普天間基地の辺野古「移設」の民意は的確に調査されたのか
2015年4月14日
~3年を隔てたNHKの2つの世論調査の結果の違いをどう読むか~
昨夜(4月14日)のNHKのニュース7でNHK世論調査の結果が放送された。今月10日から3日間、全国の20歳以上の男女(回答は1,085人)を対象に行った電話調査の集計結果である。
「NHK世論調査 内閣支持率51%」
(NHK NEWS WEB 4月13日 19時00分)
http://www3.NHK.or.jp/news/html/20150413/k10010047161000.html
このなかで、安倍内閣の支持率が先月より5ポイント上がって51%になったなど、いくつかの回答結果もさることながら、私が一番、関心を持ったのは、今、政府が進めている普天間基地の名護市辺野古への移設について、
「賛成」26% 「反対」22% 「どちらともいえない」44%
という結果だった。「やはりそんなものか」と思う反面、非常に気になることがあった。それは次の2つである。
(1)賛否の割合もさることながら、「どちらともいえない」が、なぜ、こんなに多いのか?
(2)私が記憶していた、2012年2月にNHKが行った「復帰40年の沖縄と安全保障」に関する全国意識調査の時の同旨の質問に対する回答結果と大きく食い違ったのはなぜなのか?
「復帰40年の沖縄と安全保障~『沖縄県民調査』と『全国意識調査』から~」
(『放送研究と調査』2012年7月)
http://www.NHK.or.jp/bunken/summary/research/report/2012_07/20120701.pdf
2012年7月の世論調査(5択形式の個別面会法)
普天間基地の名護市移設の賛否:
賛成 ・・・・・・・・・・・・・・ 5.8%
どちらかといえば、賛成 ・・・・・ 30.3%
どちらかと言えば、反対 ・・・・・ 34.0%
反対 ・・・・・・・・・・・・・・ 10.9%
わからない、無回答 ・・・・・・・ 19.0%
(注)「どちらかといえば」を含めると、「賛成」36.1%、「反対」
44.9%
今回(2015年4月)の世論調査(3択形式の電話調査法)
「普天間基地を名護市辺野古に移す計画を進めている政府の方針に:
賛成 ・・・・・・・・・・・・・・ 26%
反対 ・・・・・・・・・・・・・・ 22%
どちらともいえない ・・・・・・・ 44%
私は、約3年を隔てた同旨の質問に対する回答がこのように大きく食い違った理由はどこにあったのか―――民意の変化なのか、調査方法の違いが影響したのか、「どちらともいえない」に振り分ける基準は何なのか―――に強い関心を持ち、二つの世論調査を担当した「NHK放送文化研究所」に今日、次のような質問書を送り、今月24日までに文書で回答をもらうよう要望した。
NHK放送文化研究所宛て
「この4月に実施された『政治意識月例調査』に関するお尋ね」
http://sdaigo.cocolog-nifty.com/NHK_hobunken_ate_situmon.pdf
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2015年4月14日
NHK放送文化研究所 御中
この4月に実施された「政治意識月例調査」に関するお尋ね
醍醐 聰
前略
4月13日夜、NHKニュース7で、今月10日から3日間にわたって行われたNHK世論調査の結果が放送されました。その内容は貴研究所のホームページにアップされている「政治意識月例調査」2015年4月分の集計結果を紹介したものと思われます。
そこで、この世論調査の方法と結果の解釈に関して、以下のような質問をいたします。ご多用中とは思いますが、4月24日(金)までに文書で項目ごとにご回答をお願いいたします。
〔質問1〕
回答の選択肢が2択の質問、3択の質問、4択の質問が混在していますが、どのような判断・基準で選択肢の数が使い分けられたのでしょうか?
(注)
2択の質問例
*安倍内閣を支持するか ・・・・ 「支持する」、「支持しない」
3択の質問例
*景気が回復していると感じるか
・・・・ 「感じる」、「感じない」、「どちらともいえない」
*アメリカ軍普天間基地を名護市辺野古に移す計画を進めている政府
の方針に賛成か
・・・・ 「賛成」、「反対」、「どちらともいえない」
*集団的自衛権の行使を可能にするための法律を整備するという政府
の方針に賛成か
・・・・ 「賛成」、「反対」、「どちらともいえない」
4択の質問例
*安倍内閣の経済政策について
・・・・ 「大いに評価する」、「ある程度評価する」、「あまり
評価しない」、「まったく評価しない」
*去年4月の消費税率引き上げ以降の家計のやりくりの状況
・・・・ 「たいへん厳しくなっている」、「少し厳しくなってい
る」、
「あまり変わっていない」、「まったく変わっていな
い」
〔質問2〕
今回の調査は全国20歳以上の男女を対象に、コンピューターで無作為に発生させた番号に電話をかける「RDD」法で行われたとのことですが、その具体的な方法についてお尋ねします。
(2-1) 電話調査にあたっては、調査員が調査対象者に、調査の趣旨、回
答の仕方について説明されたものと思われます。また、調査対象者
から質問を受けた場合、調査員は何らかの形で応答をしたものと思
われます。その際、次のどちらの方法を採られたのでしょうか?
(A) 説明・応答の仕方についてマニュアル(標準的な説明・応答の仕方
を記した文書)を用意し、それをもとに電話調査をするよう、調査
員に周知した。
(B) 特に、マニュアルといったものは用意せず、調査の趣旨の説明や調
査対象者から質問を受けた場合の応答は、調査員の随意の判断に任
せた。
(C) A, B のどちらでもない。(では、どのようなやり方を採用された
のか、ご説明ください。)
(要望)(A)であれば、作成されたマニュアルに相当する文書の全文
を貴研究所のHPか、貴誌『放送研究と調査』で公表されるよう要望
します。
(2-2) 3 択形式の質問について回答の求め方は次のどれだったのでしょうか?
(A) 調査員があらかじめ、3択を説明し、いずれかを選んでもらうやり方
を採用した。
(B) 調査員は、まず、賛成/反対、支持する/支持しない、などの2択を
説明して、どちらかと尋ねる。そのうえで、これら2択のどちらかを選
べない、選ぶのをためらう人を「どちらともいえない」に入れるよう指
示した。
(C)A, Bどちらでもない。
(では、「どちらでもない」に振り分ける基準はどのようなものだった
か、ご 説明ください。)
〔質問3〕
貴研究所が2012年2月18日~2月26日にかけて全国の20歳以上の1,800人を対象に個人面接法で実施された「復帰40年の沖縄と安全保障」に関する意識調査では、「普天間基地の名護市移設の賛否」(第18問)については5択の質問形式が採用され、集計結果は次のとおりでした。(以下、河野利行「復帰40年の沖縄と安全保障~『沖縄県民調査』と『全国意識調査』から~」(『放送研究と調査』2012年7月を参照)
1. 賛成 ・・・・・・・・・・・・・・ 5.8%
2. どちらかといえば、賛成 ・・・・・ 30.3%
3. どちらかといえば、反対 ・・・・・ 34.0%
4. 反対 ・・・・・・・・・・・・・・ 10.9%
5. わからない、無回答 ・・・・・・・ 19.0%
他方、上記の電話世論調査(この4月に実施)の中の同旨の質問(「アメリカ軍普天間基地を名護市辺野古に移す計画を進めている政府の方針に賛成かどうか」)に対する回答の集計結果は次のとおりでした。
1. 賛成 ・・・・・・・・・・・・・・ 26%
2. 反対 ・・・・・・・・・・・・・・ 22%
3. どちらともいえない ・・・・・・・44%
このように2つの世論調査で同旨の質問に対する回答が相当、食い違った(注)理由を貴研究所はどのように解釈されますか?
(注)2012年の調査では、「どちらかといえば」も含めると、「賛成」が
36.1%、「反対」が44.9%)
(A) 調査方法の違い(個人面接法か電話調査法か、5択か3択か等)に起
因するものではなく、民意の変化を反映したものと考えられる。
(B)調査方法の違いに起因する面も否定できないが、民意の変化の方が主
であると考えられる。
(C)民意の変化に起因する面も否定できないが、調査方法の違いに起因す
る面が主であると考えられる。
(D)民意の変化に起因するものではなく、調査方法の違いに起因するもの
と考えられる。
(E)現時点では、理由を説明するのは困難である。
〔質問4・要望〕
上記の〔質問3〕で(A)~(D)を選ばれた場合は、そう解釈される根拠をご説明ください。また、(E)を選ばれた場合は、私が指摘した、当該質問に対する2つの世論調査の回答結果に食い違いが生じた要因分析を手掛けていただき、貴誌(『放送研究と調査』)にその結果を公表していただくよう、要望します。
以上
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