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旧宇都宮陣営の選挙運動支出に関する法的見解は真実の証明になっていない(2)

201417

「費目区分のミス」という説明の不自然さ
 1つ前の記事で書いたように、旧宇都宮陣営を代表して3名の弁護士が連名で公表した「法的見解」は、旧宇都宮選対本部長だった上原公子氏、服部出納責任者に支払われた10万円は、実費弁償の「交通費」あるいは「宿泊費」とすべきところ、誤って、「労務者報酬」と記載したもので、その点を訂正すれば済む問題で違法性など何もないと主張している。しかし、この説明に納得できるだろうか?
 出納責任者でもあった服部泉氏、あるい「選挙運動費用収支報告書」を取りまとめたと考えられる事務担当者・田代馨氏が公選法の中の当該報告書の記載様式に係る条文なり記載例を知らなかったとは考えにくい。万が一、本当に知らなかったのなら、公選法の条文も理解していない人物を出納責任者に選任した宇都宮健児氏の責任が問われることになる。
 現に、宇都宮健児名で東京都選管に提出された「選挙運動費用収支報告書」は、東京都選管が定めた報告書の記載様式にならって、支出は人件費、家屋費(選挙事務所費)、通信費、交通費、印刷費、広告費、文具費、食料費、休泊費、雑費に区分して記載されている。また、人件費の内訳項目として事務員報酬を記載したのは適正であり、労務者報酬も上原氏、服部氏を除く6名分を人件費の区分に記載したことは適正だった。上原、服部両氏に対する支払いだけ、記載区分を誤るということがありうるのだろうか?
 むしろ、実際はこうではなかったか? つまり、上原氏、服部氏にも「労務者報酬」としてそれぞれ10万円を支払った、しかし、澤藤氏の指摘を受けて、よくよく考えると、選対本部長や出納長という立場(選対幹部の指揮を受けて機械的事務作業を担うわけではなく、むしろ、指揮をする側の職)にあった両氏には公選法上、実費とは別に報酬を支払うことを禁じられえていることが分かった、このままではまずいというので、公選法で両氏に対しても支払うことが認められている交通費、宿泊費に対する実費弁償だったということにしょうとしたのではないか? 
 実際、「選挙運動費用収支報告書」に添付された上原公子、服部泉両氏名の領収証(宛先・宇都宮けんじ事務所様)の右肩には「人件費―5」、「人件費-6」という記載があり、金額欄には
100,000、但し書き欄には「選挙報酬として」と記載されている。これでも、「交通費」「宿泊費」だという認識を持ちながら「誤って」人件費の費目に記載してしまったという釈明が成り立つのだろうか? こうした私の推論は次の疑問を吟味するなかで、さらに裏付けられる。

実費弁償の支出がなぜ日当なのか?
 宇都宮健児名で東京都選管に提出された「選挙運動費用収支報告書」(受理日:平成241228日)を見ると、支出の部の「人件費」の項に上原公子宛「労務者報酬」として100,000円が記載され、備考欄に「10,000円×10日」という積算が記載されている。同様に、服部泉氏宛にも「労務者報酬」として100,000円が記載され、備考欄に「10,000円×10日」という積算が記載されている。ちなみに、3名に支払われた「事務員報酬」の備考欄にも「10,000円×5日」と記載され、2名に対する「事務員報酬」の備考欄には「10,000円×12日」、別の3名に支払われた「事務員報酬」の備考欄には「10,000円×17日」と記載されている。上限がある宿泊費は別にして、実額全額を弁償する交通費への支払いが含まれているというなら、被支払者ごとに金額にばらつきがあるはずなのに、なぜ、日当制と解釈されるような10,000円に張り付いた金額が横並びで用いられたのか、初歩的な疑問が拭えない。
 むしろ、ここで1万円と記載されたのは「東京都選挙執行規程」の第81条(実費弁償及び報酬の額)の2のイで、選挙運動のために使用する事務員1人につき1日に支給できる報酬の上限額が1万円と定められていることを十分認識したうえで、どの事務員にも1日当たりの限度額を事務員報酬として支払ったからこそ、「日当1万円」を想起させるような記載がなされたと考えるのが自然である。そうだとすると、実際は交通費、宿泊費として支払ったものを報告書上は誤って「事務員報酬(人件費)」として記載してしまったという説明は虚偽の疑いが濃厚になる。

10
万円相当の実費の支払いを証する帳票を開示すべき
 前の記事で説明したとおり、宇都宮健児名で提出された「選挙運動費用収支報告書」では「交通費」、「宿泊費」が1件ごとに支出の目的(電車代、タクシー代、高速代、チャージ代等)別、支出先別に克明に記載されている。にもかかわらず、上原氏、服部氏の場合だけ、交通費、宿泊費とすべき支払いの費目を「間違って」人件費に入れてしまったとは考えにくい。むしろ、「法的見解」が述べたとおり、上原、服部両氏に支払われた10万円が実際は「交通費」等だったとすれば、交通費の二重払いがされていたことになる。
 このような解釈が間違いだというなら、すべての帳票、領収書等を保管しているはずの3氏もしくは旧宇都宮選挙事務所は、「選挙活動費用収支報告書」に記載された以外に、上原、服部両氏への交通費、宿泊費の支払いの事実があったことを証する領収書なり現金出納帳なりを提示するとともに、それらも東京都選管に提出しなければならない。「選挙活動費用収支報告書」に添付された上記の2通の領収証の支出目的を「人件費」から「交通費」、「宿泊費」に書き換えるだけでは、両氏に対して、それぞれ10万円という「切りのよい」実費弁償が真実、なされたことを証明することにはならないからである。
 むしろ、これら領収証はそこに記載された目的どおりの現金授受の真実を示さないというなら架空の領収証ということになるから、こうした領収証がなぜ存在したのか、なぜこうした虚偽の領収証を東京都選管に提出したのかを旧宇都宮事務所・選対、そして弁護士3氏は明確に説明する必要がある。逆に、あくまでもこれらの領収証に記載されたとおりの人件費(労務者報酬)の支払いが上原、服部両氏に対してなされたのであれば、両氏への10万円の支払いはやはり公選法に違反したことになる。
 上のような「袋小路」にはまらない一貫性のある論理で事実を説明しなければ、弁護士3名の連名による「法的見解」は真実を証明する文書に値しない。

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コメント

醍醐先生の的確なご意見と実直なお人柄を感じます。これだけの論文をまとめるのは大変なご苦労だったとお察しします。本当にお疲れさまでした。また、わかりやすい内容で勉強になり、共感しました。ありがとうございました。

投稿: | 2014年1月 8日 (水) 18時27分

 先生。 鋭いご指摘のとおりです。
私は、地方官庁での出納実務経験もあり、また、選管事務も、自分が選挙で必要としたこともあり、その実務は把握しておりますが、凡そ、弁護士諸子が苦肉の策で弁解されるような「費目誤り」等は有り得ない、と云わねばなりません。 
 「費目誤り」を犯すような人物を出納責任者に据えたならば、刑事事件に発展する事態が生じるのですから、最大限の注意を払うのが当然です。
 そうで無ければ、選挙に勝って刑事事件になり裁判で負けた、と為りかねません。 
 また、先生が御指摘のとおりに、数字が丸い金額を実費とすれば、会計監査等の実務経験がある者ならば、人目で虚偽と見抜けます。 ここまで、証憑書類が揃っていれば、刑事事件に発展しても不思議では無いでしょう。 本当に、宇都宮氏を推薦する政党・政派や個人の方々は、用心をされた方が良いでしょう。 
 

投稿: とら猫イーチ | 2014年1月 7日 (火) 18時24分

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