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「改めて森下俊三氏の経営委員辞任と議事録の一般公開を要求する」~昨日、23の市民団体の連名で提出~

2020年7月7日 

情報公開審議委員会の答申にも応じないNHK経営委員会の異常
 NHK経営委員会は、2018年10月23日の会合で、かんぽ商品の不正販売を告発した「クローズアップ現代+」に逆切れした日本郵政からの不当な干渉を取り次いで、あとうことか、NHK会長に「厳重注意」をした。
 しかし、経営委員会は、これまで、不条理かつ前代未聞の決定がなぜ強行したのかを視聴者に説明するための「議事録」の公開を拒み続けている。
 たまりかねて、『毎日新聞』が情報公開制度を利用して、上記の会合の議事録の開示を請求したが、経営委員会は、これにも応じなかった。
 そこで、『毎日新聞』は、NHK情報公開・個人情報保護審議員会」(以下、「審議委員会」と略す)に不開示の再検討を求める申し立てをしたところ、審議委員会は、今年の5月22日に、申し立てを認め、NHK(経営委員会)に議事録、配布資料の全部を開示するよう、答申した。
 答申の全文は次のとおり。
 https://www.nhk.or.jp/koukai/condition/toshin/798.pdf

 経営委員会は、これまで、委員相互の自由な意見交換を可能にするよう、議事録を公表しないと申し合わせて議論をしたから、公表できないと突っぱねてきた。
 しかし、審議委員会は、上記の答申で、公共放送の監督機関としての視聴者・国民に対する説明責任から考えて、このような経営委員会の言い分は通用しないと一蹴した。
 ところが、答申が出てから、経営委員会は3回の会合を開いたが、いまなお、答申を受け入れるに至っていない。

「議事全容」で明白になった森下俊三氏の違法な番組干渉、問われる責任 
 そこで、「『毎日新聞』は独自の取材で得た資料をもとに、会長厳重注意をした経営委員会の「議事概要」を、発言者も明記して(ただし、経営委員長、同代行者いがはA~Gのイニシャルで表記)、6月29日の朝刊で詳しく伝えた。
 これを読むと、森下経営委員長(当時は委員長職務代行者)は、「今回の番組の取材は極めて稚拙で、取材をほとんどしていない」と番組編集と一体の取材をあからさまに攻撃すると同時に、「郵政側が納得していないのは取材内容だ。納得していないから、経営委に言ってくる。本質的なところはそこで・・・」と発言している。
 これは、森下氏が、「クロ現+」の取材に踏み込み、あからさまに攻撃する発言を、NHK会長も加わった正規の会合の場で、していたことを示す何よりの証拠であり、「放送法」第32条に違反するものであったことは、明らかである。

 また、他の経営委員の中にも、森下氏ほどあからさまでないにせよ、同じように「クロ現+」の取材、編集に干渉する発言をしていたことも判明する。そして、今日(7月7日)の会合で経営委員会は、再度、議事録公開問題を議論するとみられている。
 そこで、各地の23の視聴者・市民団体は、これに合わせて、森下俊三氏と経営委員会宛ての3項目の申し入れをまとめ、昨日(7月6日)、NHK元プロデューサーのMさんと私が渋谷のNHK放送センターに出向き、経営委員会事務局副部長と面会して、「改めて森下俊三氏の経営委員辞任と議事録の一般公開を要求する」と題した文書を提出した。
 その際、当方の要望を受けて、副部長は、この申し入れ文書を今日のうちに全経営委員に届けると語った。以下は、申し入れ文書の全文。

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                            2020年7月6日 
NHK経営委員会委員長 森下俊三 様
NHK経営委員会委員 各位

   改めて森下俊三氏の経営委員辞任と議事録の一般公開を要求する

   NHKとメディアを考える東海の会/NHK・メディアを考える京都の会/
   NHK問題大阪連絡会/NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ/NHK
   とメディアを語ろう・福島/NHKとメディアを考える会(兵庫)/表現の
   自由を市民の手に 全国ネットワーク/NHK問題を考える岡山の会/NH
   K問題を考える会・さいたま/時を見つめる会/NHKを考えるふくい市民
   の会/日本の政治を監視する上尾市民の会/マスコミを語る市民の会(宮
   城)/政府から独立したNHKをめざす広島の会/NHK問題とメディアを
   考える茨城の会/NHK問題を考える奈良の会/NHKを考える福岡の会/
   NHKとメデイアを考える滋賀連絡会/NHKとメディアの今を考える会/
   放送を語る会/ジャーナリズムを考える市民連絡会とやま/言論の自由と知
   る権利を守る長崎市民の会/「日本郵政と経営委首脳によるNHK攻撃の構
   図を考える11.5シンポジウム」実行委員会
    (2020年7月5日、12時30分現在)

 (1)『毎日新聞』は6月29日の朝刊で、NHK経営委員会が上田良一会長(当時。以下、役職名はすべて当時)を厳重注意した2018年10月23日の会合の「議事全容」を掲載しました。
 これは、正規の議事録ではありませんが、『毎日新聞』NHK問題取材班が「複数の関係者」への独自の取材に基づいてまとめたもので、信憑性が極めて高い内容と考えられます。
 「議事全容」を一読して、際立つのは、森下経営委員長代行者が石原進経営委員長とともに、経営委員の個別の番組への干渉を禁じた「放送法」第32条を蹂躙する発言を繰り返し、会長厳重注意に至る議事を強行した実態です。
 その最たるものは、森下氏が、「今回の番組の取材は極めて稚拙で、取材をほとんどしていない」(注1)と番組編集と一体の取材をあからさまに攻撃すると同時に、「郵政側が納得していないのは取材内容だ。納得していないから、経営委に言ってくる。本質的なところはそこで・・・」と語ったくだりです。
 これは、森下氏が、ガバナンス問題よりも取材を問題視し、個別の番組の編集に踏み込み、干渉する認識と意図があったことを示す何よりの証拠であり、森下氏の一連の発言が「放送法」第32条に違反するものであったことは、もはや弁明の余地がありません。

(2)さらに、森下氏のみならず、現在も経営委員にとどまっている他の数名の委員が、個別の番組の取材・編集に干渉する発言をしていたことも見過ごせません(注2)。「クレームへの対応というより、番組の作り方で若干、誤解を与えるような説明があった」、「番組の作り方に公平さを欠く要因がなかったか」、「こういう問題では〔経営委も〕番組内容に踏み込まざるを得ない」といった経営委員の発言も、個別の番組への干渉を禁じた「放送法」に抵触することは明らかです。

(3)経営委員会が、会長厳重注意に至る議事録を全面開示するよう促した「NHK情報公開・個人情報保護審議委員会」(以下、「審議委員会」と略す)の道理ある答申にいまだに応えない間に、メディアが独自取材をもとに議事録に極めて近いやり取りを「議事全容」と題して報道したことは、情報公開の責務を果たさない経営委員会の背任を改めて浮き彫りにしたものです。
 とりわけ、森下氏が、「放送法」第41条で議事録を遅滞なく公表する任を負わされた委員長の職責を省みず、「審議委員会」によって、事実上、ことごとく退けられた「経営委員会議事運営規則」に固執して、2018年10月23日の会合の議事録の公表を拒み続けてきている責任も重大です。
 これによって、森下氏が経営委員会に対する視聴者、広くは社会の信頼を失墜させたことは、重大な背任と言わなければならず、もはや、森下氏に残された道は経営委員長の辞任にとどまらず、経営委員を引責辞任する以外、ありません。
 そこで、私たちは以下のことを申し入れます。

                       申し入れ

 〔1〕森下俊三氏は、「放送法」第32条を蹂躙する発言を繰り返すとともに、2018年10月23日の経営委員会議事録の公表を拒み続け、経営委員会が会長厳重注意という極めて異例の決議をした経緯の説明責任を果たさなかった責任を取って、直ちに経営委員を辞任するよう、重ねて要求する。

 〔2〕経営委員会は「審議委員会」の道理ある答申を尊重して、開示の請求があった2018年10月23日の経営委員会議事録と配布資料を直ちに開示するとともに、それを経営委員会のHPにも掲載して、一般に公開するよう、重ねて要求する。

 〔3〕2018年10月23日の経営委員会で、複数の経営委員が、森下氏ほど露骨ではないにせよ、委員が個別の番組の編集に干渉することを禁じた「放送法」第32条に抵触する発言をしたことも重大で、これら委員も猛省が必要である。この先の経営委員会で反省・自戒の意思を表明し、それを議事録に記載するよう、求める。
                                 
                                       以上

 (注1) 『毎日新聞』も記事の注記で指摘し、経営委員Bも発言しているように、実際には、番組取材陣はネットで情報を寄せた現・元郵政職員や郵政グループ幹部、さらには不正な契約をさせられた高齢者等に取材をしています。「稚拙」というなら、こうした事実を確かめもせず、NHKの取材のあり方を一方的に攻撃した森下氏こそ稚拙です。

 (注2)石原経営委員長は2018年4月に放送された番組やネットの動画で「詐欺」「押し売り」といった言葉が使われたことに非常に抵抗感があると発言しています。
 しかし、番組では、「ノルマに追い詰められ、お客様を詐欺まがいで契約させるパターンはしょっちゅう見ます」(現役郵便局員Eさん)とか、解約すれば損失が出ることを告げずに解約させる「契約のころがし」や保険を貯金と誤認させるような説明など、「郵便局というだけで高齢者の場合、だましやすい」(元郵便局員Bさん)といった証言を伝えています。
 こうした日本郵政の営業手法を「詐欺」「押し売り」と表現するのは実態を端的に伝える言葉であり、これに抵抗を感じる石原氏の感覚こそ、歪んでいます。

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