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しどろもどろの参院事務局の応答 ~安保法案「可決」の認定を尋ねると~

2015918

安保法案「可決」の認定は誰が、どのように
 昨日、このブログに、安保法案は参院特別委で「可決」されたと言えるのかという記事を書いた。
 これに関連して今朝の『朝日新聞』「声聞き取れぬ採決 委員長が賛否認定」という見出しの記事が掲載された。それによると、私は昨日の記事で、1625分前後の約5分間に3つの案件――-①質疑打ち切り動議、②安保法案そのもの、③付帯決議―――が採決されたと言われていると書いたが、さらにもう1件、法案可決の事実などを盛り込む「審査報告書」の作成を鴻池委員長に一任する動議(?)も採決されたとのことである。あの騒然とした委員会室で、わずか56分の間に計4つの案件が「採決された」とは驚きである。

 さらに、問題なのは「委員全員がほぼ立ち上がり、鴻池氏の声も聞き取れない中、賛成多数をどう確認したのかはわからない」(同上、記事)という点である。
 記事によると、「参議院事務局は『最終的には委員長が賛否を認定する』」そうである。しかし、昨日のブログ記事に載せたように未定稿の速記録には「議場騒然、聴取不能」という記載があるのみ。
 それでも、「委員長発言はマイクを通さなくても、委員会室で発言する限り有効とされるが、議事録に正しく記録する必要がある。今回も鴻池氏の発言を記録する目的か、委員長席を取り囲む人の輪へICレコーダーを突っ込む人の姿が見られた」(同上、記事)という。

 これだけでは腑に落ちないので、鴻池委員長は賛成多数をどのように「認定した」のか確かめるため、今日、参院事務局の安保特別員会担当事務局(委員会部)に電話をした。約10分ほどのやりとりは次のとおりだった。

参院事務局とのやりとり(1)~鴻池委員長が認定したというけれど~
 醍醐:今朝の『朝日新聞』によると賛否の認定、可決の認定は最終的には委員長が行うとのことですが、昨日、鴻池委員長は賛成多数をどのように「認定」したのですか? 委員長席には与野党委員が殺到し、かぶさり合って騒然とし、委員長の声は聞こえませんでしたが。

 参院事務局:委員長は賛成多数を確認したということです。

 醍醐:どうやって確認したのですか?

 参院事務局:委員長の声は聞き取れなかったかも知れませんが、われわれは委員長の音声を確認し、記録を取れています。

 醍醐:しかし、テレビの画面を視る限り、委員長は委員席が見えず、賛成起立した委員を確認できる状況ではなかったはずです。

 参院事務局:私たちもインターネット中継を見ていましたが、起立している委員の姿は確認できました。

 醍醐:では、委員長席に殺到し、かぶさるような格好になっていた委員は起立したことになるのですか?

 参院事務局:委員以外の議員は起立にカウントされません。自席を離れていた委員も起立賛成にはカウントされません。

 醍醐:それなら、委員長は自席で起立した委員の姿が見えず、起立した委員の数を確認できなかったはずですが。また、委員長席の周辺以外にも自席を離れていた委員がかなりいましたが、どうなるのですか?

 参院事務局委員長は見えたんだと思いますが

 醍醐:テレビを見ていたら、誰だって、委員長は周りを取り囲まれ、委員席を見えていなかったことは一目瞭然ですよ。委員の中で起立した人はいたのは映像から確認できますが、あれは委員長の議事進行の声を聴き取ってではなく、自民党の佐藤筆頭理事のサインに促されて起立したことは明らかです。佐藤理事は委員長の職務代行者ですか? そうでない委員の指示で起立しても有効なのですか?

 参院事務局:・・・・・・・ いずれにしても、委員長の「可決」うんうんの声を私たちは確認していますので、それを以て認定ということです。

 醍醐:では起立多数、よって可決という認定はいつの時点でしたのですか? 委員会終了後、委員長と事務局の相談でですか?

 参院事務局:そんなことはありません。あくまでも委員会室で委員長が認定するものです。

 醍醐:それなら、自席で起立した委員を確認できない状況で、どうして賛成多数を認定できたのですか?
 
 参院事務局委員長は見えたんだと思いますよ

 醍醐:テレビ中継で、あの場面を視ていた人なら、鴻池委員長は自席で起立した委員の姿が見えたとはとても信じませんよ。それと、委員長の議事進行の声が聞こえない状況で、特定の理事のサインに応じて起立しても無効でしょう?

 参院事務局まあ自民党の理事ですから、委員長を代行したと言えるのでは・・・・

 醍醐:冗談じゃないですよ。仮に事務局の皆さんが委員長の声を聴き取れたとしても委員会室で委員が聴き取れなければ意味がありません。

 参院事務局:とにかく、賛否の認定は委員長がやることになっていて、私たちはそれを補佐するだけです。

参院事務局とのやりとり(2)~議事録はどうなる?~
 醍醐:補佐といっても事務局は委員長の指示に追従することではないですね。補佐の中身は議事進行規則等について不慣れな委員長に助言をすること、議事録を整備することなどですよね。

 参院事務局:それはそうです。ただ、私たちは委員長の判断をどうこういうものではありません。

 醍醐:速記録では、「議場騒然、聴取不能」と書かれていますが、正式の議事録は先ほど言われた、皆さんが聴き取ったとされる記録をもとに作成するのですか?

 参院事務局いえ、(速記録のとおり)「議場騒然、聴取不能」と書きます

 醍醐:だったら、賛否(可決)の認定を客観的に裏付けるものはないことになりますね。

 参院事務局:そのような場合は、委員長の認定です。

 醍醐:委員が自席にとどまり、正常な議事進行で採決がされた場合は委員長の認定を特段、問題にすることはありません。しかし、昨日のように混乱したなかで、委員長が起立した委員を確認できず、委員長の議事進行の声を委員が聞き取れない状況で、議事録の裏付けなしに委員長の認定だけで可決の有無を判断するのは怖いことですよ。委員長の独断を許すことになりかねず、悪しき先例にもなります
 野党が共同で採決無効の申し入れをしたと伝えられていますが、参院事務局はこれにどう対応するのですか

 参院事務局:・・・・あっ、今、別の用件が入りましたので、すみませんがこの辺で・・・・」

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コメント

国会ルールを無視し、委員会のメンバーでもない自民党議員がドーっと押し寄せ、委員長席をブロックした挙げ句、抗議する野党議員に暴力を加え、声すら届かない状態で自民党議員の合図による強行採決というどさくさ紛れの茶番劇は、採決無効である。断固として 政府与党に抗議する。

投稿: ケンポウ マモル | 2015年9月23日 (水) 21時54分

良識の府と言われる参議院があのような方法で採決されたのは本当に馬鹿げているし情けない。子や孫にはとても見せられたものではない。
本来参議院は政党に左右されず、個々人の議員が自分のポリシーを持って考え判断するべきと思う。これでは衆議院のコピーといわれても反論の余地はない。今回のようなものを見ると二院制の必要は全くない。一院制で十分である。

投稿: きよ | 2015年9月22日 (火) 22時12分

「参院は委員長の責任だと言っている」として、あらためて鴻池委員長を問い詰めましょう。

投稿: eno | 2015年9月22日 (火) 15時51分

国会中継観て、なんか情けなくって悔しくって涙出てきて寝不足で朦朧とした中テレビ点けたらゴルフしてた安倍ちゃん。

投稿: kiyo | 2015年9月22日 (火) 07時40分

委員でもない人間が、与党の指図で委員長席に詰め寄って、委員長を守るようにして採決したとか、そんなことが許される訳がありませんね。
これが通るなら、委員会は委員以外の人間の暴力で支配される無法地帯となります。

投稿: MH | 2015年9月21日 (月) 22時59分

電話内容に関しましては、彼らはこういう風にしか答えられないでしょう。ただし最後の切り方は、一社会人としてマナーがなっていません。ましてや参院事務局ともあろう立場が・・・。別の要件の方が重要という事ですか?(勿論逃げだとは解っていますが)百歩譲って、急用だと解る場合は、別件に移っても良いでしょうが。それでも「別件の急用が入りましたので、この件に関しましては、後ほど回答させて頂いても宜しいですか?」と一言断るのが礼儀でしょう。安保法案可決取り消しについて我々一個人がすぐにでも出来る有効的な事はないでしょうか。

投稿: 雪之丞 | 2015年9月21日 (月) 20時29分

気に食わない採決が行われようとするときに、立ち上がり、怒号を挙げて採決を妨害する。これによって採決が認められないのならば、それこそ「悪しき先例」になるのでは?

投稿: Maeshima | 2015年9月21日 (月) 10時33分

電話してくださってありがとうございます!国会中継をリアルタイムで見ていた人間の1人として、あんな無様な採決もどきを新聞もテレビも認めるのかと腹が立って仕方がありませんでした。あれは幻の採決です。署名に賛同します。追求しましょう。

投稿: さゆ | 2015年9月20日 (日) 22時31分

この申し入れがどの程度の効力を発揮するのか不明ですが、民主主義を破壊する安倍政権の横暴を糾弾し、支持率の更なる低下から退陣・衆議院解散につながることを期待します。

投稿: tetsujinn | 2015年9月20日 (日) 18時38分

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