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宇都宮健児氏を支持する前にやるべきことがある(2・後編)

 ③澤藤大河氏の「任務外し」にまつわる旧宇都宮選対幹部と宇都宮健児氏の言動(連載第7回、第8回)
 前篇で紹介した「任務外し」に強く反発した大河氏ともう一人のTさんは、上原選対本部長ら旧宇都宮選対幹部に対して、問題解決のための話し合いの場を設けるよう要求し、2013228日に1時間だけという条件付で事情聴取の場が設けられたという。
 その場で大河氏とTさんが解任された当事者として事実主張を行ったところ、選対事務局長の熊谷氏は机をたたいて立ち上がり、「侮辱だ!撤回しろ!」と声を張り上げ、自分を罵倒したと大河氏は記している。また、同席した選対運営委員の河添誠氏は「ゲス!ゲス!」と大声で怒鳴り続け、居合わせた中山武敏氏(「人にやさしい東京をつくる会」代表)にたしなめられたという。
 はたして、熊谷氏、河添両氏のこうした言動は事実としてあったのか? 事実とすれば、「人にやさしい」どころか、他者の人格の尊厳を侮辱する下品で理性に背く発言である。逆に、事実無根なら、熊谷氏、河添誠氏の名誉を貶める記述になるから、両氏は大河氏に記述の訂正と謝罪を求めるのが筋である。

 ④河添誠氏の「恫喝」発言の真偽(連載第10回)
 澤藤弁護士によると20131220日に召集された「人にやさしい東京をつくる会」の運営会議で、当時の運営会議を解散する旨の決議案ならびに新しい協議機関の選任・招集は宇都宮・中山(武敏)両氏に一任する旨の決議案が突如提案され、約30分のやり取りの後に反対1(澤藤氏)、その他は賛成で可決されたという。澤藤氏は、これを事前にしめし合された、自分を排除するための「騙し討ち」と糾弾している。都知事選をめぐる革新陣営の体質が問われる問題だけに、当事者の真摯な情報公開を通じて事の真相が明らかにされなければならない。
 ここで私が問題にしたいのは、より具体的な点である。澤藤氏によると、この時のやり取りの中で河添誠氏は、「澤藤さん、あなたはいいよ。しかし、息子さんのことを本当に考えたことがあるのか。これから先、運動の世界で生きていこうと思ったら、そんなこと(会と宇都宮氏の責任の徹底追及)をやってどうなると思う。よく考えた方が良い」と発言したという。
 澤藤氏は、この河添発言、そしてその発言をたしなめる者が1人もいなかったことが、宇都宮健児氏、宇都宮選対、「人にやさしい東京をつくる会」の三者をブログ上で告発する決断をする引き金になったと述べている。
 一字一句が正確に再現されているかどうかは別にして、河添氏が要旨、上記のような発言をしたのだとすれば、「運動の世界」を「やくざの世界」と置き換えるだけで、典型的な恫喝発言といえる。もっとも、「それは恫喝か」と問い返した澤藤氏に対して、河添氏は「いや忠告です」と答えたという。
 しかし、この文脈での「忠告」とは何を意味するのか? 「運動の世界で生きていけなくなる」とは何を言いたいのか? 「運動の世界」にも、強いもの、しかるべき役職に就いている者に公然と盾突いたら、はじき出される「掟」があるとでもいうのか?
 河添氏は自らの人格をかけて指摘された発言の真偽を明らかにしなければならない。そうでないと、河添氏こそ「運動の世界」どころか、人間としての信頼を失墜することになる。それほどに重大な発言である。

 ⑤宇都宮氏の組織統括力が問われる事態の真偽(連載第7回~第10回)
 2012228日に行われた大河氏とTさんの事情聴取には宇都宮氏も同席していたが、大河氏によると、宇都宮氏は熊谷氏や河添氏が上記のような暴言を吐いたとされる場面でも、それを諌めるでもなく黙過したという。最終的には、宇都宮、中山、上原の3氏に解決方法を一任することになり、宇都宮氏は「何とかする、このまま放置はしない」と発言したとのことで、大河氏はその言葉を信じて解決策を待っていたが、今日まで何の解説策の提案もなかったと記している。
 また、大河氏は自分が宇都宮氏の随行員の任務を外された直後は、「随行員としての任務執行に何の問題もない」、「よくやってくれた」と言いながら、後日になって、手のひらを反すように、大河氏の「コミュニケーション能力に問題があった」と発言したと記している。
 さらに、上の④で紹介したような河添氏の「恫喝」まがいの発言に対しても、その場に居合わせた宇都宮氏は、河添氏を諌めるでもなく沈黙していたと記されている。
 これら一連の証言が事実とすれば、宇都宮氏は外見に反し、人に対して、特に弱い立場の人間に対してやさしくなく、強い立場の人間におもねる人物ということになる。それだけに、宇都宮氏は澤藤父子の申し立てを真摯に受け止め、事の真偽を明確にする必要がある。これは大都市・東京都の知事として組織を統括するに足る資質を宇都宮氏が備えているのかどうかにも関わる重要な問題である。

旧宇都宮選対にまつわる問題は過去のことではない
 以上書いてきたことは、201212月の都知事選にあたって立ち上げられた旧宇都宮選対の幹部にまつわる言動である。それが、今回の都知事選に宇都宮氏が再出馬することに関する論議とどう関わるのか、いぶかる向きもあるだろう。しかし、私は次の2点から今回の都知事選に宇都宮氏が立候補することへの評価にも関わりがあると考えている。

1つは、他ならぬ宇都宮氏自身が都知事選の公職の候補者として、宇都宮選対の選挙活動の究極の責任者だったという点である。その意味では、旧宇都宮選対内部で起こった随行員の「任務外し」問題やその遠因でもあったと考えられる選挙運動のスケジュール管理の問題、選対幹部と候補者随行員・街頭宣伝チームとの意見の対立に宇都宮氏がどう向き合い、解決に向けて指導力を発揮したかどうかは、今回の都知事選に臨む選挙態勢とも大いに関わる問題である。
 第2に、宇都宮氏が今回の都知事選に立候補を表明した1228日の記者会見を録画で視ていると、旧宇都宮選対の事務局長であった熊谷伸一郎氏と同選対の中心メンバーの一人だった海渡雄一氏が会見に同席している。その中で熊谷氏は年明けからの宇都宮陣営の行動予定にも言及している。
 このような状況からすると、両氏は今回の都知事選においても宇都宮選対の中枢を担うものと予想される。であれば、熊谷氏はこの記事で紹介した①~③のような自らの言動の真偽について説明する道義的責任がある。それなしに新しい宇都宮選対メンバーに横滑りすることは許されない。

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