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TPP影響試算作業のこと、安部首相の「脅しに屈しない」発言のこと

IWJ代表の岩上安身さんとの「対談」あとがき
 好天に恵まれた今年の連休。皆さんはどうのように過ごされただろうか? 一つ前の記事に載せたように、わが家の生垣には今年も大きな花びらの鉄線が咲いている。
 その記事で予告した430日のIWJ代表の岩上安身さんのインタビュ-。実際はインタビューというより岩上さんの博識が随所に現れた対談だった。多くの方に過分のツイートをしていただき、ありがたく思っているが、声が低すぎてマイクにうまく入らず、お聞き苦しいところが多々あったと思う。ぶっつけに近い中継だったので、資料の出し方などで手際の悪いところがあった。いくつになっても自分を磨くよう精進しなければと反省させられた。

安倍首相の「脅しに屈しない」発言に反応しないメディアーー異常が常態になる空気の怖さ――
 3時間半ほど話し続け、のどが渇き、空腹になっていたので近くで一緒に夕食をとることになった。連日、様々なテーマで各界の人達とインタビューという名目の「対談」をこなす岩上さんの博識と情熱と体力に敬服する。食事中、岩上さんはJA全中に対する持論を展開。話題が安倍首相の歴史観に及んだところで、私は、韓国や中国からの抗議を「脅し」と発言して憚らない安倍氏の歴史観に日本のメディアが全く反応しなかったことに呆れていると話した。そして、こうした歴史観を反証するのに一番効果的なのは、安倍氏らが「英霊」と持ちあげる特攻隊員の生存者が、自分たちを英霊と呼ぶのは欺瞞だと憤っていることを示すのが一番ではないかというと、岩上さんは大変関心を寄せ、手許にある資料を全部貸してもらえないか、できることなら生存者に取材に出向きたいと言い出した。岩上さんらしいなと思ったが、残念ながら特攻経験者で存命の人もほとんど他界されたようだ。もし、話を聴ける方がおられるなら、私も出かけたい。
 帰宅後、去年、地元の講演会用に作った資料――知覧訪問記――をメール添付で岩上さんに送った。以下はその中の一節である。

体当たりという強制された自殺を殉国と美化するのは欺瞞
 「平素率先垂範、陣頭指揮を唱えながら特攻に加わらず、生き残った幹部が出撃していった若者を賛美し、志願によるもの、憂国の情から莞爾として飛び立った等と語るのは欺瞞以外の何物でもあるまい。我々は特攻美化論の背後に、彼等旧軍幹部に潜んでいた責任回避と日和見保身主義を見落としてはならない。」
 
(西川吉光『特攻と日本人の戦争――許されざる作戦の実相と遺訓』2009年、芙蓉書房出版、211ページ)

 「体当たりという自殺行為の記憶は、時代とともに美化された思い出に変わるものではなく、三十数年間を経過したいまでも、身体の傷とともに心の傷として残り、消え去らないものである。」
 
「殉国も、献身も、そのことへの賛辞も、私にはすべてが不謹慎な偽りの言葉に聞こえ、すなおに喜ぶことができない。」
 
(鈴木勘次『特攻からの生還--知られざる特攻隊員の記録』2005年、光人社、1112ページ)

 安倍氏は近隣アジア諸国への侵略に赴かされた日本軍兵士を「英霊」と讃える前に、彼らのこうした叫びに耳を傾けるのが人の道である。

TPP
影響試算で試行錯誤の連休
 その連休だが、日本がTPPに参加し、原則すべての関税撤廃を余儀なくされた場合の影響を独自に試算する作業で明け暮れている。
 428日は試算作業チームに加わってもらった2人の若手の財政研究者と都内で3時間余り検討会。1人は島根から駆け付けてもらった。これまで使ったことのない営農類型別農業経営統計を使って関税撤廃の影響が農業生産額の減少・農業所得の減少・国と地方の税収への影響という波及効果を試算できないかという難しい作業。特に関税撤廃の対象となる品目と農業経営統計で用いられる品目とが1:1で対応しないケースが多く、入口の品目マッチングで作業は試行錯誤の連続。
 これは外部の人間の解釈では手に負えないので、51日、事前のアポで農水省へ出かけ、大臣官房統計部のメンバー5人に質問を投げる。
 54日は、静岡へ出かけて、産業連関表を使った影響分析、特に関連産業の生産額・雇用者所得・営業余剰・消費支出の誘発(この場合は減殺)効果の試算を担当してもらっているDさんも交え、メンバー3人で3時間ほど資料をにらみながら議論。切迫した現実に対峙して自分たちの専攻分野の知見を傾けるやりがいを感じさせられたひとときだった。それまでも、メールで情報交換・意見交換を続けてきたが、少しずつ試算値も定まり、先の見通しが立ってきた。また、自分たちの独自の試算と並行して315日に内閣府が発表した政府統一試算、および農水省が発表した農林水産分野の影響試算の信憑性も検証中である。

思い立って北海道へ
 
 しかし、関税撤廃の影響試算といっても仮定の置き方で結論が大きく左右される点が少なくない。例えば、小麦やてんさい・さとうきびといった農産物の生産が壊滅したら、それを加工・精製する川下の関連産業(製粉業や製糖業など)はどうなるのか? 極端な場合、廃業に追い込まれるのか、それとも原材料を輸入に置きかえて操業を継続するのか、輸入するとしたら、それは政府が踏襲したGTAPモデルの貿易収支にどのように織り込まれているのか? 
 こうした点はもともとモデルで割り切れるものではなく、産業連関、物流の実態を確かめなければ、机上の数いじりになってしまう。
 そこでというと話が飛躍するが、来週、関税撤廃で壊滅的打撃を受けると言われている北海道へ出向き、道庁で農政・酪農・水産の各担当部署のスタッフと面会することになった。道庁のスタッフとは、少し前から電話やメールで質問を投げてやりとりをしてきたせいもあってか、面会のアポを快諾してもらった。道庁での調査の後、全国有数の酪農地・帯広/十勝地方へ出向き、TPP・関税撤廃の影響を現場の人々がどのように受け止めているかを見聞する予定だ。
 こんな風に、思い立ったところへ意欲の赴くままに出かけられるのは自由な時間と自分を含めた家族の心身の健康あってのこと。あと何年、こんな環境が続くのかと思うと、持ち時間の尊さを否応なしに感じさせられる。

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