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存在しない「採決」を後付けの議事録で「存在」したことにしようとする参院与党

20151012

「聴取不能」の「速記録」に「議事経過」なるものを追加して

 今朝(1012日)の『東京新聞』朝刊の1面と3面に。「速記録」では「議場騒然」「聴取不能」となっていた917日の参議院安保特別委員会の議事録が昨日11日付けで参議院のHPに公開されたところ、上記の速記録に続けて、「委員長復席後の議事経過」なるものが追記され、末尾に、「右(安保関連)両案の質疑を終結した後、いずれも可決すべきものと決定した。なお、両案について付帯決議を行った」と記されたことを伝え、論評した記事である。

「安保法『聴取不能』の議事録 与党判断で『可決』追記」
 
(『東京新聞』20151012日)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2015101290070252.html
 

 念のため、参議院のHPにアクセスすると、委員長不信任案が否決され、鴻池委員長が復席して以降の記録は次のようになっている。

189回国会 我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会会議録 第21号 平成27917日(木曜日)

http://online.sangiin.go.jp/kaigirok/daily/select0208/main.html 

理事(佐藤正久君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したもの
  と認めます。
  これより採決に入ります。
  我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員長鴻池祥肇君不信
  任の動議に賛成の方の起立を願います。
   〔賛成者起立〕

理事(佐藤正久君) 起立少数と認めます。よって、本動議は賛成少数に
  より否決されました。
  鴻池委員長の復席を願います。
  速記を止めてください。
   〔速記中止〕
   〔理事佐藤正久君退席、委員長着席〕

委員長(鴻池祥肇君) ……(発言する者多く、議場騒然、聴取不能)
   〔委員長退席〕
   午後436分 

 --------------------------------------------

 
本日の本委員会における委員長(鴻池祥肇君)復席の後の議事経過は、次のとおりである。
  速記を開始し、
  我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等
   の一部を改正する法律案(閣法第七二号)
  国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対
   する協力支援活動等に関する法律案(閣法第七三号)
  武力攻撃危機事態に対処するための自衛隊法等の一部を改正する法律
   案(参第一六号)
  在外邦人の警護等を実施するための自衛隊法の一部を改正する法律案
   (参第一七号)
  合衆国軍隊に対する物品又は役務の提供の拡充等のための自衛隊法の
   一部を改正する法律案(参第一八号)
  国外犯の処罰規定を整備するための自衛隊法の一部を改正する法律案
   (参第一九号)
  国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する人道復興支援活動等
   に関する法律案(参第二〇号)
  国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律の一部を改正する
   法律案(参第二三号)
  周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関す
   る法律及び周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律の一
   部を改正する法律
   案(参第二四号)
  右九案を議題とし、
  我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等
   の一部を改正する法律案(閣法第七二号)
  国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対
   する協力支援活動等に関する法律案(閣法第七三号)
  右両案の質疑を終局した後、いずれも可決すべきものと決定した。
 
  なお、両案について附帯決議を行った。

  ------------------------------------------------------------------------

  〔参照〕
  横浜地方公聴会速記録
 
(以下、省略)

外形さえ存在しない「採決」~衆院安保特別委の議事録との対比で~
 
 以上のような参院安保特別委の議事録の異常さは同じ法案を審議した衆院特別委の採決の時の議事録と比べると浮き彫りになる。
 念のため、最初に記しておくが、私は去る715日に衆院安保特別委でなされた法案採決も審議を尽くしたうえでのものではなく、審議の中で野党や公述人、参考人から提起された法案の根幹にかかわる疑問点~集約すれば違憲性~に対する解明をことごとく棚上げした見切り採決という意味で「強行採決」と呼ぶのがふさわしいものだったと考えている。

 しかし、後掲の衆院特別委議事録は、議事進行(外形)という点では、委員長が討論の終結を宣告し、その後1件ごとに採決に付す宣告(賛成の諸君の起立を求める)、採決の結果(起立多数で可決)という、実際に存在した議事進行が記されている。

 この点でいうと、参院特別委の議事録は、実際に行われた議事進行(それを証するのが速記録)とは離れ、鴻池委員長あるいは与党の後付けの「認定」、指示で書き加えられたものにほからない。しかし、委員長といえども、委員会の議事進行の実態を度外視して、「自分が可決といったのだから可決だ」と「認定」する権限などない。
まして、理事会にも諮らず、与党理事や与党委員が事務方に指示を出して「議事経過」なるものが付け加えられ、それで「採決」が創作されるとなれば暗黒国会である。

「採決」の創作は無理筋
 最後に、公開されたな議事録を読んで私が感じた疑問、批判をまとめておきたい。
 1つは、これまで伝えられてきた5件の「採決」のうち、安保法案に関する「採決」以外は個々の案件ごとに「採決」は外形上のみならず、記録の上でもないということである。
 例えば、末尾に、「右両案の質疑を終結した後、いずれも可決すべきものと決定した。」と記されている。しかし、ここには、自民党の山本一太議員から提案され、「採決」されたといわれてきた質疑打ち切り動議を「採決」し、「可決した」という記録はない。
 同様に、これでは、鴻池委員長に審査報告書の作成を一任したとされる5番目の「採決」も、会議録の上でも存在しないことになる。
 特に、名実ともに質疑、採決もしていない与党・野党3党が合意していた付帯決議まで行ったと議事録に記載するのは暴挙の極みである。
 かりにも、「右両案の質疑を終結し・・・」という一語で、5件の「採決」がすべて行われ、「可決」されたことを証することになるなどという乱暴な解釈は通用しない。

 もう1つの疑問は、そもそも論として速記録にはない(聴取不能)文言を議事録作成の段になって「議事経過」と称し、理事会等に諮らず、与党議員のみの判断で、追加することが許されるのかということである。
 このような判断がまかり通るのでは議事録の公正中立性、信頼性が根底から揺らぐことになる。委員長の「認定」や与党理事の指示で「採決」や「可決」の存在が創作されるのなら、暗黒国会である。

【参考】同じ法案を採決した衆院特別委の議事録は
 
189回国会 衆議院 我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会 会議録 第22号(平成27715日(水曜日))
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/029818920150715022.htm
 

浜田委員長 これにて討論は終局いたしました。

 浜田委員長 これより採決に移ります。
 江田憲司君……(発言する者、離席する者多し)江田憲司君……(発言す
 る者あり)
 江田憲司君外四名提出、自衛隊法の一部を改正する法律案について採決い
 たします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。起立を求めます。(発言する者あ
 り)起立を求めます。
   〔賛成者起立〕

浜田委員長 起立少数。よって、本案は……(発言する者あり)本案は少数
 をもって否決いたしました。
 次に……(発言する者あり)次に、江田憲司君外四名提出……(発言する
 者あり)四名提出……(発言する者多く、聴取不能)起立少数。本案は否
 決されました。
 次に、内閣提出、自衛隊法の……(発言する者あり)自衛隊法の一部を改
 正する、我が国及び国際社会の平和安全及び……(発言する者あり)平和
 安全及び……(聴取不能)します。
 自衛隊法の……(聴取不能)する法律案の賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕

浜田委員長 起立多数。本案は賛成多数をもって成立いたしました。
 (拍手)
 次に、国際平和共同対処事態における我が国が実施……(聴取不能)賛成
 の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕

浜田委員長 起立多数。よって、本案は成立をいたしました。(拍手)
 次に、我が国の、本案に関する、本院に対する、本案に関して私に一任願
 いたいと思います。賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕

浜田委員長 起立多数。起立多数をもって……(聴取不能)は成立いたしま
 した。以上をもって、本委員会は終了いたしました。散会いたします。
 
  午後零時二十五分散会

 

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コメント

 何も殆ど出来ていないない1市民です。
この醍醐さんのブログの内容は勉強になり、共感します。これをちゃんと読んだ人、及び、この9/17の特別委員会の状況を見たものは、誰でも、採決を存在したことにするのはおかしいと考えると思います。このブログの内容を採決反対野党の議員達、多くの人たち、更には賛成した、野党の荒井議員や、水野議員にも広げたいです。このままだと、国会の信頼が失われる危機だと思います。
 <追伸>NHK田中政治部記者の問題発言:NHK9/17ニュース7 19:10頃(あの採決時の混乱について)
 武田アナ「なぜこのような事態になったのでしょうか?」 
 田中「そうですね、民主党等、法案に反対する野党側が徹底して採決に反対したためです」と言い切りました。  
 また田中記者は自民党が採決を急ぐ理由をもっともらしく説明する一方で、鴻池委員長の不信任採決の討論などで、「野党は採決を遅らせたいとして40分以上演説する議員も居ました」と批判的に述べる場面があり、大変問題に感じました。
 このニュース7でも混乱の最初が与党議員が駆け寄って委員長を取り囲んだことがきっかけになったことを言いませんでした。

投稿: | 2015年10月13日 (火) 23時27分

平田泰臣・NHK政治部記者の政権の目論見に沿った世論誘導解説が10月2の本ブログで紹介されている。
参院安保特別委員会の9月17日強行採決を「私自身も何が行われているのかわからない状況でした」と言うにもかかわらず「与党側が起立多数だというふうに認められたということなんですね」と与党の筋書きが実行されたとする虚偽解説をしたこと。これは許せない。
さらに平田記者の解説・発言について2点注視したい。
一つは、同日23時半からのNHK NEWS WEBで、強行採決のために10名余りの与党議員(特別委委員ではない)が委員長席に押し寄せて委員長をドーム状に推し包んだ状況を、「野党議員などが取り囲みました」と「混乱」の責めを野党に押し付ける不当解説をした。これも許せない。
一方、平田記者にも政治部記者としての良識がみられる。採決・可決の成立理解という解説に戸惑う鎌倉千秋アナの「それはきちんと議事録とかに残っていないといけないということですよね」と問いかけに対し、平田記者は「はいそういうこと。そうです」と答えた。
議事録に残っていない事態が明確になった今、平田記者及び番組構成したNHKは安保法案の「採決・可決無効」を表明すべきだ。

投稿: | 2015年10月13日 (火) 06時26分

次は内閣法にさえ違反する(第5条に定義がない。戒能先生も明言している)改憲発議でしょう。

投稿: AS | 2015年10月12日 (月) 23時53分

私は東京新聞HPを読んで、参議院へ抗議メールを送りました。

東京新聞を読んで、国会はここまで堕落したかと思いました。

戦争法制定改定は強行の連続。時間が来たら、終了。国民が理解していないのは承知、でも、決めるときは決める。あとで、国民も、成立してよかったと思えるだろう。
そんな国会運営は、とても、国民の代表機関とはいえない。内閣の隷だ。
ましてや、議事録を変更するなんて、とんでもない。
帝国議会でそのような例があるのですか、ご返事下さい。
そのうち、「誤解をあたえる」という理由で、発言内容を議事録で勝手に変更できるようになるかもしれませんね。
そのなると、議事録は必要ないし、NHK国会中継もいらないし、国会もいらなくなるのでは、と真剣に苦悩しています。
そんな一国民の苦悩がわかりますか。

投稿: 小浜健児 | 2015年10月12日 (月) 23時35分

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