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拙書『消費増税の大罪』(柏書房)を出版しました

 去年の暮れから執筆してきた拙著『消費増税の大罪』がようやく出版にこぎつけ、昨日(710日)配本になった。このブログで自著をPRさせていただくことにする。

 出版元の柏書房のホームページの<新刊案内>で、本書の内容紹介、章別目次、著者略歴が掲載されています。

 
醍醐聰著『消費増税の大罪――会計学者が明かす財源の代案』 柏書房刊
 http://www.kashiwashobo.co.jp/cgi-bin/bookisbn.cgi?isbn=978-4-7601-4138-8
 


章・節までの詳しい目次は次のとおりです。

『消費増税の大罪』 詳細目次 
 http://sdaigo.cocolog-nifty.com/table_of_contents_shohizeinotaizai.pdf

2012_07110036_2

 本書で私が伝えたかったことを「はしがき」のなかで簡潔にまとめたつもりです。その部分を転載しておきます。

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            「はしがき」からの抜粋

 本書には、『消費増税の大罪』といういささか誇大な書名が付いた。ただ、消費税増税の議論を概観してみると、やはり「大罪」と断じるべき当事者が三者いるように思われる。

 第一は、消費税増税を強行しようとする政府である。消費税増税について原点に立ち返った議論を避け、「法案成立に政治生命をかける」「法案採決なら逃げない」などという野田首相の物言いは白々しい。筆者も含め、多くの国民は消費税増税法案の行方には大いに関心あっても、野田首相の政治生命などに関心はない。逃げずに断行しなければならないのは、公約に掲げてもいない消費税増税法案の採決ではなく、応分の負担を渋る富裕層、大企業の説得ではないのか。
 所得が増加するほど負担率が下がる所得税の現実を放置し、高所得者を過剰に保護する金融税制にメスを入れようとしない政治。これを「大罪」と呼ばずして何と呼ぼう。
 わが国の全産業の2005年度~09年度の財務状況の推移をみると、不況下におけるリストラの結果として、総資産が24.4兆円、総負債が20.2兆円減少する中で、利益の内部留保(利益剰余金)は6兆円増加して137.7兆円に達している。
 この間の雇用に対する企業の取り組みはどうかといえば、社会保険料の事業主負担の増加を嫌って、大企業ほど非正規従業員の正規化推進措置が遅れ、定年引き上げや継続雇用制度の導入といった高齢者雇用安定法に則った取り組みも渋ってきた。
 社会保障の担い手を細らせる大企業のこうした利己的行動に対し、政府は断固たる態度で臨もうとせず、それどころか、経済界が主張する「国際競争力の強化」「雇用機会の拡大」というおざなりの大義名分を検証もなしに受け入れ、挙げ句の果てに法人税の4.5%減税などという大盤振る舞いをしようとしている。

 大罪と呼ぶべき第二の当事者は、消費税増税に翼賛する大手マスコミである。特に大手全国紙は、民主党政権が消費税増税法案を閣議決定した際には、「豹変して進むしかない」(「朝日新聞」20111231日、社説)と弁護を買って出たうえ、消費税増税に異論を唱える者に向かっては「反対なら代替案示せ」(「毎日新聞」201217日、社説)と開き直った。
 政党、専門家の間のあいだの論争なら、代案を添えた批判が求められる。一方、メディアは独自の取材にもとづいて国民に多面的な知見を提供し、熟議をはぐくむのが使命である。そうであれば、今のメディアに求められているのは、消費税増税以外の選択肢を示すことであろう。「代替案示せ」という警告は、みずからに向けられるべきものだ。

 大罪の第三の当事者は、政府・財務省の論調と平仄を合わせて消費税増税の旗ふり役をつとめる専門家たちである。学問的立場からあるべき税制について持論を交わすのはもちろん望ましいことだ。しかし、少しでも事実を確かめようという気があればすぐに誤りとわかる主張を、専門家という肩書で国民に向かって喧伝する社会的責任はきわめて重い。
 その典型例として、本書では「ライフサイクル仮説」に基づく「消費税=比例税」論(=消費税は年度ごとにみると所得に対して逆進的だが、高所得者も亡くなるまでにすべての貯蓄を使い切って消費するから、消費税は生涯を通してみると所得に比例した税になるという考え方)を取り上げた。世帯主が60歳代以降の世帯では、平均1,2001,400万円台の貯蓄が取り崩されることなく相続されている実態を確かめるだけで、ライフサイクル仮説には消費税の逆進性を否定する説明力がないことが明らかになる。こうした初歩的な事実を無視して消費税の逆進性を打ち消そうとする専門家たちは、曲学阿世ならぬ「曲学阿政」の徒と断罪されてしかるべきだ。

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