われはながく苦しまん、6月15日の警官として
2017年6月18日
戦後の日本の国会制度の基本とされた委員会中心主義(戦前は本会議中心主義)を蹂躙して「公明党への配慮」(実際は加計問題をめぐる安倍疑惑隠し)などというなれ合いの物言いで共謀罪法案が本会議で採決された6月15日。
その57年前の同じ日に、樺美智子さんが反安保デモで亡くなった。あれから57年後の6月15日、奇しくも、当時の首相の孫によって共謀罪法案が成立したのである。
57年前というと、私は地方の中学校に通う年頃だったが、大学生になって政治に「目覚めかけた」頃、樺事件のことを周りからよく聞いた。ほとんどは「警察の挑発に乗るな」といった「ご注意」だったが。
去年、筑波杏明『海と手錠』(1961年5月版)という歌集に出会い、樺さん自身というより、あの時、デモ隊と対峙した1人の機動隊員の心中に触れて、樺事件の意味も改めて考えさせられた。
さらに、目下、森友・加計問題で問われている「公務員論」を考える題材にもなり、ひいては、あるNHK・OBが「放送犯罪」とまで断罪する「政府御用放送局」に劣化した昨今のNHK内の役職員の良心を考える題材にもなっている。
筑波杏明:1960年安保条約改定当時、警視庁機動隊隊員。歌集『海と手錠』の刊行を機に退職
『海と手錠』の原本を手に入れたくて去年から、古書情報などいろいろ検索しているが未入手である。そこで、筑波さんも出席した誌上座談会「日本人の帰属意識―六十年安保をめぐって-」(『Q』第30号、2004年刊)を入手したので、そのなかで筑波さん自身が再録した上記歌集収録の短歌数首を紹介しておきたい。感想など野暮である。
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装甲車つらねてデモをはばむなか<殺ってしまへ>といふこゑがする
警棒に撲たざることをぎりぎりの良心としてわれは追ひゆく
思想なき警官として生きしこと夜ふけの窓にふと涙湧く
武装して守るに価せぬものと議事堂はたつ夜の霧の中
われは一人の死の意味にながく苦しまむ六月十五日の警官として
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