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昭恵夫人のメールとFB投稿の不可思議

2017327

反証は不可能と言いながら、籠池氏の証言をなぜ全否定できるのか?
 感情に駆られるあまりに、思わぬ断定がたたって自分を窮地に追い込む愚かな人々がいる。323日に衆参両院に証人として出席した森友学園理事長・籠池泰典氏の発言に対する安倍首相や与党首脳の反応を聞くと、この言葉を思い浮かべる。

 籠池氏は、証言のなかで、201595日、安倍昭恵氏が講演のため塚本幼稚園を訪れた際、講演に先立って、園長室で同行した2人の政府職員を人払いし、籠池理事長と2人だけになったところで「安倍晋三からです」と100万円が入った封筒が差し出されたと証言した。これについて、安倍首相は324日の参院予算委員会で、「密室でのやりとりなど反証できない事柄を並べ立て、事実と反することを述べたのは誠に遺憾だ」と反論した。
 しかし、「反証できない」と言いながら、「事実に反する」と語るのは「反証」を試みていることを意味する。ただし、「では、事実はどうだったのか」を語らず、「事実に反する」と言うだけでは無に等しく、反証の体をなさない。

 「反証」を裏付ける物証なり、その場に居合わせた者でなければ語れないような状況をリアルに話せるのは、籠池氏と昭恵氏の2人である。このうち、籠池氏は、物証はなかったが、金銭が授受された時の状況をそれなりに説明した。
 となると、籠池氏の説明を反証できるのは昭恵氏以外にいないから、国会は籠池氏と同じ条件で、つまり、偽証の責を負う証人として昭恵氏を召喚し、事実関係を確かめるのが筋である。この後で紹介するフェースブックへの書き込みでは、この場合、反証にならない。

菅官房長官の会見は昭恵氏がなすべき反証の代行にならない
 NHKほか報道機関は、「安倍首相、安倍夫人に確かめると、100万円の授受などないということだった」と語る菅官房長官の会見の模様を繰り返し伝えた。しかし、「という話だった」では伝聞に過ぎず、籠池氏の証言に対する反証に値しない。そのような官房長官の発言を、籠池氏の証言とペアで報道すること自体、おかしいのである。

 2人のほか、同行した昭恵夫人付きの政府職員の少なくとも1人は、終始、昭恵氏に随行していたと言うなら、その職員からも状況を聴けばよい。また、籠池氏の言うように、昭恵氏から100万円を受け取ったことを籠池氏がすぐに幼稚園の教職員に伝えたというなら、それら教職員からもその時の状況を聴けばよい。

 「証拠を出すのは不可能だけれど、事実でないものは事実でない」と語るのは、自分の主観を同義反復するだけで、「反証」ではないし、一考に値する「反論」にもならない。

 同じく24日、自民党の高村正彦副総裁は党役員連絡会で、「23日の証人喚問で明らかになったのは、籠池さんという方が、かなりの嘘つきであるということだけだ」と述べた。二階俊博幹事長も会合後の記者会見で、籠池氏について「予備知識もないので嘘つきと決めつけて踏み込んで申し上げないが、立派な人ではないということは、だいたい誰が見ても分かるのではないか」と述べた。

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 世間話で、「お前は嘘つきだ」、「いや嘘つきはお前の方だ」とやり合うのを見かけることはある。しかし、国権の最高機関である国会に証人として喚問した人物を指して「かなりの嘘つき」、「立派な人ではない」と言い放つとなれば、それ相当の確証がなければならない。籠池氏の証言の個々の部分を捉えて虚偽というなら、それを裏付ける証拠をそろえてからだ。どの部分と限定せず、証拠も示さず、人格批判を展開するのは、それこそ籠池氏に対する「侮辱」である。
 
 では聞くが、高村氏、二階氏は籠池氏の証言の中で注目された「昭恵夫人付き政府職員を通じて、財務省国有財産管理室長の回答をFAXで受け取った」という籠池氏の証言、そのFAXに書かれた内容を「嘘」といえる証拠を持ち合わせているのか? 「昭恵夫人を通じて安倍晋三氏から100万円を受け取った」という籠池氏の証言を「にわかに信じがたい」と言うのならともかく、「嘘」と断言できる証拠を持ち合わせているのか?

 ちなみに私は、籠池氏の証言の中で、事実確認が必要な疑問点(安倍首相の名前入りの寄付金受付書を使った期間)もあるが、真実と受け取れる点(上記のFAXに関する証言)もある。また、今の時点では真偽を確定的に判断できない部分(100万円の授受など)もある。

「朕は真実なり」の独裁思考
 さらに、自民党の下村博文幹事長代行はこの23日、「首相あるいは官邸が昭恵夫人に確認したが、『寄付していない』と明確に言っている。本人から聞かなくても官邸がうそをつくはずがない」と語った。また、公明党の山口那津男代表も「事実がないものはない。これ以上やる必要はない」と述べ、昭恵氏の招致には応じない考えを示した。

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  しかし、「首相、あるいは官邸がそういっている、官邸は嘘をつかない」と信じるのは下村氏、山口氏の自由だが、首相や官邸の言うことは国政調査権を超越した真実だとなれば、その限りでは国会は要らない。
 しかし、近代立憲主義、議会やメディアによる政権監視の思想の根底には、「人民にして政府を信ずれば、政府はこれに乗じ、これを信ずること厚ければ、益々これにくけ込み、もしいかなる政府にても、良政府などといいてこれを信任し、これを疑うことなくこれを監督することなければ、必ず大いに付け込んでいかがのことをなすかも斗り難きなり」(家永三郎編『植木枝盛選集』岩波文庫、1112ページ)という思想があるはずだ。

 「ないものを証明するのは悪魔の証明」と言いつつ、自分に歯向かう人物の言動となると、反証抜きで「嘘」と決めつける一方、時の政権トップや官邸の言説は証明抜きで「真」と断定して「聖域化」するのは、政権首脳を真偽の審判者だと公言する独裁政治の発想そのものである。

不可思議な昭恵夫人の反応
 「逆は真ならず」(ここでは昭恵氏の書き込みに不自然な点があるとしても、そこから反射的に籠池氏の証言が真と断定できるわけではない、という意味)というが、逆が真かどうかは確証がないとしても、ある発言の「確からしさ」に疑問を投げかけることはできる。それはどういう場合か?

 租税の世界では、「節税」か「脱税」かのグレーゾーンに相当する「租税回避行為」をチェックする際に、「通常の経済人の行為に照らし、不自然な行為」という見立てで特定の行為を観察することがよくある。ある商品を特定国へ輸出するにあたって、合法的な範囲内で税務上のメリットを考慮したうえで行われる通例の取引では見受けない異例な形式(例えば、第3、第4国を経由するような輸出)が行われた場合、無税または低税率の国を介在させたタックスヘイブン対策ではないかという疑念を持って、それぞれの取引の経済的実質をチェックするケースなどがそれにあたる。

 先日、籠池夫人と安倍昭恵氏が交換したメールが公表された。その中で、籠池理事長が昭恵夫人を通じて安倍首相から100万円を受け取った、と発言した直後の316日、昭恵氏は次のようなメールを籠池夫人に送っている。
 
 (A)「100万円の記憶がないのですが。」

 それから1週間後、籠池理事長が証人尋問で再度、同様のことを証言したその日のうちに、昭恵氏は自身のフェースブックにこう書き込んで反論した。

 (B)「私は、籠池さんに100万円の寄付金をお渡ししたことも、講演料を頂いたこともありません。」

 さらに続けて、昭恵氏は、そのとき、夫人付きの政府職員に席を外すよう指示したとの籠池氏の説明に対し、そのような人払いはしていない、そのことを当日、同行した職員2名にも確認した、講演の控室として籠池氏と向かい合ったのは籠池氏が言った園長室ではなく「玉座の間」だったと思うとも書き込んだ。

 しかし、(B)で昭恵氏が書き込んだように、100万円を籠池理事長に渡した事実などないと断言できるのなら、その1週間前に、なぜ、(A)のように自分の記憶を確かめるようなメールを籠池夫人に送る必要があったのだろうか?

 籠池氏が100万円の出どころと語った安倍首相は、317日の衆議院外務委員会で、「会ったこともない方に多額の寄付を私自身が行うということはありえない話で、妻や事務所など第三者を通じても行ってはいない」と明言し、みずからも昭恵夫人も寄付を行っていないと強調した。また、324日の参院予算委員会でも、前記のとおり、「事実と反することを述べたのは誠に遺憾だ」と反論した。

 こうした安倍首相の反論は、昭恵氏が、社交的なメールの文面とはいえ、「記憶にないのですが」と、いささか引けた表現をしたのとはずいぶんトーンが違っている。昭恵氏も安倍首相と同じ認識なら、きっぱりと100万円の寄付を否定するのが自然ではなかったか? 安倍首相も答弁したように、100万円という大金を持参したか否かは必死に記憶を辿らなければ確認できないような出来事だろうか? しかもそれは、10年前、20年前のことではなく、1年7カ月前のことである。昭恵氏は100万円相当の資金をたびたび他人に届けることがあって、個々の事例の日時、場所、相手方を定かに記憶できないような事情だったのだろうか?

 「昭恵夫人を通じて安倍首相から100万円をいただいた」という籠池氏の発言が事実無根なら、安倍夫妻を貶める発言であり、籠池夫人に記憶を確かめるまでもなく、昭恵氏は、直ちに籠池理事長に抗議をし、発言の撤回と謝罪を求めるのが普通ではないか?

 もう一つ、不自然なのは、かりに316日の時点で昭恵氏は真実、100万円を持参し、籠池理事長に渡した事実があったかどうか、記憶が定かでなかったとしたら、それから1週間の間に、なぜ、かくも断定的に100万円の授受を否定できるほど記憶が蘇ったのだろうか? その間に100万円の授受を否定できる物証が見つかったのなら、堂々と証人喚問に応じて、その物証を提出方々、籠池発言を否認すればよいのではないか?

〔付記〕323日の昭恵夫人のFB投稿は昭恵氏自身の原稿なのか?

 郷原信郎氏は、このFB投稿の文面をそれ以前の昭恵氏のFB書き込みと比較して、両者は多くの点で異なり、323日のFB投稿は昭恵夫人自身が書き込んで投稿したものかどうか疑わしいとし、その根拠を次のように記している。
 (以下、「郷原信郎が斬る」2017325日の投稿記事による。)

 

1)昭恵夫人のそれまでのFB投稿は、年号がすべて西暦表示、数字はすべて半角表示であるのに、323日のFB投稿では年号は元号、数字はすべて全角で表示されている。
 (2323日のFB投稿では、昭恵夫人が使うとは考えにくい、典型的な「役人用語」が多く使われている(「回答する旨」、「何らか」、「当該」、「書面でお問い合わせ」、「関与しておりません」など)。特に「旨」「当該」「何らか」などの言葉は、典型的な「官僚的、公用文書的表現」であり、そのような役人仕事、公的事務の経験がない昭恵夫人が書いた言葉としては違和感がある。

  こうした理由から、郷原氏は、籠池氏が証言した100万円の授受、ならびにその時の状況を完全否定した昭恵氏のFB投稿は、昭恵夫人自身がまとめて投稿したものではなく、別に作成された文書をフェースブックの投稿欄にコピー・アンド・ペーストしたのではないかと考えられる、と推論している。
 そのうえで、郷原氏は、内容面からしても、昭恵夫人自身が書いたものではない疑いがある、むしろ、証人喚問での籠池証言に対する「首相官邸側の反論ないし弁明」そのものであり、官邸側が作成して、昭恵夫人に投稿を依頼したのではないかとさえ思える、と論じている。

  かつて10年ほどの間、いくつかの中央省庁の審議会委員を務めた私の体験からいうと、郷原氏が指摘したように、霞が関の政府職員が書く文書では、数字は全角が通例で、半角を見かけたことはまずなかった。「・・・旨」、「当該」という用語も彼らの常用漢字の一つで、昭恵氏がそのような堅い用語を使うのは不自然に思える。

 

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ゼロ回答ではなく、「口利きの顛末」を報告した文書~安倍夫人付き政府職員発のFAX~

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「忖度」か? 「ゼロ回答」か?
 23日に行われた森友学園・籠池理事長の証人喚問の中で、籠池氏が示した「籠池理事長宛ての安倍夫人付き官邸職員のファックス」(201511月送信)は森友学園の校地用土地取得への安倍夫人の関与を裏付ける数少ない物証として注目を集めている。
 というのも、安倍首相は森友学園問題をめぐる国会質疑の場で何度か、自分、自分の事務所、昭恵夫人が国有地の取得に関わっていたとなれば総理大臣も国会議員も辞めると明言してきたからである。それだけに官邸もこの文書の位置づけを薄めるのに躍起になっている。

 昨日(324日)の衆参予算委員会での質疑を見ると、野党議員はこうした官邸の公式見解を正面から質すには至らず、「忖度」を物語る文書だと追及するにとどまった。
 これに対して、安倍首相、菅官房長官は、「このFAXは籠池氏側からの問い合わせに事務的に応答した文書に過ぎず、内容もゼロ回答であって忖度では全くない」と口をそろえて説明している。

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 忖度と言うなら、安倍夫妻が広告塔となったことで森友学園の案件が首相案件と受け止められ、さまざまな「忖度」を生んだことは官邸がどう言おうが政府職員の間では常識だろう。
 しかし、国会の場で「忖度があったのではないか」と質すことにどれくらい意味があるのか? 「忖度などありません」と答弁されたらそれまでだ。

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の別紙に注目すべき
 そうした押し問答で終わらないためには、昭恵夫人付きの政府職員が籠池理事長宛てに送信したFAX の本文だけでなく、「別紙」を注目することが重要だ。この別紙とは昭恵夫人付き政府職員に宛てた「財務省国有財産審理室長・田村善啓氏からの回答である。ここには2つの注目すべき点がある。

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 売却時の価格に言及~国有財産の売却に安倍夫人が関与した証拠~
 一つは次のような記述である。

「3 土壌汚染や埋蔵物の撤去期間に関する賃料の扱い
・・・・土壌汚染の存在期間中も賃料が発生することは契約書上で了承済みとなっている。撤去に要した費用は、第6条に基づいて買受の際に考慮される。」

 ここで注目されるのは、定期借地契約で謳われた買受特約を将来、森友学園が行使する場合、埋蔵物の撤去費用は買受価格から差し引かれることを籠池氏側に、この政府職員が伝えている点である。
 時系列でみると、森友学園が近畿財務局と当該土地につき、買受け特約を付けて10年を期間とした有償貸付契約を締結したのは2015529日だった。この時の不動産鑑定価額は93200万円とされていた。
 この返信FAXは、定借期間を10年超に延長してもらえないかという依頼だったが、昭恵夫人付きの政府職員からの回答は、それは難しいと「ゼロ回答」して終わりではなく、定借期間の延長の件とは別に、買受特約を実行した場合の価格にも触れているのである。
 森友学園が買受特約の実行を近畿財務局に申し出たのはそれから4カ月後の2016324日で、その13日前に森友学園は当該土地に杭打ちをした際、新たに地下埋蔵物が発見されたと近畿財務局に連絡していた。
 森友学園が定借から買受に転換した理由はまだ不明だが、201511月の時点で、昭恵夫人付き政府職員を通じて、財務局国有財産審理室長からの回答という形で、買受時には埋蔵物の撤去に要する費用が差し引かれると知ったことが買受への転換を判断する要素の一つになった可能性がある。
 その点は推測の域を出ないとしても、安倍夫人付きの政府職員が安倍夫人に寄せられた籠池氏の依頼を受けて財務局国有財産審理室長に問い合わせをした結果を籠池氏に伝えた文書の中で、将来の買受価格の算定に関する財務省の考え方が含まれていたことは、昭恵氏の関与が定借の条件変更にとどまらず、買受にも及んでいた事実を示すものであり、安倍首相が繰り返し否定した、「私の妻が国有地の売却に関与した」証拠として重大な意味を持つ

政府の予算措置にも言及した事実の重み
 安倍夫人付きの政府職員が籠池理事長に宛てて送ったFAXの「別紙」の中で、もう一つ注目すべき点は、森友学園が定借した国有地の土壌汚染と地下埋蔵物の撤去のために立て替えた13,000万円の精算の目途について次のように言及している点である。

 「4 工事費の立て替え払いの予算化について
 一般には工事終了時に清算払いが基本であるが、学校法人森友学園と国土交通省航空局との調整にあたり、『予算措置がつき次第返金する』旨の了解であったと承知している。平成27年度の予算での措置ができなかったため、平成28年度での予算措置を行う方向で調整中

 財務省国有財産室長名で森友学園に関わる政府の予算措置にも言及した情報が、安倍夫人付きの政府職員が籠池理事長に宛てて送ったFAXに含まれていたことは極めて重要である。このような回答が一政府職員からの問い合わせを介して、一民間法人たる森友学園の理事長に送られたのは首相夫人たる昭恵氏の肩書/関与抜きには考えられない。
 このことは、籠池氏が要望した定借期間の延長に関しては「ゼロ回答」だったとしても、森友学園が立て替えた工事費の精算については、予算措置で調整中という具体的な対応を伝えていたという点である、この点で問題のFAXは「ゼロ回答」でないのはもちろん、「事務的文書」でもなく、森友学園に対して財務省内の国有財産所管部署が、首相夫人付きの政府職員を介した森友学園からの要望に対して、様々に対応していた事実を示す証拠として重大である。

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の「別紙」を見れば安倍首相の言いくるめは破たんする
 安倍首相は24日の国会答弁で、問題のFAXは「国有財産に関する問い合わせに対する一般的な内容である」と内容の重大性を薄めるのに懸命になっている。

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 しかし、以上で紹介したFAXの「別紙」を吟味すると、財務省国有財産室長名の回答は、「国有財産に関する問い合わせに対する一般的な回答」どころか、定借期間の延長に関しては「ゼロ回答」でも、
 ①買受特約をする場合の売却価格に言及しており、その意味では国有財産一般ではなく、森友学園への当該土地の売却条件にも触れている。
 ②定借中に森友学園が行った土壌汚染、地下埋蔵物の撤去に要した費用の精算に係る政府の予算措置の見通しに言及している。この点でも、「国有財産に関する問い合わせに対する一般的な回答」どころか、昭恵夫人付きの政府職員を介した森友学園からの要望に対する財務省の具体的な対応を伝えた文書であることは明らかである。

 昭恵夫人付き政府職員から籠池理事長宛てに送信されたFAXの内容を以上のように検討すると、安倍首相自身の意思が働いていたかどうかは不明としても、首相夫人という肩書で昭恵夫人付き政府職員が財務省の国有財産所管部署に問い合わせをかけ、それに対して当該部署が当該職員を経由して籠池理事長に、将来の国有財産の売却条件まで触れた回答をしていた事実が明確になる。
 しかも、その売却条件というのが、8億円の値引きに繋がる埋蔵物撤去費用の扱いを伝えたものであったことは、昭恵夫人が「問題の国有財産の売却に関与していた事実」を具体的に示すものであり、安倍首相が国会で繰り返し明言した同氏の進退につながるといって差し支えない。野党は、今後、「忖度」云々の議論から脱して、物証のあるこの点を具体的に質していく必要がある。




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安倍夫人、松井府知事、迫田氏らも「証人」として喚問するのが筋

2017324
  

総理夫人となると腰が引けてよいのか
 昨日の籠池理事長の証人喚問の模様をテレビ中継で視た。各党の議員の質問には焦点のあてどころに大きな違いがあった。その後の各党、各種メディアの論調も、4時間以上の質疑のどの部分に焦点を当てるかで、違いがくっきり出た。

 自民、公明両党の議員の質問は国有地が異例の安値で売却された経緯を究明することよりも、「偽証罪に問われる」と念入りに迫りながら、籠池氏の言動の虚偽を暴くことが主眼のように見えた。
 野党の弁護士出身の議員、具体的にな枝野議員の質問には要所を押さえる場面がいくつかあった。特に枝野氏が、昭恵夫人付の政府職員から籠池理事長に届いた返信メールの性格について、
  籠池氏→昭恵夫人(留守電メッセージ)→秘書→財務省国有財産
  審理室長
→秘書→籠池理事長(昭恵氏にも同報)
という流れで籠池理事長のもとに届いたことを確認し、昭恵夫人の介在を明確にした点は重要だった。

 ただ、全体として個々の野党、特に民進党以外の野党に割り振る質問時間を倍以上に増やさないと十分な質疑には至らないことが明らかになったと思える。
 さらに目立つのは、「籠池劇場」などと森友学園問題を大きく放送してきたメディアやコメンテーターが、こと昭恵夫人の説明責任となると、「何らかの場での説明が必要」と腰が砕け、籠池氏と同等の「証人喚問を」とまで言わない点である。
 時の総理夫人となると腰が引けるのでは「自立した」メディアと自称できない。
 
誰に向かっていう質問か
 参議院での質疑の中で質問した公明党の竹谷けい子氏は、100万円の寄付金の授受の真偽に関連して籠池氏に、受け取った封筒は残っていないことを確認したうえで、礼状も出していない、100万円が入っていたという封筒も残っていないでは信用できない、と決めつけた。
 しかし、時の首相からの寄付者だとしたら、その場で謝辞を述べて後はそっとしておこうとしたとしても、格別、不思議ではない。1年半前の封筒が手元に残っていないからといって、それが寄付の授受の反証になるわけでもない。

 維新の会の下地議員は、籠池氏に対し、「松井府知事にハシゴを外されたなどと言うのは筋違い、自分ではハシゴから落ちたまでだ」と激しい口調で迫った。
 しかし、大阪府の異例づくめの森友学園の認可基準の緩和、1ヶ月の間に「認可保留」が「条件付き認可」に転じた異例の経過を究明するという本題に照らせば、「ハシゴ」談義は次のような松井知事の言動へと焦点を改める必要がある。
 繰り返しになるが、松井大阪府知事は次のように語っている(2013316日、TBSニュース23)。

 *「国の売り渡し審議会にかけるために府として〔認可の〕見込みを発表してくれと言われたから、あえて国からそういう形で府の私学課に何度も足を運んで・・・・」
 *「本当に国が〔土地を〕売るなら私学として〔認可は〕ありえると返事した。」

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 また、同じ316日に放送された『報道ステーション』は松井知事が次のように語ったと伝えた。

 *「安倍総理が総理大臣ですから、その奥さんが名誉校長をされている学校に対して、その申請に対してはね、受ける側の職員さんが、この申請がうまくいくようにね、いろいろと親切な対応をしたと。こういうふうにしてあげたほうが上司助かるんじゃないかと、勝手に思ってみんな人は動くものじゃないですか。」

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 ここで、松井知事がいう「上司」とは誰のことなのか、自分もその中に入っていないのか、「親切な対応」とは何を指すのか、国が何度も足を運んで、そこでどのような議論が交わされたのか、国が何度も足を運ばなかったら府は認可をしなかったのか・・・国会が松井府知事を証人として喚問した時、下地氏は率先して、こうした論点を松井氏に質すべきだ。

通常の参考人招致では真相の究明は覚束ない
 昨日の今日、迫田英典氏(当時の理財局長)と武内良樹氏(当時の近畿財務局長)の国会招致が行われた。しかし、それは通常の参考人招致で、予算審議の過程で必要に応じて委員が参考人に質問を投げるという形式だった。
 実際の質疑をテレビ中継で見ると、2人は版で押したように、「当時、私どもはそのような協議は全く行っていない」、「政治家から何かを頼まれたことは全くない」の繰り返しで、実のある質疑はゼロに近かった。

 安易に「証人喚問」と言うのは控えるべきだが、「不正や刑事罰に関わることはしていないのに証人喚問に出ろというのはおかしな話だ」(安倍首相。24日の参議院予算委員会で)と言うのは身勝手も度が過ぎる。
 では、昨日の籠池氏の証人喚問は、同氏が不正や刑事罰に関わることをしたという確証が得られたから実施したのかというとそうではない。証人質疑の中で、籠池氏は幾度か、「その件は刑事罰で訴追される可能性があるので答弁を控える」と答えた。つまり、籠池氏が刑事罰の対象者かどうかは未定だ。広く「不正」というなら、当時の幾人かの政府・大阪府の職員にもその疑いが指摘されている。
 また、昨日の証人喚問で籠池氏は「刑事罰で訴追される可能性がある」として証言を拒んだが、その他の部分では多岐にわたる質疑が交わされ、いくつかの新しい事実も提出された。違法性が明らかでない人は証人として呼べないという理由は成り立たない証明になっている。

 私は籠池氏が押しすすめた時代錯誤の「教育勅語」すり込み教育を強く批判する立場である。しかし、私人たる籠池氏は「首相を侮辱した」として「証人喚問」を行う一方で、同氏の証言の信憑性を究明するために必要な相手方の昭恵夫人となると「証人喚問」を拒むのは全く道理から外れた、党略と数の力による議会の私物化である。これでは、「法の下の平等」さえ果たせず、「法治国家」の恥である。
 まして、籠池氏が本丸とは言えない国有地の格安売却に至る経緯の解明には、当時、この問題に関わった中央・近畿の関係省庁、大阪府知事・教育庁関係者の「証人喚問」が不可欠である。


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「3.8mまで掘ったことは絶対ない」 業者、TBSでも断言

2017年3月22日

【速報】明日、NHKは次のとおり、籠池理事長の証人喚問の中継をします。
 今日の午後2時25分にNHKふれあいセンターに問い合わせたところ、次のような返答でした。

  955分~1154分  参議院での証人喚問の中継

 1430分~終了未定  衆議院での証人喚問

なお、録画予約のため、テレビの画面上で明日の番組表を確かめると、

   955分~1154

 1430分~1705
証人喚問の中継となっています。

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掘ったのは1~2mで約2億円;業者改めて証言
 一つ前の記事で森友学園に小学校予定地のごみ撤去作業を請け負った業者が昨日(321日)午後のフジテレビ「直撃LIVE グッディ!」に実名で登場し、「3.8mまで掘っていないというのは私のコメント」、「そんな〔地下3.8mまで掘るという〕話、どこにあったんでしょうか」と語ったと伝えた。

 同じ業者は昨日のTBS「Nスタ ニューズアイ」にも登場し、取材担当者に向かって、

 Q.土地の地下3.8mまで掘った?
   絶対ない それはない。(掘ったのは)12mじゃない
   ですか。 (3.8mは)うちは聞いておりません


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と明言するとともに、ごみの撤去にかかった費用は約2億円と証言した。

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 繰り返しになるが、大阪航空局と理財局は森友学園に鑑定価格95600万円の国有地をごみ撤去費用に要する費用+瑕疵担保免除の対価合計、約8億円を差し引いた13400万円で売却したと国会で答弁してきた。
 その際、ごみ撤去に要する費用は算定実績がない大阪航空局が算定した。具体的には、

この215日に開かれた衆議院財政金融委員会で、宮本岳志議員(日本共産党)が、地下埋蔵物の撤去の対象面積はどれだけか、埋蔵物を撤去する深さは、基礎くいが打たれる箇所とそれ以外でそれぞれ何メートルになっているか、と質問したのに対し、国土交通省航空局次長の平垣内久隆氏は、対象面積は約519平米、基礎のくいが打たれる箇所の深さは9.9メートル、基礎くい以外のその他の箇所の深さは3.8mメートルと設定したと答弁した。
 
実際にごみ撤去工事を請け負った業者の上のような証言は、こうした政府答弁を完全に覆すものである。
 また、瑕疵担保責任の
免除の対価が含まれると言っても、いったいどの程度の瑕疵をどのような根拠で見積もったのか、政府は「つかみ」の金額でしか説明してこなかった。上記のような業者の証言を聞くと、瑕疵担保の免責として鑑定価格の83%も値引くというなら、「地中のごみ」はもとより、他にどのような瑕疵を想定したのか、根拠の説明があってしかるべきだ。

撤去費用の見積もりが3ヶ月で10倍に膨らんだ怪
 地中埋蔵物の撤去費用等を約8億円と評価した点には、別の疑問も浮上している。それは大阪航空局が2016330日に、地下3mまでの埋設物の撤去費用8632億円および土壌汚染の除去に要する費用4543万円、計13176万円を昨年46日に同額を森友学園に支払っている。
 これについて、前記宮本議員は、昨年620日の土地売買の約3か月前に、地下3mまでの埋蔵物の撤去費用が約8600万円だったのが、(基礎くいが打たれる場所以外で)、わずか80cm深く(3ⅿ→3.8m)掘るためだけに、81900万円もかかるのはなぜかと質している。
 これに対して、平垣内航空局次長は、2つの時点の工事は内容が異なるため、一概に比較できないと曖昧な答弁で終わっている。  
 これでは、初めに売却価格1億円が決まっていて、8億円の埋蔵物撤去費用は、この金額を誘導するための、後付けの控除額だったと考えざるを得ない。
 こうした異例づくめの価格算定は担当の役職員の判断でできるものではなく、大きな政治的判断が介在した可能性が強い。
 この点を究明するには中央の関係省庁――財務省理財局、国交省航空局――の当時の担当責任者である迫田英典氏らの証人喚問が欠かせない。

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8億円値引きの根拠を覆す工事業者の重大証言

2017321日

工事業者「3.8mまで掘ったことはない」 

 今朝(321日)の『毎日新聞』の社会面に、「森友 ごみ撤去限定的~土地減額根拠『3.8m掘削せず』工事業者証言」という見出しの記事が掲載された。

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 国が森友学園に小学校予定地として国有地を売却するさい、地中3.8mまで大量のごみがあるとし、さらに9.9mのくい打ちで出るごみも含めてゴミの総量を19500トンと見積もった。それを前提にして、ごみの撤去費用、国が負う将来の瑕疵担保責任を免除させる対価として約8億円を値引きして売り渡し価格を13400万円にした、と政府は説明してきた。
 しかし、上の記事によるとごみ撤去工事を請け負った複数の業者は、校舎の部分は1.5mほどしか掘っていない、グランドなど建物以外の部分は何も掘っていないと証言している。

3.8mまで掘る? そんな話どこにあったのか?」
 ~工事業者、実名で証言~

 さらに今日の午後のフジテレビ「直撃LIVE グッディ!」は上の『毎日新聞』の記事を取り上げた。番組ではごみ撤去工事を請け負った藤原工業の社長が登場し、地下3.8mまで掘っていないというのは「私のコメントです」、「そんな〔地下3.8mまで掘るという〕話、どこにあったんでしょうか」と語っている。

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工事業者の参考人招致も不可決


 こうした工事業者の証言が事実なら、佐川理財局長、佐藤航空局長らのこれまでの国会答弁が根本から崩れ、森友学園への国有地の格安売却の説明がドミノ的に破綻することになる。
 とすれば、藤原工業の社長をまずは参考人として国会に招致し、報道されたような証言の真相を国会で確かめることが不可欠である。その際、参考人招致は藤原氏と佐川理財局長、佐藤航空局長の三者の同時出席を求め、クロスで質疑を行う方法が望ましい。


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籠池氏に限らず、迫田英典氏、安倍昭恵氏も証人喚問を

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籠池発言を逆手に取った幕引きを許さないために
 籠池・森友学園理事長の「安倍首相から100万円の寄付を受けた」という発言は爆弾発言には違い。これまで籠池氏の参考人招致さえ、「何をしゃべるかわからないから」と拒んでいた自民党が一転、証人喚問に踏み切ったのは、それだけ追いつめられた証しといえる。
 しかし、自民党としては、単に切羽つまって、というだけでなく、森友学園問題を100万円授受の認否に限局し、籠池発言を逆手にとって、「喚問したけれど、決め手になるような事実は出なかった」として一気に問題全体の幕引きを強行する狙いがあると思える。

 そのような幕引きに向けて、安倍首相周辺・自民党は、100万円寄付を安倍夫妻が「全面否定」し、寄付の物的証拠(領収書、寄付者名簿への記載)がないことを盾に、事実否認を押し通す構えである。
 23日の証人喚問の時に籠池氏がどのような「物的資料」を出すのか注目される。籠池氏の証人喚問は籠池氏・安倍氏双方にリスクが伴うと論評されているが、安倍氏・自民党国対の強気の裏側にあるリスクを法律専門家の立場で分析した郷原信郎氏の次の記事が大変、参考になる。

「籠池氏証人喚問は、自民党にとって『危険な賭け』」
(郷原信郎 20170317 13:04
 
http://blogos.com/article/214494/ 

 郷原氏が言うように、安倍首相・自民党側は、偽証をすれば刑事罰を科される証人という立場に籠池氏を追い込み、安倍夫人を通じて安倍首相から100万円の寄付を受けたとの証言を撤回させるか、それでも証言を維持するのであれば、偽証罪で告発して籠池氏の証言が嘘であることを司法の場で明らかにしようという意図があると考えられる(おそらくは前段の威圧・牽制が狙いと思われる)。
 しかし、籠池氏がかりに物的証拠なしでも、偽証の制裁を覚悟の上で、昭恵夫人から100万円受け取ったとの発言を維持し、自民党側がそれを虚偽だとする明確な反証を示すことができなかったとしたら、証人という立場で行う籠池氏の発言(証言)が重みをもつことになり、安倍首相・自民党は逆に窮地に追い込まれる。

問題を「100万円の寄付の認否」に収斂させてはならない
 しかし、森友学園問題のなかで、安倍氏の「100万円寄付の認否」に焦点を収斂させてはならない。究明すべき問題の核心は次の点である。
 
安倍首相-財務省理財局・航空局-大阪府(知事、教育庁)ルートの異例づくめの土地売却、学校認可、記録廃棄の真相解明
 
安倍夫妻、稲田防衛相、鴻池議員などの国会議員が違憲の「教育勅語」すり込み教育に協賛し、入学生募集などで広告塔になってきた責任の究明

安倍・迫田会談の真相解明
 201593日から5日にかけての安倍首相の動静を究明する必要がある。

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 93 安倍首相、迫田英典理財局長(当時)と会談
 94 10001200、近畿財務局、大阪航空局、森友学園小学校建設施工業者が「森友学園小学校新築工事に伴う土壌改良工事」の件で打ち合わせ(於:近畿財務局9F会議室)
 この日の「打ち合わせ記録」によると、近畿財務局は業者に対し、「借り主との紛争を避けたいので〔大量の生活ゴミを〕場内処分の方向で協力お願いします」と働きかけたと記されている(佐川理財局長は国会答弁でそのような指示を否定)。
 また、この日、国交相から森友学園に対し、最大で6,194万円の補助金支給が決定されている。
 なお、この日、安倍首相は安保関連法案が大詰めを迎えた国会を欠席して大阪入りし、大阪読売テレビの番組収録と「情報ライブ ミヤネ屋」に生出演している。
 95 昭恵夫人、塚本幼稚園で講演。この時、同幼稚園の名誉校長に就任。籠池理事長はこの時、昭恵夫人を通じて安倍首相から100万円の寄付を受けたと発言している。

 特に、93日、安倍首相が、財務大臣なり財務省事務次官なりをさておいて、理財局長と会談したのは異例のことだ。当時、首相が局長に直に会って聞かなければならないような理財局絡みの重要案件があったのか? この日の会談内容と翌日の近畿財務局の動きとは無関係なのか? 面談記録を添えて、その時の会談内容を明らかにする必要がある。

近畿理財局・大阪航空局・大阪府教育庁間の協議内容の解明
 森友学園の小学校新設に向けた経緯は次のとおりである。

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 地元大阪府で、森友学園の小学校用地の確保と小学校認可の関連をめぐって近畿理財局・大阪航空局・大阪府(教育庁)の間で、どのような交渉があったのか、そこに中央行政庁や政治家から何らかの指示、口利きがなかったのか、を解明することが不可欠である。
 この間の状況について松井大阪府知事は次のように語っている(2013316日、TBSニュース23
 *「国の売り渡し審議会にかけるために府として〔認可の〕見込みを発表してくれと言われたから、あえて国からそういう
形で府の私学課に何度も足を運んで・・・・」
 *「本当に国が〔土地を〕売るなら私学として〔認可は〕ありえると返事した。」

 また、同じ316日に放送された『報道ステーション』は松井知事が次のように語ったと伝えた。

 *「安倍総理が総理大臣ですから、その奥さんが名誉校長をされている学校に対して、その申請に対してはね、受ける側の職員さんが、この申請がうまくいくようにね、いろいろと親切な対応をしたと。
 こういうふうにしてあげたほうが上司助かるんじゃないかと、勝手に思ってみんな人は動くもの
じゃないですか。」

 松井知事の発言が実状だったとすれば、安倍昭恵氏は安倍首相の分身として「教育勅語」を刷り込む時代錯誤の「愛国教育」に協賛し、広告塔の役割を担ってきたことは明らかで、その責任は計り知れない。
 近畿財務局、大阪府教育庁が、ずさんな財務状況、虚偽の書類で認可申請をした森友学園に、私学審議会でも疑問が続出した中で異例づくめの便宜を図った背景にはどのような「力」が働いたのか、徹底した交渉経過の解明が欠かせない。

違憲の「教育勅語」暗唱教育に協賛した安倍夫妻の責任は重大
 この点は、これまでの記事でも触れてきたが、313日、安倍首相は参議院予算委員会で小川敏夫氏から、「森友学園に行って講演をする約束をしたことはないか」と問われたのに対し、「日程があえば行きたいと申し上げた」と答弁した。

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 それと国有地の売却問題は無関係と安倍首相は付け加えた。しかし、この答弁は安倍首相が教育基本法違反の「教育勅語」を暗唱させる森友学園の教育方針を後押しする意思があったことを物語るのに十分な証拠である。
 また、現職の総理大臣として安倍氏自身が講演を引き受けるのを見合わせた代わりに昭恵夫人が安倍首相の分身として講演を引き受け、名誉校長に就くことによって生徒募集などの面で森友学園の広告塔としての役割を果たしたことは動かせない事実である。

 しかも、昭恵夫人が講演の中で、「せっかくここ〔塚本幼稚園〕で芯ができたものが(公立)の学校に入った途端に揺らいでしまう」と語り、公立学校教育の存在意義を否定するかのような発言をしたことは重大な問題である。

昭恵夫人、迫田元理財局長の証人喚問が欠かせない
 「違法性がない」、「私人だから」、「面白いから呼ぶのは国会ではない」などと言って自民党は籠池氏を参考人として招致することさえ拒んできた。ところが、籠池氏が、昭恵夫人を通じて安倍首相から100万円の寄付を受けたと発言したのを「首相に対する侮辱」(竹下国対委員長)とみなし、一転、自ら証人喚問を提案した。「侮辱」かどうかはこれから国会が解明することであって、竹下氏が断定できる話ではない。そもそも首相への「侮辱」を晴らす場として証人喚問を利用しようとするのは国会の私物化である。まして、100万円の真偽は森友学園問題の一部に過ぎない。

 それにしても、100万円の寄付の真偽を究明するには籠池理事長の発言の真偽を明らかにする必要があり、そのためには籠池氏が、安倍首相からの寄付を同氏に手渡したとされる時の状況を確認するため、もう一方の当事者である昭恵氏に対する調査が欠かせない。
 また、昭恵氏には、塚本幼稚園で名誉校長に就任した経緯、「教育勅語」を刷り込む森友学園の教育に協賛し、公立学校の教育を否定する発言をした理由と責任を確かめる必要がある。

 さらに、迫田氏には、当時の近畿財務局、大阪府、同教育庁とのやりとりも含め、国有地が破格の金額で森友学園に売却された経緯を質すことが不可欠である。
 また、松井大阪府知事には、近畿財務局や大阪航空局からどのような働きかけ、示唆があったのか、松井氏なり大阪府教育庁、私学課は昭恵夫人が名誉校長に就任していることをどのように忖度したのか、そうした働きかけなり、忖度なりが森友学園の小学校認可にどう影響したのかを徹底的に質す必要がある。

 以上のような疑惑を解明するには、私人としての籠池氏を証人として喚問することとの衡平上、また、疑惑解明のカギを握る人物という意味から、公人たる昭恵夫人、迫田氏、松井氏を証人として国会に喚問するのが当然である


 

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「ふるさとを捨てるのは簡単」(今村復興大臣)に唖然

2017312
 
避難者の窮状を逆なでする発言

 今日のNHKの正午のニュースを視ていたら、午前中に行われたNHKの日曜討論の録画が字幕入りで放送された。

帰還困難区域 復興相“帰還しやすい環境整備を急ぐ”
312 1156分)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170312/k10010908151000.html?utm_int=all_side_ranking-social_004&nnw_opt=ranking-social_a
 

 すると、今村復興大臣はこんな発言をした。(上の録画開始から13秒後以降)

 「ふるさとを捨てるのは簡単だが、戻ってとにかく頑張っていくんだという気持ちをしっかり持ってもらいたい。」

 住民が帰還しやすい環境の整備を急ぐ考えを述べる中での発言であるとはいえ、「ふるさとを捨てるのは簡単だが」は何事か! ふるさとを離れ、避難生活をしている人たちは好んでふるさとを捨てたとでも思っているのか?

 そもそも大震災・福島原発事故から6年経った今になって、国が避難指示を解除したからと言って住民が帰還するというものではない。このあたりの事情はNHKの次の記事からもある程度まで窺える。

WEB特集 一部解除 避難区域の将来は?」(310 1623分)
http://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2017_0310.html?utm_int=detail_contents_tokushu_001
 
 
 たとえば、福島県では331日に浪江町と飯舘村、川俣町山木屋地区で、4月1日に富岡町で、それぞれ帰還困難区域を除く地域の避難指示が一斉に解除されるが、復興庁が住民に対して行った帰還に関する調査では、戻りたいと答えた人の割合は、最高の川俣町でも40%、富岡町で16%、浪江町で17.5%、飯舘村で30%にとどまっている。

 特定の点なり面なりの放射線量が一定水準以下に下がったと言っても、原発の安全性や放射線への将来不安が消えるわけではないし、住宅の確保、日常の行政サービスや、商業施設、医療、介護などのインフラ整備が進まない状況で国策として帰還を「勧める」のは文化的な最低限の生活を無視した棄民政策と言っても過言ではない。

国策に従うかどうかで補償を線引きする棄民政治

 こうした中、福島県楢葉町では町長が「町に戻らない職員は昇級させない」と発言したことが町議会で問題にされた。

<避難解除>帰町しない職員 昇格させない」
(『河北新報』3/7() 11:19配信)
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170307-00000009-khks-pol

 緊急時へ備えとして職員の多くが町外に居住する状況を解消しようとする意図は分からなくはないが、職員の居住地を昇給と絡めるのはやはり問題である。
 しかし、それ以上に問題なのは、そこまでしなければ公務員さえも臨機応変に配置できないほど行政サービスが未整備の状況で放射線量の水準だけを目安に、補償金支給の打ち切りを絡めて帰還を促す国策である。

 こうした背景の中で復興担当大臣が「ふるさとを捨てるのは簡単だが」と発言し、「帰還できるよう頑張れ」と説教するのは、国策に従うかどうかで補償の線引きをする棄民政治と表裏の関係にある。政治的意味では務台政務官の「長靴業界儲かった」発言よりも悪質である。

     かさ上げ工事が続く女川町駅前(2016年5月)
20166

 

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北朝鮮関連は手厚く、森友学園関連は足早に伝えるNHK

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NHKと民放の違い、くっきり

  森友学園問題をめぐって参議院予算委員会で集中審議が行われた36日の夜の報道番組で、この件がどう伝えられたかについて、NHKニュース7、同ニュース・ウオッチ9、報道ステーション、TBSニュース234つを比較したシートを作った。

201736日夜の報道番組 比較検証シート

http://sdaigo.cocolog-nifty.com/20170306newswatch.pdf 

 北朝鮮が日本海にミサイルを発射した出来事が重なったこともあって、NHKと民放番組の違いがくっきり表れた形になった。(以下、敬称略)

 *時間配分
   ①北朝鮮関連報道(大使出国、ミサイル発射)に宛てた時間の
    割合
    NHKニュース7          47.1  1408秒/30分  
     NHKニュース9      33.7  2015秒/60
     報道ステーション    12.6    938秒/76
         ニュース23TBS)   12.4%  1030秒/85

  ②森友学園関連に宛てた時間の割合
          NHKニュース7      11.4   325秒/30
     NHKニュース9       8.2   456秒/60
    報道ステーション     22.0%  1642秒/76
    ニュース23TBS)    12.2%  1020秒/85

*報道内容~民放が伝え、NHKが伝えなかったこと~
  ①国会質疑
 NHKニュース7 
     蓮舫の質問(20秒)と安倍首相の答弁(57秒)
    NHKニュース9      
     西田昌司(自民)、蓮舫の質問と安倍首相の答弁
    報道ステーション  
      福山哲郎(民進)、蓮舫、西田、辰巳孝太郎(共産)の質問と
     安倍首相の答弁
 ニュース23TBS 
     福山、森裕子(自由) の質問と安倍の答弁
  ②木造校舎への補助金申請における森友学園の建築費虚偽
    報告
    (NHKは翌日の昼、夜のニュースで後追い報道)
  ③昭恵夫人が森友学園で行った講演の映像
   (すでに民放は何度も放送。HKはこの日も昭恵夫人が講演
    を行ったことを取りあげながら、映像は流さなかった。)
  ④建築地で発見されたゴミを埋め戻すよう近畿理財局が森友
    学園に要請したことを記したメモがあったこと(ニュース23
       報道)

*報道内容~NHKが伝え、民放が伝えなかったこと~

  会計検査院に調査を要請することが全会一致で決まったこと

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政府、安倍夫妻に不都合な事実を伝えないNHK

 森友学園問題について、参考人招致も含めた国会での真相究明を拒み、調査権限に限界があることが分かり切った会計検査院に調査を投げようとするのが今の政府の姿勢である。NHKの報道はそうした政府の意向に焦点を仕向ける空気醸成といってよい。

 また、昭恵夫人が森友学園でどのような講演をしたか、森友学園に対する安倍首相の思いをどう語ったか、夫人の前で園児たちはどんな唱和をしたか、それを目の当たりにして昭恵夫人はどのような感想を持ったか、講演の後、自身のツイッターにどのような書き込みをしたか
―――こうした事実を伝えるなら、安倍夫妻は森友学園に「利用された」のではなく、すすんで協賛した実態が理解できるはずである。

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  安倍夫妻に不都合な事実を「伝えないNHK」は自立した公共放送とはいえない。それは会長がどうのではなく、番組制作スタッフ11人の「意思」の問題である。


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少し投げやりな本音の独り言

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 森友学園問題は、もうしばらくは、新しい映像が出回ったり、政治家の関与が小出しに明るみに出てきたりしそうだ。しかし、国会審議を模様眺めしているだけでは、政府・与党は会計検査院に丸投げし、「違法とまでは言えない」という報告を引き出して、安倍氏の逃げ切りで終わりそうな予感がする。
 メディアも、そのうち、「野党はタマ切れ」「手詰まり感」といった常套句の評論で「落としどころ」を嗅ぎ分ける紙面づくりに向かいかねない。

 しかし、私は、ありていに言えば、森友学園問題は国有財産の売値の話ではなく、時の首相夫妻が、児童の人権と尊厳を蹂躙する洗脳教育の広告塔になり、それに加担した問題にケジメを付けられるのかという問題だと思う。そのような見方をする論者は少なくない。
 しかし、国会審議を見ていると、正面から森友学園の「教育」や「しつけ」の実態を究明し、それに時の首相夫妻が協賛してきた事実を質す場面はほとんどない。

 立憲主義の基礎には個人の尊厳を尊ぶ理念があると言われる。それなら、園児に、意味さえわからない「安保法制 国会通過 よかったです」と唱和させ、「教育勅語」を音読させる「教育」を痛々しく思わないのか? 
 時の首相夫人が、そういう「教育」を理念とする幼稚園の名誉会長に2年間も在任し、「安倍首相ありがとうございます」と唱和する園児の姿を見て感激していてよいのか?
 不本意に引き受けた名誉校長だというなら、なぜ、すぐに辞めなかったのか? 「辞令を交付していないから公人ではない」と言ってのける官房長官の倫理観、道義感の欠落は世界の笑いものである。

 時の首相夫妻が広告塔になった時代錯誤の人権蹂躙教育。そんな政権を延命させるとなれば、事は日本の議会の理性にとどまらず、民意の質が問われることになる。

 一部では森友学園問題で3万人集会を、といった呼びかけが始まっているようだ。それ自体、自然な成り行きだ。ただ、私は常連の市民団体がおぜん立てをし、「いつものメンバー」が集まって意気投合して終わる集会には期待しない。それでは国会での幕引きを許さない、裾野が広がった運動になりそうにないからだ。
 そうではなく、三々五々、あちこちから、声をかけあい、知らせ合って、1万人、3万人、10万人と膨らんでいく・・・そんな先の見えない運動こそ、政治家を震撼させるのではないか?

 ラップ調のテンポのよいコールに合わせた唱和もよい。しかし、何のゼスチャーもなく、毅然とローソクを掲げて続々広場に集結した韓国の大学生、市民の大統領弾劾行動に私は魅かれる。氷点下のソウルで夜を徹して「少女像」を守ろうと座り込んだ大学生の姿に心を打たれる。

 「主なし」の11人が理性の心棒を持って集結する行動こそ、同調圧力に屈しない本物の市民運動ではないか?
 今の日本の政治状況、市民運動の状況を見ていると、韓国の市民運動がまぶしい。北朝鮮を笑えない。


  人がまた等しき人の足になる 日本の名物 人力車かな

  派は知らず 流儀は無ければ我が歌は 圧しつけられし
  胸の焔よ 

                    (金子文子)


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洗脳教育に協賛した安倍夫妻の責任は重大

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鴻池議員の潔白証明会見は「語るに落ちる」
 森友学園をめぐって次々と動画入りの情報が伝えられている。国会でも森友学園への国有地の格安売却をめぐって、議員とその事務所が「口利き」をしていた一端が明らかにされた。
 31日の参議院予算委員会で小池晃氏が国会事務所の「関与」を裏付ける陳情報告書が取り上げられた直後に、鴻池祥肇議員が急きょ、記者を集め、会見を行った。
 面会した籠池夫人から差し出された封筒を「無礼者」と一喝して突き返した、と身振り、手振りで語った。それ以降、籠池夫妻を「出入り禁止」にしたとも語ったが、同議員事務所が作成した「陳情報告書」によると、それ以降も、同議員事務所が財務省に籠池氏側の依頼を取り次いだり、財務省とやりとりしたりしている事実が明らかになった。「語るに落ちる」である。

安倍夫人が名誉会長を務める「鈴蘭会」の教材を使用
 森友学園問題で、もう一つ見過ごせないのは同学園の幼稚園で行われてきた「教育勅語」、中・韓ヘイト教育に対する安倍昭恵夫人の関与である。
 それを裏付ける数々の情報が伝えられているが、まだ、あまり知られていない報道(動画)を1つ、取り上げておきたい。TV東京のゆうがたサテライトが伝えた情報である。

 

「森友学園幼稚園 昭恵夫人が立ち上げた『鈴蘭会』から購入した教材を使用」
32日、TV東京、ゆうがたサテライト:動画付ニュース)
 
http://www.tv-tokyo.co.jp/you/#tab-date

 

 この幼稚園が「鈴蘭会」から購入した教材とは、古典の「大学」で、園児に素読させているという。安倍夫人は20159月に森友学園で講演をした時、夫人の前で園児たちは、教育勅語のほかに、『大学』も暗唱している。

安倍首相の筆頭秘書が役員に
 このニュースの中で見過ごせないのは、安倍首相の筆頭秘書が「鈴蘭会」の役員として名前を連ねていることである。安倍夫人の関与だけでなく、安倍首相本人の関与も裏付ける証拠である。

(注)「鈴蘭会」のHPにアクセスすると、安倍昭恵夫人は今も名誉会長と記されている。他方、名誉会長、会長以外の役員は「その他」となっていて安倍首相の筆頭秘書が役員に就いていることを確認できない。この点を「TV東京」に問い合わせると、取材に基づく報道、との返答があった。)


洗脳教育への協賛責任は免れない
 安倍首相は、安倍夫人が森友学園の幼稚園の園長になったのは、講演に出かけた時、控室で何度も就任を依頼され、断り切れなかった、などと国会で答弁したが、とうてい通用しない。
 安倍夫人は、塚本幼稚園で戦前さながらの「洗脳愛国教育」、「中・韓ヘイト教育」が行われていることを十分承知の上で、「安倍首相夫人」という肩書を最大限、活用して、園児の募集、園の教育広報に「協賛」したことは動かせない事実である。
 この意味で、「公人」(5人の国家公務員が配置されている)としての安倍夫人の「洗脳教育協賛責任」、それを夫人から伝え聞きながら放任し、自らの筆頭秘書も同学園で使われる教材納入に関わった、安倍首相自身の連帯責任も免れない。

 国有地の格安売却、それに政治家が関与した事実の有無は国会で解明されなければならない。併せて、園児の人間としての尊厳、人権(人格無視の「しつけ」も含め)を蹂躙する洗脳教育に加担した安倍夫妻の責任を追及することも不可決である。

NHK
の報道に要注意
 NHKは民放や新聞方法を後追いする形で、国有地の格安売却の問題を報道してはいる。しかし、格安売却の真相の究明に会計検査院が着手した点を押し出し報道するNHKの姿勢は、安倍首相、漆原良夫・公明党中央幹事長が「真相は会計検査院の手で」と繰り返すのと符節を合わせている。この点に注意が必要である。(会計検院の検査の限界については別稿で書きたい。)
 と同時に、NHKが今もなお、森友学園の教育への安倍夫人の関与を全く伝えていないことを厳しく質していく必要がある。


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安倍首相は森友学園幼稚園の思想刷り込み教育を本当に知らなかったのか?

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 「安倍首相、日本を守ってください!」

 とうとう、こんな録画が出てきた。園の行事のDVDを保護者に買わせていたのが次々と流出しているようである。

 

「昭恵夫人が涙 新映像入手」03/01 20:40 FNN

http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00351247.html

 
 「20144月、森友学園が運営する幼稚園で、園児たちが、『日本国、日本国のために活躍されている安倍晋三内閣総理大臣を、一生懸命支えていらっしゃる昭恵夫人、本当にありがとうございます。ぼくたち、わたしたちも頑張りますので、昭恵夫人も頑張ってください』と話すと、安倍昭恵夫人は『感動しちゃいました』と話していた。

  子どもたちの言葉に、涙を見せる女性、安倍首相の妻・昭恵夫人。FNNは、20144月、昭恵夫人が、渦中の森友学園が運営する幼稚園を訪問した時の映像を入手した。その隣には、森友学園の籠池泰典理事長の姿もある。
 籠池理事長 『中国から、なに? 言って』
 園児 『中国から鉄砲とかくるけど、ぜったい日本を守ろう』
 籠池理事長 『安倍総理大臣を応援してあげてくださいよ! 』
 園児 『はい!
 昭恵夫人 『ありがとう。おうちに帰って安倍総理大臣に伝えます。みんなを守りますように、みんながそう言っていたことを伝えます』
 籠池理事長 『うれしいですか?』
 園児 『はい! 』
 
 籠池理事長の話は、さらに。

 籠池理事長 『「日本を守ってください、お願いします」と、昭恵夫人にきちんと伝えてください』
 園児 『日本を守ってくださいね』
 昭恵夫人 『ちゃんと伝えます。ありがとう』

 昭恵夫人は、満面の笑みを見せた。そして、子どもたちと集合写真を撮っていた。」

これでも「利用された」なのか?

「思想の刷り込み」を「しつけ」と捻じ曲げる安倍首相

 安倍首相は2月17日の衆院予算委員会で、「妻から(籠池)先生の教育に対する熱意は素晴らしいと聞いている」と答弁したが、228日の参院予算委員会では、森友学園内の幼稚園について、「しつけ等をしっかりしているところに共鳴した」と発言をずらした。

 しかし、昭恵夫人が、「ちゃんと〔主人に〕伝えます。ありがとう」という園児への約束どおり、家庭に戻って、夫・晋三氏にこの日の出来事、園児が唱和した「日本を守っている安倍首相」への感謝の気持ち、あるいは、「中国から鉄砲とかくるけど、ぜったい日本を守ろう」
と園児に唱和を促した籠池理事長の「教育」ぶりを伝えたのなら、知っていたのは「しつけ」のことだけかのように安倍首相が答えたのは事実の歪曲である。

 「中国から鉄砲とかくるけど、ぜったい日本を守ろう」、「日本国、日本国のために活躍されている安倍晋三内閣総理大臣』などと児童に唱和させるのが社会一般で言う「しつけ」に当たらないことは明白で、教育基本法が禁じた、偏向した「政治教育」であり、児童の精神的発達段階を顧みない「思想の刷り込み教育」である。

 運動会の選手宣誓で、「尖閣列島 竹島 北方領土を守り」、「安保法制 国会通過 よかったです」などと意味も理解できない言葉を園児に唱和させるに至っては、「思想洗脳」教育であり、「日本を悪者として扱っている中国、韓国が心を改め」などと唱和させるのは、特定の民族を侮蔑するヘイト刷り込み教育である。

 安倍夫妻がこうした運動会の様子までは知らなかったとしても、安倍夫人が自分の目の前で、理事長が園児たちを促して唱和させた言葉は「しつけ」ではない。安倍首相が上記のような唱和を昭恵夫人から伝え聞きながら、「知っていたのは『しつけのこと』と答弁したのであれば、虚偽答弁にあたる。 


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森友学園への格安売却は仕組まれたシナリオだったのでは?

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 昨日の参議院予算委員会でも森友学園をめぐって活発な質疑が交わされた。私もNHKのテレビ中継で見た。質問に立った野党議員からはいくつか具体的な新事実に基づく質問があった。国有地売却の面で私が特に重要と思った点をとりあげておく。

8億円かけたのか?

 一つはごみの撤去に8億円をかけたのか、である。森友学園理事長の籠池泰典氏は、マスコミのインタビューに対して、次のように語っている。

 *「実際に撤去に掛けたのは1億円くらい。」(ただし、後掲
   のTBSラジオインタビューでは、このように発言したこと
   を否定している。)
 *「運動場の下は取り出さなくていい。」
   
   2017年2月20日、TBSラジオ音声
   https://www.youtube.com/watch?v=7j_bhVpM614
   
42分50分以降
   「籠池 グランドは運動場ですから、土の下。ですから
    そのままでいいんです。」
  
   → だとしたら、撤去費用として国が見積もった約8億円の
       うち36,000万円分は宙に浮く。
 *「8億円など知らない。」

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このような当事者の発言を聞けば、「格安売却」と言われても無理はない。

8億円をかける必要があったのか?

 昨日(228日)の参議院予算委員会で次のようなやりとりがあった。

 小川敏夫議員:「じゃあ、この現場で生活ゴミがあったら杭は
        打てないのですか?」
 佐藤善信航空局長(国交省):「工事の施工には問題ございま
        せん。」

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 政府は昨日、舟山康江議員の質問に対し、地下から出たゴミの中に木片があったという理由で、産業廃棄物とみて撤去費用を算定したと答弁した。しかし、なにがしかの木片が混ざっていたというだけで、一般廃棄物ではなく、なぜ、それよりも割高な産業廃棄物となるのか?
 いずれにしても、工事に支障がないなら、なぜ、撤去費用として8億円の支払いを減免するのか、不可解である。

「8億円を調査する必要なし」の答弁は詭弁

 このように8億円の算定根拠、実際の使われ方について質されると麻生財務大臣、財務省理財局長は契約済みの売却について、その先を調査する必要はない、将来、売却物件に瑕疵が現われることも想定し、鑑定価格から8億円相当圧縮して、売却価格を決めた、と答弁し続けている。
 しかし、こうした答弁は2重、3重の理由で成り立たない。

 ①本件売却が、競争性が確保される一般競争入札ではなく、公共随意契約でなされたこと。であれば、なおさら、売却価格算定に当たっては、国有財産を最大限、有効処分する価格に近付ける善管注意義務があったと考えなければならず、この注意義務が果たされたかどうかの説明責任が国にある。それを説明するために必要な書類を、契約成立と同時に早々と廃棄処分したとなれば、なおさら、廃棄した書類を復元するような調査を、これだけ疑惑が生じた現時点で政府の手で行い、国会、国民に報告する責務がある。

 ②上記の鑑定は、第三者によるものではなく、過去に例がない、国の自己鑑定でなされたこと。であれば、売却価格から差し引かれた8億円が適正なものだったかどうかについて、鑑定をした国が検証する責任がある。

 ③そもそも、国の鑑定売却価格は当初、これまた異例の非公表とされた。それも買主である森友学園の要望で、とは驚きである。そして、地元豊中市議の情報公開請求でようやく公開された売却契約金額を見ると、近隣国有地の約10分の1だった。
 さらに言うと、森友学園が購入した国有地は、別の学校法人が森友学園よりも前に校舎用地として取得を希望し、路線価などを参考にして7億円で購入を求めたところ、財務局から「価格が低い」と指摘され、その学校法人は購入を断念したという経緯がある。(以上、『朝日新聞DIGITAL』2017年2月9日、05時03分)

「森友学園への格安売却」は仕組まれたシナリオだったのでは?

 このような一連の事実を確かめると、当該国有地は森友学園に破格の格安で売却するというシナリオができていたと考えるのは「合理的根拠に基づく推論」である。
 この推論が間違いというなら、その反証責任は、証拠をそろえることができる政府にある。当面は野党が参考人として招致を求めている籠池理事長らによって真相が語られる必要がある。

大手メディアにご用心

 自らも、夫婦そろって問題の渦中にある森友学園問題が国会で追及される中、228日の全国紙各紙の「首相動静」欄に、気になる記載があった。

 「75分東京・赤坂の中国料理店
〇〇。内閣記者加盟報道各
 社のキャップと懇談。955分東京・冨ケ谷の私邸。」

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      (『毎日新聞』2017年2月28日、朝刊)

 この件を伝えた別の記事によると、この懇談は安倍首相が急に呼びかけたとのこと。この先、大手メディアの報道に要注意



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