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北海道庁と帯広/十勝へ、TPPの現地調査と意見交換にーー大学教員影響試算作業チームーー

 私を含め4人の大学教員で立ち上げたTPP影響試算作業チームは明日513日から15日まで北海道に出向き、札幌では道庁のTPP・農業・酪農水産担当者と意見交換会を開くとともに、JA北海道中央会と面会することになった。その後、帯広市に出かけ、市の農政担当者、JA帯広支所と意見交換をするほか、酪農家や関連産業の現場を訪ね、TPPの影響について調査をすることになった。

道庁での意見交換会
 
 13日午後は道庁内で作業チーム3名と道庁の農政部農政課主幹、水産林務部総務課主幹/主任、総合政策部政策局参事、同部経済調査課主査、計7名の皆さんと、日本がTPPに参加した場合の影響および影響の試算をめぐって意見交換をする。そこでは私たち作業チームが事前に道庁に送った質問事項について質疑を交わし、その後、作業チームが手掛けている影響試算のフレーム、それを北海道に適用した試算結果を説明することになっている。

 作業チームから北海道庁へ送った質問事項
 
 http://sdaigo.cocolog-nifty.com/hokkaido_situmon20130510.pdf

 この意見交換会には「TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会」の意見表明に賛同された道内の大学教員4名も参加される。また、意見交換会は報道関係に公開で行うことになっており、IWJInternet Web Journal)が同行取材して、その模様をインタネットで配信する予定である。配信の予定が決まったらお知らせしたい。

JA
北海道中央会との意見交換
 
 14日午前にJA北海道中央会を訪ね、TPPが北海道の農業・酪農およびその関連産業に及ぼす影響について意見交換をする。そこでは、作業チームが道庁宛てに送った質問事項についてのJA北海道の考えを聞くほか、

 *JA全農は2013年度からの3ヵ年計画にもとづいて、また農業の六次産業化の方針に沿って、農産物の主体的なバリューチェーンを構築する運動を進め、それを農業者の所得向上につなげていくとしているが、このような考え方にそって、JA北海道中央会として特に注力している具体的な取り組みについて、

 *こうした取り組みを推進していくうえで、日本がTPPに参加することは、プラス(追い風)の効果をもたらすのか、それとも障害になる(マイナスの効果)と考えるのかについて。
 
 *政府の産業競争力会議は耕作放棄地や地域に分散した農地をまとめて規模拡大をはかるため、都道府県単位で「農地中間管理機構(仮称)」を設置することを提案しているが、こうした動きについて、JA北海道中央会はどのように考えるか?

 *328日以降、全国の大学教員は870名近い賛同者が集って、TPP参加交渉からの即時脱退を求める運動を起こしているが、こうした大学人の動きに対して、JA北海道中央会はどのように見ているか、今後、どのような役割を期待するか、

について意見交換をする予定だ。

帯広/十勝で
 
 14日午後には、帯広市役所を訪ね、市の農政部の担当者からTPPが日本有数の酪農・畑作が位置する十勝の農業に及ぼす影響について調査し意見交換をする。訪問に先立ち、作業チームは帯広市に次のような質問事項を送った。

 作業チ-ムが帯広市へ送った質問事項
 
 http://sdaigo.cocolog-nifty.com/obihiro_situmon20130510.pdf

 また、市役所訪問の後、地元のトラック協会、消費者協会を訪ね、それぞれの観点から見たTPPが十勝地方の関連産業と消費者に及ぼす影響についてヒアリングすることになっている。
 なお、この日の夕方には作業チーム一行は十勝毎日新聞社を訪ね、地元マスコミ関係者ほかの方々と懇談をすることになっている。その折、私は40分ほどのスピーチを頼まれたので、私たち作業チームが手掛けている関税撤廃の影響試算の概略、前日の道庁での意見交換の模様を説明するとともに、TPP参加の可否をめぐって全国紙の世論調査、論説と地方紙の世論調査、論説がなぜかくもねじれるのかーーその原因を日本のメディアの報道全般の劣化と関わらせて話し、意見交換をしたいと考えている。


十勝地方の酪農・畑作経営者・製糖事業の現地調査
 
 翌15日には、地元JA帯広支所の案内で、昼食をはさんでJA士幌町、当地の酪農家、JAめむろ、当地の畑作農家圃場・製糖所を訪ね、それぞれの事業の現地調査をする。
 
 作業チームはこれまで産業連関表を使った関税撤廃の影響試算や農業経営統計を使った関税撤廃の影響(特に農業所得への影響)を試算してきたが、作業を進める過程で数字に表れにくい/現れないTPPの影響をリアルに把握する必要性を痛感している。
 
 たとえば、今朝(512日)の「日本農業新聞」には「コンニャクも重要品目」という見出しの記事が掲載されている(妻木千尋記者稿)。記事によると、政府はTPP交渉参加国からは日本へのコンニャクの輸入実績がないため、コンニャクを関税撤廃の例外とするよう求める「重要品目」に加えなかった。しかし、この記事が調査したコンニャクの主産地・群馬県では海外のコンニャク産地は日本がTPPに参加してコンニャクの関税を撤廃したら輸出促進に転じ、外国産が急増すると危惧しているという。ちなみに、群馬県のコンニャク生産量は全国の生産量の9割を占め、加工や流通に携わる関連産業も集中していて、地域経済を支えているという。
 
 地元のコンニャク農産家や県が危惧するのは品種転換、規模拡大によってコンニャク生産の担い手、後継者育成に努めてきた努力がTPP参加で灰じんに帰すのではないかということである。
 
 北海道でも道産野菜を農産物に留めず第一次加工品化する野菜のサプライチェーン構想が進められている。十勝地方の運送業界も乳製品の運送に特化した事業として存続してきたという実態があると言われている。
 
 こうした実態を知るにつけ、「現在」の「TPP参加国」からの輸入実績だけに照らして関税撤廃を除外する「重要品目」を決め、その枠内だけで影響を試算したのでは実態からずれが生じることを銘記しなくてはならない。また、川上の原材料が国産から輸入物に代わっても川下の関連産業は輸入品に切り替えて事業をこれまで同様継続できると割り切ってよいのか、実態と突き合わせた検証が必要になる。
 
 今回の現地調査では、こうした数字に隠れた日本の農業・酪農のサプライチェーンの実態も調べてみたいと思っている。 

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