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旧宇都宮陣営の選挙運動支出に関する法的見解は真実の証明になっていない(1)

201417

澤藤弁護士が投げかけた疑問に対する旧宇都宮陣営の反論
 15日付けで「人にやさしい東京をつくる会」は3名の弁護士(中山武敏・海度(「渡」の誤りでは?)雄一・田中隆の各氏)の連名で「澤藤統一郎氏の公選法違反等の主張に対する法的見解」(以下、「法的見解」と略す)と題する文書を発表し、同会のHPに掲載した。
 
「澤藤統一郎氏の公選法違反等の主張に対する法的見解」
 
http://utsunomiyakenji.com/pdf/201401benngoshi-kennkai.pdf

 この「法的見解」の趣旨は、澤藤統一郎氏が自らのブログに掲載した記事(注)の中で、201212月の東京都知事選に立候補した宇都宮健児氏の支持母体となった「人にやさしい東京をつくる会」が東京都選挙管理委員会に提出した「選挙運動費用収支報告」を検討したうえで、公職選挙法上、報酬を受け取ることが禁じられた上原公子選対本部長と服部泉出納責任者に「労務者報酬」の名目で支払いがされていた点を問題視(公選法違反の疑い)したのに応えようとしたものである。
 (注)「宇都宮健児君、立候補はおやめなさい」(「澤藤統一郎の憲法日記」に掲載。目下、連載中)。
http://article9.jp/wordpress/ なお、澤藤氏もこの時の宇都宮陣営の選対メンバーの1人だった。

 なお、澤藤氏は上記のほかにも、宇都宮健児氏が自身の
法律事務所の事務職員を選対に派遣して給与を支給しながら選挙運動をさせた「運動員買収」の疑い、ならびに宇都宮選対事務局長・熊谷伸一郎氏が勤務先の岩波書店から給与を受領しながら選挙運動を行っていた「運動員被買収」の疑いも指摘しているが、ここでは「選挙運動費用収支報告」から明示的に事実の裏付けができる上原、服部両氏への報酬の支払いに絞って、その適法性を検討する。

「法的見解」の要旨
 3氏はこの「法的見解」の中で次のように述べている。
 「澤藤氏は上原選対部長らが交通費等のごく一部の実費弁償として金10万円を受領していたことをもって、『公選法に違反』しているとの主張を繰り返している。
 だが、公職選挙法は『選挙運動に従事する者』の実費弁償を認めている。(197条の2)上原氏はこの『選挙運動に従事する者』であり、交通費や宿泊費など法的に認められる支出の一部にすぎない10万円の実費弁償に何の違法性もないことは明らかである。」

 「もっとも上原さんらの上記10万円の実費弁償が選挙運動費用収支報告書に誤って『労務費』と記載されていることは事実であるが、この記載ミスを訂正すれば済む問題である。」

 「公選法は『選挙運動の為にする労務者』には実費弁償以外に報酬を支払えることを認めている。(197条の2)自らの裁量に基づき投票獲得の活動を行う『選挙運動に従事する者』には実費以外には支払えないが、機械的仕事を担う『選挙運動の為にする労務者』には報酬が支払えるのである。・・・・・・これらの支払いは単純労働への対価の支払いであり、何らの違法性もないものである。」

 旧宇都宮陣営が提出した「選挙運動費用収支報告」を見ず、公選法の知識も乏しい人々は、3名の弁護士が連名で条文を示しながら「法的見解」と銘打った見解を公表したとなると、「そうか、法律で認められた実費弁償の範囲内の支払いなら問題はないのか」と受け取る恐れがある。しかし、それは大きな間違いである。以下、私がそう考える理由を説明したい。

「法的見解」を吟味するための予備知識
 その前に、予備知識として、東京都選挙管理委員会が定めた「選挙運動費用収支報告書」の報告様式を確かめておきたい。その中の「東京都知事選挙用」の備考の8で支出は、(一)人件費、(二)家屋費、(
)通信費、(四)交通費、(五)印刷費、(六)広告費、(七)文具費、(八)食料費、(九)休泊日、(十)雑費の費目を設けて費目ごとに記載するものとする、と記されている。ここで注意してほしいのは、人件費、交通費、休泊費は別個の費目とされ、それぞれ区分して記載するものとされているという点である。
 現に、宇都宮健児名で東京都選挙管理委員会に提出された「選挙運動費用収支報告書」(2回に分けて提出され、受理日はそれぞれ、平成241228日付、平成25212日となっている)では支出の部は、上の記載例に従って、「人件費」、「家屋費」(選挙事務所費)、「通信費」、「交通費」、「印刷費」、「広告費」、「文具費」、「食料費」、「休泊費」、「雑費」に区分して記載されている。
 このうち、「人件費」の費目の内訳を見ると、上原公子氏、服部泉氏を含む8名に対して「労務者報酬」がそれぞれ支払われ、別の8名に対して「事務員報酬」が支払われている。また、「手話通訳者派遣料と(?読解困難)交通費」、「労務者派遣料」がそれぞれ1名に支払われている。

「法的見解」に対する3つの重大な疑問
 以上のような事実から、私は宇都宮健児名で東京選管に提出された上記の「選挙運動費用収支報告書」に関する弁護士3名連名の「法的見解」には次のような不自然さあるいは疑義があると考えた。
 ①費目の記載区分を誤るということがありうるのか?
 公職の候補者名が指名した事務担当者が「選挙運動費用収支報告書」の記載様式のイロハといえる費目の区分を知らなかった、あるいは知っていたが「交通費」「宿泊費」とすべき支出を「うっかり」「人件費」に記載するというミスを犯すことがはたしてありうるのか?

 ②実費弁償というなら、なぜ日額(定額)なのか? 
 実費が弁償される「交通費」を含む支払額が「日額×日数」という積算で算出されるということはありうるのか? 上限なしに実費全額が弁償される「交通費」を含む実費の弁償なら、運動員によってばらつきがあるはずなのに、なぜ誰に対する支払いもそろって1万円なのか?

 ③10万円相当の実費の存在を証明する帳票を公開すべき
 「労務者報酬」として記載した10万円分だけ、交通費、宿泊費の記載漏れだったというなら、「選挙運動費用収支報告書」に記載された以外に、上原、服部両氏に対して10万円ぴったりの交通費なり宿泊費なりの実費弁償がなされたことを証する領収証なり現金出納帳を公開する必要がある。

 次の記事では、これら3つの疑問を順次論じることにする。

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