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「地中のごみ」=「瑕疵」→「値引き」という思考停止の議論の害悪(Ⅰ)

20171123

会計検査院報告と私たちの告発状の決定的違い

 昨日(20171122日)、私ほか3名は、森友学園への国有地馬売買契約で売主となった近畿財務局長(当時)美並義人氏背任罪(刑法第247条)で東京地方検察庁に刑事告発した。

 告発状全文
 
http://sdaigo.cocolog-nifty.com/minami_kokuhatuzyo.pdf 

 また、昨日、会計検査院は参議院予算委員会に対し、森友学園に対する国有地の売却等に関する会計検査結果の報告書を提出した。

 学校法人森友学園に対する国有地の売却等に関する会計検査の結果についての報告書(要旨)
 
http://www.jbaudit.go.jp/pr/kensa/result/29/pdf/291122_youshi_1.pdf

 学校法人森友学園に対する国有地の売却等に関する会計検査の結果についての報告書(全文)
 
http://www.jbaudit.go.jp/pr/kensa/result/29/pdf/291122_zenbun_1.pdf 

 私たち有志4名(いずれも「森友・加計問題の幕引きを許さない市民の会」のメンバー)の告発状と会計検査院の検査報告は、国有地の売買価格の算定にあたって「ごみ撤去費用」の名目で約8億円が値引きされた根拠を質した点では共通している。また、検討の結果、値引きの根拠に疑義を投げかけた点でも共通している。
 国会の要請を受けて検査した会計検査院が8億円の値引きの前提とされたごみの算定方法に疑義を投げ掛けた事実は重い意味を持つ。なぜなら、会計検査院が指摘したように、ごみの総量が3割~7割過大だったとしたら、国交省が用いた処分単価をそのまま当てはめるとしても、「ごみ撤去費用」は少なくとも3割、最大で7割過大となり、売買価格は3割~7割廉価だったということになるから、「鑑定価格からごみ撤去費用を差し引いた適正な時価で売却されたもので何も問題はない」と答弁してきた政府は窮地に立たされることになるからである。

 しかし、私たち有志4名の告発事実と会計検査院の指揮事項には決定的な違いがある。それは8億円の「ごみ撤去費用」の算定に疑義を投げかけた「疑義の根拠」の決定的な違いである。
 なぜなら、会計検査院は、国交省大阪航空局が用いた「ごみ撤去費用」の算定方法(ごみの総量を推計し、それに処分単価を掛け合わせるという方法)の妥当性には異議を挟まず、もっぱら、ごみ総量の推計の妥当性に焦点をあてた。
 ということは、処分単価を問わないとすると、「ごみ撤去費用」の少なくとも3割~7割は適正であり、その分だけ、売買価格を値引いたことは問題ないということになる。本当にそれでよいのか?

会計検査院の報告に倚りかかったのでは疑惑究明は頓挫する

 週明けの国会で野党は会計検査院が指摘した疑義を材料に政府を追究するとみられる。しかし、ごみ総量の推計方法をめぐって国交省と会計検査院の計算結果に開きが出たことを取り上げ、どちらが正しいのか?と質して、どういう質疑になるのか? 「会計検査院は独自の立場で計算をされたものであり、それについて政府として申し上げる立場にない。ただし、会計検査院は売買価格が不適正なものだったと指摘したわけではない。政府としてはこれまで答弁してきたとおり、適正な手続きを経た時価で売買されたものと承知している」という型通りの答弁を繰り返すと予想される。
 あるいは、野党は、会計検査院が、必要な書類が残されていなかったことから適正な処分単価を把握できなかった、と指摘した点を取り上げ、近畿財務局、財務省、国交省における行政文書の管理のずさんさを追究するものと思われる。それはそれで重要なことである。しかし、これに対して政府は「会計検査院の指摘を重く受け止め、現在、公文書管理法の見直しを含め、公文書管理のあり方について改善の検討を進めている」と答弁するものと思われる。このような政府の答弁に野党はどのような「次の一手」を持ち合わせているのか?

 野党の追及に期待したい気持ちはやまやまだが、これまでの経過を振り返ると、会計検査院の報告によりかかるだけでは、疑惑は疑惑のまま残り、野党の追及は決め手を欠く結果で終わるように思える。

工事の障害にならない「地下埋設物」は「瑕疵」ではない

 国会や野党の真相究明の意気込みをはぐらかして、政府の逃げ切りで終らせないためには何が必要か? それは疑義の向け所を根本から転換することである。私の考えではその端緒は、
    「地中のごみ」=「瑕疵」→値引きが必要
という議論の組み立て自体を一から問い直すことである


  一つ前の記事で、地下に土地の売買において埋設物が確認され、それが補償を必要とする瑕疵に当たるかどうかが争われた2つの判例を紹介した。
 
 「工事に支障のない地中埋蔵物は瑕疵ではない~森友問題で会計検査院へ2度目の意見送信~」
 
http://sdaigo.cocolog-nifty.com/blog/2017/11/post-48ad.html 

 一方の事案の判決は瑕疵と認め、もう一方は瑕疵と認めなかったが、それは判断基準が分かれたからではなく、それぞれの事例に問題になった「地下埋設物」の形状が違ったからである。どちらの判決も、「売買の目的物に『瑕疵』があるとは、目的物に欠陥があり、その価値を減じたり、その物の通常の用途もしくは契約上特定した用途に適しない場合、または売主が保証した性能を具備しない場合をいう」という大判昭8114民集1271頁)を踏襲した点では共通している。また、その後、同種の事件に対して示された判決でも、同じ判断基準が採用されている。
 つまり、売買される土地の地中に土以外の異物が存在するというだけで、土地に『瑕疵』があると言えるわけではないという点では判例は概ね一致している。そして土地に「瑕疵」があると言えるのは買主が買い受けた土地を予定した用途に充てるための建築をするにあたって工事の障害となるような質・量の異物が地中に存在する場合に限られると解釈する点でも判例は共通している。(中原洋一郎・廣田善夫「地下埋設物が存在する土地の売却における瑕疵担保責任と行うべき調査――福岡地裁小倉支部平成21714日判決・判例タイムズ1322188頁」『季刊不動産研究』201310月、61ページ)。

 1122日、東京地検に告発状を提出した後、司法記者クラブで開いた記者会見の場で、代理人の澤藤弁護士が本件国有地の埋設物は瑕疵に当たらない理由を分かりやすく簡潔に説明している。また、同じ記者会見で醍醐は上記2つの判例の要点を手短に説明した。これらを動画でご覧いただけると幸いである。

記者会見の模様(Uplan 投稿動画)
https://www.youtube.com/watch?v=MEuapgZVsTI
 澤藤弁護士の説明 6:1111:18
 醍醐の説明 11:302040

Pb228936_2
(次稿に続く)


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