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メディアの今とこれから(3)~NHK問題大阪連絡会のインタビューに応えて~

NHK問題大阪連絡会「サテライトNo.4 別冊     (2011・4・1発行)

醍醐 聡氏 インタビュー  

メディアの今とこれからを熱く発信!!(Part.3


NHK会長選出の過程はまったくの闇の中

河野
 いま醍醐先生が湯山さんと共同代表をされています「コミュニティ」のほうで、ごく最近、申し入れをされている問題ですが、非常に熱い思いをわれわれはしているのですが、今春のNHKの会長選と経営委員長小丸氏辞任などについて、その経緯と問題点は何でしょうか。

醍醐 運動論から言えば、こういう市民運動だけに限りませんが、運動はタイミングが非常に大事だなということを痛感します。主張すること、意見が真っ当なことであることは大前提ですが、そうであるとしてもタイミングを逸すると価値が劣化してしまう、私たちの意見も生き物だということを常々私は感じているのです。今回のNHK会長の選び方、ひいては選ぶ側の経営委員会のていたらくをかなりの全国紙が指摘しています。NHKの会長を誰がどう選んでいるのかとか、選んでいる経営委員の顔ぶれはどうなのかについて、一般の人が目にとめることはまずないと思います。そういうなかで私たちがいくらNHK会長の選び方を力説しても、なかなか関心を向けてもらえません。その点から言えば今回、経営委員会の失態、機能不全という禍を転じて福となすではないですが、そういうのを1つのきっかけとして多くの人にNHK会長選びのあり方を考えてもらうよい機会にする必要があるじゃないかということで、「視聴者コミュニティ」のなかでだいぶ議論しました。
非常に短期的な議論でして、定例の経営委員会が開かれる前に届けようということになりました。しかし、私たちが言うだけではなかなかインパクトがないのです。私がいつも思うのは、マスコミにうまくそれを取り上げてもらう。悪い意味じゃなくて、そういう広報戦略というのか、メディア戦略というのが市民運動では絶対に大事です。経営委員会が終わったあと、記者会見をやりますね。経営委員長と最近であれば監査委員が出席して。そのときに例えば私たちが前もって「こういう意見を出しました」ということをメディアに伝えておきます。そうすると経営委員会のあとの記者会見に参加する記者が「この点について市民団体からこういう意見が出ていますが、経営委員会としてどうお考えになりますか?」「何か議論をされましたか?」みたいなことをフォローしてくれることがままあるのです。そのことが翌日の報道に載るわけです。そうなると経営委員会としてはいい加減な対応では済まないというふうになるわけです。

●会長選出の漏えいの犯人探しは本末転倒で合議制の無視

醍醐
 話はその中身なんですが、今回、会長選考が終わったあと監査委員から外部へ「情報の漏洩があったのではないか」という嫌疑が起こり、マスコミもセンセーショナルに話題にしました。私自身はそういうところに問題を収れんさせていくのは、問題の矮小化だと思います。他方、経営委員会で候補者を決める2日前に小丸委員長がその特定の候補者に独断で打診していたといわれています。これは情報の漏洩とは次元がちがう、経営委員会の合議制をないがしろにした独断です。しかも打診する相手は小丸さんの意中の人ですから、この場合の独断は選考結果にも影響します。その点が非常に問題ですが、私がもう1つ問題だと思っているのが、途中で候補者に挙がった安西さんの資質についてはいろいろ話題になっていたのに、松本さんに最終的に決めたときの経過については、あまり問題がなかったかのごとく全員一致で、シャンシャンで拍手でもって、みなさんが喜び合ったそうです。そのようなことになっていますが、新聞報道では、松本さんの名前が経営委員会で挙がったのは1月15日が最初だそうです。だとすると、初めて名前が出た人を即日決定したことになります。

●NHK会長選考を 財界人脈から開放することが急務

醍醐
 ところが1月16日付けの毎日新聞によると、その2日前の13日に松本氏が、自分が選ばれたあとインタビューを受けて、「打診を受けたのは15日が初めてですか?」と聞かれたときに、「13日にJR西日本の葛西さんからその話は伺っていました」と言っています。そうすると安西さんのときと同じじゃないですか。しかも同じ業界ですよね。いまの経営委員会のなかにも同じ鉄道業の人がいますよね。やっぱり経済界の同じ業界のルート、裏のルートでほとんどの経営委員があずかり知らないところで、経済人の人脈で話が先に出来ていたことになります。これは単なる手続き論ではなくて、選考方法そのものの問題です。「コミュニティ」の質問では、大きな組織を動かすリーダーシップということにばかり選考基準がおかれ、それについては異を唱える委員はいないというところが非常に深刻です。単なる手続き論ではなく、「なぜはじめに経営者ありきなのか」という点にまで踏み込んで私たちもメディアも議論を喚起しないと現状の抜本的な改革にならない、情報漏洩というセンセーショナルな話題を追うだけで終わってはいけないと痛感しています。

河野 質問状をお出しになったことに対して、当事者からどういう回答が寄せられるかということによって、またこの運動がさらにすすんでいくと思うのですが、「その出方によっては…」というお考えは先生のほうではなさっておられるのですか?

醍醐 そうですね。今回はやはりどんな回答が来るのかをそういう意味では関心をもって注目しているのですけど、今回の質問事項のなかで井原監査委員に「報酬の一部返上」を求めました。あまりこういうことを「コミュニティ」は要求してこなかったのですが、質問書の案文のなかでこちらから「これだけ返せ」みたいなことまで書くのかどうか、迷いはありました。ただ、何かカネの話をするのはあさましいというような、そんな気持ちがあるのなら…、それは違う。今回、その点に踏み込んでビシビシ言ったらいいんじゃないかという意見が他の運営委員からも出たわけです。

●経営委員の報酬にも厳しい視線を

醍醐
 市民団体がやる視聴者運動はむしろ海外だったらはっきり言うようなことでも、日本人的体質というべきか、いままであまり報酬のことに触れませんでした。しかし、報酬に見合う仕事をしているのかということを視聴者がウォッチするのは当たり前のことですね。調べてみますと、常勤の監査委員の年間の報酬は非常勤とは言え小丸経営委員長の報酬の3.5倍です。小丸さんが650万ぐらいで、常勤の監査委員の井原さんは約2300万です。その常勤監査委員が「小丸さんの独走でした」、「小丸委員長の辞任で経営委員会としての責任は包括的に区切りをつけました」などと言っていていいんでしょうか? そういう委員長の言動を監視するために置かれた監査委員の責任を監査対象の責任と一蓮托生にしてしまうのでは開いた口がふさがりません。こういう職責に無自覚な態度を報酬との見合いできちんと質していこうと考えて、「報酬の一部返上」という要望を出したわけです。

河野 いや、僕は賛成です。あれ読んで思いました。シビアに書いてあると思いました。

醍醐 ああいうふうに言われてどう答えていくのか。「返しません。いただいたものはしっかりとそのままいただきます」と言うのか。質問は、井原監査委員にだけ提出するのではなくて、他の経営委員にも全部届けています。そこで、他の経営委員も「井原さん、ああいうふうに言われてどうするのかな…」と関心もって見てくれていたらいいなと思っています。【追記:その後、要望した期限を過ぎても回答は届きませんでしたので、回答を督促する文書を送りました。】

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