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なぜマイナンバー制度から離脱できないのか~内閣府担当室に質問書を提出~

2016114

 このブログにも書いたが、私は昨年1029日、地元市長宛にマイナンバー法に基づく個人情報の相互利用等の事務の停止を求める申し立て書を提出した。

  個人番号の利用事務等の停止を求める申し立て書を提出
  
http://sdaigo.cocolog-nifty.com/blog/2015/11/post-f4f5.html


 これについて、昨年1120日付で市長から回答が届いた。結論は、「申し立てに関しては対応いたしかねる」というものだったが、その前段で、内閣府番号制度担当室によれば、として同室に照会した模様が紹介されていた。その中で、「個人番号を利用するかどうかを個別の自治体の裁量に委ねるということではなく・・・・」というくだりがあった。自治体への法定委任事務である以上、当然ではある。
 そこで、昨年124日、事前に予約をした上で赤坂にある内閣府願望制度担当室を訪ね、応対した同室の参事官補佐ならびに主査とやりとりをした。その模様は同行取材された『週刊金曜日』の記者の稿(同誌、20151211日号)でまとめられている。
 しかし、筆者としては、地元市町からの回答に記された内閣府担当室の見解について持った疑問がいっこうに解けないばかりか、応対した二人の職員の説明の中に
、疑問に輪をかけるような内容があった。要約すると、それは、①行政の効率性を個人のプライバシー権よりも優先させる思考、②行政の効率性を公共の福祉に置き換え、それを、個人の意思にかかわりなく、すべての住民を一律にマイナンバー制度に参加させる根拠にした、ことである。
 この点はマイナンバー制度の根幹にかかわる問題であり、見過ごすわけにはいかないと考え、内閣府担当室に書面で質問書を提出して回答を求めることにし、今日、発送した。以下がその全文である。 


                        2016114
内閣府大臣官房番号制度担当室 御中

個人番号に基づく利用事務の停止の求めを拒む根拠等についての質問書

                   住所 (ここでは削除)
                           醍醐 聰

 私は昨年1029日に居住地の千葉県佐倉市長宛に「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」に基づく個人番号利用事務等の停止を求める申し立て書」を提出したところ、1120日付で佐倉市長より回答が届きました。その回答文書に、

 「内閣府番号制度担当室によれば、『番号法第9条第1項において、自治体は別表第1に掲げる事務について「個人番号を利用できる」と規定されているが、番号法の趣旨に鑑みれば、これは個人番号を利用するかどうかを個別の自治体の裁量に委ねるということではあく、別表第1やその委任に基づき制定された主務省令に規定された事務については、すべての自治体において個人番号を利用すべきであると解される。』とされています。」

として、貴室の解釈が敷衍されていました。
 この点について、理解が困難な点があり、昨年124日に貴室を訪ね、応対された本間貴明・参事官補佐、ならびに安倍健一・主査と1時間あまり質疑をさせていただきました。その折、以下のようなやりとりがありました。

 醍 醐 91項の解釈を読んだが、個人として求めた利用事務の停止
    を行政が拒む根拠が見当たらなかった。マイナンバー制度から
    離脱したいという個人の選択の自由を認めないのは個人の権利
    を侵害するものではないか?
 内閣府 住民個々人の承諾を得なければならないという定めはない。
    番号法は、国の代表である国会議員が可決したもの。行政はそ
    れを施行していく責任がある。逆にお聞きするが、共通番号で
    情報連携すれば行政の効率化が図られるというメリットをどう
    考えるか?
 醍 醐 私は、自分の個人情報が漏えいしたり、不正使用されたりす
    るリスクを避けるためなら、これまでどおり、年に1度あるか
    ないかの書類提出のために市役所へ足を運ぶ手間暇は何ら厭わ
    ない。行政の効率化を個人のプライバシー権、個人情報の自己
    コントロール権よりも優位に置く理由は何か?
 内閣府 公共の福祉による制限だと思う。
 醍 醐 行政の効率性を公共の福祉と呼ぶことはできない。
 内閣府 そんなことはない。この制度によって国がよくなると考える
    から、われわれはこうして制度導入の仕事をしている。

 以上のような経緯を踏まえ、以下、質問をいたします。質問項目ごとに、ご回答を本年126日(火)までに文書でお送りくださるよう、お願いいたします。

                質問事項

【質問1】 憲法論の学説上、公共の福祉による人権の制約は人権と人権の衝突を調整する原理として有効とされ、表現の自由や個人のプライバシー権など精神的自由権を制約する原理としては厳格に適用すべきものとされています。この点を踏まえて、お尋ねします。
 昨年124日の上記の質疑の中で、共通番号(マイナンバー)制度からの個人の離脱(利用事務の停止の求め)を不可と解釈される理由として貴室担当者は「公共の福祉」を挙げられました。では、上記の憲法学の定説に反して、貴室が個人のプライバシー権よりも行政の効率性が優先すると解釈される根拠は何なのかをお示し下さい。

【質問2】 貴室は、共通番号(マイナンバー)制度を採用することによってどの程度、行政の効率性を達成できると見込んでおられるのか、①その定性的定量的根拠を、②制度の導入・運営に要するコストの見積もりとの対比で、お示し下さい。

【質問3】 国および地方の行政職員が個人番号の利用を促進するための施策を実施する責務を負っていることは確かですが(番号法第4条、第5条)、番号法には個人が一律にこの行政事務に協力・応諾することを義務付けた条項はなく、共通番号(マイナンバー)制度への参加を一律に義務付けた条項もありまません。
 にもかかわらず、貴室が、個人番号をキーにした個人情報の利用事務の停止の申し出を拒む根拠をご説明ください。

                             以上


(参考1)市役所でのやり取りの模様をまとめた『週刊金曜日』(2015年10月23日号)の記事(同誌の許可を得て転載)
http://sdaigo.cocolog-nifty.com/siyakushode_kinyubi_20151023.pdf

(参考2)市長から届いた回答

Photo_2

(参考3)内閣府でのやり取りの模様をまとめた『週刊金曜日』(2015年12月11日号)の記事(同誌の許可を得て転載)
20151211





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