NHKスペシャル 「救えなかった命 ~双葉病院 50人の死 ~」を視て
昨夜(2012年12月8日)21時から50分間、NHK総合で放送されたNHKスペシャル「救えなかった命~双葉病院
50人の死~」を視た。シリーズ東日本大震災の一つである。
福島第一原発事故が発生した時、そこから約4.5キロの場所にある双葉病院に寝たきりの高齢者が入院していた。そのうち、事故当日に避難できなかった130人の多くは、行政から派遣されたバスで13時間かけて高校の体育館に搬送された。しかし、バスには医療関係者は1人も同乗しておらず、移動中に3人が亡くなった。さらに、搬送先の体育館では毛布一つで3日間、寝かされるだけとなった。結局、130人のうち50人が命を落とした。
番組では、当時の双葉病院の医師・看護師や福島県の職員、かろうじて生きながらえたお年寄り、亡くなった人々の遺族などからの聞き取りを進め、このように悲惨な結果をもたらした原因はどこにあったのか、その教訓を活かして今、各地の自治体や医療機関で避難体制の見直しがどのように進められているかを伝えた。
私は大震災・原発事故が発生して以降、この問題を取り上げたNHKの報道番組やドキュメンタリ-を視て、その感想をこのブログにいくつか書いてきた。今回の番組はその時の感想とはいささか違っているので、番組終了後、NHKスペシャルの専用サイトに設けられている意見投稿欄を通じて感想と要望を送った。以下はその全文(といっても制限時数600字)である。
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――番組専用サイトに送った感想と要望――
これまで東日本大震災・福島原発事故を取り上げたNHKの報道番組やドキュメンタリィ番組を見るにつけ、「ことさら明るい話題に焦点を当て、過酷な現実をリアルに伝えきれていない」と感じてきました。しかし、この番組の中で、寝たきりの患者を病院に残して避難した医師・看護師、かろうじて生きながらえたお年寄りに取材し、その時の状況、現在の率直な思いを聴きとる場面は貴重でした。
続編への希望として、①番組では受け入れ先の確保について、個々の自治体・医療機関レベルでの模索を紹介していましたが、大規模災害となれば、広域的な受け入れ体制の検討が不可欠と思えます。この点について政府の対策は、各省庁なり自治体なりに検討を指示したという類いのものが多く、こうした名ばかりの対応をいかに改めるかについて、取り上げてほしいと思います。②広域的体制を実のあるものとするには地域でのきめ細かな自主的避難体制づくりが不可欠です。近年、自主防災会が地域の自治会単位で作られています。しかし、その内容は防災訓練や講習会の開催といったイベント的なものが大半で、平日か休日かごとに、自力では避難できない高齢者・障害者を誰がどのようにして安心できる避難所へ誘導するのかというきめ細かで実践的な避難体制の確立は手つかずです。こうした地域における防災・避難体制の現状・改善策もぜひ取り上げてほしいと思います。
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伊豆河津のバガテル公園で(2012年11月2日撮影)
ホワイトタイガーと対面。伊豆稲取のアニマルキングダムで(2012年10月11日撮影)
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