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虚妄の自由貿易原理主義

2014129
 
 以下は、『農業共済新聞』(201414週号、129日発行)の1面「ひと 意見」欄に掲載された拙稿である。同紙編集部の許可を得て、このブログに転載することにした。

           虚妄の自由貿易原理主義
          ――TPP阻止へ最後まで――

    TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会呼びかけ人
                           醍醐 聰

 越年したTPP(環太平洋経済連携協定)交渉は今、強行決着か破たんかの岐路にあるが、日本政府が、農業分野の重要品目の関税維持渉で1cmたりとも譲歩しないと言いつつ、交渉の中身を国民に明らかにしないまま、日米が協調して早期妥結を目指すと語るのは自己矛盾である。なぜなら、食の安全・安心、国民皆保険制度の維持、ISD(投資家対国家紛争解決手続き)条項の拒否など、非関税分野の事項も含め、国会決議や自民党の決議で厳守するよう求められた国益(国民益)が守られる目途がないなら交渉から脱退せよという項目も決議に盛り込まれているからである。なにはともあれ妥結せよとはどこにも謳われていない。
 TPPを支持する見解の根底にあるのは「自由貿易原理主義」である。TPP推進論者の伊藤元重氏は「保護主義で栄えた国などない」と主張しているが、経済学者として責任を負える主張なのか?

元米国大統領も食料の独自性強調
 伊藤氏は関税などによって国内産業を守ろうと各国が保護政策に走ると結局はお互いを傷つけ、すべての国が被害を蒙る結果になると述べている。しかし、20081016日、国連世界食料デーに出席したビル・クリントン元米国大統領は、「食料は他の商品と同じではない。われわれは食料自給率を最大限高める政策に戻らなくてはならない。世界の国々が食料自給率を高めることなく開発を続けることができると考えることは馬鹿げている」と演説した。
 実際、世界の国々(08年現在でロシア、ウクライナ、中国、インド、エジプトなど11カ国)は国内の主要穀物について輸出制限枠を設けたり輸出税を賦課したりする輸出規制を行っている。これは気象変動やバイオ燃料需要の増加に伴う農産物の国際価格が騰貴したときも国内需要の安定的充足を図るための措置である。EU(欧州連合)も共通農業政策の中で境界価格が域内価格を上回る場合は輸出関税を課し、投機的な輸出を抑制する仕組みを採用している。

食料安全保障は自給を基本に
 このような食料をとりまく自然環境、世界の需給状況を考えると国民が最低限必要とする食料は自給を基本とし、それに備蓄と輸入を組み合わせる食料安全保障政策を採用すべきは当然である。とりわけ、先進国の中でも穀物の自給率が28%(2011年現在)と極端に低い日本では自給率の向上こそ喫緊の課題である。そう考えると、例外なき関税撤廃で国内農業生産を壊滅させるTPPはまさに亡国の異常協定である。私たち「TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会」は、TPPを阻止するまで運動を続けていく決意である。
 
(『農業共済新聞』201414週号、129日発行、掲載)

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