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公立保育園等のあり方にについて意見を提出

2012年3月18日

 近年、国が打ち出した新しい「子育て支援システム」に呼応して、全国各地で保育園の民営化が進行している。私が住む千葉県佐倉市でも、目下(といっても明日19日が締め切り)、市がまとめた「市立保育園等の在り方等に関する基本方針(案)について意見募集(パブリックコメント)がされている。

「基本方針案」と意見公募の広報
http://www.city.sakura.lg.jp/shiminkyodo/200sanka/010bosyu/20120305_012305000_01.htm

 また、それに先だって次のような提言が市長宛てに提出されている。
「佐倉市保育所の在り方検討会」:提言(平成233月)と会議録
http://www.city.sakura.lg.jp/kosodate/arikata/arikatakentoukai.html

 保育園というと私には孫の世代の問題であり、はじめは子育て世代の保護者に任せるのが穏当な気がした。しかし、事の発端が地方分権を掲げた三位一体改革の下での国の財政誘導(それまで公立保育園に交付されていた補助金・負担金を一般財源化した結果、地方交付税不交付団体をはじめ、富裕自治体とみなされた自治体には国からの交付がなくなるか激減する一方、民間保育園には補助金を交付するというシステム)にあることがわかった。そこで、身近な居住地の問題を自分なりに調べ検討して考えを発信するのは一住民の務めと思え、意見を提出した。深い検討の結果とはとても言えないが、自分なりに保育園の民営化問題を考えるきっかけにはなった気がしている。
 以下は提出した意見の全文である(原文のレイアウトを多少変更したが、内容はそのまま)。

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佐倉市立保育園等の在り方の関する基本方針(案)に対する意見(醍醐聰)

1.意見募集の方法について

 ①このような意見募集をするにあたっては出来上がった基本方針(案)(以下、「案」と略す)を示すだけでなく、(案)の取りまとめのプロセス、特に「佐倉市保育園等の在り方検討委員会」(以下、「検討会」と略す)の提言、同委員会での検討の状況を記した会議録も参考資料として添付してほしい。
 ②意見募集が「既に結論ありきの通過儀礼」ではなく、市民の意見を真にくみ上げる趣旨で行われるためには、基本方針(案)を取りまとめた後だけでではなく、(案)を取りまとめる途中段階(上記検討委員会での審議の途上)でも行う必要があります。

2.公立保育園の民営化について
 ①(案)は主に財政面での理由から、公立保育園の民営化(民間移管)を打ち出しているが、検討会の提言(2122ページ)には、<委員の主な意見>として、

 ・「民間では採算が合わず引き受けられない部分を公立が率先して引き受けないといけない」
 ・「身分が保障されていることが、公立の良さとしてある、保身に走ったり、経営者の言いなりになったり、同僚に対して競争を煽ったりするようなギスギス感は公立にはなかった」
 ・「公立には異動があります。経験豊かな人や、やる気のある人が異動してくることによって、園の雰囲気がまるで変わったり、行事に活気が出たりします」
 ・「年配の職員から若い職員まで年齢層に幅があるというのは、公立の売りかと思います。障害児保育等の推進や、豊富な知識経験の活用が期待できる」
   ・「公立には横の連携や地域とのネットワークがありますが、民間になってしまうと保てなくなってしまうのではないかという懸念はあります」
 ・「市の財政状況が厳しいことも十分承知していますが、子どもたちの育ちと子育てをどのように守っていくか、自治体の判断にかかっています」

といった意見が掲載されています。いずれも、公立の長所、民間立に対する懸念を当事者の体験を踏まえて指摘された意見と思えます。
 こうした意見と民営化をあくまでも推進しようとする提言や(案)の方向付けには大きなずれがあります。こうしたずれがなぜ生まれたのかについて、検討会会長、ならびに意見公募をされる市の担当部署は市民に分かりやすく説明していただきたい。

 ②佐倉市の保育所職員の勤続年数は公立の場合は平均約17年、民間の場合は平均約47年とのことですが、上の委員の意見の中にもあるように、幼い子供と向き合う保育では現場で培う経験、それを伝授していく職員内のシステムが保育の質を維持・向上させるうえで非常に重要だと思います。平均勤続年数47年という民間保育園でこの点がはたして担保できるのか、他市他県の実態も十分調査・研究した慎重な判断が必要です。2009626日に市内5つの園を視察されたとのことですが、正味2時間余りの時間で、かつ保護者からのヒアリングもなしでは、とても十分な実態把握ができたとは思えません。

 ③市は国の三位一体改革に伴う財政負担を民営化の主な理由に挙げています。しかし、県内の類似規模の市の間では公・民立の割合は一様ではありません。また、人口規模が類似する野田市、成田市、習志野市、流山市、八千代市、浦安市と比較しますと(平成21年度、「決算カード」による)、佐倉市は住民1人当りの歳出額は7市の中で最低(229千円)で、歳出のうちの民生費を比較しても同じく最低(65千円)です。このようなデータに照らせば、市が挙げる財政事情には説得力がありません。

 ④平成23929日に開かれた市議会本会議における議員質問の中で志津地区北部に保育園が不足している、という発言があります。しかし、平成234月に八社神社西に開園したユーカリが丘保育園は児童の応募がほとんどない無人に近い状況が続き、同年11月に閉園となりました。このような事実を検討会なり、市の担当部局はどのように把握され、判断されたのか、お聞かせ下さい。

⑤検討会の議事録を読みますと、幾人かの委員から、「民間の職員も臨時職員も公立の正職員と変わらないよい保育をしている」という発言がありました。しかし、民営化の是非や雇用形態を議論する時に問われるのは個々の職員の仕事ぶり(それは別の議論の場面では非常に重要ですが)ではなく、上の2-①で紹介した<委員の意見>にもあるような職員の経験の蓄積、伝承、創意が発揮できる職場環境といった制度面、環境面の問題です。従って、個々の職員の熱意なり意欲なりだけで保育園の設置形態を判断するのが適切ではありません。

 ⑥八千代市で2007年に民間に移管した4つの保育園のうちの1つで2名の保育士が20103月に、児童に不適切な行為をしたとして解雇される事件が起こりました。しかし、解雇された本人と園側、及びその他の職員の事件に関する説明が食い違い、保護者が求めた当事者職員から直接説明を聞く機会も持たれない状況が続いています。また、同園では民間移行後、園長が3人交代し、職員も計11人が退職するという尋常でない状態になっています。民間移管後も行政、法人、保護者が密に連携して、法人の事業運営を監督すると言われるのであれば、近隣市でのこうした事例に深い関心を寄せ、民営化後の行政のあり方だけでなく、民営化の是非の検討にあたっても参考とすべき点が少なくないと思います。この件について、市の担当部局なり検討会は、背景も含め、何らかの調査をされたのでしょうか?また、この件についてどのような知見、見解を持ちか、お聞かせ下さい。

 ⑦以上から、(案)が掲げる公立保育園の民営化には、その根拠も含め、疑問が山積しており、とても今の時点で民営化にゴーサインを出せる状況にはありません。山積した課題をさらに深めて調査・検討するよう、今回の意見募集も踏まえ、検討会での審議の再開、市内のブロックごとに保護者・市民から意見を聞く公聴会を検討会主催で行うよう要請します。

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出入り自由のサンルーム(?)に置かれた段ボール箱で仲良く休む野良ネコ(姉宅)
22950
日差しが差し込む居間でうたた寝するウメ
2012_021250

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