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あんな「採決」もどきは許されないという大人がたくさんいたという事実を後世の子どもたちに残すために

20151027

今日がネット署名第1次集約の最終日
 
 諸々の事情が重なり、アップするのがずれ込んでしまったが、以下の記事、ご覧の上、拡散にご協力いただけたらありがたい。

明日、山崎参院議長他へ申し入れ提出、その後、記者会見
 有志8人の連名で賛同を今月17日から呼びかけている「公表された議事録作成の経緯の検証と当該議事録の撤回を求める申し入れ」へのネット署名は、今日(1027日)の22時が第1次集約の最終日である。
 明日1028日の午後、集約した署名を添えて山崎参院議長他へ申し入れ書を提出し、その後、同様の見解を表明してきた弁護士有志と合同で、記者会見を開くことになっている。

 しかし、署名数は今日の1152分現在で3,191筆で、第1次署名の場合と比べ、大変、少ない。今日の22時まで残りの時間で、憲政史上、稀に見る国会の議事録のねつ造を許さないという民意を示すに足る賛同が得られるよう、このブログにアスセスいただいた皆様のご協力をお願いしたい。

「公表された議事録作成の経緯の検証と当該議事録の撤回を求める申し入れ」 
http://netsy.cocolog-nifty.com/Tekkai.pdf (全文) 

ネット署名:次の署名フォームの所定欄に記入の上、送信して下さい。
http://goo.gl/forms/B44OgjR2f2

寄せられたメッセージから
賛同の署名に添えられたメッセージは次のサイトに公開している。ぜひ、ご覧いただきたい。
 
https://bit.ly/1X82GIB 
 
 これを読むと、自分も917日の特別委の中継を見たが、採決があったとは到底、思えない、なのに後から議事録をくっつけて「可決」を取り繕うのはもってのほか、という意見が大変多いことがわかる。その中で、印象深かったメッセージのなかから2つを紹介させていただく。

 「たしかに、手続き上の瑕疵などは非常に大きな世界観、歴史観からすればささいでつまらないことかも知れないが、それは法治国家を自認する国の法体系への挑戦ではないか。私たちがそれを見逃せば私たち自身が法からはじかれる。」(福井県・自営業)

 「当該特別委員会のTV実況放送を生で視聴していました。速記録には『議場騒然』『聴取不能』とあり、これが真実です。議事録として残すのに、この真実に足すことも、引くことも、変更することもあってはならない。真実を歪め捏造した偽りの『議事録』なるものが出されてきた経緯を検証し、当該議事録の撤回すべきは明らかです。 小学校の児童会、中・高校の生徒会の会議の手本になる国会の委員会であってしかるべきです。子供たちがあの実況放送を見たら、さらに決まっていないことを決まったかに記録した会議録が作られたことを知ったら・・・・。 とても心配になります。心配だからこそ、『あれは間違いだ。』、『いけないことだ』と声をあげた信頼にたる大人がたくさんいたのだという事実を残していかなければなりません。」(岐阜県・元小学校校長)

臨時国会の開会を拒む政府・与党のご都合主義
~国会の先例にも背いて~
 民主、維新、共産、生活、社民の衆参野党5党は、今月21日、日本国憲法第53条に基づき、124名(衆議院)、および83名(参議院)の議員の連名で安倍首相宛に臨時国会の召集要求書を提出した。その理由として要求書は2点を挙げている。
 一つは先日、大筋合意が発表されたTPP協定について、情報開示がほとんどなされておらとしている。ず、合意に至った経緯がまったく不透明である点を究明しなければならないこと。これは衆参共通であるが、参院の野党4党はこれに加え、安保関連法案を審議した特別委において「事実と異なる議事録が発行されており、事実関係を検証する必要がある」と記している。

 このような要望書が提出されるのは至極当然だが、もっと端的にいうと、「事実と異なる」ではなく、「存在しなかった採決・可決」を後から書面に書き加えて「有った」かのように取り繕うなのである。このような無法行為は小学生に見せられないと嘆く市民が多いのも道理だから、誰の指示で、どういう根拠で、このような偽装の議事録が作成されたのか、徹底的に究明することは法治国家の国会が手掛けるべき初歩的務めである。
 
 ところが政府・自民党は、憲法第53条(「内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いずれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。」)には、いつまでに臨時国会を召集しなければならないという明文上の定めがないことを挙げて、臨時国会の召集に応じようとしていない。
  こうした安倍政権・与党の対応について弁護士の金原徹雄氏は自身のメルマガ(ブログに転載)で先例を引き合いにして、そのご都合主義を徹底的に批判している。

「憲法53条後段に基づく臨時国会召集要求と国会の先例について」
 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/45771097.html

 この記事によると、過去10年間、常会(通常国会)閉会後にどの年も臨時国会が召集されている。最も常会の終了が遅かった2012年(98日閉会)にも、1029日に臨時会が召集されている。第2次安倍政権が誕生した後に召集された2013 年と2014 年の常会はいずれも会期延長は行われなかったが、臨時会は開催されている。

 さらに、総議員の4分の1以上が臨時国会の召集を要求したのは過去に35回(うち1回は衆院の重複)あったが、このうち翌年の通常国会まで臨時国会が召集されなかったのは2回だけだった。しかし、これら2回はいずれも、衆議院解散総選挙後に召集された特別会の会期が終了した後の召集要求で、要求が行われた時点で既に11月に入っていたという個別の事情があった。
 このように先例をふり返えると、今回、政府・与党が野党5党の要求する臨時国会の召集に応じようとしないのは全く道理が通らない。

自民党憲法改正草案とも真逆
 もう一つ、付け加えると、「自民党憲法改正草案」は第53条で、現行憲法には議院の総議員の4分の1以上が要求した場合、臨時国会を召集しなければならないとしているが、召集期限の規定がなかったので、同草案では「要求があった日から20日以内に臨時国会が召集されなければならない」と改めることとしている。これについて、同草案Q&Aは、「党内論議の中では、『少数会派の乱用が心配ではないか』との意見もありましたが、『臨時国会の召集要求権を少数者の権利として定めた以上、きちんと召集されるのは当然である』という意見が、大勢でした」(22ページ)と記している。
 ならば、政府・与党は、少数勢力の野党に認められた召集請求権に応じて、すみやかに「きちんと」臨時国会を開くのが道理である。

 そして、その臨時国会では、国会決議に背反した「合意」が目白押しのTPP「大筋合意」を政府が受け入れた経緯と責任、合意の全容を徹底的に究明すると同時に、速記録には「議場騒然」「聴取不能」としか記載されなかった917日の参院安保特別委の議事について、なぜ、後日、「可と決せられた」などという文言が書きこまれたのか、その経緯と根拠が徹底的に究明される必要がある。究明の結果、当該追加記録が、参院規則に背反する指示でなされたことが判明したなら、すみやかに削除・撤回すべきは当然である。委員長といえども、規則に背く記録を指示する権限などないのは当たり前である。
 
 「あんな議事進行や『採決』もどきは間違いだ」、「いけないことだ」と声をあげた信頼にたる大人がたくさんいたのだという事実を後世の子どもたちに残す責任が私たちに課されていることを銘記したい。
 

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本日からスタート~安保特別委の議事録ねつ造への抗議と撤回を求める賛同署名の呼びかけ~

20151017
 
            (拡散にご協力をお願いします。)

 1011日、参議院は、917日に開かれた安保特別委員会の議事録を公表した。驚くべきことに、そこには、「議場騒然」「聴取不能」としか書かれていなかった「速記録」に、「議事経過」なる文章が追記され、安保関連法案を「可決すべきものと決定した」と書き込まれている。
 しかし、このブログで繰り返し、指摘したように917日の参院特別委では安保関連法案など5つの案件はどれも「採決」された実体も外形もない。そうした実体のない「採決」「可決」を、後付けの議事録であったかのように取り繕うのは偽造、ねつ造以外の何物でもない。

 そこで、過日、山崎参議院議長と鴻池特別委委員長宛に「「安保関連法案の採決不存在と法案審議の続行を求める申し入れ」を行った」有志12名のうち、昨日までに連絡を取り合え、意思を集約できた9名の連名で山崎参議院議長、鴻池特別委委員長、中村参議院事務総長宛に、今回の議事録が作成された経緯の検証と当該議事録の撤回を求める申し入れを行うことにした。

 あわせて、この申し入れに賛同の署名の呼びかけを本日から始めることにした。多くの皆様の賛同をお願いする次第である。

「公表された議事録作成の経緯の検証と当該議事録の撤回を求める申し入れ」への賛同署名のお願い

http://netsy.cocolog-nifty.com/blog/2015/10/post-8d84.html

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参議院議長 山崎正昭様
参議院「我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会」委員長 鴻池祥肇様
参議院事務総長 中村 剛様

 公表された議事録作成の経緯の検証と当該議事録の撤回を求める申し入れ 
 
http://netsy.cocolog-nifty.com/Tekkai.pdf (全文)

              <中略>
 今回の議事録に追加された「議事経過」には、次のような重大な偽り、あるいは採決の存在を議事録への追記で証明しようとする試みの道理のなさが露呈しています。
 (15つの案件が採決されたと言われたにもかかわらず、委員長が1件ごとに、参議院規則第49条、第136、第137条に基づいて表決に付すと宣告した旨の記載、ならびに、委員長が起立者の多少を認定して表決の可否の結果を宣告した旨の記載が一切ありません。これでは「採決」「可決」は存在しないとする私たちの指摘を何ら反証したことになりません。
 (2)公表された議事録で追加された「議事経過」の中に、「両案について附帯決議を行った」との記載があります。しかし、この案件については、上記と同様、参議院規則に基づいた表決の宣告も表決の結果の宣告も記されておらず、正規の議事録とはみなせません。
 さらに、本附帯決議については、慣例となっている全委員への案文の事前配布はなく、特別委で決議案文が提案されたことを認知した委員がどれほどいたのかさえ疑わしいのが実態とされています。鴻池委員長の一存で、このような附帯決議が決せられたと議事録に書き加えるのは民主的議会運営の常識を蹂躙する暴挙以外の何物でもありません。
    (3)末尾に〔参照〕として、横浜地方公聴会速記録が掲載されましたが、この速記録の内容が「採決」なるものに先立って特別委に報告された事実はありません。事実に反して、後付けで、〔参照〕などという標題を付けて地方公聴会の報告を鴻池委員長の独断で会議録に追加するのも暴挙というほかありません。
 (4)公表された「議事経過」の追記は鴻池委員長の判断と指示でなされたと報道されていますが、委員長といえども、事実を無視し、参議院規則に反する議事進行を議事録に書き込むことを指示する権限はありません。

 以上から、私たちは貴職に対し、次のことを申し入れます。

 1.今回、公表された議事録の追記が作成された経緯(誰の、いかなる指示・判断で

作成されたものか)を厳密に検証し、その結果を公表すること。
 2.事実に背き、参議院規則にも反する議事進行を正当化しようとするまやかしの議事録を撤回すること。
 3.安保関連法案の採決・可決の不存在を直ちに認め、法案の取り扱いを至急、協議

するよう、各党会派に諮ること。私たちは法案の段階に立ち返って言えば、違憲の法案を廃案とするよう、求めます。
                              以上

       申し入れ者(20151017日現在)
        池住義憲(元立教大学大学院特任教授)
        生方 卓(明治大学准教授)
        浦田賢治(早稲田大学名誉教授)
        小野塚知二(東京大学・経済学研究科・教授)
        澤藤統一郎(弁護士) 
        清水雅彦(日本体育大学教授) 
        醍醐 聰(東京大学名誉教授)
        藤
田高景(村山首相談話を継承し発展させる会・理事長)
              森 英樹(名古屋大学名誉教授)

  -----------------------------------------------------------------------

1.
ネット署名:次の署名フォームの所定欄に記入の上、送信して下さい。
 http://goo.gl/forms/B44OgjR2f2
2.
賛同者のご住所とメッセージを次の専用サイト(google spreadsheets)に公開しています。
   https://bit.ly/1X82GIB 
3.
第一次集約日 :1027日(火)22とします。

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野党共同で参議院事務総長に抗議と経過の検証を要請~特別委議事録の「追加」に関して~

2015年10月14日

福山哲郎議員のブログ記事によると
 このブログの直近の記事で、「存在しない『採決』を後付けの議事録で存在したことにしようとする参院与党」と題する記事を2回に分けて載せた。

 この件でさきほど、大阪にお住まいの方(Aさんとさせていただく)で、「安保法案の採決不存在の呼びかけに賛同署名をしていただいた方から、民主党の福山哲郎議員のホームページに、今日の午後、野党共同で参議院事務総長に議事録改ざんの件を抗議し、経過の検証を要請したという記事が掲載されているというお知らせをいただいた。さっそく、福山議員が開設されている『テツロウ日記』にアクセスすると確かに、今日(1014日)付けで「議事録問題で事務総長に緊急申し入れ」というタイトルの記事がアップされていた。
 Aさんからは、たいへんな大問題なので、報道機関に伝えるのと、私のホームページで情報提供してもらえないかと要望が添えられていた。私も問題意識はまったく同じなので、福山議員の記事を紹介したい。

 「議事録問題で事務総長に緊急申し入れ。」
 (『テツロウ日記』20151014日)
     http://www.fukuyama.gr.jp/diary/2015/10/14/13729/
 
 このでは次のように記されている。
 「・・・・参議院内のイントラネットで見られる未定稿の段階では、「議場騒然、聴取不能。委員長退席」というところで議事録は終わっていました。
 今回、公開された議事録には、その後に『委員長復席後の議事経過は次のとおりである。』として、速記の開始、質疑の終局、法案の可決、さらには付帯決議の可決まで加筆されています。一体これはどうなっているのでしょうか。事実と全く異なっています。
通常国会が閉会し、すでに特別委員会は存在していません。委員長や参院事務局の判断で勝手に追記することができるというのであれば、委員長は何でもできるということになります。
 そもそも、918日に事務局が持参した『委員長認定』と明記された当日の動きのペーパーには、委員会が再開されたことになっていません。しかし、公開された議事録には『速記を開始し』と書かれており、明らかに事実と異なります。また、付帯決議についても、議事録上には全く内容が記述されておらず、どんな付帯決議が行われたのかも分かりません。
 さらに、地方公聴会の議事録は、委員会報告がなされないまま、ただ『参照』として添付されました。一体なんの参照でしょうか。
 あの『採決』の状況はテレビでも中継されており、委員長の声が聞こえる状況でなかったことは、多くの方がご覧になっています。議事録は歴史の検証に耐えられるものでなければなりません。今のままでは、事実と異なることが後世に残ります。
 未来の人たちには、安保特別委員会の強行採決や地方公聴会報告が委員会にされなかったことが伝わりません。事実をねじまげて議事録に残すことは許されません。議事録の信頼性が損なわれ、国会の審議自体の信用も失われます。
 政府・与党の暴力的な委員会打ち切りがすべての元凶です。加筆された部分の削除を強く求めます。
 本日午後、野党共同で、参議院事務総長に抗議するとともに、経過の検証を行うことを要請しました。
 事務総長からも、検証・報告する旨の発言を得ました。」

私のコメント 
 私も事実認識は福山議員と全く同じである。したがって、「加筆された部分の削除を強く求めます」という福山議員の訴えに強く賛同する。同時に、この問題は国会まかせ、野党まかせではなく、あの日、NHKの実況中継で、委員会室で何があり、何がなかったかを目撃した人々は、国会の議事録改ざんといっても過言でない無法をまかり通らせない民意を興す必要がある。20151014日、2100 記)

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存在しない「採決」を後付けの議事録で「存在」したことにしようとする参院与党

20151012

「聴取不能」の「速記録」に「議事経過」なるものを追加して

 今朝(1012日)の『東京新聞』朝刊の1面と3面に。「速記録」では「議場騒然」「聴取不能」となっていた917日の参議院安保特別委員会の議事録が昨日11日付けで参議院のHPに公開されたところ、上記の速記録に続けて、「委員長復席後の議事経過」なるものが追記され、末尾に、「右(安保関連)両案の質疑を終結した後、いずれも可決すべきものと決定した。なお、両案について付帯決議を行った」と記されたことを伝え、論評した記事である。

「安保法『聴取不能』の議事録 与党判断で『可決』追記」
 
(『東京新聞』20151012日)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2015101290070252.html
 

 念のため、参議院のHPにアクセスすると、委員長不信任案が否決され、鴻池委員長が復席して以降の記録は次のようになっている。

189回国会 我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会会議録 第21号 平成27917日(木曜日)

http://online.sangiin.go.jp/kaigirok/daily/select0208/main.html 

理事(佐藤正久君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したもの
  と認めます。
  これより採決に入ります。
  我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員長鴻池祥肇君不信
  任の動議に賛成の方の起立を願います。
   〔賛成者起立〕

理事(佐藤正久君) 起立少数と認めます。よって、本動議は賛成少数に
  より否決されました。
  鴻池委員長の復席を願います。
  速記を止めてください。
   〔速記中止〕
   〔理事佐藤正久君退席、委員長着席〕

委員長(鴻池祥肇君) ……(発言する者多く、議場騒然、聴取不能)
   〔委員長退席〕
   午後436分 

 --------------------------------------------

 
本日の本委員会における委員長(鴻池祥肇君)復席の後の議事経過は、次のとおりである。
  速記を開始し、
  我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等
   の一部を改正する法律案(閣法第七二号)
  国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対
   する協力支援活動等に関する法律案(閣法第七三号)
  武力攻撃危機事態に対処するための自衛隊法等の一部を改正する法律
   案(参第一六号)
  在外邦人の警護等を実施するための自衛隊法の一部を改正する法律案
   (参第一七号)
  合衆国軍隊に対する物品又は役務の提供の拡充等のための自衛隊法の
   一部を改正する法律案(参第一八号)
  国外犯の処罰規定を整備するための自衛隊法の一部を改正する法律案
   (参第一九号)
  国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する人道復興支援活動等
   に関する法律案(参第二〇号)
  国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律の一部を改正する
   法律案(参第二三号)
  周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関す
   る法律及び周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律の一
   部を改正する法律
   案(参第二四号)
  右九案を議題とし、
  我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等
   の一部を改正する法律案(閣法第七二号)
  国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対
   する協力支援活動等に関する法律案(閣法第七三号)
  右両案の質疑を終局した後、いずれも可決すべきものと決定した。
 
  なお、両案について附帯決議を行った。

  ------------------------------------------------------------------------

  〔参照〕
  横浜地方公聴会速記録
 
(以下、省略)

外形さえ存在しない「採決」~衆院安保特別委の議事録との対比で~
 
 以上のような参院安保特別委の議事録の異常さは同じ法案を審議した衆院特別委の採決の時の議事録と比べると浮き彫りになる。
 念のため、最初に記しておくが、私は去る715日に衆院安保特別委でなされた法案採決も審議を尽くしたうえでのものではなく、審議の中で野党や公述人、参考人から提起された法案の根幹にかかわる疑問点~集約すれば違憲性~に対する解明をことごとく棚上げした見切り採決という意味で「強行採決」と呼ぶのがふさわしいものだったと考えている。

 しかし、後掲の衆院特別委議事録は、議事進行(外形)という点では、委員長が討論の終結を宣告し、その後1件ごとに採決に付す宣告(賛成の諸君の起立を求める)、採決の結果(起立多数で可決)という、実際に存在した議事進行が記されている。

 この点でいうと、参院特別委の議事録は、実際に行われた議事進行(それを証するのが速記録)とは離れ、鴻池委員長あるいは与党の後付けの「認定」、指示で書き加えられたものにほからない。しかし、委員長といえども、委員会の議事進行の実態を度外視して、「自分が可決といったのだから可決だ」と「認定」する権限などない。
まして、理事会にも諮らず、与党理事や与党委員が事務方に指示を出して「議事経過」なるものが付け加えられ、それで「採決」が創作されるとなれば暗黒国会である。

「採決」の創作は無理筋
 最後に、公開されたな議事録を読んで私が感じた疑問、批判をまとめておきたい。
 1つは、これまで伝えられてきた5件の「採決」のうち、安保法案に関する「採決」以外は個々の案件ごとに「採決」は外形上のみならず、記録の上でもないということである。
 例えば、末尾に、「右両案の質疑を終結した後、いずれも可決すべきものと決定した。」と記されている。しかし、ここには、自民党の山本一太議員から提案され、「採決」されたといわれてきた質疑打ち切り動議を「採決」し、「可決した」という記録はない。
 同様に、これでは、鴻池委員長に審査報告書の作成を一任したとされる5番目の「採決」も、会議録の上でも存在しないことになる。
 特に、名実ともに質疑、採決もしていない与党・野党3党が合意していた付帯決議まで行ったと議事録に記載するのは暴挙の極みである。
 かりにも、「右両案の質疑を終結し・・・」という一語で、5件の「採決」がすべて行われ、「可決」されたことを証することになるなどという乱暴な解釈は通用しない。

 もう1つの疑問は、そもそも論として速記録にはない(聴取不能)文言を議事録作成の段になって「議事経過」と称し、理事会等に諮らず、与党議員のみの判断で、追加することが許されるのかということである。
 このような判断がまかり通るのでは議事録の公正中立性、信頼性が根底から揺らぐことになる。委員長の「認定」や与党理事の指示で「採決」や「可決」の存在が創作されるのなら、暗黒国会である。

【参考】同じ法案を採決した衆院特別委の議事録は
 
189回国会 衆議院 我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会 会議録 第22号(平成27715日(水曜日))
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/029818920150715022.htm
 

浜田委員長 これにて討論は終局いたしました。

 浜田委員長 これより採決に移ります。
 江田憲司君……(発言する者、離席する者多し)江田憲司君……(発言す
 る者あり)
 江田憲司君外四名提出、自衛隊法の一部を改正する法律案について採決い
 たします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。起立を求めます。(発言する者あ
 り)起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

浜田委員長 起立少数。よって、本案は……(発言する者あり)本案は少数
 をもって否決いたしました。
 次に……(発言する者あり)次に、江田憲司君外四名提出……(発言する
 者あり)四名提出……(発言する者多く、聴取不能)起立少数。本案は否
 決されました。
 次に、内閣提出、自衛隊法の……(発言する者あり)自衛隊法の一部を改
 正する、我が国及び国際社会の平和安全及び……(発言する者あり)平和
 安全及び……(聴取不能)します。
 自衛隊法の……(聴取不能)する法律案の賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕

浜田委員長 起立多数。本案は賛成多数をもって成立いたしました。
 (拍手)
 次に、国際平和共同対処事態における我が国が実施……(聴取不能)賛成
 の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕

浜田委員長 起立多数。よって、本案は成立をいたしました。(拍手)
 次に、我が国の、本案に関する、本院に対する、本案に関して私に一任願
 いたいと思います。賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕

浜田委員長 起立多数。起立多数をもって……(聴取不能)は成立いたしま
 した。以上をもって、本委員会は終了いたしました。散会いたします。
 
  午後零時二十五分散会

 

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アベチャンネルはゴメンだ!~11月7日にNHK包囲行動 第2弾~

20151011

  917日、安保法案を審議した参院特別委員会室の騒然とした模様をNHKの実況中継で目の当たりにした国民の間で、あれで可決なんてありえないという疑問の声が広がった。にもかかわらず、早々と「可決」の速報を流したNHKの報道は、違憲の法案をごり押しした政府・与党のシナリオを既成事実化するものだった。

 NHKの放送現場からは、国会周辺の抗議デモなどを取材して、現場管理職がOKを出しても、放送総局長など上層部からのクレームで放送中止や、延期となる事態があちこちで起こっている」という声が伝わってくる。私たちは、NHK執行部に対し、番組制作現場の職員の自由な言論活動を保障し、NHK内で創造的な活力が取り戻されることを強く要望する。

 そのうえ、先日、自民党内からは受信料を義務化せよという声が挙がり、籾井会長はさっそく、マイナンバーを活用した義務化を検討する意向を表明した。とんでもないことだ。公共放送の使命を放棄し、政権べったりのニュース・時事報道にのめりこむNHKが受信料義務化を唱える資格などない。

 
 「NHK包囲行動実行委員会」は825日の第1弾に続き、117日に、NHKに対する怒りの声をぶつける「NHK包囲行動」第2弾を行うことにした。今回は渋谷の繁華街を行進するデモも行う。多くの皆さんのご参加を呼びかけます。

告知用チラシPDF画像)
表面
http://kgcomshky.cocolog-nifty.com/20151107/1m117OMOTE.jpg
裏面
http://kgcomshky.cocolog-nifty.com/20151107/1m117ura.jpg


             アベチャンネルはゴメンだ!
           怒りのNHK包囲行動 第2


 日時  2015117日(土)
 PM 130245 集会 NHK(渋谷)西門前  リレートークとコール
        (集会終了後、宮下公園北側へ移動)
 PM 315330 デモの諸注意、コールの練習
 PM 330400 デモ行進(宮下公園北側 → 渋谷駅 → 神宮通公園

  ●“アベ放送局”は許せない!
  ● NHK内での自由な言論活動を保障せよ
  ● 受信料支払い義務化反対
  ● 籾井会長はただちに辞任せよ!

   主催:NHK包囲行動実行委員会
   メール:nhkhoui-2015@yahoo.co.jp
   TEL
:丹原 090-8955-6050  今井 090-4678-7132 
            醍醐 080-7814-9650

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大学教員の会、TPP「妥結」に抗議する緊急声明を発表

20151010

  米国・アトランタで開催されたTPP交渉会合に参加した12か国の閣僚は、105日午前(日本時間5日夕刻)から開催された全体会議を終えて交渉は「妥結に達した」と発表した。
 これを受けて、「TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会」(以下、「大学教員の会」)は109日、「環太平洋パートナーシップ協定(TPP協定)の「妥結」に抗議する緊急声明」を取りまとめ、同日、発表した。その全文は次のとおりである。

「環太平洋パートナーシップ協定(TPP協定)の『妥結』に抗議する緊急声明」
2015109日 TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会)
 http://sdaigo.cocolog-nifty.com/TPPdaketu_kogiseimei_20151009.pdf

 
以下、この声明の骨子を掲載しておきたい(小見出しは筆者が追加したもの)。

声明は今回の「妥結」がはらむ大きな問題を3つに要約している。


全容示さぬまま「妥結」が独り歩き
 【1】日本政府も日本の大手マスメディアもそろって「大筋合意」と喧伝しているが、果たしてどこまで具体的に「合意」した上での「妥結」なのか極めて不透明だということ。
 具体的に言うと、「閣僚声明」は、「合意の結果を公式化するには完成版協定テキストを準備するための技術的作業を継続しなければならない」としており、協定本体すらできあがっていないことを公言している。また12ヵ国による『協定の概要』では,全体がほとんど具体性を欠くだけでなく、投資の市場開放,サービス貿易の市場開放、政府調達、国有企業規律といった、日本をはじめ各国の市民生活や国家主権にもとづく政策・規制実行にかかわる重大な事項に関する例外のリストや適用範囲が、いずれも「附属書に記される」とされたままで、明らかにされていない。
 これでは、今回の「妥結」なるものが、主要交渉国の政治日程(米国大統領選挙、カナダ総選挙、トルコでの主要20ヵ国閣僚会合、日本政府内閣改造など)への帳尻合わせと、「この機会を逃せば妥結まで年単位の時間がかかる」「その間に交渉各国での反対の世論や運動が高まってしまう」という危機感から、「妥結」という形式を既成事実化してしまうための「演出」なのではないかという疑念さえ否定できない。

国会決議、自民公約違反のオンパレード
 【2】日本政府が即日発表した説明文書、「環太平洋パートナーシップ協定(TPP協定)の概要」と「TPP交渉参加国との交換文書一覧」(内閣官房TPP政府対策本部)によると、衆参両院農林水産委員会決議(2013418日・19日)や自民党外交経済連携調査会決議(2013227日。201212月総選挙公約の再確認・具体化)との関係で以下のような重大な問題がある。

 第1は、妥結内容が、「米,麦,牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物などの農林水産物の重要品目を、(関税交渉の)除外又は再協議の対象とする」とした国会決議・自民党決議に違反しているということである。例えば、

 ①米はミニマムアクセスの他に米国とオーストラリア向けに当初5.6万トンから13年目以降は7.84万トンの追加輸入枠を供与し、ミニマムアクセス枠の内部でも6万トンを実際上米国向けとし,さらに調整品・加工品は関税撤廃ないし削減した。

 ②麦もWTOで約束したカレントアクセスの他に、米国、オーストラリア、カナダ向けに小麦で当初19.2万トンから7年目以降25.3万トン、大麦で当初2.5万トンから9年目以降6.5万トンの輸入枠(SBS方式)を供与し、さらにこれら国家貿易分全体に対する関税にあたるマークアップを9年間で45%削減するとした。

 ③牛肉は自民党自身が「これ以上は譲れないレッドライン」と公言していた日豪EPAでの最終関税19.523.5%を大幅に下回る9%まで削減し、20年目以降はセーフガードさえ実質的に廃止する道を開いた。

 ④豚肉も従価税4.3%を10年間で廃止するとともに、もっとも重要な,安価品の国境措置となってきた従量税482/kgを当初125円とした上で、10年間で50円まで引き下げ、さらにセーフガードも12年目には廃止とした。その結果、牛肉・豚肉については限りなく関税撤廃でセーフガードもないというところまで市場を開放する内容となった。

 さらに乳製品でも特別輸入枠を設定して拡大するというように、国会決議・自民党決議への「違反」がオンパレードの状況になった。
 さらに「重要品目」以外でも,輸入の伸びている林産物(合板・製材)を16年間で関税撤廃、あじ、さば、さけ・ます、ぶり、するめいか等の水産物でも1116年で関税撤廃というように、農林水産物分野全般で、とめどない譲歩を差し出した。


利益相反抱えるISDS仲裁人

2に、市民生活にとって懸念材料である食の安全・安心、自動車等の安全基準、環境基準、国民皆保険、公的薬価制度の仕組みの維持、濫訴防止策等を含まないISDS(投資家国家間紛争条項は合意しないといった点を担保する具体的措置がなんら示されていないということである。例えば、ISDSの「濫訴抑制」を誇示するために、政府は「全事案の判断内容等を原則公開とする」「外国投資家による申立期間を制限する」という規定が入っていることを強調しているが、これらが「濫訴抑制」、まして「濫訴防止」の歯止めになる保証は何ら担保されていない。
 それどころか、仲裁廷では、多国籍企業のコンサルタントや顧問弁護士を日常業務とする世界でひとにぎりの法律事務所・法律家が、投資家、国家、仲裁人を入れ替わり立ち替わり務めている実態があり、そこには謂わば「ISDSビジネス」が成立している。これでは多くの仲裁人は「利益相反」の立場にあるといえる。

内容不詳の「合意」

 また、「TPP交渉参加国との交換文書一覧」には,「医薬品及び医療機器に関する手続きの透明性・公正性に関する附属書」「自動車の非関税措置」「自動車の基準」など、TPP協定本体とは一応別ではあるが、私たちの市民生活に重大な影響を及ぼしうる日米間協議事項が多数あげられながら、「(※全て関係国と調整中)」として「合意」されていないか、あるいは「合意」されているのに概要すら公表されていないものが山積している。
 このような、国会決議や自民党決議にもある重要事項についての重大な懸念が「全て調整中」などとしたままの「妥結」は、はたして「合意」「妥結」といえるのか、深い疑義を持たざるを得ない。

国民主権、国会の審議権を蹂躙した国内承認スケジュール
 【3】この「妥結」が「大筋合意」だと既成事実化されてその後のプロセスが米日両政府などの思惑どおりに進められるなら、そこでは国民、そしてその代表として協定「承認」の是非を議論すべき国会(国会議員)に対して、協定(協定本体、譲許表、附属書、附属書簡、交換文書などを合わせると数千ページになるとされている)をまともに知り、理解し、精査し、議論し、そして判断する機会を奪う、つまり国民の知る権利、国民主権、国権の最高機関たる国会権限をいずれも蹂躙するという重大問題がある。

 日本政府は20161月招集の通常国会にTPP協定承認案を上程して審議・可決し、すかさず「TPP対策予算」を組んで重大な被害が及ぶ農業等の分野に対する何らかの「手当」を済ませた上で、7月の参議院選挙に臨もうとしている。しかしこのような党利党略的スケジュールでは、日本の国民も国会議員も、20161月招集の通常国会に上程されるまで、TPP協定について公式の情報を知ることができなくなってしまう。限られた期間内に、国民が,そして国会議員が膨大なTPP協定の全貌について認知し、理解し、精査し、その上で是非を判断することなど事実上不可能と言わざるを得ない。つまり政府・与党が政権延命のために「大筋合意」~「署名」~「承認案通常国会上程・審議・可決」というスケジュールを描いているとすれば、それは国民の知る権利、国民主権、議会制民主主義の蹂躙にならざるを得ない。


政府に対して3つのことを要求
 
 大学教員の会の緊急抗議声明は以上3つの重大な問題を指摘した上で、次の3点を実行するよう、政府に求めている。


 1.ただちに「妥結」「大筋合意」の全内容を、附属書(譲許表、ネガティブリスト、非適用措置その他)、附属書簡、「調整中」の交換文書などを含めて、公開すること。

 
2.政府自身が衆参両院の農林水産委員会決議に違反していないことを明白に証明し,かつそれを両委員会が精査の上承認しない限り、今次「合意」の撤回を日本政府として他の交渉参加国に呼びかけること。それが受け入れられない場合、今後の「署名」に至るプロセスには加わらず、TPP交渉から脱退すること。
 
 3.上の二の過程では、いわゆる業界団体に限らず、希望する最大限の一般市民・国民に「合意」の全内容を誠実かつ正確に伝達し、それら関係者、市民、国民からの意見聴取を行なう機会を、全国各地で設けること。

  今回の大学教員の会の声明は、発出者である呼びかけ人の1人として私が言うのも気が引けるが、発表された「TPP合意」がはらむ問題点、未解明の論点を全面的に検討し、「妥結」と称されるものの危険な内容を知らしめる上で価値ある文書と考えている。
 関係各位はもちろん、多くの国民の皆様にぜひとも一読いただき、拡散にご協力いただくことをお願いしたい。

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もっと現実を直視した国民主体の政権構想を(2)

201510月5日

 既存の野党の枠組みを超えた政権・選挙構想を
 
 前の記事で書いたように、かりに今の野党5党がまとまって選挙協力(候補者調整等)をしても、政党別支持率を基礎に予測するかぎり、とうてい自公両党を上回る議席を獲得できない。では、自公政権に代わる、安保法を廃止できる政府を実現するには何が必要か?さしあたって、選挙に臨む態勢に限定していうと、次の2つだと思う。

 1つは、有権者の3644%を占める「支持政党なし」層のうちで、安保法に反対する層の受け皿となりうる政権構想を示すことである。かりに、この3644%の有権者がすべて安保法に反対なら(実際は安保法反対の意思だけで自公政権に代わる政権の支持に直結するとは言い難い。この点は追って触れる)、そうした有権者と、例えば民主党支持層の半分、そして共産党、社民党、生活の党の全支持層を合せて自公両党を上回る議席を獲得できる可能性がある。
 ただし、これは比例区について言えることで、小選挙区では単純にそうはならない。また、「支持する政党なし」層の中には選挙となると、消極的にせよ、自公両党に投票する層も少なからずある。
 運動論としていえば、「支持政党なし」層の中で、安保法反対を含め、政権交代を支持する層をいかに広げるかが大きな課題である。

 もう一つは、現在、自公両党を支持する層の中から反自公政権に転じる人々を生み出すことである。そんな可能性はあるのか? 私は潜在的にその可能性はあると考えている。この点を探る材料として、『朝日新聞』が最近の世論調査で採用している自民党支持層への重ね聞きの設問に注目したい。
 例えば、『朝日新聞』は今年の912, 13日に実施した世論調査の中で、安倍内閣を支持すると答えた回答者(全体の36%)と支持しないと答えた回答者(全体の42%)に、これからも安倍内閣への支持(不支持)を続けるかという質問をしている。回答結果は次のとおりだった。( )内は全体に対する割合。

 安倍内閣を支持すると答えた人々
  a. これからも支持を続ける   48%(17%)
  b. 支持を続けるとは限らない  47%(17%)
 安倍内閣を支持しないと答えた人々
  c. これからも支持しない    63%(27%)
  d. 支持するかもしれない    33%(14%)
 
安倍内閣への支持率の潜在的変動率(ネットの増減可能性)
  db=▲14%ポイント 

 つまり、少なくともこの14%ポイントの自民党支持層、さらにはそれを上回る層を政権交代支持層に変えられる可能性が潜在しており、その可能性を実現させることが安保法を廃止し、立憲民主主義を取り戻す政府を実現する上でカギになっていることがわかる。
 なお、公明党支持層の中でも安保法案を支持した公明党に公然と反旗を挙げる人々が現われた。ここから、公明党支持層も盤石ではないことが窺えるが、その中から政権交代を待望する層がどれくらい現れるかとなると、予測は難しいので、ここでは立ち入らない。

 以上を要約すると、自公政権を退陣させ、安保法を廃止し、立憲民主主義を取り戻す政府を実現するには、①現在の野党の連合だけでは到底及ばず、②有権者の中で自民党支持層に匹敵する割合を占める「支持政党なし」層、ならびに③現在の自民党支持層の中で支持の意思が強固とはいえない層を政権交代支持層に変えることが必須であることがわかる。
 しかも、その可能性はないのかというとそうではない。なぜなら、安保法の廃止という目的に関していえば、①②③を合わせた割合(全有権者の約55%)―――②の「支持政党なし」の約6割(全有権者の約23%)を政権交代支持層にすると仮定―――は、「成立」後も安保法に反対する有権者の割合とほぼ一致し、決して非現実的な見通しではない。しかも、この割合(全有権者の約55%)は自公両党支持層に、その他、政権交代不支持層を加えた割合を上回るから、政権交代を可能にする基盤となる。
 とすれば、①②③の足し算が可能な状況をどう切り開くかが問題である。この点を次に考えたい。

無党派の候補者を国民主導で擁立すること
 目下、いくつかの野党から提案されている政権構想に欠けているには一口で言うと、既存の野党の連合を追求するのにとどまり、②や③の有権者を政権交代支持層に変える戦略を示せていないということである。これでは目的とする政権交代が到底かなえられないことは先の記事で示した通りである。
 このような限界を超えるために私が必要と思う第1は、無党派層や弱い自民党支持層の受け皿となりうる候補者を、既存の野党にとらわれず、国民の間から主体的に擁立することである。
 政党である以上、自党の政策の優位性を有権者に訴え、互いに競い合って、自党の政治勢力を議会内外で広げようとするのは当然のことであり、それに自制を求める道理はない。
 しかし、国民・有権者がそうした政党の論理に歩調を合わせたり、政党の呼びかけに受け身で応えたりするだけでよいわけではない。
 国民が主権者たる自己の地位を自覚し、日本国憲法第12条に従って、「憲法が国民に保障する自由及び権利」を自らの「不断の努力によつて保持しなければならない」以上、有権者は国政選挙にあたっても、自らに保障された自由と権利(幸福追求権を含む)の実現を可能とする選良を賢明に選ぶだけでなく、多くの国民の総意でそれにふさわしい候補者を擁立する権利と義務も有しているとみなすのが至当である。
 そうした権利と義務は政党を含む結社への参集を通じて果たすのが通例といえるのかもしれない。しかし、与野党を問わず、既存の政党が選挙時に掲げた公約をしばしば反故にしたり、自党の勢力拡張を追求したりするあまり、自民党批判票が分散し、結果として自民党の大勝を許すという状況が続いた以上、有権者は既存の野党の枠にとらわれず、独自に無党派の候補者を擁立する行動を起こしても不思議でないどころか、いままさに有権者が政党の動き待ちではなく、主体的にそうした行動を起こすべき時が切迫しているのである。

 実際、日本にそうした先例がある。1960年代に大都市部で相次いだ革新首長の誕生がそれである。私は蜷川虎三氏が府知事に当選し再選された時代に京都で学生生活を過ごし、蜷川知事を誕生させる運動の片隅に加わったこともある。あの時の選挙母体は社共両党と言われる。しかし、それは事実の一面ではあったが、労組や地元業者、府下の自治体首長、各界の団体・個人の共同があってのことだった。
 「社共統一」というと、今や昔なつかしい言葉となった。また、労組や各界の団体の共同といっても、今はそうした既存の組織に依存しない、三々五々集まる人々が主役の「街角民主主義」という言葉さえ生まれている。

 そうであれば、なおさら、相互に無知の人々をつなぐ有為の人材を得て、国民の間から、主体的に安保法廃止、立憲民主主義回復などの公約を掲げ、特定の政党の利害にとらわれない候補者、選挙で支持母体と交わす誓約を忠実に守ると信頼できる人物―――さらに言わせてもらえば、「オレがオレが」の自己顕示欲や独善的な正義感に災いされていない人物―――を擁立して選挙に臨む態勢を早急に整える必要がある。 
 こうした態勢を整えることが、既存の政党に物足りなさを感じている上記の②や③の有権者層の支持を得る受け皿になる重要な条件なのである。その上で、当選後も無党派として活動しながら、主要な政策で一致する既存の政党と連立政権を組むのである。

共通公約以外の課題を決定する仕組みも公約すること
 共産党の今回の提案は「戦争法廃止、立憲主義を取り戻す」という1点で国民連合政府をつくるというのが要になっている。小沢一郎氏の談話でも、「野党連携の政治的な旗印は、『非自公』、「反安保法」などの主要政策の一致で良い」、「政策論議で細かいところまで詰めて一致させる必要はありません」と述べている。
 確かに、多くの政策での一致を目指す余りに、多くの国民が願う安保法の廃止を実現する政権が遠のいてしまうのは避けなければならない。しかし、戦争法廃止、集団的自衛権の行使を容認した閣議決定を取り消すのが主たる課題とは言っても、これらの課題を施行するだけでは政権を運営できず、その他の課題――予算編成などの内政、外交全般――についての決定も迫られるのは自明である。
 しかも、安保法以外でも、沖縄辺野古での基地建設をどうするのか、原発再稼働や今後のエネルギー政策をどうするのか、消費税の増税、低所得者対策をどうするのか、TPP交渉をどのように扱うのか、社会保障の充実とそのための財源を、財政再建と並行して、どのように確保するのかなど、眼前に重要な政策課題が山積している。
 私は政権構想という以上、「1点」での一致をことさら強調する理由はなく、諸々の重要政策についての合意を追求するべきであると思っている。実際、安保法の廃止にとどまらず、上記のような主要政策でも合意できる可能性は低くないと思える。

 その上で、選挙時に掲げた政権構想で共通公約に盛り込まれなかった政策課題を政権発足後、連合政権としてどのように決定するのかという「決め方」を共通公約に掲げる必要があると思う。問題が起こる都度、連合政権に参加した政党間で協議しますでは、②や③の有権者は新しい政権に不安を抱く公算が強く、政権交代に二の足を踏む層を増やす結果になる公算が大きい。これについて私は以下のように考える。

 新しい政権が特定の政党単独政権として成り立つならともかく、連立政権を想定すると、政権に参加する政党はどこも単独では過半の議席を得てない状況のはずである。その場合、共通公約に掲げた以外の課題について、新しい政権がどのような判断をしそうか、「決められない政権」になりはしないかという不安をどこまで払拭できるは、政権交代に対する支持をどれほど広げられるかを決める重要な要素になると思われる。

 これについて私の提案は至って単純明快で、「連合政権内で協議を重ねた末、まとまらなければ、それぞれの問題に関する時々の世論調査で示された多数の民意に従う」というものである。問題となった課題について世論調査がない場合は、政権が外部の独立した機関に世論調査を委託し、その結果に従って決定をするという仕組みである。
 議会で絶対多数の議席を占めた自公政権でも、民意を無視した政策を遂行しようとした時は国民から強い批判を浴びた。同じことは自公政権に代わる政権が誕生した場合にも通じるはずである。というより、民意を無視した政権運営が安倍政権に対する国民の不支持を広めた事実を教訓にして、新しい政権は民意尊重の姿勢を単に言葉でではなく、今述べたような政権運営の柱の中に具体的な形で組み入れることが強く望まれる。そうした民意尊重の姿勢を共通公約に掲げることは、上記の②や③の有権者層にも新政権に対する信任を広げ、政権交代を実現する大きな力にもなるという認識を、無党派で擁立される候補者も既存の野党も共有することが極めて重要である。

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もっと現実を直視した国民主体の政権構想を(1)

201510月5日

野党間の選挙協力だけでは安保法を廃止できる政権は実現しない
 安保法案が国会で「成立した」とされる事態の後、野党間では来年の参院選さらにはその後の衆院選をにらんだ選挙協力、政権構想が議論されている。きっかけは、安保法(戦争法)を廃止できる政権を目指して野党間の選挙協力を打ち出した日本共産党の提案(「国民連合政府」構想)である。
 その骨子は、戦争法の廃止、立憲主義と民主主義を取り戻すという一点で、全野党、各団体、個人が共同で、安倍自公政権に変わる「国民連合政権」を樹立する、その合意を前提にして来るべき参議院選、衆議院選で全野党が選挙協力をする、という提案である。そのためには原則、全選挙区に候補者を擁立するとしてきたこれまでの方針にこだわらないとも述べている。
 社民党の吉田党首、生活の党と山本太郎となかまたちの小沢代表はこれに賛意を示した。民主党の岡田代表は注目に値する提案と前向きに受け止め、社民、生活両党と同様、共産党と話し合いを続けると発言する一方、来年の参院選については野党第1党の民主党と第2党の維新の党の関係を重視し、共通政策のとりまとめ、候補者調整を急ぐ考えを表明している。
 とはいえ、民主党の幹部内には岡田氏が志位共産党委員長と会談すること自体に反対する意見があり、党内の保守系の議員も含めて、民主党が全野党の選挙協力について党内合意を集約するのは至難のことと見られる。

 これとは別に生活の党の小沢代表は、「政権交代こそ野党連携の最大の目的」と題する談話を発表。その中で、「野党が次の参院選を統一名簿による選挙、つまり「オリーブの木構想」で戦うことを提案している。ここでいう「オリーブの木構想」とは単なる選挙協力や選挙区調整と考え方が根本的に違い、・・・・選挙時の届け出政党を既存の政党とは別に一つつくり、そこに各党の候補者が個人として参加するというもの」である。

目的と方法が乖離した提案

 こうした連合政権構想なり、政権交代構想にはさっそく、いくつかの団体や通称「著名人」の間から賛同の声が寄せられている。
 しかし、賛否以前に、上記の提案を一読して、そこで掲げられた目的(戦争法を廃止できる政権の樹立等)と、そのためにとして提案された方法(連合政権作り、選挙協力)の間に大きな乖離があることは否定すべくもない
 共産党の提案は「国民連合政府」と名付けられているが、そのための具体的方法として謳われているのは全野党(共産、民主、維新、社民、生活、無所属クラブの5党1会派)の連合、選挙協力である。
 しかし、これら全野党の連合、選挙協力がかりに実現したとしても、それで自公両党を上回る議席を獲得できるのか? 答えはNoである。安保法案が「可決」された直後の世論調査を見てみよう。いずれも91920日の調査である。

 安保法に賛成か
          賛成    反対   分からない・無回答
  朝日新聞    30%           51%              (19%)
      毎日新聞    33              57                 (10)
  共同通信            34.1           53.0                 12.9
   (括弧内の数字は賛成、反対の残余として表記)

 つまり、どの調査でも、安保法案が「成立した」とされる現時点でも法律に反対の意見が過半を占めているのである。
 では政党支持率はどうか?

             朝日新聞  毎日新聞  共同通信    NHK    
  自民党         33%          27%          32.8%        34.7%      
  民主党                       10            12               9.5             9.8
  維新の党                     2              3                2.8             1.3   
  公明党                        3              4                3.8             3.7
  共産党                        4              5                3.9             4.0
      次世代の党                  0              0                0.5             0.1
  社民党                        1              1                1.5             0.6
  生活の党                     0              0                0.5             0.2
  元気にする党               0              0                -               0.2
  新党改革                     0             -                0.2      
  その他                        1              7                0.4             0.6
  支持政党なし              37            38              43.6           36.2
  わからない・無回答                                                          9.0
   野党5党の合計         17%           21%          18.2%        15.9%

  (NHKの調査は91113日時点)

 つまり、どの世論調査を見ても、野党5党の選挙協力がかりに実現したとしても、合計支持率は1621%にとどまり、自公両党の合計支持率(31~38%)のほぼ半分に過ぎないのである。
 もっとも、これは全国を1つに束ねた数値で、選挙区ごとに見なければ選挙協力の影響は計れないといえるかもしれない。これについては、『毎日新聞』が926日の朝刊で野党5党が来る参議院選挙の改選議席のうち、1人区すべてで候補者を1本化した場合の当落の試算をしている。
 それによると、野党統一候補が自民候補を逆転するのは3つの選挙区(新潟、長野、三重)にとどまり、残り27の選挙区は自公候補者が議席を維持するとなっている。つまり、来年の参議院選にあたって、かりに野党5党の選挙協力(それも全選挙区で一本化という究極の選挙協力)が実現したとしても、自公政権に取って変わるには遠く及ばないのである。
 もっとも野党の選挙協力の影響はたんなる足し算では測れないのは事実だろう。私はこれを「選挙協力のシナジー効果」と呼んでいる。例えば野党2党が統一候補を擁立すれば、それによる政治的影響力の増大に対する期待が高まり、2プラス13プラス・アルファの議席獲得効果を期待できるという予測である。
 しかし、「選挙協力のプラスのシナジー効果」がどこまで実現するかは不確かである。そもそも維新の党と共産党の選挙協力が実現する見通しは低く、民主党内でも保守系の議員の非共産意識は簡単に解消しそうにない。むしろ、5党の選挙協力を進めようとすると、民主党に分裂の事態(マイナスのシナジー効果)さえ起こりかねない。そうなると上の試算さえ、机上の足し算となる公算が大きい。

 このように考えると、たとえ暫定政権と断っても、それを「既存の野党の連合政府」という構想で提案したのでは、戦争法を廃止できる政府の樹立という目的にそぐわないのは自明である。この事実を直視しないまま、提案された政権構想―――たとえ、それが真剣な提案であっても―――を「戦争法を廃止できる」政権と銘打つのは信頼するに足る提案とは言えない。また、そうした提案に即座に賛意を表した「著名人」は、善意からとは言え、提案の内容をどこまで主体的に吟味したのかが問われるだろう。否、真剣な提案、善意の賛同というなら、なおのこと、その提案は、目指す目的(戦争法の廃止等)に適ったものかどうかを直視することを求められるのである。

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田中泰臣・NHK政治部記者の偏向した「可決」速報

2015102

記事に寄せられたコメントへの返信を兼ねて
 ここ数編、参院特別委での安保法案の「採決」なるものはなかったと訴える記事を書いたところ、多くの皆さまからコメントをいただいた。その都度、返信のコメントをできず、申し訳ない気持ちだった。そこで、この記事では、K.Kさんからいただいたコメントを紹介し、返信に代えたいと思う。

K.K
さんのコメント(930日)
 
 「917日は参院特別委の様子をNHKの実況中継で見ておりましたが、田中泰臣・政治部記者の解説は採決が行われたという既成事実を作り上げる意図が『透けて見える』どころか『それ以外の何物でもない』発言の連続で、与党の暴走と共に中立な報道ができなくなっている公共放送に対して恐怖を感じました。
 
 あのでき事『採決』とされてうやむやになればエスカレートする政権に対しておとなしく従ったことに等しく、『これについては目下、対応を検討中である』との力強いお言葉に賛同させて頂きます。」
 
 917日の実況中継の中で田中泰臣記者が語った発言の重大性はKさんも指摘されるとおりで、私も一つ前の記事で書き留めた。
 田中記者は何度か、「採決が行われているようです」とか、「可決された模様です」と発言したが、その日の23時半からのNHK NEWS WEBに出演した田中記者は、松本正代アナウンサーやネットナビゲーターのドミニク・チェンさんと興味深いやりとりをしている。
 http://newskeimatomedouga.blog.fc2.com/blog-entry-39422.html
 (0712秒あたりから)

「私自身も何が行われているのかわからない状況でした」
 
 (画面に映し出された視聴者からのツイート)
 
「今回の採決、議事録は取れているのでしょうか? 委員長、何を言っているのか全くわかりませんでしたが。」
 
「採決の映像は子供たちに見せられないと思ったのは私だけですか?」

 (チェンさん)「(上記のツイートを読み上げた上で)あの場面の混乱の中でどういうことが行われたのか、どういうことが判断されたのか、改めて聞かせていただけるでしょうか?」

 (田中記者)「私も採決の瞬間に生放送で解説をしていたんですが、私自身も今、何が行われているのかということが正直言ってわからない状況でした。・・・・」

 やっぱりそうだったのか、と納得している場合ではない。今、何が行われているのか、自分でもわからない状況で、何について、「採決が行われている可能性が高い」とか、「可決された模様です」などと、どうして言えたのか? しかも、事は、各方面から違憲の疑いが強いと指摘された法案の帰趨にかかわる場面だったのである。

 結局、田中記者は、実況中継の中で2度、繰り返したように、与党理事あるいは委員への事前の取材で、委員長不信任動議が否決され、鴻池氏が委員長席に戻るや、直ちに与党委員(実際は山本一太委員だった)から質疑打ち切り動議が出され、それが可決されるとすぐに法案の採決に入るという進行シナリオを知っていたことから、委員長の姿が見えなくても、委員長の議事進行、表決宣告の声が聞こえなくても、事前のシナリオにそって議事が進んでいるものとみなして、「採決が行われている可能性が高い」などと奇妙な発言をしたものと思われる。

与党の筋書きをなぞる解説
 
 しかし、参議院規則などどこ吹く風かのように、実況放送のさなかに、議事の模様を把握できないにもかかわらず、与党の進行シナリオに頼って、憶測で法案の「採決」「可決」を予断して発言することは、「NHKのニュースや番組は正確でなければならない。正確であるためには事実を正しく把握することが欠かせない」と定めた「NHK放送ガイドライン2015」に明確に反している

 さらに、田中記者が、拙速な「採決」「可決」の速報を実況放送のさなかに発信したことは、委員会閉会の直後から、「採決」の存否をめぐって与野党が真っ向から対立した問題について、参議院規則を蹂躙する形で行われた架空の「採決」なるものを、あたかも実在したかのように正当化し、既成事実化する役割を果たしたと言って差し支えない。これは「放送は政治的に公平でなければならない」と定めた「放送法」第4条第2項にも反する重大な過ちである。

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