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宇都宮健児氏を支持する前にやるべきことがある(2・前篇)

澤藤父子の告発に接して
 (1)で書いたように私は昨年末にA氏から、今回の都知事選に立候補する宇都宮健児氏の政策づくりをする委員に加わってもらえないかという依頼を受けた。これはいうまでもなく、通常の研究会への参加ではなく、政治的意味合いを帯びた任務である。つまり、立案した政策は都知事候補者とその支持母体で練られ、選挙公約として成文化されたうえで都民に向けて広報されるのである。
 とすれば、依頼に応じるかどうかの返答をするにあたっては、自分が政策の立案にふさわしい能力を備えているかどうかに加え、候補者およびその支持母体に、立案された政策を咀嚼して成案に仕上げ、実行する能力が備わっているかどうか、革新統一候補(を支える母体)として支持者はもとより都民の負託に応える誠実性、民主主義的倫理観を備えているのかどうかを考慮するのは当然である。
 そこで、手始めに、前回(一昨年1216日投票)の都知事選で宇都宮氏の支持母体となった「人にやさしい東京をつくる会」のHPなどにアクセスし、宇都宮候補が掲げた選挙公約と同会の組織体制を調べていくうちに、「宇都宮健児君、立候補はおやめなさい」という記事が「澤藤統一郎の憲法日記」に掲載されているのを発見した。
http://article9.jp/wordpress/

そして、筆者が澤藤弁護士であることにも驚いた。澤藤弁護士は知らぬ間柄ではなく、NHK番組改ざん問題以来、時折、言葉を交わしたこともある人だ。この記事は今も連載中で(13日の時点で14回目)であるが、初回の記事によると澤藤氏と宇都宮氏は同期の弁護士で、前回都知事選で澤藤氏は宇都宮選対の中心メンバ-の一人でもあったという。

澤藤氏の告発に寄せる私の3つの関心
 1. 2012年の都知事選に立候補した宇都宮健児氏の選対(以下、「旧宇都宮選対」と略す。選対本部長:上原公子)の体質を厳しく批判した部分
 2. 澤藤氏が旧宇都宮選対メンバー-としての自らの体験、および同氏が入手した 旧宇都宮選対とその母体といえる「人にやさしい東京をつくる会」(代表者:中山武敏)の「選挙運動費用収支報告書」を読み取って指摘した旧宇都宮選対の中心メンバ-の公職選挙法違反の嫌疑
 3. 宇都宮健児氏の都知事候補としての資質に対する疑念

 ここで断っておくが、私の今回の一連の記事は、澤藤氏の連載記事「宇都宮健児君、立候補はおやめなさい」だけに依拠したわけではないし、そこで指摘されたことがすべて真実と予断しているわけではない。特に、宇都宮氏の都知事候補としての資質に関する意見は、あくまでも私自身の体験から得た知見を基本にし、参考情報として上記の3を咀嚼している。また、上記の13に含まれる事実関係の指摘は、今の時点では当事者の一方側の記述であることから、それぞれの記述の真実性は留保したうえで、指摘された問題の重大性に照らして、記述されたことが真実かどうかの説明を他方の当事者(宇都宮氏、旧宇都宮選対、「人にやさしい東京をつくる会」)に求めるというスタイルで記述している。
 さしあたって、この稿と次稿では1の旧宇都宮選対の問題点に関する私のコメントを書いておく。もともと、旧宇都宮選対の内部事情を外部者の私が知るすべは今のところ澤藤氏の連載記事以外にないので、以下ではこの記事で記されたことを情報源として―――現時点では真偽の判断は保留して――書くことにする。ただし、抽象的に記しても議論が深まらないので、澤藤氏の連載記事のなかで私が重大と受け止めた箇所(日時、発言者の氏名、発言内容が具体的に記された部分)を摘記したうえで私のコメントを付記するというスタイルで書いていくことにする。多くは、20121119日から1213日までほぼフルタイムで旧宇都宮選対の運動員として選挙活動した澤藤統一郎氏の子息・澤藤大河氏の体験談である。ちなみに、大河氏は運動員として活動した期間中は宇都宮氏のスケジュール管理など秘書的任務に就き、選挙期間中に行われたNHKや民放での宇都宮氏の政見放送の録画取りや宇都宮氏の大学生時代の同窓会にも随行したと記されている。

 ①旧宇都宮選対事務局長・熊谷氏(岩波書店社員)の「居留守」問題(連載第7回)
 記事によると、東京市民法律事務所を間借りして宇都宮氏の選挙運動立ち上げの準備をしているさなかの20121120日、当事務所に「革新都政を作る会」の中山伸事務局長から熊谷氏と連絡をとろうと何度も電話がかかってきた。その場に居合わせた大河氏は事務所に帰ってきた熊谷氏に返電するよう伝えたところ、熊谷氏はこう返事をしたという。「ああその人には電話しない」、「その人には(熊谷は)いないっていっといて」、「ぼくはその人が嫌いなんだ」、「その人が、出馬会見前に支持表明しようとして、生活の党からの支持が吹っ飛ぶところだった。大変な迷惑を被ったんだ」。中山氏はその後も、熊谷氏が在室中に熊谷氏宛に電話をしてきたが、熊谷氏は電話応対者に不在と告げるようサインをしたという。
 特定の候補者が複数の政党なり団体に支持を要請する場合、「あの党が共闘組織に入るなら、うちは支持を控える」といった問題がしばしば起こることは予想できる。その場合、選対の要職者は支持表明のタイミングなどをめぐって気苦労をすることだろう。しかし、「革新都政を作る会」は過去何度か都知事選に候補者を擁立した実績のある団体である。この点から言えば、同会が掲げる政策への賛否はどうであれ、熊谷氏が、宇都宮候補を支える有力団体の一つと目された同会の事務局長を鼻から嫌悪し、排除するかのような発言をしたのであれば、革新統一候補を支える選対事務局長としての最低限の資質と道義を欠くといって差し支えない。
 事実はどうであったのか。熊谷氏は事の真偽について責任ある説明をする道義的責任がある。

 ②澤藤大河氏の「任務外し」にまつわる旧宇都宮選対幹部の状況判断の妥当性(連載第7回、第8回)
 連載7回目で大河氏は投票日4日前(運動期間終了日まであと3日)の201212月11日の夜9時半に上原選対本部長から呼ばれ、宇都宮候補の随行員としての任務を外すと言い渡されたという。大河氏がその理由を聞くと「疲れているから」ということだったそうだが、大河氏は突然の任務外しの真意を終始いぶかり、強く抗議している。
 ここで私は大河氏の言い分を代弁するつもりはないし、「任務外し」に至った経緯について予断を挟むつもりもない。さしあたって、私が重大な関心を持つのは、この「任務外し」が行われた判断が選対として妥当だったのかどうかを、当時の宇都宮候補の選挙運動の実態に照らして評価することである。
 ただし、当時の選挙運動の状況判断をめぐる主観の食い違いを取り上げても水掛け論に終わるだろう。その場合は、選対責任者なり事務局長なりの判断が優先したとしても、一般論としておかしなことではない。私が知りたいのは大河氏が指摘した次のような事実の真偽である。
 大河氏は宇都宮候補の随行員として各地の街頭演説会のスケジュール管理をしたり、候補者に同行したりしたという。その時の体験を振り返って候補者スケジュールの決定が信じがたいほど遅く、不手際だったため、前日の夜になっても翌日の予定がよくわからないことがたびたびあったと記している。そのため、各演説場所の広報が遅れ、行く先々で聴衆が集まらないことが続いたとも記している。これには宇都宮氏も閉口し、スケジュールの早期決定を選対本部に要求するよう大河氏に何度も指示を出したという。
 こうした事態が起こった理由の一つとして大河氏は、選対事務局長・熊谷氏が選挙戦の序盤で「安全上の問題から、宇都宮候補の予定は公開されるべきではない」という方針を採用したことにあると指摘している。これには街頭宣伝チームの多くが当惑し、街頭車の車長や他の街頭宣伝チームのメンバ-は一致してスケジュールの早期開示を選対本部に求めたと記されている。
 以上のような大河氏の記述から判断すると、宇都宮候補の選挙運動のスケジュール決定をめぐり、街頭行動の最前線にいた運動員と選対本部の幹部の間でしばしば意見の食い違い、意思疎通の悪さがあったと見受けられ、特に選対本部に対して強く意見を告げた大河氏を選対幹部が快く思わなかったことが「随行員任務外し」の大きな理由だったと推定できる。
 であれば、問題の「任務外し」が当時の選挙運動状況の中で適切な判断だったといえるのかどうかを事実に基づいて検証する必要がある。かりに、大河氏の指摘したことが事実とすれば、「任務外し」をした旧宇都宮選対幹部の選挙運動能力の拙劣さが問われなければならず、状況の改善を強く求めた運動員を突然、任務から外すというやり方は本末転倒の官僚的対応として批判されなければならない。
 さらに、この「任務外し」が組織の幹部に対して執拗に異議を唱える者を煙たがり、排除する意図で行われたのかどうかも重要な問題である。大河氏らが指摘した旧宇都宮選対のスケジュール管理に稚拙さがあったのが事実であればもちろん、選対幹部の判断にそれ相応の根拠があったとしても、幹部に異議を唱え続ける、選対メンバ-と言い争いが少なくなかった、組織内での協調精神に欠けていたといったことを理由に挙げて、本人に十分な説得がないまま、選挙戦の最終盤で任務を外すという行為だったのであれば、革新陣営にふさわしい組織運営ではなく、むしろ、異論を煙たがり、組織への同調圧力で組織内の言論を抑制する前近代的な「ムラの論理」に他ならない。
 他方、かりに大河氏の指摘が事実の歪曲、ねつ造だというなら、革新陣営の信頼を大きく傷つける名誉棄損行為に当たるから、旧宇都宮選対幹部(上原選対本部長や熊谷氏)は大河氏に対して記述の訂正と謝罪を求めるのが筋である。

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