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今日(4月30日)、IWJで醍醐のインタビューを中継:TPPをめぐって

 今日(430日)、14時からIWJIndependent Web Journal)のUSTCh1で、IWJ代表の岩上安身氏による醍醐へのインタビューが中継される。
    http://www.ustream.tv/channel/iwakamiyasumi?utm_campaign=realtime.search.yahoo.co.jp&utm_source=3532343&utm_medium=social
 インタビューの中心は、
26に「TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会」が発表した、TPPに関する日米事前協議に関する国会議員への質問要請の内容を、より掘り下げて解説すること。TPPの問題点・危険性について、いまだ国民に知られていない現状のなかで大学教員の会が指摘した日米事前協議の問題点、不明点を一つひとつ取り上げながら、日米事前協議がいかに屈辱的なものであったか、またTPPそのものがいかに不平等なものかを論証したいと考えている。
 このほか、前記大学教員の会を結成した経緯、TPPをめぐるメディアの報道(428日夜放送された「NHKスペシャル シリーズ日本新生 TPP交渉 どう攻める どう守る」を視た感想など)にも触れたいと考えている。後者の中では、TPP報道をめぐって、日本のメディアがいかに「発表物報道」に偏し、メディアの原点ともいうべき取材報道――「争点(論点)提示型報道」――がいかに貧困かを究明したいと思っている。
 また、目下、私と経済統計学研究者、地方財政研究者が共同で進めている、TPP参加による関税撤廃の影響試算の作業の状況についても簡単に触れる予定。
  ご都合がつく方々には、視聴していただけると有難い。
参考:
 
「国会議員への質問要請項目~TPP日米事前協議等をめぐって~」
   http://sdaigo.cocolog-nifty.com/tpp_situmon_yosei_komoku.pdf 
 

 今年も咲いた
            庭に咲いたチューリップ
   Photo
            道路に面した生垣に咲いた鉄線
20130426 

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「共通番号制」から離脱する権利を認めよ

 目下、国会に上程されているマイナンバー法案をめぐって、420日、ビデオ・ニュースに出演し、ジャーナリストの青木理さん、社会学者の宮台真司さんと約90分間、討論した。目下、動画配信中であるが会員でないとpreviewしか視聴できない。しかし、以下のサイトに議論の要約が掲載されていて、私の発言のポイントもうまくまとめられている。
 大半の国民が知らないところで、将来に重大な禍根を残す法案がまもなく国会を通過しようとしている。しかし、かりに法案が成立しても、法が施行される前に(各人への番号の付与は2017年1月とされている)、全国各地でこの共通番号制に参加しない/離脱する権利の存在を確認する訴訟(一種の予防訴訟)を起こすことを、討論の最後で訴えた。下記のサイトに掲載された討論の要旨を転載するので、ご覧いただけるとありがたい。

 

マル激トーク・オン・ディマンド 第627回(20130420日) 

「共通番号制」から離脱する権利を認めよ

ゲスト:醍醐聰氏(東京大学名誉教授)

http://www.videonews.com/on-demand/621630/002738.php

 

 国民一人一人に番号を付ける「共通番号制」の法案審議が衆院内閣委員会で進められている。これは納税者情報を正確に把握することを目的としたもので、今回の法案化の動きは、旧社会保険庁の年金不祥事、特に「消えた年金問題」を契機に、年金情報を含む個人情報の一元管理の必要性が叫ばれたことに端を発する。民主党政権下で「社会保障と税の一体改革」の中に盛り込まれた「マイナンバー」を、政権に復帰した自民・公明の与党が修正を加えて「共通番号」として提案してきたものである。
 国民を番号で管理するという発想は、1970年の「事務処理用統一個人コード構想」、いわゆる「国民総背番号制」にさかのぼる。そして、その後も類似の制度が政府によって検討、提言、提案されてきたが、いつの時代も「権力サイドによるプライバシーの侵害」「国家による国民管理」に対する懸念が払拭できず、頓挫してきた。今回もその懸念に変わりはない。しかも、社会環境は40年前とは一変している。パソコン、スマートフォンが普及し、インターネット環境も整備が進んだ結果、流通する情報量は爆発的に増え、しかもそれを処理する能力も飛躍的に向上している。どれだけ情報セキュリティに気を配っても、あらゆる個人情報が一つの番号に紐付けられることのリスクは、かつて無いほどに高まっている。とかく利便性が強調されがちだが、本当に共通番号を導入することによって得られる利便性は、そのリスクを上回ると言えるのか。
 たしかに現在でも個人は特定の番号に紐付けられている。クレジットカードしかり、運転免許証しかり、住基ネットしかり、だ。しかし、東大名誉教授で納税者番号制度に詳しい醍醐聰氏は「今回の制度は、従来からの縦方向の情報管理を横から串刺しにして横断的な一元管理を可能にするもの」と、共通番号制の問題点を指摘する。縦割りによってかろうじて保たれてきたファイアウォールが事実上無くなることで、情報流出の際のダメージは取り返しのつかないことになる恐れがある。
 その上で一番の問題は「われわれの側に制度を利用するかどうか決める選択権が保証されているかどうか疑わしい」ことだという。コンピュータ技術の進歩で、いやがおうにも個人情報の管理が容易になってしまった今日、各人が自分自身の情報をどう管理するかを決める「自己決定権」が保証されることが重要だ。そのためには制度への参加とともに、システムからの離脱権が保証されていなければならない。しかし、法案の条文上、そこがどうも曖昧だ。そして法案が成立したら、事実上、自動的に全国民に番号が与えられることになり、番号がなければ今後、様々な行政サービスを受けられなくなることもあり得るという。醍醐氏は、「こうした権利の制約は憲法違反の疑いすらある。今後、集団訴訟などの動きが出てくることも期待したい」と話す。
 また醍醐氏は、法案では、行政事務にとどまらず、民間へのシステム開放も想定されている点にも警戒が必要だと指摘する。一つの番号にあらゆる個人情報が紐付けされるシステムを民間事業者が利用するとなると、個人的な趣味や日常的な行動が特定の番号に蓄積されていくことにもつながりかねない。いまやネットでは当たり前になってきた「レコメンド機能(おすすめ機能)」が実生活上に入り込んでくることも考えられ、それは必ずしも良いことばかりではないようだ。むしろ逆に特定の情報から閉め出されたり、事業者に不利になるようなことが隠されたりすることにつながるという。
 法案には近年とみに増えてきている国会軽視の側面もみえる。法案に具体的なことを書き込まず、詳細は「別に政令で定める」となっている点だ。政令の発布には国会の議決や審議を必要としない。枠組みだけ先に作ってしまって、後から都合の良い中身を役所だけで考えましょうというのでは、あまりにも無責任で危険過ぎる。また、しきりと喧伝される行政事務の簡素化や効率化も、初期投資が20003000億円、その後もシステム維持に毎年200億円規模が必要との試算もある。これで本当に費用対効果に見合ったメリットがあるのか。新手のIT公共事業ではないのか。
 そもそも共通番号は誰のためのものなのか。番号による国民の管理について、海外での事例なども交えながら、ゲストの醍醐聰氏とともに、ジャーナリストの青木理と社会学者の宮台真司が議論した。

 

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反TPPで870余名の大学教員が結集

 (以下は、日本ジャーナリスト会議の機関紙『ジャーナリスト』第661号、2013425日に寄稿した小論を、同紙編集部の許可を得て転載するものである。なお、転載にあたって、一部の表現を改めた。)

 315日に安倍首相がTPP交渉への参加を表明し、日米の事前協議が進行する中、「遅すぎた」と言われながらも、大学教員17名が呼びかけ人となって、「TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会」を発足させ、安倍首相宛てにTPP交渉からの即時脱退、事前協議の即時中止を求める要望書を提出することになった。328日から、全国の大学教員にこの要望書への賛同を求める呼びかけを始めた。私は100名超の賛同署名を添えて申し入れようと友人に声をかけたのだが、いざ始めると、3日目で200名を超えた。これを見て、呼びかけ人の中から、「こうなったら1,000名を目標にしよう」という声があがり、俄然、熱気を帯びて来た。

広範な専攻分野から鋭いメッセージ
 結局、49日には、その前日の24時までに集まった822名(呼びかけ人を含めると839名)の賛同者名簿を添えて、安倍首相宛てに要望書を提出した。そして、翌10日に開いた記者会見では、860名の署名簿と400名の賛同者から寄せられたメッセージ全文をプリントして報道関係者に配った。
 私が驚いたのは、短期間に文系・理系の枠を超えて反響が広がったことだけではなかった。それ以上に、400名の賛同者が署名に添えたメッセージの中身の先鋭さに驚かされ、TPPへの並々ならぬ危機感が綴られた文面の数々に触れて深い感銘を覚えた。

 「TPPは米国流新自由主義の終着点の一つで、日本社会の全体を市場原理に明け渡すものです。
  内容がブラックボックスのまま後戻りもできない交渉に絶対に参加してはいけません。」

 「僅か世界の1 %の人々が握る企業が、残りの99%の人々のみならず国家をも支配できるシステムです。抜けることもできない、しかも、審議内容は参加国の国会議員ですら知ることができない仕組みなのに、なぜ賛成?」

 TPP参加は瀕死の日本農業の息をとめるものであり、自国民の食料を確保するという国として当然の責務を放棄するものです。」

警鐘の声伝えぬメディアに疑問と怒り
 政府の方針を真っ向から批判するこうしたメッセージが、公開を承知の上で、これほど多数寄せられるとは私の予想をはるかに超えるものだった。410日の記者会見には8つの全国紙・通信社とテレビ局1社が出席したが(業界紙等を含めると39組織、49名)、翌日、会見の模様を報道したのは私が知る限り、「日本農業新聞」と「しんぶん赤旗」だけだった。大手マスコミのこうしたTPP反対論の黙殺には多くの賛同者から疑問と怒りの声が寄せられた。「日本農業新聞」は、最近の大手メディアは「消費税、原発、TPPなど国論を二分する問題になると、物事を単純化し、対立をあおり、最後は訳知りの予定調和で流してしまう『国民思考停止装置』と化している」(201343日、「四季」欄)と酷評したが、少しも言い過ぎではない。
 その「日本農業新聞」は412日付の紙面に呼びかけ人17名、賛同者861名(411日現在)全員の名簿を両開きのスペースを割いて掲載した。次の日には某県のJA中央会から、マスコミが伝えないなら自分たちの手で広告として全賛同者の名簿を載せたいが、かまわないかという問い合わせが来た。
 大手マスコミ関係者(経営者だけではなく、そこに身を置く編集者・記者たちも!)は、自らを<国民を思考停止に追いやる装置>と断罪されて恥ずかしくないのか。本誌の読者各位も自分は別だと傍観せず、遠近の差はあれ、自らもこうした酷評の矢面に立つべき当事者として、ジャーナリストの初志を自問してほしい。事が終わってからのお手軽な「検証」物では免罪符にもならない。

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4月10日に各界との意見交換会&記者会見~TPPに反対する大学教員の会~

 「TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会」は安倍首相と日本政府にTPP協定への参加に向けた交渉から直ちに脱退するよう求める要望書を49日に提出することとし、それに向けて328日から全国の大学教員に賛同を呼びかけている。
 こうした運動の集約点として、会は410日に下記の要領で、当会主催の記者会見を開くとともに、それに先立って、TPP問題に関わる各界の方々と大学教員との意見交換会を開催することにした。
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 TPP
をめぐる大学教員と各界関係者との意見交換会

  日時  410日(水)10時~
   会場  参議院議員会館 B106会議室(地下1階)
   出席者 
    大学教員側: 伊藤 誠/大西 広/金子 勝/鈴木宣弘/醍醐 聰
          /萩原伸次郎
    小林寛史氏(全国農業協同組合中央会農政部長)
    岩月浩二氏(弁護士・TPPを考える国民会議世話人)
    内田聖子氏(アジア太平洋資料センター事務局長)
    山浦康明氏(日本消費者連盟共同代表・TPP問題担当)
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TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会」主催  記者会見

  日時  410日(水)1130分~
  会場  参議院議員会館 B106会議室(地下1階)
  主催者側出席者:伊藤 誠/大西 広/金子 勝/鈴木宣弘/醍醐 聰
          /萩原伸次郎
  出席した会の呼びかけ人より、安倍首相宛て要望書の趣旨・提出(49日の予定)の経過を説明した
後、報道関係者各位との質疑を予定

TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会」呼びかけ人
磯田 宏(九州大学准教授/
農業政策論・アメリカ農業論)   
伊藤 誠(東京大学名誉教授/理論経済学)
大西 広(慶応義塾大学教授/理論経済学)  
岡田知弘(京都大学教授/地域経済学)
金子 勝(慶応義塾大学教授/
財政学・地方財政論)
楜沢能生(早稲田大学教授/法社会学・農業法学)
志水紀代子(追手門学院大学名誉教授/哲学)  
白藤博行(専修大学法学部教授/行政法学)
進藤栄一(筑波大学名誉教授/国際政治学) 
鈴木宣弘(東京大学教授/農業経済学) 
醍醐 聰(東京大学名誉教授/財務会計論) 
田代洋一(大妻女子大学教授/農業政策論)
萩原伸次郎(横浜国立大学名誉教授/アメリカ経済論) 
日野秀逸(東北大学名誉教授/福祉経済論・医療政策論)
廣渡清吾(専修大学教授/ドイツ法) 
山口二朗(北海道大学/行政学)

渡辺 治(一橋大学名誉教授/政治学・憲法学)


会のブログ:http://atpp.cocolog-nifty.com/ 
専用メールアドレス: tpp2013@mbr.nifty.com

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共通番号制を巡る鈴木正朝氏と私の対談~今朝の「毎日新聞」に掲載~

 一つ前の記事、「全国の大学教員有志:日本政府にTPP参加交渉からの即時脱退を求める運動を開始」も併せてご覧いただけるとありがたい。
 http://sdaigo.cocolog-nifty.com/blog/2013/03/tpp-aaa8.html

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 322日に衆議院で共通番号制(マイナンバー)法案が審議入りした。これについて、今日(201341日)の『毎日新聞』朝刊の6面に、鈴木正朝氏(新潟大学法学研究科教授・情報法専攻)と私の対談が掲載された。司会は山田健太氏(専修大学文学部 人文・ジャーナリズム学科教授)。同じ6面には山田氏の論説も掲載されている。
 

 (追記:4月1日、16:21)ネット上で対談の全文が掲載されている。
  http://mainichi.jp/select/news/20130401ddm004010197000c.html

 メディア法・メディア論が専門のお二人を相手に、その分野には門外漢の私が対談というのは、おこがましい気がしたが、私も、一昨年来続いた消費税増税の法案審議の過程で、低所得者対策の「切り札」かのような位置付けで議論された「給付付き税額控除」を採用する場合に必要となる個人の所得把握に使うと言われた納税者番号制について研究した(拙書『消費増税の大罪』2012年、柏書房)。
 目下のところ、消費税増税にあたっての低所得者対策としては、「給付付き税額控除」ではなく、所得の把握を必要としない「軽減税率」制を採用する案が浮上している。そのため、納税者番号制の利用目的をこれまでと同様には説明できない状況になっている。しかし、それでも共通番号制の推進論者は番号制を「小さく産んで大きく育てる」「種まき」と捉えているふしがある
 番号制推進論者を自認した鈴木氏と番号制に根本から異議を唱える私の対談は、紙面の制約上、2時間余りにわった対談のかなりの部分が省略されているが、それでも、お互いが率直に対立する意見をぶつけ合った形になっている。こうした賛否の見解を突き合わせてお読みいただき、特に、結論の違いもさることながら、それ以上に結論に至る根拠を注視いただき、共通番号制の可否を判断する一助として役立てていただけると幸いである。

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