだってあなた方のスポンサーなんですよという意識をもち、もっと対話を成り立たせるようなことになればいいと思っています。

●視聴者に義務はあっても権利はない

河野
 苦情の担当者も民放もおりますけどね、われわれの運動を支援してくれている方がおられます。その人はいま定年になられて嘱託でその担当をやっているのです。そういう窓口は持っているみたいです。

醍醐 私たち視聴者がNHKと交わす受信契約は双務契約だと言われながら、実際は義務ばかりがあって、視聴者に権利がないわけです。そのためにはもっと放送法の世界で消費者契約法に準拠して、NHKが取り交わす受信契約のなかでも、視聴者の権利を明記しなくてはいけない。ですから言ってみれば消費者契約法をバックボーンにして、もっと視聴者が権利を求めていく、そういう運動をしていくことが大事ではないかと思っています。

具体的にいま考えていることで、放送法が変わってよかったことは、視聴者と語る会というのが全国各地にありますね。あれも参加したい人が何十人というレベルでしょう。私は各地でやった語る会を、例えば月1回でも2時間ぐらいの番組枠でとれば全部伝わるじゃないですか。番組のなかに組み込み、それを聞いた側で、自分が参加していない人も、ああこういう意見を出しているのか、こういうやりとりがあったのかということを知ることがまず参考になる。自分とはちがう意見をもっている人に出会うということが非常に大事だと私は思っています。NHKに対して、まず第一歩はそういうところからやっていくように求めていくことが大事かと思っています。

河野 大変手前勝手のご質問ですが、「大阪の会」運営を3年間ほど市民目線でやってきましたが、今後、どのような活動をのぞまれ、またどのように運営をすれば良いかお考えになるでしょうか。

醍醐 これはおこがましくて、刺激を受け合っている側ですから、お世辞じゃなくて、とやかくなんてとてもそんなことを言える立場ではないです。

具体的に要望を出す視聴者運動を

河野 ざっくばらんにアドバイスをいただけたらと思っています。

醍醐 私たちの「コミュニティ」自身もだし、他の団体もそうなんですが、今日もなるべく心がけたつもりですが、私たちの運動、例えば、NHKに何か要望を出すときに、やはり具体的でないといけないということを感じます。例えば、会長選考にしても、経営委員の選任にしても、放送番組審議会の委員の人選にしても、積極的にここをこう変えてもらいたいというそういう提案型の運動というか、そういうことが視聴者の方たちに少しでも関心を向けてもらう点ではないかと思います。私自身も「語る会」に行って、何か非常に先鋭的な人たちが、手厳しく糾弾しているという姿を見ることがあります。はっきりとモノを言うことは大事なことですが、ただ、普通の方が来られたときに何か特異な集団がいて、何かしゃべるだけしゃべって帰ったとなると「あの人たちはどういう人なんだろう…」みたいになってしまう。ある意味では激励も交えながら建設的に、批判と言っても「ここをこういうふうにしたらもっとよくなる」みたいな建設型の運動も心がけないといけないように感じるわけです。

河野 ついつい批判型になってしまうのですね。心がけないといけませんね。

醍醐 批判を聞く側は批判ばかり言われるとどうしてもかたくなに構えてしまう。やはり俺たちだって一生懸命にやっているんだという、主観的にそう思っている人に、「ここはよかったですね」ということも大事だと思います。

河野 おっしゃる通りだと思います。犯人捜しとは違いますからね。きょうは貴重な時間をいただきましてありがとうございました。とくにわれわれ運動をしているもの同士というのは失礼な言い方ですが、先生も「コミュニティ」のほうも運動を非常に積極的にやっておられる。今回、NHK会長と経営委員長辞任の問題については即座に、機敏に、タイミングよく対応なさったことにも敬意を表します。今日のインタビューも、私たちが考えだせない貴重なご意見をいただきました。本当にありがとうございました。

 庭に咲いた紫モクレン(2011年4月20日撮影)
20110420

|

« メディアの今とこれから(4)~NHK問題大阪連絡会のインタビューに応えて~ | トップページ | 復旧なくして復興なし~被災地は高邁なロマンの実験場ではない~ »

「メディア」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« メディアの今とこれから(4)~NHK問題大阪連絡会のインタビューに応えて~ | トップページ | 復旧なくして復興なし~被災地は高邁なロマンの実験場ではない~ »